エンリッチメントで注目!大牟田市動物園のアクセスとおすすめ動物

04/23/2020

突然ですが、下の文字は何と読むでしょう?

大牟田

簡単そうで難しい漢字ですね。

正解は、

おおむた。

福岡県の最南端、熊本県との県境にある市の名前です。2015年に長崎県の軍艦島などともに、世界文化遺産に登録された三池炭鉱が有名です。

都心部はおろか九州の人でも親しみはないかもしれません。

しかし、大牟田市には動物園界が注目する動物園があります!

今回は、全国各地の動物園が参考にしている大牟田市動物園をご紹介します。

大牟田市動物園 キリン リン

大牟田市動物園とは?

大牟田市動物園は、延命公園内にある敷地面積4万4千平方メートルの小さな動物園。上野動物園の3分の1以下、京都市動物園より少し広い程度の大きさです。

地方の古い動物園ですが、メディア取材やSNS投稿でたびたび話題になっています。

一般的な動物園では、飼育担当者が飼育動物に対してエンリッチメントを行います。そのため、担当者によって展示やエサやりなどの飼育方法が異なります。

一方で、大牟田市動物園は園全体でエンリッチメントに取り組んでいます。スタッフ全員で情報や成果を記録・共有し、すべての飼育動物が豊かに暮らせるようにと努力しています。

2016年、2019年には、市民ZOOネットワーク主催のエンリッチメント大賞に輝きました。近年、注目を浴びている動物園のひとつです。

大牟田市動物園のアクセス

大牟田市は、九州新幹線の停車駅である新大牟田駅があります。停車する新幹線が少ないため、場合によっては博多駅にて乗り換えが必要です。

動物園の最寄り駅は大牟田駅。博多・熊本方面よりJR鹿児島本線が、天神方面より西鉄天神大牟田線が乗り入れています。

大牟田駅から大牟田市動物園までは、徒歩20分ほど。

最寄りのバス停である延命公園・動物園前からは、徒歩5分程度。大牟田駅前バス停から西鉄バス・大牟田営業所行きに乗車すると、動物園前で停車します。

お察しの通り、地方都市の動物園である大牟田市動物園。アクセスが良いとは言えません。自家用車もしくはレンタカーの利用をおすすめします。

大牟田市動物園の営業案内

大牟田市動物園の入園料は、おとな380円。3歳以下は無料、中学生までが80円、そして高校生220円。

駐車場は1日200円と、お財布にやさしい動物園です。

営業時間は9:30-17:00(冬季は16:30まで)。休園日は毎月第2、第4月曜日(祝日の場合はその翌日)と年末年始です。

動物園サポーター

1口当たり2000円(中学生以下1000円)の寄付をすると、大牟田市動物園サポーターに登録できます。サポーター登録費用は、動物の購入や施設整備など動物園の活動事業に充てられます。

サポーターは、年間パスポート発行や限定イベントへの招待などの特典付きです。

大牟田市動物園 ライオン あさひ

エンリッチメントに取り組む大牟田市動物園

大牟田市動物園の案内板

入園ゲートをくぐり、はじめに目につくのは動物ではなく、飼育員さんお手製のボード。

ずらりと並んだ掲示板には、飼育員さんが努力していること、飼育動物の紹介などおもしろい内容がたくさん。エンリッチメントに関する記載もあります。

また、動物の展示場にも詳しい案内板が設置されています。

動物をかたどった板に、それぞれ区別しやすい特徴(模様や体格、傷など)が記載されています。初めての動物たちでも個体識別ができるので、ただ見るだけとはひと味違う楽しみがあります。

ちょっとしたところにも、飼育員さんの努力や愛情が現れています。お時間ある方は、ぜひゆっくり読んでみてください。

大牟田市動物園で会える動物たち

大牟田市動物園 園内マップ

園内マップにしたがって紹介していきます。

コモンリスザル

リスザルは、南米の湿地帯など水辺に生息するオマキザルの仲間。大牟田市動物園のリスザルは、コモンリスザルです。

かわいらしいお顔と小さな体から、動物園ではふれあい動物として人気のサルです。

大牟田市動物園 リスザル

リスザル展示場

リスザル展示場では、リスザルが放し飼いされています。小屋と屋外に植えられた樹木にロープが張られてあり、行ったり来たりしていました。

そのため、帽子やメガネなど取られないようご注意ください。また、飲食物は持ち込み禁止です。

リスザルは動きが機敏なので、写真撮影が難しい動物。食事をしてるときは少し動きが止まるので、シャッターチャンスです。

大牟田市動物園 リスザル

フタユビナマケモノ

リスザルの展示場内には、小さな獣舎があります。

そこには、ナマケモノのクリちゃんがいると書いてありましたが、何度行っても姿を見ることはできませんでした。ざんねん。

暖かい時期にはリスザルと同じ空間で混合飼育されています。ガラスや柵なしでナマケモノに会える絶好のチャンスです。

2020年には神戸市・王子動物園からオスのダイクがやって来ました。いつかナマケモノの赤ちゃんが誕生すると良いですね。

ゴマフアザラシ

アラスカなど北半球の北部の海に生息するゴマフアザラシ。

ゴマフを漢字で書くと、胡麻斑。灰色の体に、小さな斑点があるのが特徴です。寒い地域の動物のため、厚い脂肪に覆われてずんぐりとした体格です。

大牟田市動物園 ゴマフアザラシ

大牟田市動物園では、2頭のメスアザラシを飼育中。その名もオーちゃんとムーちゃん。大牟田の「お」と「む」から名付けられました。

オーちゃんは斑点が多く、寝相は横向き。ムーちゃんは斑点が少なく、寝相は仰向け。この2点が見分けのポイントだそうです。

開園後、プールの水が少ししか入っていませんでした。体を半分以上はみ出しながらも、アザラシたちは気持ち良さそうです。

大牟田市動物園 ゴマフアザラシ

すいすい泳いではターン、を繰り返していました。

昼前に再度見に行くと、さらに水の量が減っていました。そして、2頭仲良く静止。

大牟田市動物園 ゴマフアザラシ

実際見ると、どちらも斑点だらけ。寝相は明らかに違うので簡単ですが。同じ寝方をされると判別は至難の業です。

飼育員さんはお掃除中のようで、たまにホースでアザラシに水を掛けてました。

大牟田市動物園 ゴマフアザラシ

もっと掛けて~と言わんばかりのアザラシの姿。

大牟田市動物園 ゴマフアザラシ

アザラシってこんなに愛くるしい行動をするのか、と感激。ご満悦の表情に、とても癒されました。

大牟田市動物園 ゴマフアザラシ

ライオン

オスのあさひとメスのリラが飼育されています。

2頭とも大分県のアフリカンサファリで生まれ、2012年に大牟田市動物園に引越して来ました。

来園から2年後の2014年には、めでたく4頭の子が誕生しました。子どもたちは現在、姫路セントラルパークで飼育されているようです。

わたしが来園したときは、あさひがオリの展示場、リラがガラス張りの展示場にいました。

あさひ

あさひは2012年生まれ、現在8歳。

大牟田市動物園 ライオン あさひ

ライオン界では、成熟を迎え、自分のプライドを持つ頃です。

ライオンのメスは3年ほどで成熟しますが、オスはおよそ5年。野生のオスライオンが繁殖を行うのは、5歳前後と言われています。

ところが、あさひは2歳という若さで父親になりました。そのせいか、年の割にたてがみが立派な気がします。

鋭いまなざしを持つハンサムライオンです。

また、檻の近くにいたり、顔を向けてくれたり、愛想が良い印象を受けました。

ヒトを警戒しないのも、のちほど述べるハズバンダリートレーニングの成果かもしれません。

リラ

一方、リラは少し煙たそうな表情。あさひとは対照的で、人目を避けている雰囲気でした。

段ボールが好きなリラ。激しく遊ぶ様子を見たかったですが、また今度。

リラは2011年生まれ。飼育下ライオンの寿命は野生より長く、20年以上生きることもあります。これからの2頭の成長も楽しみです。

大牟田市動物園 ライオン リラ

ライオンの肉探しタイム

大牟田市動物園 ライオン エンリッチメント

毎週土日祝日の15:45からは、ライオンの肉探しタイムというイベントが行われています。

隠されたお肉を探し、豪快に食べる姿を見ることができます。わたしは時間の関係で見れませんでしたが。

あさひの展示場の横には、お肉を入れていた容器が展示されていました。爪の痕や噛み砕いた痕が、力の強さを物語っています。

時間を合わせて見に行きたいですね。

大牟田市動物園 ライオン リラ

【YouTube】大牟田市動物園公式チャンネルでライオンの食事動画をチェック

ホワイトタイガー

現在、1頭のホワイトタイガーが飼育されています。名前はホワイティ、2001年生まれのメスです。

ホワイティの食事

ホワイティの展示場には、丸太の間や鎖の上など、さまざまなところにお肉が隠されていました。ホワイティはうろうろしながら、エサを探している様子。

そして、ついに発見!

目の前でボリボリと骨の付いたお肉を食べる姿は、迫力満点!

毛づくろいや肉をそぐときに役立つギザギザの舌。口を大きく開けるので、よく見えました。

トラの寿命は15年ほど。ホワイティはおばあちゃんです。

そのため、お肉を探すのも一苦労。その分、暇な時間が減り、運動不足も解消されます。

ちなみに、わたしがホワイティの食事を見たのは、開園直後10:00ごろでした。ホワイティがお肉を食べ終わる前、午前中の訪問がおすすめです。

大型ネコ科動物へのプレゼント企画!

大牟田市動物園では、エンリッチメントの一環としてトラやライオンにイノシシやシカをまるごと与えるイベントを実施しています。

肉食獣の牙や爪の力を観察できるチャンスです。

不定期開催ですが、土曜日の11:00~行われることが多いです。公式HPを随時ご確認ください。

大牟田市動物園 ホワイトタイガー

ホワイティの案内パネル

話題になった、ホワイティの案内板。ホワイトタイガーの近親交配の事実を記載しています。そして、今後ホワイトタイガーを飼育しないことを宣言しました。

白い体毛に薄い茶色の縞模様、そして青い目が美しいホワイトタイガー。人々はホワイトタイガー見たさに、倫理違反を繰り返してきました。

ホワイティはベンガルトラとアムールトラの間に生まれた、雑種のホワイトタイガー。ヒトがつくりだしたトラです。

動物と人間の関わりや動物を取り巻く環境を紹介することも、動物園の大切な役割です。

大牟田市動物園は新しい施設ではないので、檻や柵で囲われた狭い展示場が多数見られます。お察しの通り、写真撮影には向いていません。

一方、動物が飽きないように、エンリッチメントを取り入れた先進的な動物園の側面もあります。

ハズバンダリートレーニング公開中!

動物が自発的に健康診断や治療に取り組めるように、ハズバンダリートレーニングを行っています。合図で意思疎通がとれたら、飼育・管理しやすくなり、不幸な事故を防ぐことができます。

通常、バックヤードなどで行われることの多いハズバンダリートレーニング。大牟田市動物園では、訓練の様子を公開しています。

ハズバンダリートレーニングの公開
  • 月曜日13:15~ ライオン
  • 火曜日15:00~ ツキノワグマ
  • 水曜日15:00~ キリン
  • 木曜日13:15~ ライオン
  • 金曜日15:00~ キリン

オオカンガルー

オーストラリアに生息するカンガルー科の動物。大牟田市動物園のカンガルーは、オオカンガルー(ハイイロカンガルー)です。

カンガルー展示場内に入れるので、すぐ近くにカンガルーたちを見ることができました。

展示場内には自分だけでしたが、カンガルーたちはちょっと警戒気味。

通路とカンガルーのスペースはロープで区切られているので、ヒトから近づくことはできません。

しかし、なかには歩道に立っているものや、ぴょんぴょん寄って来るものもいました。

また、案内板には各カンガルーの特徴(大きさや傷など)が記載されていました。

カンガルーの個体識別は難しいですが、案内を読みながら探すと、よりカンガルーを楽しめること間違いなしです。

キリン

キリンの展示場はとても開放的。キリンの掲示板は、キリンの種類や生息環境など非常に詳しく記載されており、読み応え抜群です。

リン

オスのリンは、2005年に名古屋市・東山動植物園で生まれました。1歳を迎えたあと大牟田市動物園にやって来ました。

大牟田市動物園 キリン

プリン

プリンは、2014年に埼玉県のこども自然公園で生まれ、2016年に来たばかり。

リンと比べると明らかに小さい。肌がきれいで、お顔もシュッとしています。

大牟田市動物園では、2015年からリン君の婚活大作戦として、キリン購入のための募金活動を行っていました。市民の協力のもと、見事、約1800万円を集めました。

結局、プリンはブリーディングローンとなったため、無償で来園することとなりました。

集まったお金は、獣舎の改修などプリンの受け入れ費用に充てられたそうです。

リンとプリンの繁殖に期待?!

プリンの来園した2016年、2頭の同居は失敗。お互いが怪我をしかねない状況だったそうです。それ以来、リンとプリンは別々に飼育されていました。

しかし、2018年3月ついに、同居再開!大牟田市民が待ちに待った瞬間です。

わたしが訪れたときは、ツーショット写真が撮れました。

低いところに取り付けられたエサを必死に食べるリンを、横目で見るプリン。

大牟田市動物園 キリン

柵以外にも高いところや木の上など、数か所にエサが付けられていました。

リンはこの後も、展示場を歩きまわりながら、ずっと草を食べ続けていました。

そして、たまにプリンに近寄ってみます。悲しいかな、プリンの反応は薄い様子。

今後の2頭の動きに注目です。いつか、繁殖に成功すると良いですね。

キリンとのふれあい体験!⇒2021年4月現在、行われていません

大牟田市動物園では、土日祝日11:30~無料のキリンふれあいイベントを行っていました。

大牟田市動物園 キリン

時間や人数の制限はありませんが、キリンが離れたら終了となっています。

つまり、短いときもあれば長いときもあるようです。イベントに参加したい方は、なるべく早めに並んだ方が良いでしょう。

背が高いキリンにさわるため、参加者はキリン舎の外側に設けられた高台に登ります。

近くで見るとキリンの大きさに改めて驚かされます。草しか食べないのに、5メートルほどに成長するとは不思議です。

キリンは体臭がきついことで有名です。とくに、おとなオスは激臭だと言われています。

恐る恐る匂いを嗅いでみました。が、草木の良い香りしかしませんでした。食事中だったからでしょうか。

リンの毛は短く、毛布生地のシーツのような感触。やみつきになりそうです。

2021年4月現在、キリンとのふれあいは実施されていません。いつか再開したら、ぜひまた体験したいイベントです。

レッサーパンダ

現在、オスのレン、メスのソラとまいの計3頭のレッサーパンダを飼育しています。

屋外に2か所、屋内に1か所、レッサーパンダの展示スペースがあります。彼らが飽きないように、毎日場所を交替しながら展示しているそうです。

ボルダリングするレッサーパンダ!室内展示場

室内展示場にはオスのレン(2008年生)がいました。

レンはソラのお婿さんとして、2010年千葉県の市川市動植物園から移動して来ました。かなり美形のレッサーパンダです。

レッサーパンダの室内運動場には、ボルダリングが設置されています。

垂直に木登りができるレッサーパンダの身体能力が披露できるように、スタッフさんが手作りしたものです。

レッサーパンダたちは自発的にボルダリングしているとのこと。運動不足が解消され、退屈な時間も少なくなるため、喜んでいることでしょう。

また、同じ配置だとルートを覚えてしまうので、材料の位置や角度を変えているというから驚き!飼育員さんの創造力や努力に胸を打たれました。

レンは室内展示場を活発に動きまわっており、ボルダリング姿を見ることもできました。

大牟田市動物園 レッサーパンダ ボルダリング

レッサーパンダの案内板も要チェック!

室内展示場の向かい側の壁には、手書きの案内板がずらり。レッサーパンダに関する情報がたくさん記載されています。読みごたえがあり、勉強になります。

また、各個体の体重が記入されていました。

なんと、一番若い女の子まいは、体重が7キロもあるそうです。レッサーパンダは通常5キロ前後なので、かなり大きいです。

屋外展示場

かわって、2か所の屋外放飼場には1頭ずつレッサーパンダが展示されてました。

最年長のソラ(メス)は、2002年生まれの現在18歳。マイペースな性格で、木の上にいることが多いそうです。わたしが行ったときは、やぐらの中でべた寝。お顔は見れませんでした、ざんねん。

一方、まいは元気にお食事中。黒色の体毛が多いのが特徴です。

レッサーパンダのまいは、2013年生まれのメス。2016年千葉市動物公園からお嫁さん候補としてやって来ました。

感の良い方はお気づきかもしれません。まいは、あの有名なレッサーパンダ風太くんのお孫さんです!

さすがアイドルの孫。とても愛嬌がある、まいちゃん。一生懸命エサの容器と戦いながらも、たまにカメラ目線してくれました。

大牟田市動物園 レッサーパンダ

赤ちゃん誕生!レッサーパンダの繁殖

今まで、レンとソラの繁殖がうまくいかず、頭を抱えていた大牟田市動物園。

ところが、まいの来園数か月後、レンとの交尾が確認され、2017年に2頭の間に赤ちゃんが誕生しました。大牟田市動物園にとっても、まいにとっても、初めての出産でした。

しかし、3日後に死亡するというざんねんな結果となりました。

そして、2018年6月、まい2度目の出産!

低体温が発覚し一時は人工哺育されていましたが、生後2か月のころ母親のもとに戻されました。レイと名付けられたオスの赤ちゃんは、元気に成長しています。

通常、赤ちゃんを母親から引き離すと、母親の育児本能が落ちてしまいます。そのため、人工哺育の個体が親と過ごすことは稀です。

しかし、まいと飼育員さんは共同で哺育を行い、まいは赤ちゃんを自分の子と認識し続けることができました。


小さな動物園ながらも、愛嬌のあるアザラシやリスザルから、大迫力のライオンやホワイトタイガーまでさまざまな動物が暮らしています。

また、エサやりやふれあい体験、エンリッチメントに関するイベントも積極的に行っています。

動物福祉を考える動物園として、エンリッチメントやハズバンダリートレーニングを取り入れた注目の大牟田市動物園。案内板や展示場の様子を見ると、スタッフさんの努力がうかがえます。

福岡県にお越しの際は少し足を延ばしてみてはいかがでしょうか?

大牟田市動物園 カンガルー

以上、大牟田市動物園でした。