クロジャガーとクロヒョウ「黒変種」とは?ブラックパンサーに会える動物園
クロジャガー・クロヒョウが黒い理由/会える動物園がわかる記事
ブラックパンサーやブラックジャガー、みなさんも一度は耳にしたことがあるでしょう。ぱっとイメージできる方も多いかもしれません。
では、なぜ黒いのか、どこにいるのか、ふつうのヒョウやジャガーとなにが違うのか、など気になりませんか?
今回のzoo zoo diaryはクロジャガーとクロヒョウに注目!
意外と知られていない彼らの正体や遺伝を紹介します。また、クロジャガーとクロヒョウに会える動物園リストを掲載しています。
黒変種について学び、黒変種に会いに行きましょう!

黒変種とは?
クロジャガーやクロヒョウは遺伝により体毛が黒くなった黒変種(メラニズム)と呼ばれます。
黒変種はメラニンに関連する変異種。
メラニンは黒~橙赤色の色素。紫外線を吸収し皮ふを守る働きがあります。そのため、われわれヒトももちろん、多くの動物がもっている色素です。
しかし、黒変種は遺伝的に黒い色素(メラニン)をたくさんもっています。結果、体毛全体が黒い個体になります。

黒変種はどうやって生まれるの?
黒変種は疾患や遺伝子異常ではなく、正常な遺伝により誕生します。
ヒョウやジャガーの色において黄色の「通常」遺伝子と同様に、メラニンを多くつくる「黒変」遺伝子も親から子へと遺伝します。
クロヒョウ・クロジャガーは種類ではありません
クロヒョウやクロジャガーは遺伝的に色が異なるだけ。種や亜種ではありません。
つまり、ふつうのヒョウやジャガーと色以外ちがいはありません。
生息地や大きさ、食べるものなどはもちろん、黒一色に見えても模様の特徴もおなじです。
【関連記事】ジャガーとヒョウの違い|柄も特技もすんでいる場所も違うよ
クロヒョウとクロジャガーが生まれる確率
対となる遺伝子、この場合「通常」と「黒変」遺伝子には優劣があります。
クロヒョウは劣性遺伝、クロジャガーは優性遺伝によって誕生すると考えられています。
簡単にいうと、クロヒョウはめったに生まれないがクロジャガーはよく生まれるということ。
ヒョウもジャガーも黒変種同士の交配で生まれる子はほとんど黒変種となります。
また、優性遺伝子(ジャガー)の場合、かた親が黒変種であれば子は黒変種になる可能性が高いです。
一方、劣性遺伝子(ヒョウ)の場合、たとえば父親が黒変種であっても子が黒変種になる可能性は非常に低いです。
なぜなら、母親が黒変遺伝子をもつ通常種であり、かつ、その黒変遺伝子が子に受け継がれなければ、生まれえないからです。
しかし、統計によるとクロヒョウは全体のヒョウの10%以上を占めています。
光のとどかない熱帯雨林では「黒変種の方がカモフラージュに優位であり表現化しやすいのではないか」といわれています。
いまだ議論の的となっていますが、黒変遺伝子が優位であるジャガーは熱帯雨林に生息するため、合点がいきます。
実際にサバンナや砂漠の多いアフリカでクロヒョウが発見されるのは非常に稀。2019年2月、アフリカ・ケニアで110年ぶりに野生クロヒョウが発見されました。
7か所!クロジャガーがいる動物園
国内のクロジャガーは7頭のみ。7か所の動物園で飼育されています。
アステカ(2021年生)
小梅(2018年生)
マヤ(2021年生)
小春(2021年生)
アトス(2009年生)
ミワ(2013年生)
ボスキ(2013年生)
とべ動物園のミワ|繁殖に成功!
2013年、神戸市・王子動物園でアトスとローラのあいだに生まれた「ミワ」は2014年京都市動物園へ移動。
パートナーは大阪市・天王寺動物園で2014年に生まれた「葉月 旭」京都へは2015年にやってきました。
繁殖をこころみていましたが、飼育スペースの関係から繁殖が中止。若い2頭から動物の本能である繁殖活動を奪い、飼育しつづけるのはいかがなものか、と思っていた矢先。
2021年11月、ミワが繁殖のため愛媛県・とべ動物園へ移動しました。
お相手は2016年天王寺動物園生まれの「卯月 佐助」日本平動物園の小助といっしょに生まれました。そして、京都でパートナーだった旭の弟です。
2024年2月、ついに嬉しいニュース「ミワの出産」が飛び込んできました!
子は通常色のオスで「琥珀(コハク)」と名付けられました。ミワの愛情をいっぱいに受け、すくすく成長しています。
2025年12月時点、琥珀はミワと別居しひとり暮らしになり、ミワは佐助と同居しています。
かみね動物園 ジャガー初飼育|2022年
2022年7月、日立市・かみね動物園の真新しい猛獣舎にジャガーがやってきました。
神戸市・王子動物園よりクロジャガーのオス「アステカ」静岡市・日本平動物園よりメスの「小麦(こむぎ)」が来園。
2頭とも2021年生まれ、これからまだまだ大きくなる個体です。性成熟をむかえたのち、繁殖にとりくむ予定とのこと。
かみね動物園にとってジャガー飼育ははじめてなので、怪我や事故のないように祈ります。
日本平動物園「黒と黄」の双子 2021年
2003年アメリカから静岡市・日本平動物園にやってきたクロジャガーの「アラシ」2018年、国内最高齢の17歳で亡くなりました。
悲しみに暮れるなか、2019年3月、南アフリカ共和国から1頭のメス(2018年生)が来園。アラシとおなじ黒変種のジャガーで「小梅」と名付けられました。
パートナーとなるオスは「卯月 小助」2016年に大阪市・天王寺動物園で生まれました。
繁殖が大いに期待されていたなか、2021年11月、小梅がめでたく2頭の子を出産しました。子はなんと!通常種と黒変種。なんだかよりめでたい感じがしますね。
小梅は若く初産でしたが、順調に子を育ててくれました。姉(クロジャガー)は「小春」妹(ジャガー)は「小麦」と名付けられ、元気に成長しています。
2022年7月に小麦は茨城県・日立市かみね動物園へ、2023年10月に小春は父親の生まれ故郷である天王寺動物園へ移動しました。
2025年12月時点、日本平動物園はクロジャガーのメス「小梅」とオス「卯月 小助」2頭のジャガーを飼育しています。

王子動物園 8年ぶり双子誕生!2021年
神戸市・王子動物園は2011年よりクロジャガーを飼育しています。
当初はメス「ローラ」のみでしたが、2013年にパートナーとして「アトス」がポーランドからやってきました。
ローラとアトスはすぐに意気投合。アトス来園年に双子のオス「ボスキ」とメス「ミワ」が誕生しました。
その後、ボスキは平川動物公園へ、ミワは京都市動物園を経てとべ動物園へ移動しました。
王子動物園では次の繁殖が期待されるなか、2016年ローラが6歳という若さで死亡。非常にざんねんな出来事でした。
4頭もいた王子動物園のジャガーは、あっという間にアトス1頭のみとなりました。
しかし、2020年11月、嬉しいことに南アフリカ共和国から2018年生まれのメス「ネリア」(通常色)が来日しました。
繁殖経験のある立派なオスと若いメス。最初は威嚇しあっていたようですが、すぐに2頭は良い仲に。
2021年8月、ネリアは無事アトスの子を出産しました。子は黒変種の双子。ネリアの愛情を受けて順調に生育し、オスは「アステカ」メスは「マヤ」と名付けられました。
2022年7月にアステカは茨城県・日立市かみね動物園へ、2023年10月にマヤは名古屋市・東山動植物園へ旅立ちました。
また、母親のネリアはさらなる繁殖をめざして、2024年3月に埼玉県・東武動物公園へ移動しました。
よって、現在はオスのアトス1頭のみの飼育中です。

鹿児島でひとり暮らし中のボスキ
愛媛県・とべ動物園のミワと双子のきょうだい「ボスキ」2014年に鹿児島市・平川動物公園にやってきました。
ふたつのエリアが空中通路でつながった放飼場。ボスキは通路や木の陰などですっかり背景に溶けこんでいます。
繁殖にとりくむと発表されたものの、来園以来ずっとボスキはひとり暮らし。母「ローラ」の血をのこす鍵はミワにたくされています。

4か所!クロヒョウがいる動物園
日本でクロヒョウを飼育している動物園は4か所のみ。全部で9頭です。
ソル(2019年生)
?(2012年生)
?(2012年生)
シム(2007年生)
シュヴァルツ(2010年生)
セナ(2018年生)
ソラ(2019年生)
スー(2015年生)
セピア(2018年生)
ソルが来園!宇都宮動物園
2024年12月、静岡県・浜松市動物園のオス「ソル」が栃木県・宇都宮動物園へ移動しました。
浜松市動物園では5頭で過ごしており、どうしても狭かったので、のびのびと暮らせるといいですね。
富士サファリ|クロヒョウの双子
2012年、静岡県・富士サファリパークで通常色のヒョウペアから2頭のクロヒョウが誕生しました。
個体名や誕生日を公開していないため不確定ではありますが、現在も飼育されているクロヒョウだと思われます。体格から見て、雌雄の双子のようです。

上の写真は2016年に撮影したものです。公式Xでは、メスのクロヒョウの投稿が多いので、現在オスは非展示もしくは死亡したのかもしれません。
浜松市動物園|シム・シュヴァルツ一家
富士サファリパークの2頭をのぞく日本のクロヒョウはみな血縁者です。
父親「シム」は浜松市動物園生まれ。1歳を迎えたあと、鹿児島市・平川動物公園に移動。2014年に平川動物公園から帰ってきました。
シムは双子で「リリ」といっしょに生まれました。
リリは2010年に群馬サファリパークへ移動。お知らせは見つけられませんでしたが、2019年ごろ亡くなっています。
母親「シュヴァルツ」は2011年ドイツ・ベルリン動物園からやってきました。とても美しいヒョウです。
シムとシュヴァルツの相性は良く、これまでに3回の繁殖に成功しています。

第1子「スー」は人工哺育となりましたが、以降に生まれた4頭の子はシュヴァルツの手で生育しました。
クロヒョウ同士の交配による子はすべてクロヒョウとなることがよくわかりますね。
浜松市動物園公式サイトのスタッフ日記では、スーとセピア以外の5頭の特徴が記載されているので、訪れる際には要チェックです。
末息子のソルは2024年12月に宇都宮動物園へ旅立ちました。
平川動物公園|スー・セピア姉妹
鹿児島市・平川動物公園では、シムとシュヴァルツの子「スー」「セピア」が飼育されています。
メス同士ですが、同居はせず交代で展示されています。

ちなみに、平川動物公園は日本で唯一、クロヒョウとクロジャガーに会える動物園です。
展示場はとなり。どちらも黒く模様が見えにくいため、ヒョウのオスとメスと思われることの多い2種。
よくよく見ると、体つきや模様がちがうことに気づくはずです。ぜひ時間をかけて観察してみてください。
【関連記事】平川動物公園の紹介(ジャガーとヒョウ)
クロヒョウとクロジャガーは日本で見れなくなる?!
動物園にいるおおくの動物が絶滅危惧種といわれています。
ヒョウはいま絶滅の危機にひんしています(IUCNレッドリスト危急)。
一方のジャガーは将来絶滅の可能性がある状態です(IUCNレッドリスト準絶滅危惧)。
めずらしいクロヒョウやクロジャガーが絶えないよう、動物園では黒変種同士のペアが好まれます。
しかし、減りつづけているヒョウやジャガーを導入することは容易ではありません。
かつては、動物の数を維持するために近親交配がおこなわれていました。
近親交配で生まれた子は奇形や病気を持って生まれる可能性が高く、短い人生をおくる傾向があります。
そのため、動物福祉や動物愛護がさけばれる昨今、飼育下での近親交配は忌避されています。
ヒョウの黒変種はシム一家と富士サファリの双子のみ。唯一のペアであるシムとシュヴァルツは高齢となり、繁殖はむずかしいでしょう。
ワシントン条約で規制されている絶滅危惧動物は輸出入自体が困難なうえに、きわめて稀なヒョウの黒変種を得ることは至難の業。
おそらく、クロヒョウは新規導入も繁殖もできず、個体数は減る一方だと思います。
クロジャガーにおいては新しい血統の来日や優性遺伝であることから、今後クロジャガーの赤ちゃんが生まれる可能性はあります。ただし数が少ないことは事実です。
日本でクロジャガーやクロヒョウが見れなくなる日は、そう遠くないかもしれません。
ぜひ、実物を見に動物園に足を運んでみてください!

以上、ブラックパンサーのお話でした。
【参考】











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