知ってほしいハイエナの真実【強く賢い】クランのしくみや天敵とは?

04/26/2020

みなさんはハイエナにどんなイメージを持っていますか?

獲物を横取りするいやな動物と思っている方が多いかもしれません。

でも、あなたは本当にハイエナのことを知ってますか?

今回のzoo zoo diaryは勘違いされているハイエナの真実にせまります!

ハイエナの種類から群れ(クラン)、狩り、繁殖などハイエナの生態と特徴を紹介し、ハイエナの本当の魅力をお伝えします。

記事後半にはハイエナに会える動物園を掲載中です。

ブロンクス動物園 ブチハイエナ

ハイエナの種類

食肉目ハイエナ科はジャコウネコ科から進化して生まれたと考えられています。見ためはイヌのようですが、ネコに近い動物です。

現在4種、それぞれ独立した属に分類されています。

  • 食肉目 Carnivora
    • ハイエナ科 Hyaenidae
      • ブチハイエナ   Crocuta crocuta
      • シマハイエナ   Hyaena hyaena
      • ブラウンハイエナ Parahyaena brunnea
      • アードウルフ   Proteles cristata

2022年6月現在、ハイエナはIUCNレッドリストの絶滅危惧ではありません。

しかし、ブラウンハイエナとシマハイエナは繁殖可能な個体が推定1万頭以下。将来、絶滅の可能性があるためIUCNレッドリスト準絶滅危惧(NT)と評価されています。

IUCNレッドリストについて詳しくは「絶滅危惧種の解説」をご覧ください。

ブチハイエナ

黄土色の体毛に黒い斑点があることから名付けられたブチハイエナ。マダラハイエナとも呼ばれています。

ハイエナの最大種であるブチハイエナは体長1.6メートル体重80kg以上にも成長します。

ブチハイエナはアフリカ・サハラ砂漠より南の地域に広く生息しています。サバンナや森林、山地などさまざまな地域で観察されています。

生息数は3~5万頭ほど。IUCNは絶滅のおそれは少ないと評価しています。

一方で、西~東アフリカにかけて、ヒトとの対立により多くのハイエナが死亡。全体的な生息数は減少傾向にあります。

日本で最も多く飼育されているハイエナです。

アフリカンサファリ ブチハイエナ

シマハイエナ

クリーム色の体毛に黒いしま模様背中に立派なたてがみが生えています。タテガミハイエナとも呼ばれています。

体長1メートル体重50kgほど。ブチハイエナにつぐ大きいさのハイエナです。

サハラ砂漠より北や中東、インドなどに生息しています。草原や茂みを好み、人里の近くでも観察されています。

生息数は1万頭ほど。

ヒトとの接触やエサ不足などにより、シマハイエナは減少しつづけています。IUCNレッドリストは将来絶滅のおそれがあると評価しています。

現在日本でシマハイエナを展示している施設は2か所のみ。東京都・羽村市動物公園と富士サファリです。

ブラウンハイエナ

かつてはシマハイエナと同属(シマハイエナ属)でしたが、2006年に独立属となりました。

ブラウンハイエナはその名の通り全体は茶色。カッショクハイエナとも呼びます。長い毛に覆われ四肢にしま模様があります

体長1メートル体重40kgほど。ほそみのハイエナです。

アフリカ大陸南部の砂漠ややぶなど乾燥した地域に生息しています。

生息数は7千頭ほど。その約半数がボツワナで暮らしています

個体数は維持されていますが、IUCNレッドリストは将来絶滅のおそれがあると評価しています。

現在、日本では飼育されていません。

アードウルフ

別名ツチオオカミ。ウルフ(オオカミ)と付いていますがハイエナです。

シマハイエナ同様クリーム色の毛に覆われ、胴体や四肢に黒いしま模様があります

体長80cm体重10kgほど。最も小さなハイエナです。

アードウルフの最大の特徴は主食。食肉目ですがシロアリを食べます

長い舌でなめとり噛むことが少ないせいか、とても小顔。強靭な顎を持つワイルドなハイエナのイメージどはかけはなれています。

アードウルフはアフリカ東部とアフリカ南部に生息しています。多くは保護された区域の草原ややぶで暮らしており、個体数は維持されています。

IUCNレッドリストは絶滅のおそれはないと評価しています。

現在、日本では飼育されていません。

ブチハイエナひとくにハイエナといっても4種類。それぞれが、身体的特徴や生態を持っています。

日本で最も一般的なハイエナ、ブチハイエナについて詳しく見ていきましょう。

ハイエナの特徴

メスハイエナの大きさ

ハイエナ最大種のブチハイエナ。動物界では珍しく、メスの方が巨大化します。

ブチハイエナのメスは、男性ホルモン(アンドロゲン)の濃度が高いことが確認されています。オスの生殖器のような陰部を持ち、偽陰嚢もあります。

この理由は、ハイエナの生態で述べるハイエナ社会を知れば、おのずと理解できます。

ハイエナの顎の強さ

ハイエナの強欲なイメージは、残骸を食べることに由来するでしょう。

ハイエナの噛む力は、哺乳類最強と言われています。硬い肉はもちろん、大きなスイギュウの骨も粉々にしてしまうほどの強さ。

ライオンやトラに比べると、体も顔も小さいハイエナ。他の動物が手を付けられないものまで、噛み砕く力を秘めています。

死骸に群がり死肉をむさぼる姿は、決してかっこよこくないかもしれません。

それでも、ハイエナの残飯処理はサバンナの清潔保持に必要不可欠。死肉を食べる猛禽類と同じように、大自然の掃除役として大切な存在なのです。

ハイエナの群れ クラン

ハイエナは日中は茂みや穴ぐらで休み、夜になると活動的になります。

単独でも群れでも活動するハイエナ。

ブチハイエナとブラウンハイエナは、クランと呼ばれる群れを形成して生活しています。

ハイエナはメスの方が大きく育ち、群れの中でも優位となります。つまり、クランのリーダーはメスです。食事もメスが先に食べ、最後にオスが食べます。

メスハイエナは生まれてから死ぬまで、同じ群れの仲間と協力し合いながら生活します。

アフリカンサファリ ブチハイエナ

ライオンはわが子でもオス(リーダー候補)であれば、群れから追い出します。

しかし、ハイエナの群れでは、通常はリーダーの娘が次期リーダーとなります。

一生同じ群れで暮らすメスとは異なり、成熟を迎えるオスはクランから追い出されます。そして、オスハイエナは別の群れに加わります。

クランに加わったばかりのオスは、最低ランクのオスの中でも最下位の扱いを受けます。オスは繁殖以外に必要とされないという、非常にシビアな女社会です。

なぜメスなのに男性ホルモンが高いの?

先述した通り、ブチハイエナのメスは男性ホルモンが高く、見た目ではオスに見えます。この理由は、ハイエナの群れの仕組みが関係しています。

ハイエナは、リーダーであるメスが群れを守らないといけません。

戦うための攻撃力や体格を得るために、男性ホルモンの分泌量が多くなりました。ハイエナの陰部は、攻撃性の現れとも考えられています。

一方、特徴的な陰部は大きな問題をはらんでいます。

それは出産。

産道を兼ねているハイエナの陰部。出産時に大きく膨れ上がります。

しかし、産道は他の動物より細長いため、胎児が通る間に母親の皮膚は裂けてしまいます。

当然ながら死産率は高く、さらに、母親も出産時の傷が原因で死亡することがあります。

多大な痛みと戦いながら、ハイエナは子孫を残しています。

リーダーとしての力、群れを守るためとはいえ、驚愕の事実です。

ブチハイエナの狩り

ハイエナは狩りはせず、エサを横取りして生きていると思っていませんか?

イメージとは裏腹に、群れを成すハイエナは自分たちで狩りをすることが主。クランでかかれば狩りの成功率は非常に高く、7割ほどといわれています。

ハイエナは目、耳、鼻すべてが優れています。そのため、獲物探しは得意。

体力もあるので、時速60kmでターゲットを追い続けることができます。

高い身体能力に加え、知能も高いハイエナ。他の動物のエサを取らなくても、食事に困ることはありません。

ただ、自ら狩りをするより手っ取り早いため、他者の獲物を奪う様子も観察されています。

【You Tube】ブチハイエナの狩りの様子はこちら

アフリカンサファリ ハイエナ

ブチハイエナの天敵

狩りの上手さや顎の強さもあり、ハイエナのサバンナでの順位は最上クラス。

ヒョウやチーターでさえ、ハイエナを見つけたら獲物を置いて逃げてしまいます。

つまり、ハイエナの敵はほとんどいません。いうならば、ライオンだけです。

ライオンとハイエナの関係とは?

ライオンとハイエナの生活圏は重なることが多々あります。

ライオンの縄張りにうかつに侵入すると、ライオンのオスに見つかってしまいます。当然、ハイエナは命を落とす可能性が高まります。

しかし、ライオンとハイエナはライバル関係。

ライオンに立ち向かうときもあれば、譲るときもあります。

狩りにおいても、ハイエナの獲物をライオンが奪うときもあれば、ライオンの獲物をハイエナが奪うときもあります。

自然界において、獲物の横取りは卑怯ではなく、生きるためのひとつの手法といえます。

ブチハイエナの寿命

3年ほどでおとなに成長するハイエナ。

死産は多いものの、外敵はライオンのみ。幼獣の生存率は高いと考えられています。

体の大きさに反して寿命が長く、およそ20年。飼育下では40歳まで生きたという事例もあります。

アフリカンサファリ ブチハイエナ

ハイエナに会える動物園

現在、ハイエナは全国で11か所の動物園でしか飼育されていません。日本で展示されているハイエナのほとんどは、ブチハイエナです。

シマハイエナを飼育している動物園は、東京都・羽村市動物公園と富士サファリパークのみです。

  • 円山動物園
  • 宇都宮動物園
  • 大宮公園
  • 羽村市動物公園*
  • 日本平動物園
  • 富士サファリ*
  • 天王寺動物園
  • 池田動物園
  • のいち動物公園
  • 秋吉台サファリ
  • アフリカンサファリ

*:シマハイエナを飼育している施設

ハイエナの赤ちゃん情報

JAZAには加盟していませんが、香川県・しろとり動物園にはブチハイエナがいます。2018年、2019年に続き2020年1月にも赤ちゃんが誕生しています。

2021年6月、山口県・秋吉台サファリで1頭の子が誕生しました。母親のヤミーは初産にもかかわらず、子は元気に育っています。10月よりサファリゾーンにデビューしています。

https://twitter.com/aki_safariland/status/1447759512304193541

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他人の獲物を横取りする印象の強いハイエナ。真実の姿を知って、イメージが変わりましたか?

狩りが得意なうえに、サバンナの死骸を掃除してくれる働き者。ブサイクに描かれがちですが、実は可愛らしく賢い動物です。

日本ではあまり見かけることのない動物ですが、ぜひ注目してみてください。

アフリカンサファリ ブチハイエナ

以上、ハイエナの豆知識でした。

【参考】

国際自然保護連合

日本動物園水族館協会