ゾウの種類【アフリカゾウとアジアゾウ】耳も鼻も頭も違うよ

02/13/2019

動物園で人気者の動物、ゾウ。

長い鼻と大きな耳を見れば、誰しもがゾウとわかるでしょう。

一方でゾウといっても、さまざまな種類がいることをご存知でしょうか?

ゾウは大きくアフリカゾウとアジアゾウにわけられます。ただし細かくは6種類も現存しています。

そこで、今回のzoo zoo diaryは意外と知られていない「ゾウの種類」を解説!などゾウの種類によるちがい・見わけ方を紹介します。

熊本 アフリカゾウ エリ

ゾウの種類

ゾウは大きく2つ、アフリカゾウ属とアジアゾウ属にわけられます。アフリカゾウはさらに2種(サバンナゾウとシンリンゾウ)に分類されます。

  • ゾウ目(長鼻目) Proboscidea
    • ゾウ科 Elephantidae
      • アジアゾウ属 Elephas
        • アジアゾウ Elephas maximus
          • インドゾウ   E. m. indicus
          • スリランカゾウ E. m. maximus
          • スマトラゾウ  E. m. sumatranus
          • ボルネオゾウ  E. m. borneensis
      • アフリカゾウ属 Loxodonta
        • サバンナゾウ Loxodonta africana
        • シンリンゾウ Loxodonta cyclotis

悲しいことに、すべてのゾウは絶滅が危惧されています

近年、IUCNはアフリカゾウを2種に分類し評価。2021年3月に、シンリンゾウは深刻な危機(CR)、サバンナゾウは危機(EN)と発表されました。

アフリカゾウは1990年代に激減。その後、保全活動が盛んになっています。現在は40万頭前後と考えらえています。

アジアゾウは1種ですが、生息地によって4亜種にわけられます

アジアゾウの生息数は70年間で半減し、現在も減少傾向。生息数は4~5万頭ほどと推測され、危機(EN)に指定されています。

遺伝子研究が盛んな昨今、ボルネオゾウはスマトラゾウとは異なる種であると捉えられています。

スマトラゾウは生息地の激減により絶滅寸前。IUCNは2011年よりスマトラゾウを深刻な危機(CR)と評価しています。

IUCNレッドリストについて詳しくは「絶滅危惧種とは?レッドリスト【絶滅のおそれのある動植物一覧】の解説」をご覧ください。

幸運なことに、日本では6種類すべてのゾウを見ることができます。

ボルネオゾウ・スマトラゾウは1施設(福山動物園・群馬サファリパーク)、シンリンゾウは2施設(安佐動物公園、秋吉台サファリ)でしか会えない希少な存在です。

ゾウに会える動物園を知りたい方は別記事をご覧ください↓

アジアゾウとアフリカゾウの違い

まず、大きなくくりでゾウを見ていきましょう!

アフリカゾウ属とアジアゾウ属ではなにがちがうのか、比較しながら紹介します。

ゾウの生息地|アジアとアフリカ

アジアゾウとアフリカゾウの最も大きな違いは生息地です。

名前のとおりインドやスリランカ、タイ、インドネシアなどアジアに生息するアジアゾウ。

そして、アフリカゾウはサハラ砂漠以南のアフリカ大陸に生息しています。

住む場所がこれだけ離れていると、外見も当然異なります。

体格|ゾウの頭と背中のかたち

アフリカゾウは陸上最大の哺乳動物。推定体重10トンを超える巨体の記録もあります。

アフリカゾウの頭頂部は平ら。背中より肩とお尻が盛りあがっています。

アジアゾウはアフリカゾウに比べると体が小さく、頭にぽこぽことお山がふたつ。背中は丸く、柔和な印象を受けます。

  • アフリカゾウ
    • 大きい
    • 頭が平ら
    • 背中は凹型
  • アジアゾウ
    • 小さい
    • 頭が丸い
    • 背中は凸型
アフリカゾウとアジアゾウ

象牙の長さ

ゾウというと象牙を思いうかべる方もおおいでしょう。

より長い牙が生えているのはアフリカゾウ。

2メートル以上の長い牙をもつオスビッグタスカ―【Big Tusker】と呼ばれています。ビッグタスカーの牙は45kg以上、つまり牙だけで90kgと驚異の重さです!

ビッグタスカーは歩くと地面に牙が擦れてしまいます。大きな体のゾウがずさずさと音を立てて歩く姿は圧巻です。

過去には長さ3.5メートル、重さ120kgほどのビッグタスカーが確認されています。

アフリカゾウはオスだけでなく、牙が長く立派なメスもいます。彼女たちはアイコニックカウ【Iconic Cow】と称されています。

しかし、ビッグタスカ―のように45kg以上の牙を持つメスは確認されていません。

一方のアジアゾウの牙は比較的みじかく、メスにおいては牙をもたない個体もいます。

当然、アフリカゾウなのに短かったりアジアゾウなのに長かったりと個体差があります。

神戸市立王子動物園 インドゾウ
長い牙を持つインドゾウ(王子動物園)

象牙と密猟

美しく加工しやすい象牙は、紀元前から美術品などに使われていました。

その後、印鑑やピアノの鍵盤などに利用されはじめ、世界各地で象牙需要が高まりました。

牙を目的とした乱獲のため、瞬く間にゾウの数は減っていきました。

そして、長年の密猟がゾウの遺伝子に影響している可能性が示唆されています。

牙が長い野生ゾウは数十頭しかいません

近年、野生アフリカゾウの牙が短くなってきているという報告がありました。

乱獲被害が大きい地域ではビッグタスカーの遺伝子が絶え、牙が短いアフリカゾウだけが生き残った結果だと考えられています。

現在、ビッグタスカーはおよそ30頭しか確認されていません。

そもそもゾウは根を掘ったり皮を剥いだりするために、日常的に牙をつかっています。繁殖期のオスが武器としてつかうこともあります。

つまり、牙がない(短い)ということは生きていくうえで不利なはず。

ところが、牙がないことのデメリットより牙があることのデメリット(密猟被害)の方が大きくなりました

そのため、牙が短いもしくは牙をもたない個体がふえたと考えられています。

アジアゾウの牙はアフリカゾウに比べると小さめですが、密度が高く質が良いとされています。そのため、アフリカゾウ同様に密猟が絶えません。

現在ワシントン条約【CITES】により、象牙の輸出入は禁止されています。

一方、日本国内では商業取引が可能なまま。日本にある象牙が需要の多い中国などへ密輸されるケースが増加しています。

入手困難な状態で需要がつづけば、象牙はさらに高値で取引されることになります。そうすると、密猟グループは象牙獲得のために、さらに躍起になるでしょう。

近い将来、牙がないゾウが普通となる日が来るかもしれません。

皮ふ|ゾウは毛が生えています

実は、ゾウの背中や頭には毛が生えています。

アフリカゾウは毛が短いため、あまり目立ちません。よく見るとちくちく毛が伸びていることがわかります。

一方、アジアゾウは茶色の長い毛が生えています。頭から背中はふさふさです。子どものアジアゾウはとくに毛が濃いため、一目瞭然。

一般にゾウは灰~褐色。種による大きな差はなく、生息地(土)の色によっては黄み・赤みが強いことがあります

ところが、アジアゾウは年齢とともに色素がうすくなります。おとなゾウの顔や鼻は淡い桃~橙色が目立ちます。

富士サファリ アジアゾウ

象耳の大きさ・かたち

ゾウの特徴、大きな耳や長い鼻にもアジアゾウとアフリカゾウの違いがあります。

アフリカゾウもアジアゾウも大きな耳をもっています。一見似ているようですが、形や大きさが異なります。

アフリカゾウは首が隠れるほど巨大な耳を有します。

一方、アジアゾウの耳は比較的小さく、角ばっているのが特徴です。

ゾウの鼻先と口もとに注目!

ゾウの鼻先には「にょきっ」と飛び出た部分(指状突起)があります。

小さなものから柔らかいものまで器用につかむことができる「指」のような役割を果たします。

アフリカゾウは上下に指状突起がありますが、アジアゾウは指状突起が上側にしかありません。

そして、口もとにある下唇にもアジアゾウとアフリカゾウを見わけるポイントが隠されています。

アフリカゾウは丸くみじかい下唇。横から見ると飛び出ていないことがわかります。

一方、アジアゾウは細ながい下唇。食事中など口を開けると突出していることがよくわかります。

大きな体に気をとられ鼻先や口もとは見落としがち。細かいちがいもじっくり確認してみてください。

  • アフリカゾウ
    • 指状突起が2つ
    • 下唇はまるい
  • アジアゾウ
    • 指状突起が1つ
    • 下唇はながい
アフリカゾウとアジアゾウ

比べてみるとまったく異なるアフリカゾウとアジアゾウ。

ここからは、さらに詳しい種類を見ていきましょう。

ゾウの生態と特徴は別記事に記載しています。↓

アフリカゾウのなかま|2種

現在アフリカゾウ属はサバンナゾウとシンリンゾウの2種に分類されます。

サバンナゾウ

一般的に動物園でアフリカゾウと紹介されているゾウがサバンナゾウ。サハラ砂漠以南の草原に広く分布しています。

陸上の哺乳類としては最大!

鼻を含むと全長6メートル体重5トン以上に成長します。地上から背中までの高さ(体高)は3メートルほどあります。

  • IUCNレッドリスト 危機(EN)
  • 生息 サハラ砂漠以南の草原 28万頭
  • 体長 450~550cm ※鼻を含まない
  • 体高 250~350cm
  • 体重 オス6000kg メス3500kg

首をおおうほど大きな耳。雌雄ともに長く立派な牙が特徴的です。

秋吉台サファリ アフリカゾウ

シンリンゾウ(マルミミゾウ)

シンリンゾウは西アフリカと中央アフリカの熱帯雨林に生息しています。

シンリンゾウが最も多く生息するガボン、ついでコンゴ共和国に全体の約7割が生息すると考えらえています。

  • IUCNレッドリスト 深刻な危機(CR)
  • 生息 西・中央アフリカの熱帯雨林
  • 体長 300~400cm ※鼻を含まない
  • 体高 200cm
  • 体重 オス4000kg メス2000kg

ジャングルの中で暮らすシンリンゾウは発見が困難なため、はっきりとした生息数はわかっていません

近年の研究によると、ここ100年ほどの間にシンリンゾウは80%以上減少したといわれています。

シンリンゾウの特徴|丸い耳

これまでアフリカゾウは1種と思われていました。

2010年の研究報告に基づき、現在はサバンナゾウとシンリンゾウの2種と認定されています。

一般的にサバンナに生息するアフリカゾウより体も耳も小さく体高2メートルほど。

サバンナゾウより丸い耳と細く直線的な牙をもっているといわれています。

日本では耳の丸さから「マルミミゾウ」の名で親しまれています。

秋吉台サファリ マルミミゾウ

アジアゾウのなかま|1種4亜種

現在、アジアゾウ属は1種のみ。生息地により4つの亜種にわけられています。

インドゾウ

アジアゾウのなかで最も数が多く分布域も広い亜種がインドゾウ。

そのため、インドゾウをアジアゾウと称することもあります。

インドから東南アジアの森林地帯に生息

アフリカゾウより小さいですが、オスは体長5メートル体重4トン前後に成長します。

  • IUCNレッドリスト 危機(EN)
  • 生息 インド、タイ等の草原や森林 4万頭
  • 体長 400~500cm ※鼻を含まない
  • 体高 250~300cm
  • 体重 オス4000kg メス3000kg

オスは太い牙が生えるものもいますが、メスは短くほとんど目立ちません。

平川動物公園 インドゾウ

スリランカゾウ

スリランカはインドの東に浮かぶ島国。イギリス領時代の名称からセイロンゾウとも呼ばれています。

北海道より小さい国土ですが、ゾウ密度の高い国です。

  • IUCNレッドリスト 危機(EN)
  • 生息 スリランカの森林 5千頭
  • 体長 400~500cm ※鼻を含まない
  • 体高 250~300cm
  • 体重 オス4000kg メス3000kg

スリランカゾウは、入植者の乱獲により4万頭から2千頭まで数を減らしました。

1980年代から保護活動が始まり、現在は5千頭ほどに増加したと考えられています。

スリランカゾウはアジアゾウのなかで最大種とされ体色が濃いのが特徴。

また、メスだけでなくオスも牙をもたないことが多い種類です。

到津の森公園 スリランカゾウ

スマトラゾウ

インドネシアのスマトラ島に生息するスマトラゾウ。インドゾウより小さく体色が明るいといわれています。

生息数は2000頭前後。インドネシアによる保護を受けていますが、減少傾向がつづいています。

  • IUCNレッドリスト 深刻な危機(CR)
  • 生息 インドネシア・スマトラ島 2000頭
  • 体長 350~450cm ※鼻を含まない
  • 体高 170~270cm
  • 体重 オス4000kg メス3000kg

インドネシアにおける急速な森林破壊により、スマトラゾウ生息地はかつての3割ほどしか残っていません。

パーム油用アブラヤシ農園や紙パルプ用植林地の近くでは、ゾウの毒死や感電死が幾度となく発見されています。

IUCNレッドリストは他のアジアゾウとは別に、スマトラゾウを深刻な危機(CR)と評価しています。

日本では群馬サファリパークでメスのイダ(2006年生)とオスのアスワタマ(2009年生)に会うことができます。

ボルネオゾウ

インドネシア・ボルネオ島に生息しています。

英名でピグミー【Pygmy】と記載されますが、実際には他のアジアゾウと大差はないのではといわれています。

  • IUCNレッドリスト 危機(EN)
  • 生息 インドネシア・ボルネオ島 1500頭
  • 体長 300~400cm ※鼻を含まない
  • 体高 150~250cm
  • 体重 オス4000kg メス2500kg

森林破壊により食糧難におちいり、ボルネオゾウは減少。現在、およそ1500頭ほどが生息していると報告されています。

ボルネオゾウは童顔で耳が大きく、成獣でも子ゾウのような可愛らしい印象をうけます。地面に着くほど長いしっぽが特徴的です。

長年アジアゾウはインドゾウ、スリランカゾウ、スマトラゾウの3亜種に分類されていました。

しかしながら、東南アジアに浮かぶボルネオ島北部に生息しているゾウたちは、少し形態がちがいます。おおくの動物学者が不思議に思っていました。

ついに、2003年遺伝子研究により、ボルネオに住むゾウは30万年前から独自の進化を遂げているゾウだとわかりました。

以降、ボルネオゾウを1亜種と分類するようになりました。形態や生態など生息地調査がすすめられています。

最近は数百年前に絶滅したジャワ島のゾウ(ジャワゾウ)の子孫という仮説が浮上。

いまだボルネオゾウは謎に包まれています。

日本では、広島県・福山市立動物園で1頭のメス(ふくちゃん)に会うことができます。

大きくアフリカゾウとアジアゾウに分類されるゾウ。そのちがいは体、耳、鼻と意外にも多く、あっさりと区別できるでしょう。

一方で細かい分類(亜種)の判別は、なかなかむずかしいのが事実。アジアゾウは看板を見ないと何ゾウかわからないかもしれません。

動物の予習をして行くともっと楽しるのが、動物園の良さのひとつです。

みなさんも動物園を訪れた際は、細部までじっくり観察してみてください。

ゾウの飼育施設は「ゾウに会える動物園リスト【種類別】日本で6種の象に会えます」に掲載しています。

以上、ゾウの種類とそのちがいをお伝えしました。

【参考】

国際自然保護連合