クロジャガーとクロヒョウ「黒変種」とは?ブラックパンサーに会える動物園

03/10/2021

ブラックパンサーやブラックジャガー、みなさんも一度は耳にしたことがあるでしょう。ぱっとイメージできる方も多いかもしれません。

では、なぜ黒いのか、どこにいるのか、ふつうのヒョウやジャガーとなにが違うのか、など気になりませんか?

今回のzoo zoo diaryはクロジャガーとクロヒョウに注目!

意外と知られていない彼らの正体や遺伝を紹介します。また、クロジャガーとクロヒョウに会える動物園リストを掲載しています。

黒変種について学び、黒変種に会いに行きましょう!

平川動物公園 クロヒョウ

黒変種とは?

クロジャガーやクロヒョウは遺伝により体毛が黒くなった黒変種メラニズム)と呼ばれます。

黒変種はメラニンに関連する変異種。

メラニンは黒~橙赤色の色素。紫外線を吸収し皮ふを守る働きがあります。そのため、われわれヒトももちろん、多くの動物が持っている色素です。

しかし、黒変種は遺伝的に黒い色素(メラニン)をたくさんもっています。結果、体毛全体が黒い個体になります。

神戸市立王子動物園 クロジャガー

黒変種はどうやって生まれるの?

黒変種は疾患や遺伝子異常ではなく、正常な遺伝により誕生します。

ヒョウやジャガーの色において黄色の「通常」遺伝子と同様に、メラニンを多くつくる「黒変」遺伝子も親から子へと遺伝します。

クロヒョウ・クロジャガーは種類ではありません

クロヒョウやクロジャガーは遺伝的に色が異なるだけ。種や亜種ではありません。

つまり、ふつうのヒョウやジャガーと色以外ちがいはありません

生息地や大きさ、食べるものなどはもちろん、黒一色に見えても模様の特徴もおなじです。

ヒョウとジャガーの生態と特徴は別記事に掲載しています↓

クロヒョウとクロジャガーが生まれる確率

対となる遺伝子、この場合「通常」と「黒変」遺伝子には優劣があります。

クロヒョウは劣性遺伝、クロジャガーは優性遺伝によって誕生すると考えられています。

簡単にいうと、クロヒョウはめったに生まれないクロジャガーはよく生まれるということ。

ヒョウもジャガーも黒変種同士の交配で生まれる子はほとんど黒変種となります。

また、優性遺伝子(ジャガー)の場合、片親が黒変種であれば子は黒変種になる可能性が高いです。

一方、劣性遺伝子(ヒョウ)の場合、たとえば父親が黒変種であっても子が黒変種になる可能性は非常に低いです。

なぜなら、母親が黒変遺伝子をもつ通常種であり、かつ、その黒変遺伝子が子に受け継がれなければ、生まれえないからです。

しかし、統計によるとクロヒョウは全体のヒョウの10%以上を占めています。

光の届かない熱帯雨林では黒変種の方がカモフラージュに優位とされ表現化しやすいのではないか、といわれています。

いまだ議論の的となっていますが、黒変遺伝子が優位であるジャガーは熱帯雨林に生息するため、合点がいきます。

実際にサバンナや砂漠の多いアフリカでクロヒョウが発見されるのは非常に稀です。

2019年2月、アフリカ・ケニアで110年ぶりに野生のクロヒョウが観察されました。

4か所!クロジャガーがいる動物園

国内のクロジャガーは7頭のみ。4か所の動物園で飼育されています。

日本平動物園
  • 小梅(2018年生)
  • 小春(2021年生)
王子動物園
  • アトス(2009年生)
  • アステカ(2021年生)
  • マヤ(2021年生)
とべ動物園
  • ミワ(2013年生)
平川動物公園
  • ボスキ(2013年生)

双子「黒と黄」誕生!日本平動物園 2021年

日本平動物園には2003年アメリカからやって来たクロジャガーのアラシがいました。2018年、国内最高齢の17歳で亡くなりました。

悲しみに暮れるなか、2019年3月、南アフリカ共和国から1頭のメス(2018年生)が来園しました。小梅と名付けられたそのジャガーはアラシとおなじ黒変種!

2歳を過ぎた小梅は、着実におとなへと近づき定期的に発情をしめしています。パートナーとなる卯月 小助(2016年生)との相性もよく、繁殖が大いに期待されています。

そして、2021年11月、小梅がめでたく2頭の子を出産しました。小梅は若く初産でしたが、順調に子を育てています。

子はなんと!通常種と黒変種。なんだかよりめでたい感じがしますね。

2022年3月より一般公開。姉(クロジャガー)は小春、妹(ジャガー)は小麦と名付けられ、元気に成長しています。

双子が生まれました!王子動物園 2021年

王子動物園のアトスは2013年ポーランドのワルシャワ動物園からやって来ました。

2010年にカナダより来園していたローラと結ばれ、2013年にボスキとミワが誕生しました。

その後、ボスキは平川動物公園へ、ミワは京都市動物園を経てとべ動物園へ移動しました。

王子動物園では次の繁殖が期待されるなか、2016年ローラが6歳という若さで死亡。非常にざんねんな出来事でした。

2020年11月。ついに、嬉しいニュースが飛び込んできました!

南アフリカ共和国からメスのネリア(2018年生)が王子動物園にやって来ました。

繁殖経験のある立派なオスと若いメス。最初は威嚇しあっていたようですが、すぐに2頭は良い仲に。

2021年8月、ネリアは無事アトスの子を出産しました。子は双子。ネリアの愛情を受けて順調に生育しています。

オスはアステカ、メスはマヤと名付けられ、2021年12月より一般公開されています。

ミワと佐助のペアリングに期待!とべ動物園

2013年、王子動物園でアトスとローラのあいだに生まれたミワ。

2014年京都市動物園へ移動。その後、葉月 旭(2015年生)と繁殖をこころみていました。

しかし、飼育スペースの関係から繁殖が中止され、動向が注目されていました。

若い2頭を動物の本能というべき繁殖をさせずに、飼育しつづけるのはいかがなものか、と思っていた矢先。

2021年11月、ミワが繁殖のためとべ動物園へ移動しました。

お相手は卯月 佐助(2016年生)。佐助は日本平動物園で父となった小助といっしょに生まれました。そして、京都でパートナーだった旭の弟です。

ミワと佐助は同居に成功しています。いまのところ相性は悪くなさそうです。今回の移動が吉とでることを願います。

ボスキはひとり暮らし|平川動物公園

ミワと双子のきょうだいであるボスキ。2014年に鹿児島市・平川動物公園に移動しました。

ふたつのエリアが空中通路でつながった放飼場。ボスキは通路や木の陰などですっかり背景に溶けこんでいます。

2022年6月現在、ボスキにはお相手がいません。2頭の母ローラの血をのこす鍵はミワにたくされています。

平川動物公園 クロジャガー

3か所!クロヒョウがいる動物園

日本でクロヒョウを飼育している動物園は3か所のみ。全部で9頭です。

浜松市動物園
  • シム(2007年生)
  • シュヴァルツ(2010年生)
  • セナ(2018年生)
  • ソラ(2019年生)
  • ソル(2019年生)
富士サファリパーク

?(2012年生)
?(2012年生)

平川動物公園
  • スー(2015年生)
  • セピア(2018年生)

クロヒョウの双子|富士サファリ

2012年、富士サファリで通常色のヒョウペアから2頭のクロヒョウが誕生しました。

名前や血縁がわからず申し訳ないです。体格から見て、雌雄の双子のようです。

極めてまれなケースで生まれた2頭のクロヒョウ。年頃なので、繁殖相手が見つかると良いですが。

富士サファリ クロヒョウ

子だくさん!シムとシュヴァルツ|浜松市動物園

富士サファリの2頭以外は、血縁者です。

日本のクロヒョウ 家系図

父親のシムは浜松市動物園生まれ。1歳を迎えたあと、鹿児島市・平川動物公園に移動。2014年に平川動物公園から帰って来ました。

シムは双子でリリといっしょに生まれました。

リリは2010年に群馬サファリパークへ移動。お知らせは見つけられませんでしたが、2019年ごろ亡くなっています。

母親のシュヴァルツは2011年ドイツ・ベルリン動物園からやって来ました。とても美しいヒョウです。

シムとシュヴァルツの相性は良く、これまでに3回の繁殖に成功しています。

第1子スーは人工哺育となりましたが、セナ・セピア、ソラ・ソルはシュヴァルツの手で生育しました。

平川動物公園 クロヒョウ
スー|平川動物公園

クロヒョウ同士の交配による子はすべてクロヒョウとなることがよくわかりますね。

浜松市動物園公式サイトのスタッフ日記では、現在飼育されている5頭の特徴が記載されているので、訪れる際には要チェックです。

富士サファリのクロヒョウたちが、どういう血統にあるのか、把握できておりませんが、繁殖は限定的だということは事実です。

クロヒョウとクロジャガーに会える!平川動物公園

鹿児島市・平川動物公園は日本で唯一、クロヒョウとクロジャガーに会える動物園です。

展示場はとなり。どちらも黒く模様が見えにくいため、ヒョウのオスとメスと思われることの多い2種。

よくよく見ると、体つきや模様がちがうことに気づくはずです。ぜひ時間をかけて観察してみてください。

クロヒョウとクロジャガーは日本で見れなくなる?!

ヒョウはIUCNレッドリスト危急(VU)、ジャガーは準絶滅危惧(NT)。

ヒョウはいま絶滅の危機にひんしています。一方のジャガーは生息数が減少しており、将来絶滅の可能性がある状態です。

IUCNレッドリストについて詳しくは「絶滅危惧種の解説」をご覧ください。

珍しいクロヒョウやクロジャガーが絶えないよう、動物園では黒変種同士のペアが好まれます。

しかし、減りつづけているヒョウやジャガーを導入することは容易ではありません。

かつては、動物の数を維持するために近親交配がおこなわれていました。

近親交配で生まれた子は奇形や病気を持って生まれる可能性が高く、短い人生をおくる傾向があります。

そのため、動物福祉や動物愛護がさけばれる昨今、飼育下での近親交配は忌避されています。自然界でもおこなわれないことなので当然ですが。

クロジャガーにおいては新しい血統の来日や優性遺伝であることから、今後クロジャガーの赤ちゃんが生まれる可能性は十分にあります。

ところが、ヒョウの黒変種はシム一家と富士サファリの双子のみ。現時点では、シムとシュヴァルツの1組のみが繁殖可能なクロヒョウです。

ワシントン条約で商業目的の取引が規制されているジャガーとヒョウ。黒変種となるとさらに個体数はすくないのが現状です。

日本でクロジャガーやクロヒョウが見れなくなる日は、そう遠くないかもしれません。

ぜひ、実物を見に動物園に足を運んでみてください!

平川動物公園 クロジャガー

以上、ブラックパンサーのお話でした。

【参考】

国際自然保護連合

日本動物園水族館協会