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カバに会える動物園【2021年赤ちゃん誕生】一覧とニュースまとめ

06/29/2022

1トンを超える大きな丸い体。そして大きな口が特徴的な「カバ」

2022年12月現在、日本では25の動物園でカバに会うことができます。

今回のzoo zoo diaryはカバに会える動物園一覧と赤ちゃん誕生や移動などカバにまつわる情報をお届けします。

カバとは?

鯨偶蹄目カバ科カバ属。

体長3メートル、体重1.5トンほどの大きな草食動物です。

生息地はアフリカ大陸サハラ砂漠以南。川や池などの水とエサとなる草があるところに住んでいます。

平川動物公園 カバ ナナミ

人間活動により生息地の分断化がすすみ、カバは絶滅の危機にあります。ヒトとの遭遇がふえ、お互いに危害を与えてしまうことが問題となっています。

生息数は12万頭と安定傾向。

一方、地域の偏りがおおきく絶滅寸前の国がいくつかあります。

  • IUCNレッドリスト 危急(VU)
  • ワシントン条約 附属書Ⅱ
  • 生息 サハラ砂漠以南の湿原 12万頭
  • 体長 350cm
  • 体高 150cm
  • 体重 1500kg

カバに会える動物園

2022年12月現在、日本では25の動物園で50頭ほどのカバに会うことができます。

北は北海道、南は沖縄まで全国的に飼育されています。

北海道~関東

  • 旭山動物園
  • 円山動物園
  • 八木山動物公園
  • 宇都宮動物園
  • 那須サファリ
  • かみね動物園
  • 東武動物公園
  • 上野動物園
  • 市原ぞうの国

中部~関西

  • 富士サファリ
  • のんほいパーク
  • 東山動植物園
  • 京都動物園
  • 天王寺動物園
  • アドベンチャーワールド
  • 姫路セントラルパーク
  • 姫路動物園
  • 王子動物園

中国~九州

  • 徳山動物園
  • とべ動物園
  • 福岡市動物園
  • 長崎バイオパーク
  • 熊本市動植物園
  • 平川動物公園
  • 沖縄こどもの国

国内最高齢のカバ|バシャンとドン

2017年5月、茨城県・かみね動物園の「バシャン」が亡くなりました。国内最高齢の54歳でした

バシャンは1963年大分県・別府ラクテンチで生まれ、1968年から日立市で飼育されていました。およそ50年にわたって愛されつづけたカバでした。

1994年に亡くなったオス「ドボン」とのあいだに14頭の子を出産。子どもたちは全国の動物園に旅立っています。

バシャンの死亡後は札幌市・円山動物園にいるバシャンの息子「ドン」が国内最高齢!

1969年生まれと50歳を超えていますが、海外では60年以上生きたカバがいます。

ドンが亡くなりました 2023年6月

そんなドンも2020年ごろから衰えが目立ちはじめました。

2023年6月、ついに自力で立つことができなくなり、安楽殺となりました。

ゾウやカバなどの大きな動物にとって「立てない」ことは死を意味します。自分の体重で自分の内臓を圧迫し、全身の血流が悪くなるからです。

ドンも横になったままの時間が長くなり、大変な苦痛や恐怖と戦っていたようです。

バシャンとともに50年以上愛されたドン。国内最高齢の53歳でした。

ひきつづき円山動物園ではドンの娘「ザン」が飼育されています。

カバが亡くなりました 2022年

上野動物園のジロー 38歳でした

2022年3月、東京都・上野動物園の「ジロー」が亡くなりました。死因は循環不全でした。

先述した円山動物園のカバ「ドン」の息子であるジロー。1983年札幌市・円山動物園で生まれ、1985年から上野動物園で暮らしていました。

上野動物園 カバ ジロー

2011年に亡くなった「サツキ」とのあいだに2度子をもうけましたが、どちらも成育しませんでした。

ジローの死亡により上野動物園で会えるカバはメスの「ユイ」1頭です。

ユイは2011年とべ動物園生まれ。2015年にジローのお嫁さんとしてやって来ましたが、ついに同居はできませんでした。

【関連記事】上野動物園で世界の珍しい動物を一覧しよう!

長崎バイオパークのドン 42歳でした

2022年2月、長崎バイオパークの「ドン」が亡くなりました。

ドンは1980年茨城県・かみね動物園生まれ。カバとしては非常にめずらしい双子でした。母親はバシャン。円山動物園にいた「ドン」の弟です。

長崎のドンは1983年に双子の「マルコ」といっしょに来園。その後マルコは亡くなりましたが、ドンは42歳まで生きてくれました。

長崎バイオパーク カバ ドン

2019年に亡くなった「ノンノン」とのあいだに4頭の子を授かりました。

2022年12月現在、長崎バイオパークはドンの娘「モモ」とオス「出目太」計2頭のカバを飼育しています。

【関連記事】ふれあいと癒しの動物園・長崎バイオパーク!アクセスと動物紹介

カバの赤ちゃん情報

とべ動物園|まんぷく成長中!2021年

2021年4月、愛媛県・とべ動物園でオスのカバが誕生しました。

母親は1986年山口県・徳山動物園生まれの「ミミ」父親は1987年アメリカ生まれの「ハグラ―」です。

ミミは1997年に「モモコ」2011年に「ユイ」を生み育てています。それぞれ熊本市動植物園、上野動物園へ旅立っています。

2018年にもミミが出産。ざんねんながら子はすぐに亡くなりました。30歳と決して若くはないため今回の繁殖も不安が大きかったことと思います。

しかし、今回の出産後は母子ともに健康。子はオス「まんぷく」と名付けられ、たくさん食べて元気に育っています。

まんぷくは東武動物公園へ移動しました|2023年3月

2023年3月、まんぷくは将来の繁殖をめざして埼玉県・東武動物公園へ旅立ちました。

これからどんどん成長し、立派なオスカバになる日が楽しみです。

2023年6月現在、とべ動物園はまんぷくの父「ハグラー」母「ミミ」計2頭を、東武動物公園はメス「マイ」オス「まんぷく」計2頭を飼育しています。

旭山動物園|27年ぶりの成功!2020年

2020年1月、旭川市・旭山動物園で1頭の赤ちゃんが誕生しました。27年ぶりの繁殖成功です。

父親は2013年に長崎バイオパークからやってきた「百吉」母親は2014年にメキシコからやってきた「旭子」2011年、2012年生まれと若いペアです。

実は旭子と百吉のあいだには2019年にも子が生まれました。しかし、すぐに亡くなり繁殖成功とはなりませんでした。

期待をせおうなか旭子の妊娠・出産!しっかりと愛情をこめて赤ちゃんを育てています。とても喜ばしいニュースです。

子はメス「凪子」と名付けられ、すくすく成長しています。

2023年6月現在、北海道・旭山動物園は父「百吉」母「旭子」子「凪子」計3頭のカバを飼育しています。

繁殖をめざす動物園とカバたち

天王寺動物園|ティーナとゲン

大阪市・天王寺動物園で生まれたオス「テツオ」のペア相手として、1999年メキシコから「ティーナ」が来園しました。

ティーナは当時1歳と幼かったので、しばらくはひとり暮らし。十分に成長したころテツオの母「ナツコ」と同居し、社会性を身につけました。

テツオとの初同居は2008年。闘争などもなく交尾も確認されました。しかし、ティーナとテツオは子にめぐまれず。

30歳を超えたテツオにかわるべく、メキシコにいるオス「ゲン」がティーナの繁殖相手として選ばれました。

ゲンは遠いメキシコからやってくる途中、天候により空港に足止めされ体調を崩しながらも無事に日本にやってきました。生命力のある強いオスです。

2020年ついにティーナとゲンの初同居。怪我することもなく終えました。

オスカバの性成熟は10歳前後。2022年に10歳をむかえるゲンが父親になる日は近いかもしれませんね。

2022年12月現在、天王寺動物園はオス「テツオ」「ゲン」メス「ティーナ」計3頭のカバを飼育しています。

のんほいパーク|出目吉はいかに

2019年3月、愛知県・豊橋総合動植物園(のんほいパーク)のオス「大吉」が亡くなりました。1975年から飼育され、44歳と長生きでした。

大吉の死亡により、のんほいパークのカバはメスのみに。

そこで、あらたなオスとして神戸市・王子動物園生まれの「出目吉」がやってきました。2014年生まれと若々しいカバです。

一方のメスたちは30歳を超えています。

いまは出目吉が幼く、繁殖能力はひくいと考えられます。しかし、出目吉がおとなになったころにはメスたちの繁殖能力がないかもしれません。

交尾ができなかったとしても、出目吉が社会性を身につける大きなチャンス。同居してみたり柵越しにコミュニケーションをとったりしているようです。

のんほいパークのカバ展示場は国内最大級のカバプールをそなえ、複数頭でも十分な広さがあります。いつか群れるカバたちを見てみたいですね。

のんほいパーク 出目吉 カバ

2023年6月現在、のんほいパークはメス「サツキ」「ミネ」オス「出目吉」計3頭を飼育しています。

毎週金曜日は屋外プールの清掃のためカバは3頭とも室内展示。なお出目吉の屋外放飼は水曜日です。

カバ問題とは?動物園のなやみ

寿命が30年以上と長いカバ。成長すると体重1トンを優に超えます。

そのため、子どものうちに移動しないかぎり同じところで何十年と飼育されることが多い動物です。

カバを何頭も飼育するスペースやお金がありません

絶滅危惧種であるカバの誕生は喜ばしいことですが、そのたびに動物園は頭をかかえています。

カバにはプールが必ず必要であること、1日20~30kgも食べるためエサ代がかかること等から、カバを何頭も飼育するのは容易ではありません。

動物にとって繁殖は生きる目的。動物の権利です。

ところが、近年日本ではカバの移動先がみつからないという動物園側の問題が発生しています

これは、今いるカバが生きているかぎりスペースや資金がたりないから。体長3メートルを超える大きなカバを複数頭飼育する余裕がないのです。

王子動物園の場合|出目男とナミコの子どもたち

神戸市・王子動物園の「出目男」と「ナミコ」のあいだには4頭の子が成育しています。

2009年生まれの「ナナミ」は鹿児島市・平川動物公園へ、2012年に生まれた「出目太」は長崎バイオパークへ移動しました。

そして2014年に「出目吉」が誕生。無事に授乳期間をおえ母カバから離れるときがきました。

ところが、受けいれ先が見つかりません。

出目吉が移動するまでのあいだ寝室が2つしかない王子動物園では、出目男とナミコを同室にするしかありませんでした。

出目吉は2歳を過ぎたころ、なんとか姫路私立動物園に預かってもらえました。

しかし、その間にナミコが妊娠してしまったのです。悲しいことに望まれないかたちで2017年「出目丸」が誕生しました。

日本の動物園に受けいれてもらえないため、2019年出目丸は中国の動物園へ旅立ちました。広大な施設に移動できて喜んでいることを願います。

姫路あずかり状態だった出目吉はブリーディングローンにより2019年豊橋市・のんほいパークに移動しました。

苦慮のすえ、出目男とナミコの子どもたちは良い行き場が見つかりました。もしも見つからなかったら、どうなっていたのでしょう…

将来のことを考えて 繁殖をさせています

せまい敷地で多数のカバをむりに飼育することは動物福祉にはんします。そして繁殖活動をさせないことも動物福祉にはんします。

赤ちゃん誕生はおおきな喜びや幸せをわたしたちに与えてくれます。さらに動物園の収入増加につながります。

しかし、成長したあとのカバたちのことも考えなければなりません。

日本だけでなく海外の動物園でもカバの繁殖は制限されているのが実情です

2022年12月現在、とべ動物園のまんぷくや旭山動物園の凪子の移動は発表されていません。今後の動向に注目です。

ペットを飼うときは しっかり考えよう

カバのように飼育下動物の誕生はうれしいことばかりではありません。

敷地がせまくなったり満足に食べものがわたらなかったり。不幸な動物をうまないために管理する必要があります。

これは動物園だけでなくペットにもおなじことがいえます。

2020年度の発表によると、捨てられ保護された動物たちの30%以上、約2万4千頭が殺処分。毎日何十頭もの動物が殺されているのです。

はたして自分が動物を飼えるのか、今だけでなく将来のことも考えてから行動しましょう。頭数がふえると困るのであれば繁殖させない処置をとりましょう。

[広告]不要なものは買わないことが一番。必需品は売上の一部が寄付されるような商品を選ぶことで、自然や動物またはヒトをまもる活動につなげることができます。

野生では大きな群れで暮らすカバ。

敷地や金銭の問題から、動物園では単独もしくは数頭でしか飼育することはできません。

しかし、まきふんや水中での動き、皮ふのあつさや色、声などカバの生態と特徴を感じることができます。

独特の進化をとげた不思議な動物「カバ」ぜひ、時間をかけて観察してみてください!

【関連記事】カバのすごい?!生態と特徴|天敵や歯の本数、赤い汗の理由など

福岡市動物園 カバ タロー

以上、カバの豆知識でした。

【参考】

国際自然保護連合

日本動物園水族館協会