日本で会えるカワウソは5種類!知っておきたいカワウソの生態と特徴

カワウソの種類・生態と特徴|動物の豆知識

動物園や水族館でもよく見かける動物、カワウソ。愛くるしい表情や動きに、多くの方が夢中になっています。

では、あなたが好きなカワウソは何カワウソでしょうか?

意外と知られていないカワウソの種類。その生態と特徴に迫ります。

カワウソの種類

食肉目イタチ科のカワウソ。諸説ありますが、カワウソは全部で12種類にわけられます。

ツメナシカワウソ属

  • コツメカワウソ
  • ツメナシカワウソ

ラッコ属

  • ラッコ

カワウソ属

  • ノドブチカワウソ
  • ユーラシアカワウソ
  • スマトラカワウソ

カナダカワウソ属

  • カナダカワウソ
  • ミナミウミカワウソ
  • オナガカワウソ
  • チリカワウソ

ビードロカワウソ属

  • ビードロカワウソ

オオカワウソ属

  • オオカワウソ

コンゴツメナシカワウソをツメナシカワウソから分割する説あり
ノドブチカワウソを独立種とする説あり
ニホンカワウソをユーラシアカワウソから分割する説あり

当然それぞれのカワウソに特徴があります。ひとまず、カワウソに共通する生態や特徴を見ていきましょう。

カワウソの生態

水族館で飼育されていることから、カワウソが水好きなのはご存知でしょう。一方で、陸で過ごすことも多いため、動物園でも飼育されている動物です。

生息地

南極やオーストラリアなど一部を除き、世界中の水辺にカワウソは生息しています。水域から遠く離れた場所では、あまり確認されていません。

群れ

単独を好むものと、群れで生活するものと、存在します。それぞれの個体もしくはグループは、確立したテリトリー内で活動します。

カワウソのコミュニケーション

カワウソは声を出して、コミュニケーションを取ることで知られています。

上野動物園 コツメカワウソ
カワウソはよく鳴く

ピーピー、チューチュー、グーグーなど10種類以上もの声を使いわけて、あいさつや注意喚起を行います。

また、匂いも重要なツール。しっぽの付け根にある分泌腺から強烈な匂いを出し、縄張りをアピールしたり繁殖期を示したりします。

さらに、匂いは排泄物にも含まれるため、トイレは決まった場所で行います。群れで生活するカワウソも全員同じところで排泄し、縄張りを築き上げていきます。

食事

カワウソは肉食。魚類や貝類、甲殻類などを捕獲します。

エサを探す際には、振動をキャッチできるヒゲを利用します。

カワウソは代謝が速いため、一日に何度も食事を摂ります。ときには、体重の30%ほどの大量の食事を摂ることもあります。

かわいい外見とは対照的に、大きな歯で殻や骨を噛み砕きながらワイルドに食べる姿が印象的。

獺祭とは?

カワウソは捕らえた獲物をすぐに食べないことがあります。なんと、行儀よく岸に並べ、ある程度たまってから頂くのです。

その様子を見た中国人が、お供えをしているようだ、とカワウソ祭り、つまり、獺祭(だっさい)と呼び始めたと言われています。

獺祭は飼育下でも観察できる行動です。もしかしたら獺祭中のカワウソに会えるかもしれません。

繁殖

カワウソの赤ちゃんは体重200グラム以下、体長30センチ以下。母親はおよそ60日の妊娠期間を経て、1度に3頭ほど出産します。

体毛は明るいグレー、目は閉じたまま。キューキューと、か細い声で鳴きます。

生後1か月ごろ目が開き、3か月ごろには泳げるようになります。体毛もおとなと同じように濃く変化します。

1歳前後でひとり立ちし、2歳ごろ性成熟を迎えます。多くは1年中繁殖可能となります。

寿命は?

野生のカワウソの寿命は、10年前後。

捕食動物なので天敵は少ないと言われています。すばやく動き回ることのできない子どもは、ワニやヘビなどに標的とされます。

飼育下では15年ほど。なかには20年以上生きた個体も確認されています。

カワウソの特徴

全体的に茶や灰色です。背側は濃く、首や腹側は薄いのが一般的です。

王子動物園 コツメカワウソ
背は濃いが、腹は白い

泳ぎが得意

カワウソの手足には爪や水かきがある種がほとんど。また、短い四肢と細長い胴、先細りの平たい尾は、すばやく泳ぎ回るのに適しています。

目、鼻、耳は一直線上に並んでおり、体が水の中に入っていても周りの様子をうかがうことができます。水中でも陸上でも行動するカバやカピバラと同じ仕組みです。

カワウソは水中で鼻と耳を閉じることができます。海獣であるアシカと同じ特徴です。

二重構造の毛

わたしたちが普段目にしているのは、外側の防水性の毛。内側には密度の高い毛が生えています。そのため、直接肌を濡らすことなく、水中で行動できます。

また、毛と毛の間には空気が入り込み、浮力を与えるとともに、体温の低下を防いでくれます。

泳ぐカワウソを観察していると、空気がぽこぽこ出てくるのがわかります。水中ではキラキラ光って、とても綺麗です。

カワウソに共通する生態と特徴はいかがでしたか?

ここからは、国内の動物園や水族館で飼育されているカワウソを詳しく紹介します。

※種名とともに、IUCNレッドリストワシントン条約における位置づけを表記しています。

カワウソと言うと、コツメカワウソを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?日本では最もポピュラーなカワウソです。

コツメカワウソ

[IUCNレッドリストVU][ワシントン条約附属書Ⅱ]

小さな手に小さな爪が生えているコツメカワウソですが、分類上はツメナシ。

カワウソの中で最も小さく、体重は4キロ、体長は60センチほどです。

おもに東南アジアの流域や沼地などに生息しています。田んぼなど人工的な水場にも住みつきます。

コツメカワウソの生態

野生では15頭ほどの大家族で暮らしています。国内でも複数頭飼育している施設が多く、コツメカワウソが一斉に動きまわる姿を見ることができます。

体の小さいコツメカワウソの赤ちゃんは非常にか弱く、体重はおよそ50グラム。父親を含む、群れのみんなで子育てを手伝う理想的な家族です。

食事と狩り

カニや貝類を好みますが、魚や昆虫も食します。飼育下では小魚を与えていることが多いです。

大きく丈夫な歯は、殻や骨を噛み砕くのに適しています。

触覚が優れているため、前足で砂や沼を掘り起こしてエサを見つけます。

貝を食べる際には手で殻を割ったり、太陽光で温めて開かせたり。飼育下では芸を覚えるコツメカワウソ。自然界でも非常に利口です。

ときわ動物園 コツメカワウソ
カワウソは頭が良い

コツメカワウソのペット化

近年では、ペットとして人気があるコツメカワウソ。

しかし、ワシントン条約で規制されているため、輸出国の許可書がなければ輸入することはできません。そのため、ペットとして販売されているのは、国内の施設で繁殖した個体です。

コツメカワウソは群れで行動するため、1頭で飼育することはおすすめしません。また、肉食のうえ、独特の体臭があります。さらに、水辺に生息する動物なので、当然プールが必要になります。

カワウソにとって、ひとりさみしく窮屈な環境での生活は幸せとは言えません。

さらに、カワウソのペット需要は密猟や密輸を招いています。

イヌやネコももちろん。ペットを飼うときは、よく考えてから行動しましょう。

コツメカワウソに会える施設

日本全国の動物園と水族館、およそ50施設でコツメカワウソに会うことができます。国内での飼育数が多く、最も親しみのあるカワウソです。

▼北海道・東北
  • 円山動物園
  • 小樽水族館
  • サンピアザ水族館
  • 大森山動物園
▼関東
  • 那須どうぶつ王国
  • かみね動物園
  • 埼玉県こども自然動物公園
  • 東武動物公園
  • 智光山公園こども動物園
  • 上野動物園
  • 多摩動物公園
  • 市原ぞうの国
  • 千葉市動物公園
  • 市川市動植物園
  • サンシャイン水族館
  • アクアパーク品川
  • 八景島シーパラダイス
▼中部
  • 伊豆シャボテン動物公園
  • 浜松市動物園
  • 豊橋総合動植物公園
  • 東山動植物園
  • 三津シーパラダイス
  • のどじま水族館
  • マリンピア日本海
  • 越前松島水族館
  • アクア・トトぎふ
  • 南知多ビーチランド
▼関西
  • アドベンチャーワールド
  • みさき公園
  • 神戸どうぶつ王国
  • 王子動物園
  • 姫路セントラルパーク
  • 鳥羽水族館
  • 伊勢シーパラダイス
  • 海遊館
  • NIFREL
▼中国・四国
  • 池田動物園
  • 徳山動物園
  • ときわ動物園
  • 徳島動物園
  • とべ動物園
  • のいち動物公園
  • 桂浜水族館
  • 虹の森公園
▼九州
  • 福岡市動物園
  • 長崎バイオパーク
  • 平川動物園
  • うみたまご

コツメカワウソの赤ちゃんに会えるかも?!

2017年11月、埼玉県こども自然動物公園で3頭のコツメカワウソが誕生し、現在公開中。体は大きくなっていますが、元気に遊ぶ様子はまだ幼さを感じます。

2018年5月、智光山公園こども動物園で4頭の赤ちゃんが生まれました。まだ小さなコツメカワウソたち、展示場にはちょこちょこ登場しているようです。

公式ツイッターやインスタグラムでは、赤ちゃんの様子がたびたび取り上げられています。かわいさ、癒し度ともに満点!要チェックです。

カワウソの赤ちゃん 福岡市動物園
まだ開眼していないコツメカワウソ

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ツメナシカワウソ

[IUCNレッドリストNT][ワシントン条約附属書Ⅱ]
※カメルーンツメナシカワウソは、ワシントン条約附属書Ⅰ

文字通り爪を持たないツメナシカワウソは、アフリカ大陸に広く分布。森に近い水辺を好みます。

ツメナシカワウソは、1日の大半を水中で過ごします。そのため、水域から離れた場所で確認されることはめったにありません。

マングローブなどの河口域に加え、磯にも生息しています。海岸では、生きていくために必要な淡水が得られる場所を選んでいます。

ツメナシカワウソの生態

コツメカワウソとは異なり、単独もしくは少数の群れで生活します。

群れの中でも、それぞれのスペースを確保。各個体が強烈な匂いを出して、縄張りをアピールします。

単独行動を好むツメナシカワウソは、繁殖期のみ雌雄が会合します。繁殖は年中可能ですが、野性では雨期の時期に行う傾向にあります。

子育ては母親のみ。成熟を迎えるころ、オスの子どもは巣立っていきます。

食事と狩り

日中は丸太で遊んだり、ひなたぼっこしたり、動物園のカワウソと同じように過ごしています。夜になると活発になり、狩りに出かけます。

とくに貝類や甲殻類を好みます。口や顎に生えたヒゲを利用してエサを探し、器用な手を使って捕獲します。

日中の和やかな雰囲気とは打って変わり、狩りと食事はすばやく行われます。

ツメナシカワウソの特徴

一見コツメカワウソに似ていますが、ツメナシカワウソは体重約20キロ。しっぽを含めると体長1メートルを優に超えます。

また、頭部が大きく、骨や殻を砕くための立派な歯を有しています。

爪がないツメナシカワウソですが、後ろ足の人差し指~薬指の3本には小さな爪が生えています。しかし、水中生活者であるのに水かきは持っていません。

爪も水かきも退化したツメナシカワウソ。より器用で自由に手を使うことができます。

ツメナシカワウソに会える施設

ツメナシカワウソは、世界的に見るとコツメカワウソより絶滅のおそれが少ないとされています。

しかし、日本での飼育数は少なく、現在3施設7頭のみです。

▼仙台うみの杜
  • くるり(メス)
  • ソラ(オス)
▼伊勢シーパラダイス
  • ズリ(メス)
  • ゆるり(オス)
  • きらり(オス)
  • ひらり(オス)
▼のいち動物園
  • ララ(メス)

親である個体はすべてアフリカ生まれ。

2017年、ズリの夫ブブゼラ(推定7歳)とララの夫クラ(推定11歳)は亡くなりました。どちらもまだ若く繁殖に成功していただけに、非常にざんねんです。

ツメナシカワウソの赤ちゃんに会えるかも?!

2017年4月、伊勢シーパラダイスで双子の赤ちゃん(きらり、ひらり)が誕生しました。1歳になっているので、もうおとなになってしまいましたが。若々しい姿をぜひ!

2016年には繁殖を目指して、仙台うみの杜水族館にツメナシカワウソが新規導入されました。まだ出産の報告はありませんが、ララの息子ソラとズリの娘くるりの今後に注目です。

仙台市に行く際は、水族館入館引換券付きプランがあるホテルもチェック!

ユーラシアカワウソ

[IUCNレッドリストNT][ワシントン条約附属書Ⅰ]

ヨーロッパから中国まで、ユーラシア大陸に広く分布するユーラシアカワウソ。他のカワウソ同様に水辺に生息しています。

ユーラシアカワウソの生態

ユーラシアカワウソは、ツメナシカワウソ同様、単独行動を好みます。また、夜間の方が活動的。

しかし、実際にはその人生の半分を寝て過ごしていると考えられています。

おもに魚類を好み、ときには鳥や小動物も食します。

繁殖は山あり谷あり?!

繁殖期を迎えたメスの匂いを頼りに、オスは繁殖の旅へと出かけます。

しかし、メスに出会えても、すぐ交尾とはいきません。お互い追いかけたり泳いだり、ごろごろしたりすること1~2時間。十分に遊びまわったあと、やっと交尾することができます。

子育ては母親が行います。一方、父親は、1週間ほど母子といっしょに過ごしたあと、新たな拠点を求めて移動します。

比較的成長が遅く、目を開けるのに1か月以上、乳離れに3か月以上要するユーラシアカワウソ。1年以上母親とともに生活します。生後15か月ごろに、ひとり立ちします。

ユーラシアカワウソの特徴

体長はおよそ1メートル、体重10キロ前後。ツメナシカワウソよりは小さいですが、コツメカワウソよりは大きい。また、手足が短く、大きな水かきと鋭い爪を持っています。

視覚、嗅覚、聴覚ともに優れており、泳ぎも狩りも上手なユーラシアカワウソ。

驚くことに、30秒ほどしか息を止めることができません。

そのため、水中から顔だけ出すことが多いようです。動物園や水族館でも、頻繁に息継ぎする様子を確認できます。

ふっくらした「ω」型の口もとにも注目です。

ユーラシアカワウソに会える施設

日本では10か所の施設で飼育されています。

  • いなわしろカワセミ水族館
  • アクアマリンふくしま
  • 上野動物園
  • 井の頭公園
  • ズーラシア
  • 富山市ファミリーパーク
  • マリンピア日本海
  • 安佐動物公園
  • のいち動物公園
  • 宮崎市フェニックス自然動物園

国内最高齢だった安佐動物公園のユウ(オス)は、2016年に推定26歳でその生涯を終えました。

3種類のカワウソに会える!のいち動物公園

お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、高知県ののいち動物公園では、3種類のカワウソを飼育しています。

同時に観察できるなんて、めちゃすごい!四国にご入用の方は、ぜひ。

ユーラシアカワウソの赤ちゃんに会えるかも?!

2017年12月、よこはま動物園ズーラシアで1頭の赤ちゃんが誕生しました。母親の育児がうまくいかず、人工哺育となりました。その後はすくすく成長しているようで、なによりです。

また、2018年3月に、のいち動物公園では23年ぶりに、ユーラシアカワウソが出産しました。双子でしたが、ざんねんながら1頭は死亡。残る1頭は元気に育ち、5月から一般公開されています。

つい先月、アクアマリンふくしまで3頭の赤ちゃんが誕生しました。まだ目すら空いていない三つ子ちゃんの様子は、モニター越しに観察することができます。

九州から東北は遠い……お近くの方はぜひ足を運んでみてください。

カナダカワウソ

[IUCNレッドリストLC][ワシントン条約附属書Ⅱ]

北アメリカ大陸に分布するカナダカワウソ。通常、河川流域に生息しますが、湖や磯でも確認されています。

体長は1メートル以上、体重も10キロ前後とユーラシアカワウソと同じくらいのサイズです。また、鼻が大きいのが印象的です。

カナダカワウソの生態

カナダカワウソは、昼も夜も活発。水中でも陸地でも身軽に動きまわることができます。行動範囲が非常に広く、一日の大部分をマーキングに費やします。

基本的に単独で活動すると言われています。一方、しばしば大きな群れとなり、仲良く遊ぶ姿も確認されています。

エサの90パーセントは魚。まれに甲殻類や小動物を捕食します。狩りは単独または雌雄で行います。ときには、エサを求めて10キロ以上旅をします。

出産の準備をするカワウソ

一般的に冬~春にかけて繁殖を行います。この2~3か月の間は、雌雄がいっしょに生活します。

しかし、事が済むと離れ離れ。ペアの絆は薄いと考えられています。

着床遅延があるため、子が生まれるのは翌年の春ごろ。

妊娠したメスは土手や木のくぼみに巣穴をつくります。つまり、カナダカワウソは妊娠を遅らせることにより、出産の態勢を整えます。

実質的な妊娠期間は、他のカワウソ同様およそ60日です。

カナダカワウソの子は約2か月間、母親とともに巣穴で生活します。成長が早く、1歳を待たずしてひとり立ちすると言われています。

寿命は12年ほどと長め。ちなみに、世界最高齢のカナダカワウソは、27歳でした。

カナダカワウソと乱獲

動物の毛皮が狙われ絶滅危機に至る例は、歴史上かつ現在も数多く報告されています。カナダカワウソもそのひとつ。

かつては、北アメリカ大陸全土にいたカナダカワウソ。乱獲によりその数は激減し、現在、アメリカ合衆国中部では確認されなくなりました。

生息数減を受け、アメリカの20の州で再導入が行われ、個体数は回復傾向。

ところが、施策の成果をいいことに、現在は、20のうち14の州でカワウソの法的な狩猟が行われています。なかには、制限なく狩猟することが許されている地域もあります。

結果的に、毎年、何千頭というカナダカワウソが毛皮のために捕獲されています。

カワウソの毛皮はアメリカとカナダだけでなく、中国やイタリア、そして日本でも需要があるそうです。

また、運悪くビーバーの罠にかかって捕らえられるカワウソも多数報告されています。

現在、IUCNにおいては絶滅のおそれがないと評価されています。一方、ワシントン条約では国際間取引が規制されています。

安定していると言いながら、生息数ははっきりとしていないそうです。乱獲に加え水質汚染や土地開発などの影響により、カナダカワウソの将来を危ぶむ声も多くあがっています。

カナダカワウソに会える動物園

現在、日本では2か所の動物園でのみ会うことができます。

▼釧路市動物園
  • リッキー(オス13歳)
  • チャッピー(メス13歳)
▼盛岡市動物公園
  • カエデ(メス9歳)

日本のカナダカワウソ3頭はすべてカナダからやって来た個体。そのため、寒い季節もへっちゃら。雪掘りをしたり、雪滑りをしたり、楽しそうに暮らしています。

一方、ざんねんなことに繁殖はうまくいきませんでした。

盛岡市はカナダカワウソ購入に向けて動いているようですが。カナダカワウソを見れなくなる日も近いかもしれません。

高齢化したカナダカワウソたち。彼らが元気なうちに、会いに行きたいですね。

ラッコ

[IUCNレッドリストEN][ワシントン条約附属書Ⅱ]

日本で会えるラスト1種類のカワウソはラッコです。

みなさんラッコってカワウソの仲間だと知っていましたか?恥ずかしながら、わたしがそれを知ったのはつい最近。

ラッコは食肉目イタチ科カワウソ亜科に属しています。毛が長く陸地に上がることの少ないラッコは、他のカワウソとは違った趣です。

ラッコはしっぽまで合わせると1.5メートルほど、体重は30キロ以上とイタチ科最大種。全体的に濃い茶色ですが、顔は白~灰色。

海遊館 ラッコ
ラッコはイタチ科の最大種

ロシアからアラスカ、カナダなどの北太平洋に分布しています。岩場の多い海岸沿いを好みます。

以前は北海道でも観察されていたようですが、現在は迷いラッコのみ。生息はしていないと考えられています。

ラッコの群れ

ラッコは数十頭の群れをつくり、通常、雌雄は別々に行動しています。

オスのみが縄張りを有しています。しかし、他のカワウソのような分泌腺はなく、パトロールして敷地をアピールします。

一方、メスは自由にオスのテリトリーを移動することができます。

ラッコと海

カワウソ亜科では、唯一完全な海生動物。繁殖や睡眠など、すべての行為を海の上で行います。

後ろ足は、ひれのように平たく進化し、潜水時に大活躍します。その分、地上を移動するのは不得意。

一方、捕獲のおそれがなくラッコがたくさんいる地域では、陸地に上がると確認されています。

藻があるところにラッコあり!

休むときはジャイアントケルプ(オオウキモ)という海藻に自分の体を巻きつけて、流されないよう工夫しています。子どもをひとりにする際も、同様に海藻で固定します。

そのため、ラッコが生きていくには、藻が必要不可欠。多くの地域でジャイアントケルプとラッコの分布は重なっています。

海にいるのに泳ぎは苦手?!

寒冷地帯に生息するラッコは、体温を維持するために10キロほどの食事を摂ります。おもに早朝と夜間に狩りを行います。

狩りのとき、ラッコは40メートルほど深くまで潜ることができます。オスはもっと深く潜水できると言われています。

一方、カワウソであり、しかも水中でしか生活しないというのに、泳ぎが得意ではありません。そのため、魚を捕るのも苦手。

潜水と水泳は別物なんですね。

マリンワールド海の中道 ラッコ
ラッコは泳ぎが苦手

ラッコの毛

水温10度以下という冷たい海の中に生息するラッコですが、寒さをしのぐ脂肪はついていません。

代わりに、動物一と言われている、極めて密度の高い体毛を有しています。おかげで、海に潜っても皮膚が濡れることはありません。

悲しいことに、ラッコの暖かく上質な毛は人々のターゲットとなりました。乱獲により、生息数は数パーセントまで一気に落ち込みました。

現在は、保全活動が行われ、回復傾向にあります。

ラッコがバンザイする理由は?

ラッコは手を水上にあげてバンザイのような格好をしていることがあります。

これは、手のひらには毛が生えていないため、海の中に浸けたままだと冷えてしまうから、と考えられています。

目や耳に手を当てる行為も、冷え対策だと言われています。

見る人を笑顔にする、ラッコの愛くるしい姿です。

毛づくろいは大仕事!

ラッコは毛が多い分、毛づくろいがたいへん。

体をくねくねと動かし、全身を清潔に保ちます。なかには、1日6時間ほどかけて、毛づくろいする個体もいるそうです。

入念な毛づくろいの際に、毛の間に空気が取り込まれます。しばしば口で空気を入れることもあります。毛づくろいは、保温効果と浮力を与える行為でもあるのです。

ラッコが体温を保てるのは分厚い毛のおかげではなく、この空気のおかげだとも言われています。

ラッコの食事

おもに貝類や甲殻類を好むが、ヒトデなどさまざまな海洋生物を食します。

とくにウニが好物だそうです。ラッコがウニを食べることで、ジャイアントケルプが健やかに育つ。持ちつ持たれつの関係です。

カワウソは強靭な歯を持っており、噛む力が強い。とくにラッコは体も大きいため、とても立派な歯を持っています。

犬歯は長く、口の中を見ると恐ろしささえ覚えます。ウニや貝に穴を開けたり、殻を噛み砕けるのも納得です。

道具を使う賢い動物ラッコ!

ラッコは、水中でエサを捕らえたら水面まであがります。そして、歯で噛み砕く、もしくはおなかに乗せた石などを使い、殻を割ります。

野生では岸壁や船体、飼育下では壁やガラスなど利用することもあります。

霊長類以外で道具を使うのは、非常に稀。おわかりのように、ラッコはとても賢い動物です。

ラッコの石の秘密

承知の通り、ラッコはエサを食べるときに石を使います。さて、その石はどこからやってくるのでしょう?

驚くなかれ、脇から出てきます!

ラッコは気に入った石を見つけたら、皮膚のたるんだ部分に隠す習性があるそうです。なかには、陸地に置き場所をつくっているラッコもいるそうです。

食事の時間には、こそっと取り出し、おなかの上に乗せてテーブルにするのです。また、潜水の際には、重りの役割を果たすと考えられています。

ラッコにとって、自分の石はパートナー。とても大切にしています。

ラッコの繁殖

繁殖期に入ったメスは、自らオスの群れへ近寄って行きます。

着床遅延が起こるため、見かけ上の妊娠期間は比較的長め。野生では、5~6月ごろに出産のピークを迎えます。

他のカワウソとは異なり、通常、1度に1頭の子が誕生します。

おなかの上で育つラッコの赤ちゃん

父親の育児参加はなく、8か月ほどは母親が面倒を見ます。背を下にしてぷかぷか浮く姿はラッコ特有。子育ても、おなかの上に子どもを乗せて行います。

ラッコの赤ちゃんは明るい茶色のモフモフ、まるでぬいぐるみのよう。成獣よりも密度が高い毛を有し、沈むことはありません。

およそ3か月でおとなと同じ毛に生え変わります。また、ラッコは成長とともに頭から胸の毛が白くなっていきます。

マリンワールド海の中道 ラッコ
成長とともに毛が白くなる

性成熟は遅く、5歳ごろと考えられています。しかし、オスが実際に繁殖を始めるのは、その数年後のことが多いという報告もあります。

寿命は?

海に住むラッコの天敵は、シャチやホホジロザメ。

とくに母親が狩りに出ている間、無防備な子どもが捕食されることは少なくありません。

ラッコの寿命は15年~20年。飼育下では30年近く生きた個体も確認されています。

ラッコに会える施設

以前は多くの水族館で展示され、日本に100頭以上いたラッコ。

繁殖能力の低下とともに、その数は減りつづけ、現在、7施設で10頭しか飼育されていません。

▼アクアワールド大洗水族館
  • カンナ(メス14歳)
▼のとじま水族館
  • ラスカ(メス23歳)
▼マリンピア日本海
  • クータン(オス17歳)
▼アドベンチャーワールド
  • キラ(メス10歳)
▼鳥羽水族館
  • メイ(メス14歳)
  • ロイズ(オス13歳)
▼須磨海浜水族園
  • 明日花(メス19歳)
  • ラッキー(オス20歳)
▼マリンワールド海の中道
  • マナ(メス6歳)
  • リロ(オス11歳)

上記のように、高齢となってきた日本のラッコたち。2017年、八景島シーパラダイスと海遊館のラッコが死亡しました。

2014年に亡くなった海遊館のエレンは、国内最高齢の推定24歳でした。

生息地であるアメリカやロシアとの取引は、保護活動が優先されているため難しいのが現状です。

2012年に誕生したマナを最後に、国内の繁殖例はありません。現在は、若い個体が飼育されている鳥羽水族館とマリンワールドで、繁殖が期待されています。

マリンワールド海の中道 ラッコ
繁殖が期待されるマリンワールド

しかし、ヒトが思うようにうまくいかないのが、常。

日本でラッコが見れなくなる日は、そう遠くないかもしれません。

カワウソの将来

生息地破壊や獲物減などにより、世界的にカワウソの生息数は減少傾向にあります。加えて、ペットや毛皮のために、密猟や密輸が繰り返されています。

周年繁殖し、通常であれば絶滅のおそれはないような動物。しかし、農薬などの汚染物質により、オスの繁殖能力が低下しているという報告もあります。

多くの動物と同じように、人間活動によってカワウソの未来は脅かされています。ニホンカワウソのように絶滅するカワウソも、今後出てくるでしょう。

森林破壊や水質汚染が少しでも減るよう、環境にやさしい生活を心がけたいと思います。


日本で会える5種類のカワウソ。好みのカワウソは見つかりましたか?

同じ科の動物を照らし合わせると、共通点はもちろん、いくつもの違いも見えてきます。それを見て学べるのが、動物園や水族館。

指や毛など細かいところに注目しながら、カワウソを観察してみましょう。

以上、カワウソの豆知識でした。

【参考】

http://www.otter.org/Public/Default.aspx

http://www.iucnredlist.org/

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