ゾウの耳と鼻の役割とは?ゾウの生態と体温調節

09/14/2018

知名度も人気度も高いゾウは、室町時代に初めて日本の地を踏みました。それ以来、長きにわたって多くの人を魅了し続けています。

ゾウの特徴は?

と聞くと、多くの方が大きな耳と長い鼻、と答えるでしょう。

では、なぜゾウの耳が大きく鼻が長いのか、その理由まで答えられますか?

今回は、意外と知られていないゾウの耳と鼻の不思議に迫ります!さらに、ゾウの体温や睡眠、寿命などゾウ好きなら知っておきたい情報をお届けします。

耳と鼻の役割

ゾウの耳

大きさばかりが取り上げられがちなゾウの耳。実は、とっても薄いのが特徴です。

ゾウの皮膚は分厚く、脚や背中では3センチもの厚さがあります。

一方、耳は約0.2ミリ。ハガキ程度の薄さしかありません。血管がいくつも浮き出た耳を見ると、皮膚の薄さが想像できるでしょう。

秋吉台サファリ ゾウ

暑いとき、ヒトもゾウも血流を高め放熱します。ゾウの耳の血管は皮膚表面に近いため、より熱を外に逃がしやすいというメリットがあります。

しかし、皮膚の薄さは皮膚の脆さ。注目して見ると、耳が欠けたり切れたりしています。

また、寒いときは体温の低下を招いてしまいます。気温が低い日、ゾウは耳をピタッと体に付けて、熱を逃がさないように工夫しています。

ゾウの鼻

長いゾウの鼻は、上唇と鼻がくっついて伸びたもの。骨はなく、筋肉でできています。

体が大きくになるにつれ、動きが制御され、地面との距離は遠くなります。体重の重い動物にとって、座ったり伏せたりするのは、一苦労。

その不便を解決するために、ゾウの鼻は進化しました。

地面の草や高い木の葉をとったり、水を飲んだり、ゾウの鼻は自由自在に動きます。

鼻先には指のように動く突起(指状突起)やセンサーとなる感覚毛があります。そのため、ゾウは小豆サイズのものをつかんだり、鼻で触れることで物体を認識できだりします。

さらに、コミュニケーションのツールとしても知られています。わたしたちがボディタッチをしたり、握手をしたりするのと同じように、鼻で相手をさわったり、鼻と鼻を合わせたりします。

安佐動物公園 ゾウ

もちろん、嗅覚器としても優秀。はるか遠くの水の匂いを嗅ぎとり、水場を探し当てることができます。

トレードマークでもあるゾウの長い鼻は、何役もこなす非常に重要な器官です。

ゾウの体温調節

泥浴び・水浴び

ゾウは器用な鼻を使って砂や泥、水を取り、体にかけます。これを砂浴びや泥浴び、水浴びと呼びます。野生だけでなく飼育下の個体も行う、ゾウの習慣です。

これらの行為は、体についた虫を除去するためと考えられています。

また、強い日差しから皮膚を守り暑さを和らる効果もあります。泥は保湿作用が高く、皮膚を乾燥から防いでくれます。

秋吉台サファリ ゾウ

ゾウは長い鼻を自在に動かし、おなかにも背中にも砂や水をかけることができます。

ダイナミックな泥浴びや水浴びは、ゾウの大きさや器用さを感じられます。加えて、口角が上がり笑っているような表情を見せてくれる、貴重な瞬間です。

外で暮らす動物たちにとって、寄生虫や皮膚の病気は命にかかわる重大な問題。その分、泥浴びや水浴びは生きていくために大切な習慣と言えます。

もちろん、水や泥には体温を下げる効果もあります。

暑い夏の日の動物園では、プールに入ったりホースで水をかけられたりしているゾウを見かけます。野生のゾウも同じように水浴びをして体温調節を行います。

富士サファリ ゾウ

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耳の運動

雨の降らない乾季。水場に辿り着いても十分な水量はないかもしれません。ゾウたちは、いったいどのようにして暑い日々を水なしで乗り越えるのでしょうか?

答えは、ゾウおなじみの耳の運動。

ゾウが日常的に耳をパタパタと動かすのは、体温を下げるためです。

ゾウの耳は薄く、血管が皮膚表面に近いため、より放熱しやすい構造になっています。さらに、耳の裏側には血管がたくさんあります。

耳を動かし風を起こすことにより、血管を通して熱を発散。その結果、体を冷やすことができます。

ゾウの体温はヒトとほぼ同じ、36~37度。

当然、外気温が高くなると体温も上昇します。暑いと感じる温度もわたしたちといっしょ。猛暑日には頻繁に耳をパタパタしてます。

九州自然動物公園アフリカンサファリ アジアゾウ

ゾウの汗腺

驚くことに、ゾウには汗腺がありません。

つまり、汗はかきません。というか、かけません。わたしたちは、発汗により体温調節を行います。

なぜ、ゾウにはその機能がないのでしょうか?

なぜ汗腺がないの?

2トン以上の体重を持つゾウ。ところが、体重当たりの体表面積は、他の動物に比べると非常に小さいです。

例えば、体重2トンのネズミがいるとしたら、ゾウのおよそ18倍大きい体を持つ計算になります。想像できませんが。それくらいゾウの体表面積は小さいのです。

ネズミなど小さな動物は体重当たりの体表面積が大きいので、うまく放熱し汗の量も少ないです。

一方、体の大きなゾウは小動物の反対。もしゾウの皮膚に汗腺が存在したら、ゾウはずっと汗まみれ状態になってしまいます。

また、大量の汗をかくと、それ相応の水分が必要になります。

便利な社会で生きているヒトは、汗をかくたびに水分を摂取できます。しかし、自然界における水分確保は容易ではありません。

ゾウにとって発汗は、体温調節のメリットより水分喪失のデメリットの方が大きいのです。

参照元:https://en.upali.ch/skin/

汗をかくことが自然なヒトにとって、汗腺がないことは不思議ですよね。しかし、ゾウのおもしろい生態は、これだけではありません。

ゾウの睡眠

ヒトの睡眠時間は7~8時間。一般的に横になって眠ります。

では、ゾウはどうやって寝るかご存知ですか?

野生のゾウは、基本的に立ったまま睡眠をとります。睡眠時間は2時間程度。

ゾウは大きな体を維持するため、1日に100キロ以上の食事と100リットル以上の水を必要とします。採食や水分補給のための移動だけでなく、食事そのものにも時間がかかります。

結果、睡眠という行動が限られたのだと考えられます。

一方、子ゾウや飼育下のゾウは横になります。しかし、片側にとてつもない圧力がかかるため、長時間寝続けることはありません。

熊本市動植物園 ゾウ

ゾウの寿命

2016年、東京都・井の頭自然文化園のはな子は、国内最高齢69歳でその生涯を終えました。

一般的に、飼育下の動物は捕食や飢餓の危険がありません。そのため、野生より長生きする傾向があります。

しかし、ゾウはその逆。

野生ゾウの寿命は70~80歳。動物園のゾウの約2倍長い、という研究結果が発表されています。

動物園のゾウは、運動不足やストレスに悩まされています。

自然界において、ゾウは一日中エサや水を求めて移動する動物。どんなに広い展示場でも、ゾウにとっては狭く息が詰まる思いでしょう。

一方で、井之頭自然文化公園のはな子は、野生と同じくらい長生きしました。エサや飼育方法など長寿の秘訣が共有され、飼育下ゾウの健康寿命が延びることを願います。


誰もが知っている長い鼻、大きな耳と体を持つゾウ。ゾウの特徴的な体には、興味深い役割や仕組みがあることを紹介しました。

学んだことを実際に確認できることが、動物園のおもしろさのひとつです。ぜひ細かいところまで注目して、動物観察を楽しんでください。

京都市動物園 ゾウ

以上、ゾウの豆知識でした。