平川動物公園ボルネオオランウータンのポピー成長記

11/26/2019

鹿児島市中心部からおよそ1時間。広さ30万ヘクタール、飼育動物140種類という立派な動物園があります。

その名は、平川動物公園。

平川動物公園は2016年にリニューアルオープンしました。複数の動物を一緒に展示する混合展示や、動物の生活環境を再現する生態展示を取り入れています。

日本一のコアラ飼育数を誇り、遮るもののないコアラ展示が話題の動物園です。

コアラやマサイキリンの赤ちゃん誕生、アマミノクロウサギ等保護動物の飼育など、動物園界からも注目を集めています。

今回zoo zoo diaryが紹介するのは、平川動物公園の森の人「オランウータン」。

名前や特徴、成長の記録をつづっていきます。

平川動物公園 オランウータン

オランウータン

霊長目ヒト科オランウータン属。

インドネシアやマレーシアの熱帯雨林に生息しています。現在、3種に分類されています。

  • ボルネオオランウータン
  • スマトラオランウータン
  • タパヌリオランウータン

ポピー|平川動物公園のボルネオオランウータン

平川動物公園の2013年に完成した大きな展示場には、ボルネオオランウータンのポピー(オス)がいます。

ポピーは2000年6月8日、多摩動物公園で生まれました。

平川動物公園 オランウータン ポピー

父はボルネオ(1985年生)、母はチャッピー(1973年生)です。

ポピーには妹ミンピー(2006年生)、弟アピ(2014年生)とホッピー(2020年生)がいます。

ミンピーは現在、静岡市立日本平動物園で飼育されています。

ポピーのおばあちゃんジプシーは、2017年に世界最高齢の推定62歳で死亡しました。

ジプシーは野生の孤児でした。1958年からずっと多摩動物公園で飼育され、来園客を楽しませるだけでなく、繁殖や群れ形成においても重要な存在となっていました。

母親のチャッピーは、その遺伝子を次いで日本のオランウータン繁殖に大きく貢献しています。多摩動物公園のもう一人のおとなオス、キューとの間にも2頭の子をもうけました。

2020年10月には、国内最高齢47歳でホッピーを生み、順調に育てています。

【Twitter】多摩動物公園公式ツイッターでチャッピーとホッピーをチェック

繁殖経験豊かな家族の中で育ったポピー。

2014年に鹿児島にやって来たときは、13歳でした。平川動物公園では、2012年以来のオランウータン飼育です。

オランウータンの展示場

ポピーが来園する前にリニューアルした、新しいオランウータン展示場。

中央にはタワーのような大きな樹木。室内展示場やタワー等をつなぐロープが、たくさん設置されています。野生オランウータンの動きに焦点をあて、人工物と自然物をうまく組み合わせています。

来園者は展示場の周囲を、ぐるっとのぼりながら観察できるつくりです。

最初に大きなガラスビューがひとつ。そして、登りついた先に、ガラス張りの室内展示場と開放的な展望デッキがあります。

タワーを見上げる視点と、展示場全体を見渡す視点。2方向から観察することができます。

平川動物公園 オランウータン ポピー

ポピーは人間嫌い?!

飼育員さんのお話によると、ポピーはむやみやたらに名前を呼ばれるのが嫌い、カメラを向けられるのが嫌い、と愛嬌をふりまく性格ではないそうです。

室内と屋外のあいだにいる場面によく出くわします。ポピーがすこし戻ると姿が見えなくなる位置です。ポピーはここで人目を避けているのかもしれません。

ポピーを見るならごはん時に!

そんなヒト嫌いのポピーがよく見えるのは食事中。

詳しい時間はわかりませんが、10時前後や13時前後に見たことがあります。

室内から屋外へ出るときは、ロープを上手に使いすいすいと移動します。ポピーは動きがスムーズ、軽やかなオランウータンです。

ちなみに、ポピーは食べているところを見られるのも嫌いな様子。木の陰など見えにくいところで食べてます。

静かにそっと眺めていると、お顔を見せてくれるかもしれませんね。

平川動物公園 オランウータン ポピー

ボルネオオランウータン・ポピーの記録

ポピー 2015年

2014年に来園したポピー。わたしが初めて会ったのは、2015年7月。よく晴れた気持ちの良い日でした。

夏の生い茂った緑が、ポピーの赤毛の美しさを際立たせています。

平川動物公園 オランウータン ポピー

オランウータンの行動の変化

一般的に、若いオランウータンは母親と暮らしています。

オランウータンは10歳前後で成熟をむかえると、母親のもとを離れていきます。サルの仲間ではめずらしく、単独行動を好む動物です。

多摩動物公園は国内で最もおおくのオランウータンを飼育している動物園。ポピーは母親だけでなく、おばあちゃんや妹と暮らしていました。

来園時13歳だったポピー。野生のオランウータンと同じように、ひとり立ちのスタートでした。

アンフランジ

多摩動物公園には、ポピーのお父さんボルネオ(1985年生)と、キュー(推定1969年生)という2頭のフランジのオスがいます。

オランウータンのフランジは強いオスの象徴

フランジになるか否かは、各個体が判断しているという説があります。そのため、おとなになれば必ずフランジが発達するとは限りません。

平川動物公園に来園したころのポピーはアンフランジ(フランジを持たない成熟したオス)でした。

ボルネオやキューの存在が影響しているのでしょう。オランウータンのおとなオスは、環境や周囲の反応等を見て、自分の立場を認識しているのかもしれませんね。

平川動物公園 オランウータン ポピー

ポピー 2016年

春の風を感じる3月。

ポピーも、気持ち良さそうです。この時は麻袋をかぶっていました。

平川動物公園 オランウータン ポピー

視線の先には、飼育さんが隠したエサの数々。木の枝や草の間などに小さくカットした野菜がおかれています。

めったに地上に降りないポピーがわさわさとエサを集めながら歩いていました。

平川動物公園 オランウータン ポピー

すぐに食べようとはせず、口いっぱいににんじんを入れていきます。

平川動物公園 オランウータン ポピー

展示場全体を見下ろせる展望デッキにいたわたし。隠されたエサは見えませんでしたが、ポピーは次々とゲットしていきます。

食事の時間を長くする工夫は、動物の幸福度を高めるエンリッチメント対策になります。

しかし、ポピーは数分で探しだしていたので、難易度をあげる必要がありそうですね。

木の上で生活するオランウータン。

ポピーは高いところに登ってから、ゆっくりお食事をはじめました。動物園生まれ動物園育ちですが、しっかりとオランウータンの本能があらわれています。

平川動物公園 オランウータン ポピー

美味しいにんじんだったのでしょう。終始ご機嫌そうなポピーでした。まだ幼さののこる、可愛らしいオランウータンです。

実は、2016年は2度ポピーに会いに行きました。2回目は、8月の暑い日。

長い毛を持つポピーも暑そうに過ごしています。

わたしはこの日大きな失敗をしました。

カメラの充電をしていなかったのです。全く写真をのこせず、がっくり。皆さんにもポピーの様子をお見せできず、申し訳ないです。

ポピー 2018年

時は過ぎ、2018年4月。春のあたたかい日にポピーに会いに行きました。

この1年半以上の間に、ポピーは大きく成長していました!

フランジへ変化!

平川動物公園 オランウータン ポピー

多摩動物公園と異なり、平川動物公園で暮らすオランウータンはポピーただひとり。対抗するオスがいないからか、繁殖への心意気なのか、ポピーの顔の皮膚が育ちはじめていました。

明らかに顔つきが違います。さらに、毛の質も変わっているように見えます。

いつもの人目につきにくいところに座っていましたが、しばらくすると、すいすい移動をはじめたポピー。

一瞬だけこちらを向いてくれました。相変わらずきれいなお顔です。

平川動物公園 オランウータン ポピー

タワーまで音もなく、あっという間に移動するポピー。

平川動物公園 オランウータン ポピー

タワーに着いたら朝ごはん。美味しそうなチンゲン菜を食べていました。

平川動物公園 オランウータン ポピー

まだ控えめなひだですが、フランジへと成長しているポピー。

国内のボルネオオランウータンは全部で30人ほど。その中からポピーと繁殖できる個体を探し、連れて来るのは簡単ではありません。

国外のオランウータンも視野に入れるとのことですが、未だ実現には至っていません。

親の繁殖を見て学んだ経験を持つポピーは、おそらく繁殖能力が高い、貴重なオランウータンです。ポピーが多摩動物公園で学んだ知恵を生かせる日が、必ず来ますように。

ポピー 2019年

本日は曇り時々雨。7月の蒸し暑い日でした。

ポピーは庇の下、お気に入りの狭いくぼみに上手に座っていました。

平川動物公園 オランウータン

フランジがふっくらしています。体毛が長くなったのでしょうか、体も大きくなったように見えます。

相変わらず人間嫌いの様子。遠くから眺めるだけでも、こちらを意識し落ち着かないポピー。申し訳なくなってこの場を離れるとします。

約30分後。

雨が止んだため、もう一度ポピーのもとへ。先ほどよりさらに遠くから観察します。

すると、ポピーが動き出しました。

そろりそろりと、ロープを綱渡り。なんと、両手は使っていません!

平川動物公園 オランウータン

なんだかルンルンと歩いているように見えました。雨で来園者がすくなく静かな園内、ポピーにとっては良き日なのかもしれません。

最終的には腕もつかって、

平川動物公園 オランウータン

放飼場にあるタワーにたどりつきました。

のど袋も成長!

フランジだけでなく、のど袋も大きくなっています。

これもフランジオスの特徴。大声(ロングコール)を出してメスにアピールするときに、のど袋が活躍します。

平川動物公園 オランウータン

さらにポピーは移動を続けます。

大きな体、長い毛を揺らしながらタワーをのぼりはじめました。

平川動物公園 オランウータン

ついにはタワーの頂点へ。

人目を避けるポピーですが、樹上生活をするオランウータンらしく、やはり高いところは好きなようです。

平川動物公園 オランウータン

口元をよく見ると、むぐむぐ空気を入れたり出したりしています。

フランジオス特有のロングコールを発するかと思いましたが、声は聞こえてきませんでした。

頂上に移動して数分後、雨が降り出してきました。

平川動物公園 オランウータン

ポピー、無念。

また庇の下へと戻って行きました。

今回はポピーのいろいろな動きや表情が見れて、とてもラッキーな一日でした。

ポピーのパーソナルスペースは、20メートルくらいなのかもしれませんね。

メスを惹きつけるというオランウータンのロングコール。いつかポピーのロングコールが響きわたり、メスと結ばれる日が来ることを願います。

ポピー 2020年

本日は曇り空。梅雨らしいむしむしとした日でした。

たのしみにポピーに会いに行きましたが、背中を向けていました。写真嫌いのポピーのために撮影はひかえ、その場をいったん離れます。

すると、木に登ってるではありませんか!しかもあごのせスタイル!

平川動物公園ボルネオオランウータンのポピー 2020年

オランウータン展示場よりひくい位置にあるワオキツネザル展示場ちかくにいたわたし。あわててポピーのもとに戻ります。

しかし、ときすでに遅し。ポピーを顔を隠していました。ポピーは見られるの好きじゃないんだな、とあらためて実感。

フランジやのど袋の成長は確認できず。ざんねん。

ポピー 2021年

青い空と白い雲がきれいな夏の日。マスクのなかまで汗だくになる暑さでした。

ポピーはどうしているかな、ボルネオだから暑さには強いのかな、と思いながら会いに行きました。

すると、なぜかポピーの姿が見あたらず。いつもの出入り口にも木の陰にもいません。室内展示場は真っ暗。時間をかえて行っても見つけられませんでした。

人目をさける性格のポピー。ついにナマケモノのように擬態化を身につけたのでしょうか?

公式Twitterでは、木に登り元気そうなポピーの様子があがっています。

2022年、ポピーはいったいどんなオスになっているのでしょうか?元気に暮らしているのでしょうか?

とても気になります。

ポピーファンの皆さんのため、必ずまた平川動物公園のポピーに会いに行きます。

お楽しみに。