ホワイトタイガーの真相!白いトラに隠された繁殖の秘密とは?

ホワイトタイガーの種類と繁殖|動物の豆知識

動物園で異彩を放つホワイトタイガー。世界にはおよそ250頭、日本にはそのうち30頭ほどが飼育されています。

彼らはいったいどうやって生まれてきたのでしょうか?

希少動物ホワイトタイガーの真相に迫ります。

ホワイトタイガーとは?

美しい白い体毛に薄い茶色の縞模様が印象的なホワイトタイガー。

実は、一般的なベンガルトラの白変種です。亜種ではないため、登録はベンガルトラとなります。

ホワイトタイガーとベンガルトラ
ホワイトタイガーはベンガルトラの白変種

ホワイトタイガーの色

ホワイトタイガーは白色の体毛に茶色の縞模様があり、目は青色。

メラニンが欠乏した遺伝子疾患であるアルビノとは異なり、通常の遺伝によって誕生します。

しかし、劣性遺伝によって表面化するため、通常はめったに誕生しません。

1950年代、生息地であるインドで発見されたホワイトタイガーを最後に、野生の個体は確認されていないそうです。

では、なぜ動物園にホワイトタイガーがいるのでしょうか?

ホワイトタイガーの繁殖

それは、ホワイトタイガーの遺伝子を持つトラ同士を交配させているからです。

白変遺伝子の遺伝とは?

トラの色において黄の遺伝子が優性、白の遺伝子は劣性です。

通常、優性遺伝子が子孫へと受け継がれるため、白変遺伝子(劣性遺伝子)は淘汰されます。

黄と黄の個体からホワイトタイガーが誕生する確率は非常に低いのが事実。なぜなら白変遺伝子が遺伝したとしても、黄色の遺伝子が優先的に発現するからです。

つまり、片親がホワイトタイガーだとしても、子は黄色のトラになる確率が高くなります。

一方、白と白の個体(劣性遺伝子のみを持つ個体)の掛け合わせにより誕生する子は、ホワイトタイガーとなります。

ホワイトタイガーはみんな親戚同士?!

珍しいホワイトタイガーの人気は高く、動物園などはホワイトタイガーを展示したいと考えるようになりました。

ところが、いくら生息地を探してもホワイトタイガーが見つかりません。

話題性のあるホワイトタイガーを展示するために、人々は近親交配を選択しました。

平川動物園 ホワイトタイガー
ホワイトタイガーの多くは近親交配により誕生した

世界中で飼育されているホワイトタイガーの起源は、野性最後の個体と考えられています。

野生最後のホワイトタイガーとベンガルトラの繁殖により生まれた白変種(野生ホワイトタイガーの子)同士を交配させ、白変種の子(野生ホワイトタイガーの孫)をつくります。

さらに、ホワイトタイガーである子と孫や孫同士の掛け合わせにより、次世代のホワイトタイガー(野生ホワイトタイガーのひ孫)が誕生。

そしてまた白変種同士の交配を繰り返し、ホワイトタイガーを増やしてきました。

このように、血縁関係のある個体同士の繁殖を積極的に行ってきたのです。

通常、動物界において近親交配は行われません。

50年以上前からホワイトタイガーの繁殖にはヒトが介入し、自然に反する行為を続けています。

ホワイトタイガーのマハロ

2015年那須サファリパークにて、ベンガルトラの両親からホワイトタイガーのマハロが生まれました。

マハロは赤ちゃんライオンのノゾムといっしょに展示され、たいへん話題となりました。

マハロの両親は、野生ホワイトタイガーの子どものうち、通常種の子孫同士。つまり、遠い遠い親戚同士かもしれません。

劣性遺伝子のみが引き継がれた、もしくは何らかの原因で突然変異が起きた結果、ホワイトタイガーが誕生したのでしょう。

ホワイトタイガーの寿命

血縁関係にあるもの同士は、遺伝情報が類似しています。当然、優れている点も劣っている点も共通することがあります。

近親交配は危険!

一般的に、動物は近親交配を避ける習性があります。

他の血統と競合し、優れた情報を子孫へと残していきます。そのため、劣性遺伝子が表現化することはまれです。

一方、近親交配では劣った遺伝子をフォローする優れた遺伝子がありません。また、同じ部分が欠損している場合もあります。

通常、排除されるであろう不利な情報や失われた情報が、子孫へと伝わってしまいます。結果的に、病気や奇形を持って生まれる可能性が高くなります。

大牟田市動物園 ホワイトタイガー
例:斜視を持って生まれたホワイトタイガー

動物福祉の観点から、近親交配には反対意見が多く存在します。アメリカ動物園水族館協会は、希少な容姿の継承を目的とした人為的な繁殖を行うべきでないと明言しています。

一方、日本では従来と変わらず、血縁関係同士の繁殖が行われています。

白変種の寿命は短いの?

もともと氷河期には保護色効果があったとされる白変種は、正常な遺伝によって誕生します。よって、白変遺伝子は寿命への影響はないと考えられています。

ところが、現存する多くのホワイトタイガーは、近親交配によって誕生しています。近親交配では、劣性や欠損が遺伝し続けます。

近親交配によって生まれたホワイトタイガーは、目が見えにくかったり、関節に異常があったり、障害を持って生まれる確率が高いと言われています。

場合によっては、トラ本来の行動が制限されてしまうこともあります。

その結果、近親交配により誕生したホワイトタイガーの寿命は短い傾向にあります。

また、ホワイトタイガーは死産が多いと報告されています。これも、近親交配による影響だと言われています。

一方、通常の交配により誕生したホワイトタイガーの寿命はベンガルトラと同等。一般的に、トラは15年以上生きると報告されています。

人間がつくったホワイトタイガー

ホワイトタイガー 秋吉台サファリランド

計画的繁殖により生まれたホワイトタイガーたち。

美しい容姿の奥には、ヒトのエゴが隠されています。その背景を思うと複雑な心境になります。

大牟田市動物園のホワイトタイガーの案内パネルには、今回記載したような真実が書かれていました。SNS上で取り上げられ、大きな話題となりました。

障害を持って生まれる、短い人生を送るなど、動物の人生をヒトが操作して良いのでしょうか?

これはホワイトタイガーだけでなく、多くの飼育下動物に当てはまる疑問です。

しかし、動物園があるからこそ、われわれは野生動物を知り生息地の課題を知ることができます。動物園が絶滅を救った例もいくつもあります。

動物園の是非は常に議論の的となっています。

ホワイトタイガーがいる動物園

現在、日本には30頭以上のホワイトタイガーが飼育されています。

  • 岩手サファリパーク
  • 宇都宮動物園
  • 東武動物公園
  • 群馬サファリパーク
  • いしかわ動物園
  • 伊豆アニマルキングダム
  • 姫路セントラルパーク
  • アドベンチャーワールド
  • 秋吉台サファリランド
  • とべ動物園
  • しらとり動物園
  • 大牟田市動物園
  • 平川動物公園

ホワイトタイガーの将来

今後、日本の動物園でホワイトタイガーの意図的繁殖が行われるかは定かではありません。

動物福祉の意識が高まる昨今。アメリカが発表したように、劣性遺伝を目的とした繁殖が禁止される日が来るかもしれません。

トラは絶滅危機種に指定されています。

その中でもさらに個体数が少ない白変種。日本からホワイトタイガーがいなくなるのは、時間の問題と言えるでしょう。


白く美しいホワイトタイガー。その繁殖には複雑な思いが隠されています。

みなさんはホワイトタイガーを見たいですか?それとも見たくないですか?

真相を知っていると、簡単に答えられない疑問かもしれません。

平川動物園 ホワイトタイガー

以上、ホワイトタイガーの豆知識でした。

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