ラッコって何の仲間?海に生きる動物ラッコの生態と特徴

07/16/2020

みなさんラッコは何の仲間かご存知ですか?

ぷかぷか水に浮き、動物園というより水族館の人気者ラッコ。

しかし、ラッコの正体やその生活を知らない方が意外に多いのでは?

そこで今回のzoo zoo diaryは、ラッコの生態と特徴に注目します。動物の予習をしてラッコに会いに行きましょう!

ラッコとは?

食肉目イタチ科ラッコ属 Enhydra lutris

大きな分類ではイタチの仲間です。さらに細かく見るとカワウソ亜科に属します。

英語ではSea Otter(海カワウソ)と呼ばれ、ラッコはカワウソの仲間に数えられます。

毛が長く陸地に上がることの少ないラッコ。

外見も住む場所も他のカワウソとは異なるため、ラッコがカワウソだと知る人は多くありません。

ラッコの生息地は、ロシアやアラスカ、カナダなどの北太平洋。岩場の多い海辺を好みます。日本では霧多布岬など一部地域で数頭が確認される程度です。

生息地によって3亜種に分類されています。

ラッコの種類
  • ロシアラッコ Enhydra lutris lutris
    • 千島列島からカムチャッカ半島、コマンドルスキー諸島
  • キタラッコ Enhydra lutris kenyoni
    • アリューシャン列島から太平洋岸カナダとオレゴン州
  • ミナミラッコ Enhydra lutris nereis
    • アメリカ・カリフォルニア中央部

現在、推定12~13万頭。IUCNレッドリスト危機(EN)に指定されています。

ラッコは頭から尾までの長さ約1.5メートル、体重は30kg以上とイタチ科で最も大きな種です。

頭部は白っぽく見えますが、全体的に濃い茶色や灰色です。

海遊館 ラッコ

ラッコの毛

水温10度以下という冷たい海の中に生息するラッコですが、寒さをしのぐ脂肪はついていません。

代わりに、動物一といわれている、極めて密度の高い体毛を有しています。おかげで、海に潜っても皮膚が濡れることはありません。

悲しいことに、ラッコの暖かく上質な毛は人々のターゲットとなりました。

ラッコのバンザイ

ラッコは手を水上にあげてバンザイのような格好をしていることがあります。

これは、手のひらには毛が生えていないため、海の中に浸けたままだと冷えてしまうから、と考えられています。

目や耳に手を当てる行為も、冷え対策のひとつ。

見る人を笑顔にする、ラッコの愛くるしい姿です。

毛づくろいは大仕事!

ラッコは毛が多い分、毛づくろいがたいへん。

体をくねくねと動かし、全身を清潔に保ちます。なかには、1日6時間ほどかけて、毛づくろいする個体も確認されています。

入念な毛づくろいの際に、毛の間に空気が取り込まれます。また、しばしば息を吹き入れることもあります。

毛づくろいは、保温効果と浮力を与える行為でもあるのです。

ラッコが体温を保てるのは分厚い毛のおかげではなく、この空気のおかげだともいわれています。

ラッコの生態

ラッコと海

カワウソ亜科では、唯一完全な海生動物。

繁殖や睡眠など、すべての行為を海の上で行います。

後ろ足は、ひれのように平たく進化し、潜水時に大活躍します。その分、地上を移動するのは不得意。

一方、捕獲のおそれがなくラッコがたくさんいる地域では、陸地に上がる姿が確認されています。

藻があるところにラッコあり!

ラッコは休息するとき、ジャイアントケルプ(オオウキモ)という海藻に自分の体を巻きつけて、流されないよう工夫しています。

親ラッコが狩りに出る際は、海藻で子ラッコを固定します。子が潮に流されて迷子にならないためです。

つまり、ラッコが生きていくには、藻が必要不可欠。多くの地域でジャイアントケルプとラッコの分布は重なっています。

海にいるのに泳ぎは苦手?!

ラッコは水深40メートルまで潜ることができます。オスはさらに深く潜水できます。

ところが、ラッコは泳ぎが得意ではありません。そのため、泳ぎまわる魚を捕るのは苦手。

水中でしか生活しないというのに、とても不思議。潜水と水泳は別物なんですね。

マリンワールド海の中道 ラッコ

ラッコの群れ

ラッコは数十頭の群れをつくり、通常、雌雄は別々に行動しています。

オスのみが縄張りを有しています。しかし、他のカワウソのような分泌腺はなく、パトロールして敷地をアピールします。

一方、メスは自由にオスのテリトリーを移動することができます。

ラッコの食事

寒冷地帯に生息するラッコは、体温を維持するために10kgほどの食事を摂ります。

狩りは早朝と夜間に行います。

おもに貝類や甲殻類を好むが、ヒトデなどさまざまな海洋生物を食します。

なかでも大好物はウニ。

棘皮動物であるウニは海藻を食べます。ウニが大量増殖すると、ジャイアントケルプは食べ尽くされてしまいます。

それを防ぐ存在がラッコです。ラッコは自らのすみかを守るために、ウニを食べているのかもしれませんね。

カワウソは噛む力が強く、強靭な歯が生えています。

とくにラッコは体も大きいため、とても立派な歯を持っています。犬歯は長く、口の中を見ると恐ろしささえ覚えます。

ウニや貝に穴を開けたり、殻を噛み砕けるのも納得です。

道具を使う賢い動物ラッコ!

ラッコは、水中でエサを捕らえたら水面まであがります。

そして、歯で噛み砕く、もしくはおなかに乗せた石などを使い、殻を割ります。野生では岸壁や船体、飼育下では壁やガラスなど利用することもあります。

霊長類以外で道具を使うのは、非常に稀。ラッコはとても賢い動物なのです。

ラッコの石の秘密

前述したように、ラッコはエサを食べるときに石を使います。

さて、その石はどこからやってくるのでしょう?

驚くなかれ、脇から出てきます!

ラッコは気に入った石を見つけたら、皮膚のたるんだ部分に隠す習性があります。なかには、陸地に置き場所をつくっているラッコも観察されています。

食事の時間には、こそっと取り出し、おなかの上に乗せてテーブルにするのです。

また、潜水の際には重りの役割を果たすと考えられています。

ラッコにとって、自分の石はパートナー。とても大切にしています。

【YouTube】BBCで野生ラッコの様子をチェック

ラッコの繁殖

繁殖期に入ったメスは、自らオスの群れへ近寄って行きます。

着床遅延が起こるため、見かけ上の妊娠期間は比較的長め。野生では、5~6月ごろに出産のピークを迎えます。

※着床:受精のあと胚が子宮内に定着し発育を始めること
※着床遅延:受精後すぐに着床せず、一定期間もしくは条件が整ったのちに着床すること

他のカワウソとは異なり、通常、1度に1頭の子が誕生します。

おなかの上で育つラッコの赤ちゃん

父親の育児参加はなく、8か月ほどは母親が面倒を見ます。

背を下にしてぷかぷか浮く姿はラッコ特有。子育ても、おなかの上に子どもを乗せて行います。

ラッコの赤ちゃんは明るい茶色のモフモフ、まるでぬいぐるみのよう。成獣よりも密度が高い毛を有し、沈むことはありません。

およそ3か月でおとなと同じ毛に生え変わります。

また、ラッコは成長とともに頭から胸の毛が白くなっていきます。

性成熟は遅く、5歳ごろと考えられています。

しかし、オスが実際に繁殖を始めるのは、その数年後のことが多いという報告もあります。

マリンワールド海の中道 ラッコ

ラッコの寿命

海に住むラッコの天敵は、シャチやホホジロザメ。

とくに母親が狩りに出ている間、無防備な子どもが捕食されることは少なくありません。

また、寄生虫により病死したり漁の網にかかって溺れたり、ラッコは成獣の死亡率も高いといわれています。

ラッコの寿命は15年~20年。

飼育下では30年近く生きた個体も確認されています。

ラッコに会える施設

以前は多くの水族館で展示され、日本に100頭以上いたラッコ。

繁殖能力の低下とともに、その数は減りつづけ、現在、3施設で4頭しか飼育されていません。

  • 鳥羽水族館
    • メイ(2004年生) 
    • キラ(2008年生)
  • 須磨海浜水族園
    • 明日花(1999年生)
  • マリンワールド海の中道
    • リロ(2007年生)

高齢となってきた日本のラッコたち。

2018年、アクアワールド大洗水族館メスのカンナ(15歳)と鳥羽水族館オスのロイズ(13歳)が死亡。2020年3月、マリンピア日本海オスのクータン(18歳)が亡くなりました。

悲しいニュースは続き、2020年9月、石川県・のとじま水族館メスのラスカが、国内最高齢の推定25歳で死亡しました。

さらに、2021年2月、マリンワールド海の中道メスのマナ(9歳)が、続く5月には、須磨海浜水族園オスのラッキー(22歳)が亡くなりました。

2012年に誕生したマナを最後に、国内のラッコ繁殖例はありません。マナは1月に妊娠が発覚したばかりでした。とてもざんねんです。

マナの死亡により、ラッコ繁殖はさらに困難となりました。

日本でラッコが見れなくなる日は、もうすぐそこまで来ています。

マリンワールド海の中道 ラッコマリンワールド海の中道 ラッコ

2021年3月、アドベンチャーワールドはラッコ飼育の終了を決定。

かつて和歌山でひとりぼっちだったキラは、現在、鳥羽水族館でメイと仲良く過ごしています。

https://twitter.com/toba_aquarium/status/1374629314591825923

ラッコの過去と未来

ラッコはロシアからアラスカ、カナダなどの北太平洋から北海道やメキシコのバハ・カリフォルニア半島まで広く分布していました。

生息数は15~30万頭でした。

1780年ごろから、ラッコの毛皮目的の狩猟が活発化し、生息数は急激に減少。一時は数千頭にまで落ち込みました。

1911年、国際的な毛皮取引条約が施行され、ラッコ猟は禁止されました。

ところが、他の絶滅危惧種と同様、密猟が未だに行われています。

近年は、油による海洋汚染がラッコの最大の脅威。油が付いた毛は保護効果を失い、低体温症を招きます。

さらに、毛づくろいの際油を飲み込むため、胃腸障害など体調不良に陥ることもあります。

現在の生息数は、12~13万頭と推定されています。全体として減少傾向です。

わたしたちは、200年以上前からラッコの生活を苦しめいています。

だからこそ、今、わたしたちにラッコを守る義務があります。

不法投棄や採掘が規制される保護区の制定・維持が、ラッコ保全の大きなカギとなっています。


最大のイタチ、ラッコ。

海のカワウソ(Sea Otter)と名付けられるように、カワウソとの共通点がたくさん見つかることでしょう。

ラッコが最も毛深い動物ということは、よく知られているかもしれません。

しかし、ラッコとウニと藻の関係や、実は泳げない、石の隠し場所など、知れば知るほどおもしろい動物です。

ラッコにしかない特徴や生態を、ぜひ実際に観察してみましょう!

以上、ラッコの豆知識でした。

【参考】

国際自然保護連合

日本動物園水族館協会