カバの生態と特徴!カバの天敵とは?カバに会える動物園

07/14/2020

みなさんカバにどんなイメージを持っていますか?

動物園ではプールに入って動かなかったり、静かに草を食べていたり、のんびりした印象があるかもしれません。

では、野生カバはどんな生活を送っているのでしょうか?

カバの特技やユニークな進化など、意外と知られていないカバの生態と特徴を紹介します。

カバとは?

鯨偶蹄目カバ科カバ属。1種のみが現存しています。

ギリシャ語で「川の馬」を意味する言葉が、名前の由来です。漢字では「河馬」と表記します。

全体として生息数は安定傾向にあり、12万頭ほどです。IUCNレッドリストにおいて、危急種(VU)と評価されています。

平川動物公園 カバ

カバの生息地

カバは、アフリカ大陸サハラ砂漠以南の川や湖付近の湿地帯に生息しています。

かつては広く分布していたカバ。現在その生息地は分断され、地域による保全の差が生じています。

おもな生息地はタンザニア、ケニアを含むアフリカ東部、そしてザンビアを筆頭とするアフリカ南部です。

サファリツアーなどで世界的な知名度のあるケニアやタンザニアでは、保全活動が進み生息数は安定しています。

しかし、法規制が追い付いていない国々もあります。

コンゴやソマリアではカバの減少が続いており、50頭ほどしか確認されていません。4万頭以上とカバ生息数が多いザンビアでは、カバ保護が不十分なため、今後の減少が懸念されています。

一方、西アフリカでは、人口増加による土地開発やヒトとの接触が問題となっています。

カバの形態

丸みを帯びた大きな体のカバ。陸上哺乳動物の中で、ゾウ、シロサイに次ぐ第3位の大きさを誇ります。メスよりオスの方が大きく成長します。

体長3~5メートル、体高は1.5メートルほど。体重はメスでも1トン以上、オスでは4トン以上の個体も確認されています。

福岡市動物園 カバ タロー

カバの皮膚

日焼けと乾燥はNG

口の周りや尾の先以外、毛が生えていないカバ。

遮るものがない皮膚は、紫外線や乾燥に非常に弱いという欠点があります。

長時間空気にさらされるだけで、ひび割れるという繊細なお肌。強烈な太陽のもとではあっという間に体の水分が奪われ、最悪の場合、死に至ります。乾季の干あがった沼で行き倒れるカバは、珍しくありません。

そのため、カバは皮膚が濡れた状態を維持しなければなりません。水分補給だけでなく皮膚保護のためにも、カバは水がないと生きていけないのです。

カバは赤い?!

いまだに完全解明されていないカバの複雑な皮膚。

一方、カバは汗腺を持っていないことがわかっています。

代わりに皮下線から液体を分泌します。分泌後、赤く色が変わることから「血の汗」と表現されます。

カバの特殊な分泌物は、紫外線から肌を守ってくれます。

さらに、清潔とはいえない水で暮らすカバの傷が感染症にかからないことから、抗菌効果もあると考えられています。

カバの進化

日差しの強い日中は、おもに水の中で過ごすカバ。水中でも快適に暮らせるよう、独特の進化を遂げました。

カバの目と鼻と耳は、一直線に並んでいます。そのため、顔を少し水面に出すだけで、周囲の警戒や息継ぎができます。

また、水中でもよく見えるように、目の表面に膜が張っています。さらに、鼻の穴を閉じて5分以上潜水することができます。

そして、最も驚くべきは、水の中で眠れること。カバは寝ていても、水面に顔を出し息継ぎをして沈む、という一連の動作を反射的に繰り返しています。

カバは泳げない?!

とても器用に水の中で生活しているカバ。

一方で、カバは泳ぐことも浮くこともできません。

水に対する比重が大きく、沈んでしまうのです。

泳ぐ代わりに、水の底を蹴って移動したり上昇したりします。体の小さい赤ちゃんカバは、お母さんの力を借りて水中での動き方を学びます。

カバの生態

カバの群れ

カバは、複数のオス、複数のメスとその子どもたちから成る10~100頭の群れで生活します。

群れの中には優位なオスが存在し、すべてのメスと繁殖する権利を持っています。

社会性が高いカバは、複数のメスと幼獣でグループをつくることも確認され、カバの学校と呼ばれています。.

カバのテリトリーは水場とその付近であり、陸地では個々が自由気ままに草を食べます。

カバは排便の際にしっぽを大きく振り、撒きフンする習性があります。しかし、メスが行うことは稀です。テリトリーのアピールや、道しるべの役割があると考えられています。

また、カバは声を出すことで知られ、アフリカでは最もうるさい動物のひとつに挙げられています。

カバの撒きフンやコミュニケーションは、飼育下でもよく観察できる行動です。

福岡市動物園 カバ タロー

カバの威嚇

丸くて可愛らしい外見とは裏腹に、カバは哺乳動物の中で攻撃性のある危険な動物として知られています。体の大きさもあり、アフリカ最強とも言われています。

下顎から生える門歯と犬歯は伸び続け、とくにオスでは長い傾向にあります。

カバの長い犬歯は、オス同士のテリトリー争いで利用されます。

まず、鼻先を合わせ大きく口を開け、口の大きさ比べをします。それでも勝負がつかなかった場合、カバは死闘を繰り広げます。

一般的に、他の動物に対しては、口を開ける、吠える、追いかけるなど、間接的に威嚇をします。

【YouTube】BBC earthでカバの戦いをチェック

一方で、カバはヒトに危害を与える動物として有名です。アフリカでは推定500人が毎年カバによって殺されています。

縄張り意識のあるカバは、近づき過ぎたり挑発したりするとヒトを襲います。釣りや写真撮影に夢中になっているときに、カバの怒りに触れる事件が多発しています。

観光資源であり保全対象であるカバによる被害を減らすために、アフリカ諸国は注意喚起を強めています。

カバの食事

カバは夜行性

皮膚が弱く体温調節が難しいため、カバは夜に食事をするようになりました。

日が暮れると、カバたちは上陸し始めます。季節や地域によって差がありますが、基本的に水場付近の草原に留まります。

幅広く筋肉質な唇で短い草を刈り取り、奥歯ですりつぶして食べます。立派な前歯は食べるときには、一切使いません。

実際のところカバは反芻しませんが、ウシなどの反芻動物同様、4層の胃を持っています。

カバが、1日に摂取する草の量は40キロほど。

上野動物園 カバ

一見多く思えますが、体重の1~1.5%程度とカバにとっては少量です。日中のエネルギー消費を抑え、他の草食獣より長時間腸の中に食べ物を保持できると考えられています。

数時間後、食事を終えたカバたちが群れに戻ると、まだ食事をしていないカバたちが出発します。

時間差で食の旅に出かけることにより、自分たちのテリトリーには常に仲間がいる状態を保てます。カバの遮光性の高さがうかがえます。

カバの繁殖

メスは8歳前後、オスは10歳前後で性成熟するカバ。

通常、乾季に繁殖期を迎えます。1頭の優位なオスが、群れのすべてのメスと交尾する権利を持ちます。

群れを率いるオスは川や湖の岸辺を占拠し、他のオスが水場に入るのを制御します。ときに下位のオスや群れを持たないオスが、第1位のオスに挑戦し、壮絶な戦いになることもあります。

一方、群れの中のオスや周囲のオスの交尾を許すことも観察されています。

そのため、弱いオスたちは集団内でおとなしく行動し、繁殖機会をうかがっていると考えられています。

カバの妊娠と出産

母カバは出産前から1~2週間群れを離れ、出産と育児に専念します。

通常、およそ8か月の妊娠期間を経て、30キロほどの赤ちゃんを1頭産みます。カバの出産は水中もしくは陸上で行われます。

約18か月の授乳期間を終えると、母カバの発情が再開します。

カバの寿命

カバに天敵はいるの?

体の大きな成熟したカバを捕食する動物はいません。

しかし、小さな子カバは、ワニやライオンなどの大型肉食動物の標的となります。

一方で、子カバにとって最大の危険は、母親以外のカバ。おとなカバ同士で起こる紛争に巻き込まれ、子どもが死亡する事例は後を絶ちません。

また、病気や干ばつという危険がカバを襲います。

乾燥により水辺が干上がると、カバを含むさまざまな動物が泥にはまったまま動けなくなり、脱水や栄養失調で死亡します。また、少ない水を求めて争いが勃発し、さらなる悲劇が起こりえます。

とはいえ、大きく生まれるカバの幼獣死亡率は、他の野生動物と比べて低いです。

天敵のいない成長したカバは、30年以上生きると言われています。

なかには、50歳以上と推測される個体も確認されています。2017年、フィリピンの動物園で死亡したカバは、推定65歳でした。

カバの謎の死が続出?!

2017年ナミビアでは、炭そ菌によって死亡したと思われるカバが、100頭以上観察されました。

2019年エチオピアでは、20頭以上のカバの死体が発見されましたが、死因は判明していません。

カバとヒト

水とその周辺に草原があることが、カバが生き抜くために必要な条件です。

生活において、水を求めて行動するのはヒトも同じ。

アフリカの人口増加は、ヒトと野生動物との摩擦を生んでいます。

人間生活のための開拓により、カバの生息地は奪われています。村人だけでなく、漁師や鉱山労働者、観光客とカバとの接触増加が問題となっています。

カバの密猟と密輸

社会情勢が不安定な地域では、不法で無秩序なハンティングが横行しています。

モザンビークの内戦やコンゴ民主共和国(DRC)の紛争が起こるたびに、狩猟が頻発。その結果、カバの生息数が、モザンビークでは約70%、DRCでは約95%減少したと報告されました。

一方、情勢が安定している国でも、食肉目的の狩猟が行われています。

また、近年、カバの歯の密猟が増加しています。1989年、象牙取引が規制されて以降、同じ素材であるカバの犬歯の人気が高まったためです。

カバの歯は歯茎に埋まっているため、実際には見えている部分の数倍の長さがあります。象牙同様、印鑑や装飾品の材料として高値で売買されています。

1997年には、1700本以上のカバの歯が、ウガンダから香港に輸出される過程で押収されました。

カバの今と未来

カバ生息地の国々では、保護区の制定や密猟防止の法整備などが行われています。

個体数が増加・安定している地域が増え、全体としては安定傾向にあります。一方で、未だハンティングや生息地破壊が行われ、カバが減少し続けている地域が半数を占めます。

現在IUCNは、カバを絶滅の危険性が高い種に分類しています。

今後も保全活動を続けなければ、カバの絶滅は避けられない状態です。

長崎バイオパーク カバ

カバに会える動物園

現在日本では、25の動物園でカバに会うことができます。北は北海道、南は沖縄まで全国的に飼育されています。

北海道~中部
  • 旭山動物園
  • 円山動物園
  • 八木山動物公園
  • 宇都宮動物園
  • 那須サファリ
  • かみね動物園
  • 東武動物公園
  • 上野動物園
  • 市原ぞうの国
  • 富士サファリ
  • 豊橋総合動植物公園
  • 東山動植物園
関西~九州
  • 京都動物園
  • 天王寺動物園
  • アドベンチャーワールド
  • 姫路セントラルパーク
  • 姫路動物園
  • 王子動物園
  • とべ動物園
  • 徳山動物園
  • 福岡市動物園
  • 長崎バイオパーク
  • 熊本市動植物園
  • 平川動物公園
  • 沖縄こどもの国

2017年5月、茨城県日立市・かみね動物園のバシャン(メス)が、国内最高齢の54歳で死亡しました。現在は、円山動物園にいるバシャンの息子ドン(1949年生)が、国内最高齢の51歳です。

カバの赤ちゃんがいる動物園

旭山動物園!待望の赤ちゃん

2020年1月、旭川市・旭山動物園で1頭の赤ちゃんが誕生しました。母親は2014年にメキシコからやって来た旭子(7歳)、父親は長崎バイオパーク生まれの百吉(9歳)です。

当ペアは2019年にも繁殖しましたが、子は生まれて間もなく死亡しました。悲しい事件を乗り越えて新たな命が誕生し、順調に成長しています。

とべ動物園!ベテランお母さん

2021年4月、ミミ(1986年生)がオス1頭を出産しました。父親は、ハグラ―(1987年生)。

ミミは1997年にモモコ、2011年にユイを生み育てています。現在、モモコは熊本市動植物園で、ユイは上野動物園で暮らしています。

また、2018年にも出産しましたが、子はすぐに亡くなってしまいました。そのため、今回の繁殖も不安が大きかったことと思います。

幸い、母子ともに経過は順調。これからの成長が楽しみです。

https://twitter.com/tobezooofficial/status/1386562528583438336

カバには、意外と知られていない生態やユニークな特徴が秘められています。

動物園でも水の中の様子や撒きフンなど、観察できる行動がたくさんあります。学んだことを実際に確認できるのが、動物園のおもしろさのひとつです。

ぜひ、時間をかけてカバを見てみましょう!

以上、カバの豆知識でした。

【参考】

San Diego Zoo

IUCN