平川動物公園マサイキリン オオカミ ヤブイヌ コンドルなど動物紹介(前半)
全国的に数のすくない動物が続々登場!見逃せないポイントを紹介します
鹿児島市中心部から約1時間の距離にある平川動物公園。
コアラやトラ、ゾウなど人気動物から、マサイキリン、ヤブイヌ、ジャガーなど飼育施設の少ない動物まで、130種以上の動物を飼育しています。
本記事は平川動物公園で会える動物たちの種類や特徴だけでなく、展示の工夫や個体の見わけ方等「平川動物公園で見てほしいポイント」を紹介します。
めずらしい動物や個体情報等を知っていると、動物園を何倍も楽しめること間違いなしです。ぜひ動物園の予習をしてから行きましょう!
平川動物公園の概要および営業案内・アクセスは「鹿児島の動物園【平川動物公園】行く前に読んでほしい記事」に掲載しています。
- 1. 平川動物公園で会える動物たち
- 1.1. マサイキリン|父ハートとハヤテ アヤト
- 1.2. シロサイのシノ 40歳を超えました
- 1.3. カバ|龍馬とナナミ
- 1.4. クロサイのサニー見逃し注意!12/8まで
- 1.5. 九州に1頭だけ!ジャガーのボスキ
- 1.6. 西日本で唯一クロヒョウに会えます
- 1.7. ライオンのジオン 19歳です!
- 1.8. シンリンオオカミ赤ちゃん誕生!2022年
- 1.9. 日本唯一のベンガルヤマネコ|マド
- 1.10. 九州でヤブイヌに会えるのは鹿児島だけ
- 1.11. トラは5頭います!
- 1.12. チンパンジーの群れ|おとな5人子3人
- 1.13. ヤクシマザルの群れ|おとな4頭子3頭
- 1.14. サル舎|エンリッチメントの見せどころ
- 1.15. ワオキツネザルの群れ|10頭以上
- 1.16. フクロテナガザルは3頭います
- 1.17. ホオジロテナガザル|日本に1頭だけ
- 1.18. ボルネオオランウータンのポピー
- 1.19. レッサーパンダ|風美 スバル メロディ
- 1.20. カピバラとブラジルバク|混合展示
- 1.21. フタユビナマケモノのナマケン
- 1.22. 九州唯一!アフリカハゲコウのティンガ
- 1.23. 日本に1羽!トキイロコンドルのサラ
- 1.24. ヤマアラシ|アサマ ピンコ カオリ
- 1.25. アルダブラゾウガメは3頭います
平川動物公園で会える動物たち
たくさんの動物が暮らす平川動物公園。一度に記載しきれないので、前半と後半にわけてお届けします。
平川動物公園で会える動物たちは「動物園マップ」にそって紹介します。
アフリカの草原ゾーン
メインゲートを抜けると、目に飛び込んでくるのは、大きな木がある広場。
ひろびろとしたスペースにキリン、サイ、シマウマなどアフリカの動物たちが混合展示されています。
開放的な草原と動物たちの向こうには、鹿児島の象徴・桜島がそびえています。桜島をアフリカ最高峰キリマンジャロに見立てた展示です。
観覧通路は放飼場より高い位置にもうけられています。
マサイキリン|父ハートとハヤテ アヤト
鯨偶蹄目キリン科キリン属。
平川動物公園のキリンは複雑な模様をもつマサイキリン。多くの方が思い描くであろう網目模様のアミメキリンではありません。
観覧スペース付近でエサを食べていることが多いので、至近距離で観察できます。
母アヤメは亡くなりました(2020年)
1995年に平川動物公園で生まれたメス「アヤメ」が2016年と2019年に「ハヤテ」と「アヤト」を出産しました。
元気に暮らしていましたが、2020年、老衰のため死亡しました。国内最高齢の24歳11か月でした。
ハヤテとアヤトの父親「ハート」は静岡市・日本平動物園で2010年に生まれました。
ハートは2011年2歳を迎える前に来園。来園時すでに16歳だったアヤメに比べると、小さい若オスでした。
現在は立派なおとなオスのハート。
長身で体色が濃く、ゴツゴツした顔が男らしいキリンです。左側の首もとに名前の由来となった「ハート」模様があります。
ハヤテは性成熟をむかえ、おとなキリンへと成長しています。ハートにせまる大きさですが、皮ふの黒みはありません。
アヤトは2頭に比べると小さいです。まだ成長途中なので皮ふのたるみやアンバランスさが可愛らしいキリンです。
親子3頭は皆オスですが同居しています。近くにいる場面はしばしば見かけますが、並んでいる姿はまだ撮影できず。見れたあなたはラッキーですね。
マサイキリンは全国で3か所、たった9頭しか展示されていません。貴重なマサイキリン。お見逃しなく!
【関連記事】9頭だけ!日本にいるマサイキリン(動物の相関図)2024年1月
シロサイのシノ 40歳を超えました
奇蹄目サイ科シロサイ属。
アフリカの草原ゾーンには1頭のミナミシロサイが展示されています。
名前は「シノ」2018年に40歳を迎えたメス。1978年に宮崎で生まれ、30年以上平川動物公園で飼育されている人気者です。
サイの寿命は40~50年といわれています。シノが元気で長生きできますように。
アフリカの草原ゾーンには、キリンとサイの他にチャップマンシマウマとダチョウがいっしょに展示されています(混合展示)。
シノはシマウマといっしょに食事をしたり、ダチョウやキリンに近づいてみたり、と愛嬌あふれるシロサイです。
カバ|龍馬とナナミ
鯨偶蹄目カバ科カバ属。アフリカ大陸の水辺に生息しています。
カバ舎は上から見おろすことも、カバと同じ目線から見ることもできます。
らせん状の通路にはたくさん掲示物があり、読みごたえ抜群です。
平川動物公園は現在2頭のカバを飼育しています。
長崎県・長崎バイオパーク生まれの「龍馬」と神戸市・王子動物園生まれの「ナナミ」
ともに2009年に誕生し、2010年リニューアルした平川動物公園のカバ舎にやってきました。
ナナミは目がとっても大きく印象的な顔立ち。
完全に水中につかっていると目が見えにくいので判別が難しいですが。全体的に肌が黒く、大きい方がナナミ。
龍馬は目や耳あたりのピンク色が目立ちます。
開園直後はエサを食べたり、泳いだり、活発な姿を見ることができます。日中は2頭寄り添っておやすみ。そして夕方になるとそわそわプールからあがったりまた入ったりしています。
現在は別居中ですが、仲の良い龍馬とナナミに癒されます。
クロサイのサニー見逃し注意!12/8まで
奇蹄目サイ科クロサイ属。
ヒガシクロサイの「サニー」は2012年、日立市かみね動物園より来園しました。2009年生まれのメスです。
サニーの展示場はカバの展示場のさき、キリン舎の近くにあります。小さな看板がありますが、奥まったところにいます。
日本では20頭ほどしかいないクロサイ、どうぞお見逃しなく。ちなみに日本でシロサイとクロサイに会える動物園は平川動物公園だけです!
うれしいかな悲しいかなサニーは繁殖のためかみね動物園へ帰ることが決まりました。最終展示日は2022年12月8日です。
シロサイとクロサイのちがいを知りたい方は「クロサイとシロサイの違いは?天敵は?サイの疑問【生態と特徴】にお答え」をご覧ください。
野生のイヌ・ネコゾーン
平川動物公園は、なんといっても肉食動物の数が豊富です。
代表的なトラ、ライオンから、九州では平川動物公園でしか会えない、オオカミやヤブイヌも登場します。
野生のイヌ・ネコゾーンで最初に目にはいる檻はジャガーとヒョウの展示場。
2階の高さにあるデッキと、地上から観察できるつくりです。
ジャガーとヒョウの檻の中を一瞥しただけでは、動物の姿が見当たらないかもしれません。高低差が設けられた展示場には死角がたくさん。
さらに、平川動物公園のジャガーとヒョウは黄色ではなく黒の体毛をもつ黒変種。檻の黒や樹木の影に重なり、発見難易度は高めです。
九州に1頭だけ!ジャガーのボスキ
アメリカ大陸の熱帯雨林や湿地に生息する、食肉目ネコ科ヒョウ属の動物。アマゾン最強と称されています。
現在、1頭のオス「ボスキ」が飼育されています。
2013年、ボスキは王子動物園のアトスとローラのあいだに誕生。愛媛県・とべ動物園のミワと双子です。鹿児島市には2014年にやってきました。
まだ生後半年ほどだったボスキ。現在は、成熟をむかえた立派なジャガーです。
ネコ科動物は夜行性のため、ボスキは日中ほぼ寝ています。起きている姿を見れたらラッキー。
ジャガーの展示場は2つのスペースが空中通路でつながっています。タイミングが良ければ、ジャガーの肉球を下から見れるおもしろい展示場です。
九州で飼育されているジャガーはボスキ1頭のみ。見あたらなくても時間をかけて探してほしいです。
西日本で唯一クロヒョウに会えます
食肉目ネコ科ヒョウ属。アフリカからアジアにかけて広く分布しています。
2017年にやってきたクロヒョウの「スー」2015年生まれのメスです。
スーは以前平川動物公園で飼育されていたオス「シム」の娘。
シムは浜松市動物園にブリーディングローンにより移動し、見事役目を果たしました。
さらに喜ばしいことに、2018年には2頭のメス(セナとセピア)、2019年には雌雄各1頭(ソラとソル)が誕生しました。
そして2019年10月鹿児島に「セピア」がやってきました。
野生ヒョウは単独行動なので、スーとセピアも別々に展示されています。
- スー 奇数日
- セピア 偶数日
わたしとしては展示が1日交代なのがネック。なぜかというと、偶然ですが奇数日にしか来園できておらずセピアに会ったことがないのです。
いつかスーとセピアのちがいをお届けできたらなと思っています。
クロヒョウは日本に9頭しかいません。西日本でクロヒョウに会えるのは平川動物公園だけです。
また、間違われやすいジャガーとヒョウを実際に見比べられる数少ない動物園でもあります。
【関連記事】ジャガーとヒョウの違い|柄も特技もすんでいる場所も違うよ
ライオンのジオン 19歳です!
食肉目ネコ科ヒョウ属。おもにアフリカ大陸に生息しています。
ガラス張りのライオン展示場。現在、オスの「ジオン」1頭が飼育されています。2003年富士サファリ生まれのジオンは19歳とご高齢。
しかし、ジオンはまん丸お目目の可愛らしいおじいさま。
たまに見せるキリっとした目も素敵ですが。ライオンらしく大胆な姿で寝ていることが多いです。
2017年の健康診断で、ジオンの体重は約120kgだったそうです。ちなみに成熟したオスライオンは200kgほどに成長します。
高齢のジオンは年齢とともに痩せてきています。見るたびに細くなったような気がしますが、2022年12月に会いに行ったときも大きな声を響かせており、感動しました。
これからも元気に長生きしていほしいです。
かつてジオンとともに暮らしていたメスの「スター」は2020年に亡くなりました。16歳でした。
シンリンオオカミ赤ちゃん誕生!2022年
食肉目イヌ科イヌ属。
平川動物公園のオオカミは、北アメリカに生息するシンリンオオカミ。もっとも広く分布しているハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)の亜種です。
一見するとイヌと変わりないですが、ひきしまった胴体と長い四肢をもちます。野生動物らしい風格があります。
ジンの父ロジックは亡くなりました(2019年)
2016年に旭川市・旭山動物園より来園した2014年生まれのメス「ミナ」群馬サファリ生まれの「ロジック」と結ばれ、2018年に4頭の子を出産しました。
鹿児島の偉人・西郷隆盛の座右の銘から「ケイ」「テン」「アイ」「ジン」と名付けられた4頭。
誠にざんねんながら、7月にメスのアイとテンが相次いで亡くなりました。不幸はさらに続き、2018年11月ケイが外傷のため死亡。
挙句の果てに、2019年3月、父親のロジック(当時8歳)が肺腫瘍のため亡くなりました。
一時は6頭の家族だった平川動物公園のオオカミですが、あっという間に母ミナと子ジンの2頭暮らしになりました。
円山動物園よりショウが来園 ジンは群馬へ
ミナはまだ若く、出産・育児経験のある貴重なメスです。
そこで、2019年11月、新たなパートナー候補として札幌市・円山動物園から2011年生まれの「ショウ」がやってきました。
ショウの来園にともない、2020年11月、ジンは父ロジックの故郷(群馬サファリパーク)へ移動しました。
オオカミは哺乳動物においては稀な、一夫一妻の動物です。ロジックと繁殖に成功しただけに、ミナは悲しい思いをしていることでしょう。
5つ子が生まれました!みんな元気です
今後、ショウと新しい関係を築けるかどうか注目していたさなか、2022年4月ついにミナが出産しました!
子は5頭。オスの「ゼン」とメスの「ヨモギ」「シズク」「カエデ」「ジュリ」はミナとショウの愛情をうけてすくすく成長しています。
九州でオオカミを見れるのは平川動物公園だけです。ぜひお見逃しなく。
ミナが亡くなりました・子が移動しました|2022年12月
2022年12月、ミナとショウの娘カエデとジュリがブリーディングローンの成果としてショウの故郷(札幌市・円山動物園)へ移動しました。
これからのパック(群れ)のゆくえが気になっていた矢先、母ミナが8歳という若さでこの世を去りました。
飼育員さんにとっても、まだ幼い子どもたちや父ショウにとっても、突然の別れでした。
2023年1月現在、平川動物公園は父「ショウ」息子「ゼン」娘「ヨモギ」「シズク」計4頭のシンリンオオカミを飼育しています。
日本唯一のベンガルヤマネコ|マド
食肉目ネコ科ベンガルヤマネコ属。インドやシンガポール、中国などアジアに幅広く生息しています。
平川動物公園のベンガルヤマネコは2014年に上野動物園からやってきた「マド」2011年生まれのオスです。
ベンガルヤマネコはここにいるよ!
樹木が生い茂った小さめの檻。多くの方がヤマネコ探しをしています。なかなか見つからず苦戦する人々。
実は、マドのいる場所はだいたい決まっています。
正面向かって右側の木のなか。
いつも同じ場所で寝ているマド。目を開けた可愛いお顔を見たいですが、起こすわけにもいかないので静かに見守ります。
夕方は夜ごはんを待つ様子や食事風景を観察できます。マドが確実に起きているおすすめ時間です。
木のなかでマドが起きているときはラッキー!吸い込まれそうな美しい目。ぜひ、みなさんにも見てほしいものです。
現在、日本で飼育されているベンガルヤマネコは1頭だけ!10歳を超えて余生はそう長くないかもしれません。ぜひお見逃しなく。
【YouTube】MBC南日本放送 平川動物公園の園長のお話をチェック!
九州でヤブイヌに会えるのは鹿児島だけ
食肉目イヌ科ヤブイヌ属。南米に生息し、魚や鳥などを好む肉食動物です。
ずんぐりとした体と小さな目が愛らしいヤブイヌ。英名であるブッシュドッグも一般的な呼び名です。
現在、平川動物公園では2頭のヤブイヌを飼育しています。
ともに京都市動物園から来園した2014年生まれのオス「サキョウ」と2016年生まれのメス「マドカ」です。
ヤブイヌは用心深く、日中は穴の中で休み、夜になると狩りに出かけます。
しかし、動物園では、日中でも活発に動きまわる様子を見ることができます。
現在、サキョウとマドカは同居中。今後の繁殖が期待されています。
ヤブイヌは全国で6か所の動物園でしか会うことはできません。九州では平川動物公園だけです。
知名度は低いですが、可愛らしいヤブイヌ。ぜひお見知りおきを。
【関連記事】ヤブイヌに会える動物園・ヤブイヌの生態と特徴まとめ
トラは5頭います!
平川動物公園は現在5頭のベンガルトラを飼育しています。そのうち4頭はホワイトタイガーです。
平川動物公園のトラの詳しい情報は別記事をご覧ください↓
世界のサルゾーン
世界のサルゾーンでは、大型類人猿からマンドリル、キツネザルなど、文字どおり世界中に生息するサルを観察することができます。
チンパンジーの群れ|おとな5人子3人
霊長目ヒト科チンパンジー属。コンゴやルワンダなどアフリカ大陸の一部に生息しています。
大きな3本のタワーがそびえるチンパンジーの展示場。いくつものデッキやロープが設置されています。
3方向のガラス窓からチンパンジーを観察することができます。
チンパンジーたちは上階のデッキがお気に入り。高い塔を下から見上げるため 、発見しにくい場合もあります。
チンパンジーが人目を気にせずくつろげる場所があるのは素晴らしいことです。近くに見当たらないときは、ぜひ上を探してみてください。
チンパンジーの赤ちゃん誕生!2017年・2020年
2017年4月、平川動物公園で初めてチンパンジーが誕生しました。名前は「イチロー」オスです。
その後、2020年2月にオスの「ジャンベ」つづく12月にメスの「ライチ」が生まれました。3人とも母親の愛情をうけて元気に成長しています。
父親はいずれも「ラルゴ」イチローとライチの母親は「イチエ」ジャンベの母親は「モモ」です。
2022年11月現在、8人のチンパンジーに会うことができます。
- ラルゴ(推定1983年生)
- ピータン(推定1983年生)
- ケイ(1991年生)
- イチエ(2001年生)
- イチロー(2017年生)
- ライチ(2020年生)
- モモ(2005年生)
- シャンベ(2020年生)
群れ、とくに子どものいる群れで暮らすチンパンジーは様々な行動や表情を見せてくれます。
ぜひ時間をかけて観察してみましょう!
ヤクシマザルの群れ|おとな4頭子3頭
チンパンジー舎の向かいは2016年にオープンしたニホンザルの展示場があります。大きなガラス張りの観覧スペースが設けられ、近くで観察できます。
霊長目オナガザル科マカク属のニホンザル。文字どおり日本に生息するサルです。
平川動物公園のニホンザルは屋久島にのみ生息するヤクシマザル。一般的なニホンザルより小柄で、毛がもさっとしています。
2018年、2019年と繁殖に成功。現在、3頭の子どもと母ザルそしておとなオスの7頭の群れで暮らしています。
ヤクシマザルに会える動物園は数か所しかありません。お見逃しなく。
サル舎|エンリッチメントの見せどころ
チンパンジー舎のお隣にはサル舎がずらりと並んでいます。
チンパンジーやヤクシマザルと異なり、檻に囲まれた昔ながらのせまい獣舎。
左右、上が格子になっている立体的なつくりですが、高さや幅はありません。行動範囲が少なく退屈しているのではと心配ですが。
どこの施設であれ、予算の関係などからすべての動物が新しい展示場とはかぎりません。
昔ながらの展示場でもエンリッチメントをとりいれることにより、動物の福祉は改善されます。平川動物公園でもロープや木を設置し環境をつくっています。
サル舎の近くには売店や休憩所、その反対側には大きな池と島があります。
緑あふれる島ではワオキツネザルとフクロテナガザルの無柵放養式展示をおこなっています。
ワオキツネザルの群れ|10頭以上
霊長目キツネザル科ワオキツネザル属。マダガスカル南部に生息しています。
縞模様の入ったふさふさのしっぽが特徴的です。
池に囲まれた島にはたくさんワオキツネザルがいます。公式HPによるとその数なんと15頭!
日中は観覧スペースから見えにくいところにいる場合もあるワオキツネザル。
個人的には午前中の観察がおすすめです。島の中央付近は日当たりが良く、朝日をのぞむワオキツネザルは癒し度抜群。
ワオキツネザルとふれあえる?!
平川動物公園では不定期ですが、ワオキツネザルのエサやりイベントを実施しています。
参加者はワオキツネザルの島に上陸して、ふれあうことができます。
お正月やゴールデンウィーク、動物公園まつりなど年に数回行われ、10名ほどが参加できるようです。いつか上陸してみたいですね。
【関連記事】ワオキツネザル「生態と特徴」生息地から寿命までわかる記事
フクロテナガザルは3頭います
霊長目テナガザル科フクロテナガザル属。東南アジアの森林に生息しています。
真っ黒の大きな体をもち、のど袋を膨らませて大きい声を出すテナガザル。平川動物公園のフクロテナガザルの歌、悲しいかなわたしは聞いたことありません。
ワオキツネザル同様、池に囲まれた島のため視界を遮るものは木々のみ。開放的な展示場です。
2014年8月、1996年生まれのオス「ジャン」と2002年生まれのメス「カンナ」のあいだにメスの「なのはな」が誕生。
2017年にはオスの「つわぶき」が誕生し、4頭の家族で暮らしていました。
2019年、父親のジャンが八木山動物公園へ移動。代わりに日本モンキーセンターより2008年生まれの「キウイ」がやってきました。
ざんねんながらつわぶきが2020年に亡くなり、現在は3頭のフクロテナガザルが飼育されています。
公式HPによると、なのはなはオランウータン舎にある室内展示場にいるとのこと。大きなガラス張りですが反射で見えにくいのが難点です。
島は草も木もたくさん生えており、フクロテナガザルたちが見当たらないことも多々。
ワオキツネザルとフクロテナガザルの島の前にはベンチが並んでいるので、休憩しながらゆっくり観察するのがわたしの至福の時間です。
ホオジロテナガザル|日本に1頭だけ
霊長目テナガザル科クロテナガザル属。東南アジアなどに生息しています。
オスの体毛は黒で、その名の通り、頬に真っ白でふさふさの毛が生えています。
メスは金色のような体毛をもち、白い頬毛はありません。代わりに帽子のように見える黒い毛が生えています。
平川動物公園ではメス1頭を展示しています。名前は「モンジロウ」男の子みたいですが。あだ名はモンちゃん。
動物園で最も多く飼育されているシロテテナガザルは手と顔周りが白色。
一方、ホオジロテナガザルは全体的に同じ色です。モンちゃんはメスなので、頭の黒い毛がチャームポイント。
驚くことにモンジロウは推定40歳以上。1980年から平川動物公園で飼育されています。
以前はオランウータン舎の一室で展示されていました。
高齢なモンちゃんは視力が弱く、現在は非公開の屋内展示場でひっそり暮らしています。
ボルネオオランウータンのポピー
霊長目ヒト科オランウータン属。インドネシアやマレーシアの熱帯雨林に生息しています。
展示場中央には大きなタワー。その周囲をぐるっとのぼりながら観察できるつくりになっています。
下からはガラスビューを通して、見上げることができます。
のぼりきったところには、大きなガラス張りの室内展示場。そして、2階部分にあたる高い位置から展示場を見渡すことができます。
2013年に完成した大きな展示場にはボルネオオランウータンの「ポピー」がいます。
ポピーは2000年に多摩動物公園で生まれたオス。2014年に鹿児島にやってきました。
ポピーのくわしい情報は別記事に掲載しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
レッサーパンダ|風美 スバル メロディ
レッサーパンダの展示場はオランウータンの展示場から順路通りにすすむと見えてきます。
手前にはガラス張りの室内展示場。奥には屋外展示場があります。
食肉目レッサーパンダ科レッサーパンダ属。
平川動物公園では、中国に生息するシセンレッサーパンダを飼育中。日本の動物園で会える一般的な種類です。
現在3頭のレッサーパンダを飼育しています。
先住パンダは2007年生まれのメス「風美」。立つレッサーパンダで話題となった千葉市動物公園のアイドル風太の娘です。
10歳を超え年齢を感じさせる雰囲気ですが、お外にも出る元気なおばあちゃんです。
風美のパートナー「スバル」は2010年生まれ。2013年に長野市・茶臼山動物園からやってきました。比較的色が薄く、幼い顔に見えます。
2014年には風美とスバルの間にめでたく双子が誕生しました。すくすく成長した2頭。
メスのソラは東京都の羽村市動物公園へ、オスのキラは広島市の安佐動物公園へと旅立ちました。
風美が高齢となったため、2019年4月、神戸市・王子動物園からメスが来園しました。2017年生まれの「メロディ」です。
カッコいい顔立ちのメロディ。繁殖期には同居しています。スバルとうまくいくと良いですね。
南アメリカの自然ゾーン
アフリカやアジアをテーマとする展示はたびたび見かけますが、平川動物公園では南アメリカをテーマとした展示を行っています。
野生動物の楽園と称される南米。いまだに未確認の新種が多く存在するといわれています。
カピバラとブラジルバク|混合展示
南アメリカの動物で大人気なのはカピバラ。子どもからおとなまでたくさんの方が眺めています。
そんななか異彩をはなつ存在がいます。
カピバラ、ではありません。白黒でおなじみのマレーバクと同じバクの仲間ブラジルバクです。
多くの方はカピバラに夢中、ブラジルバクの存在にすら気付いていない様子。なかには「カピバラのお父さん」なんて言っている人もいます。
実際のところ、2種はまったくの別物。カピバラはネズミ目、バクはウマ目の動物です。
平川動物公園ではカピバラとブラジルバクの混合展示をおこなっています。いっしょにごはんを食べたり、お休みしたり、お互い自然体でとても相性が良さそうです。
ブラジルバクは3頭います|ルーシー キョン ユメゴロウ
現在、1996年生まれのオス「キョン」と1995年生まれのメス「ルーシー」そして2012年生まれのオス「ユメゴロウ」の3頭が暮らしています。
キョンは名前の後ろに「2」が付いており、案内板には「キョンツー」と書かれています。
20代のキョンとルーシーに比してユメゴロウは若々しいです。ルーシーは3頭の中で一番傷が多く、体も大きい印象です。
カピバラとバクの温泉
カピバラとブラジルバクの展示場には細長いプールが設置されています。
しかし、ただのプールではありません。なんと天然温泉のプールなのです!
どちらも暖かい地域に生息し、泳ぎが得意な動物。そのため、いっしょに浸かっていることもあります。
冬には冬至のイベントが実施されます。動物たちの気持ちよさそうな表情に癒されること間違いなしです。
園内地下およそ1500メートルから湧き出ている平川動物公園の温泉。日本で唯一天然温泉を使っている動物園です。
アフリカの草原ゾーンとインドの森ゾーンには来園者用の足湯もあるので、疲れた足を癒すことができます。
フタユビナマケモノのナマケン
ナマケモノの展示場は、屋外と室内の2か所。
現在「ナマケン」を飼育しています。1991年に来園した推定30歳のオスです。
いつも2頭仲良く休んでいたナマケモノペアでしたが、メスの「ナマチャン」は2022年5月に亡くなりました。
暖かい日には、お外に出ていることも。活発なナマケモノに会いたいですね。
【関連記事】おもしろすぎるぞナマケモノ「生態と特徴」動かない理由がわかる記事
不思議な動物ゾーン
不思議な動物ゾーンは猛禽類やは虫類が主。
は虫類が苦手なので「は虫類・夜行性動物館」のようすは記載していません、すみません。
九州唯一!アフリカハゲコウのティンガ
アフリカのサバンナに生息するアフリカハゲコウ。
死んだ動物の肉を食べる鳥です。次に紹介するトキイロコンドルの倍ほどの体長。羽を広げた大きさは、3メートル近くまで達します。
その風貌から少し恐怖を感じますが、意外にも人懐っこい性格といわれています。
平川動物公園ではオスのアフリカハゲコウ「ティンガ」1羽を飼育しています。
国内では千葉市動物公園や天王寺動物園など9か所でしか会うことのできない珍しい鳥です。
日本に1羽!トキイロコンドルのサラ
南アメリカに生息するトキイロコンドル。
白と黒のツートーン、そして鮮やかなお顔が素敵です。体は大きく、羽を広げると1.5メートル以上と、ヒトをも圧倒します。
トキイロコンドルは鉤型のくちばしが特徴。硬い死肉を裂くために有利であり、他の猛禽類が食べれないものも食べることができます。
現在、メスのトキイロコンドル「サラ」1羽が飼育されています。
サラはホオジロテナガザルのモンジロウをも上回るご長寿!なんと1976年にペルーより来日後、40年以上平川動物公園で飼育されています。
2021年12月名古屋市・東山動植物園の推定60歳だった「トキさん」が亡くなったことにより、日本のトキイロコンドルはサラ1羽だけになりました。
ぜひお見逃しなく!
ヤマアラシ|アサマ ピンコ カオリ
げっ歯目ヤマアラシ科のアフリカタテガミヤマアラシ。
カピバラのような大きなネズミですが、なんといっても針毛が特徴的。
トゲトゲした毛でガサガサと音を鳴らしながら動く姿は不思議そのもの。
夜行性なので、日中は展示場奥側で寝てることが多いので、動いていたらラッキーです。
野生では単独行動をしているヤマアラシ。動物園では、針毛に気を遣いながら、身を寄せ合う姿を見れることもあります。
硬い毛をもつがゆえに一見不気味に思えますが、小さくて丸い目が魅力的なとても可愛い動物です。
アルダブラゾウガメは3頭います
砂漠や乾燥した地域に住んでいるアルダブラゾウガメ。アフリカ大陸の東、インド洋に浮かぶ島々からなるセシェールという国の固有種です。
ガラパゴスゾウガメとともにリクガメの最大種とされています。大きいものは、1メートル以上の甲羅を背負っています。
鶴は千年亀は万年ということわざがあります。さすがに万年はいいすぎですが、ゾウガメは100年以上生きる動物。
ゾウガメの展示場は柵が低く、その大きな体をまじまじと観察できます。わたしたちよりも長生きするアルダブラゾウガメたち。どんなことを考えているのか気になりますね。
さて、平川動物公園前半はここまで。後半はオーストラリアの自然ゾーンからお届けします!
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