実は知らない?!カバの生態と特徴「天敵」も意外です
カバの皮ふや歯など体のしくみ/群れ、妊娠・出産から天敵や寿命までわかる記事
みなさんカバにどんなイメージをもっていますか?
動物園ではプールのなかで動かなかったり、むしんに草を食べていたり、のんびりした印象があるかもしれません。
では、野生カバはどんな生活を送っているのでしょうか?
今回のzoo zoo diaryはカバの生態と特徴を徹底解説!
皮ふや歯、胃のつくりなど細かな体のしくみから、群れ、妊娠・出産そして天敵や寿命などカバの一生にせまります。
野生カバには動物園のカバからは想像もつかない一面があります。zoo zoo diaryをとおしてカバのすごさを感じてほしいと思います!
カバとは?
鯨偶蹄目カバ科カバ属。ひづめがふたつの草食動物です。
ギリシャ語で「川の馬」を意味することばが名前の由来です。漢字では「河馬」と表記します。
- 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
- カバ科 Hippopotamidae
- カバ属 Hippopotamus
- カバ Hippopotamus amphibius
- カバ属 Hippopotamus
- カバ科 Hippopotamidae
- IUCNレッドリスト 危急(VU)
- CITES 附属書Ⅱ
- 生息 サハラ砂漠以南の湿原 12万頭
- 体長 350cm
- 体高 150cm
- 体重 1500kg
カバ生息数は推定12万頭ほど。
2000年ごろまで減少がつづいていましたが、近年は安定傾向にあります。一方で生息地破壊や密猟のため、いくつもの地域でカバの減少が報告されています。
カバは絶滅のおそれが高い動物(IUCNレッドリスト危急)です。ワシントン条約によって輸出入が規制されています。
生息地|カバは湿ったところが好き
カバはアフリカ大陸サハラ砂漠以南の川や湖付近の湿地帯に生息しています。
かつては広く分布していたカバ。現在その生息地は分断され、地域による保全の差が生じています。
カバの生息地と生息数
- 南部(ザンビア、南アフリカ共和国等) 6万頭
- 東部(タンザニア、ケニア、DRC等) 5万頭
- 西部(カメルーン、ブルキナファソ等) 7千頭
おもな生息地はタンザニア、ケニアを含むアフリカ東部、そしてザンビアを筆頭とするアフリカ南部。
サファリツアーなどで世界的な知名度のあるケニアやタンザニアでは、保全活動が進み生息数は安定しています。
その他はというと、カバが減りつづけている国々がほとんど。コンゴ共和国やソマリアでは推定50頭ほどと、地域的な絶滅の危機にあります。
4万頭ものカバが暮らすザンビアでさえ、保護が不十分なため今後の減少が懸念されています。
また、西アフリカでは人口増加にともなう土地開発のため、動物たちの生息地が分断されています。
結果、カバとヒトとの接触が多発。農作物やヒトをおそう動物は絶滅危惧種であろうと迫害されてしまいます。
計画的な開拓や境界(柵)の設置など、地域住民への教育やケアがカバを救う鍵となっています。
カバの形態|体長3m 体重1トン以上!
丸みをおびた太い体に短いあし、そして大きな口をもつカバ。陸上哺乳動物のなかでゾウ、シロサイにつぐ大型動物です。
- カバの大きさ
- 体長 350cm
- 体高 150cm
- 体重 1500kg
体長3~5メートル、体高およそ1.5メートル、体重1.5トン前後。過去には体重4トン以上のオスが確認されています。
体の大きさについて、オスとメスの差はさほどありません。
これは、水中で過ごすことが多いカバは体ではなく口の大きさで競い合うから、と考えられています。
一般にメスは25歳ごろ成長がとまりますが、オスは成長しつづけるといわれています。そのため、高齢オスはメスより大きくなります。
カバの進化と特徴
動物園で会えるカバはキャラクターやマスコットになるほど人気の動物です。
しかし、実は知られていないことがたくさんあります。
水中で寝たまま息継ぎできます
日差しのつよい日中は水の中で過ごすカバ。水中でも快適に暮らせるよう独特の進化をとげました。
- 直線上にある目と鼻と耳
- 被膜がある目
- 閉じれる鼻の穴
カバの目・鼻・耳は一直線に並んでいます。顔をすこし水面に出すだけで周囲の警戒や息継ぎができます。
また、目の表面に膜がはられ水中でもしっかり目を開いて見ることができます。さらに、鼻の穴を閉じて5分以上潜水することができます。
そして、最も驚くべきは水の中で眠れること。
カバは寝ていても「水面に顔を出し息継ぎをして沈む」という一連の動作を反射的に繰りかえしています。
実はカバは泳げない?!
とても器用に水の中で生活しているカバ。
ところが、カバは泳ぐことも浮くこともできません。水に対する比重が大きく、どうしても沈んでしまうのです。
では、カバはどうやって水中を移動するのでしょうか?
答えは簡単。泳ぐのではなく「歩く」のです。
カバは地上とおなじように地にあしをつけて移動しています。水面に上昇するときは地面をつよく蹴っているだけです。
プールのなかが見える展示場(旭山動物園や天王寺動物園など)は水中でのカバの動きを観察できるのでおすすめです!
野生カバが川底を歩いたり走ったりするため、川のなかには「けもの道」のように「カバの道」ができます。
体の小さい赤ちゃんカバは全身が水の中にはいってしまいます。おぼれないよう、お母さんの力をかりながら水中での動き方を学びます。
カバの皮ふ|無毛・弱・厚
よくよく見ると、カバの体には毛が生えていません。毛があるのは口の周りや尾の先端だけ。
日焼けや乾燥はNG!超敏感肌
毛の生えていないむきだしの皮ふは紫外線や乾燥に非常に弱いという欠点があります。
そのため、カバのお肌は長時間空気にさらされるだけで、ひび割れるという繊細な状態です。強烈な太陽のもとではあっという間に体の水分が奪われ、最悪の場合、死に至ります。
つまり、カバは濡れた状態を維持しなければ生きていけないのです。
水が豊富な動物園では、プールにつかったり水を浴びたりして皮ふの状態をコントロールできます。
一方、アフリカのきびしい乾季には、沼地や川だったところが干あがってしまいます。カバが生きていくためには、水が干あがる前に新しい水場を探さなければなりません。
野生では、移動し遅れたカバがその場から動けなくなり死亡する例はたびたび報告されてます。
なぜ毛がないの?
では、なぜカバには毛がないのででしょう?
体のおおきなカバは少しでも体力を消耗しないように進化したと考えられます。
毛は水の抵抗を受けたり、濡れて重くなったり。カバにとっては水の中でも陸の上でもデメリットが大きかったのでしょう。
一般に、体毛は体温調節や皮ふ保護に役立っています。
カバは日差しのつよい時間に水中で過ごすことを選択し、無毛でも体温上昇や肌の乾燥をふせぐことに成功しました。
一方、さむい日の低体温対策として、カバの皮ふは厚く進化しました。胸の皮ふは厚さ4cm!さらに4cmもの皮下脂肪でおおわれています。
赤い汗は「汗」じゃない!カバの分泌物
もちろんカバには敏感な皮ふを守るしくみがあります。
カバは体毛だけでなく汗腺がないことがわかっています。つまりゾウと同じように汗はかけません。
カバは汗の代わりに表皮から液体を分泌します。この液体は酸素にふれたら赤く色が変わるため、カバは「赤い汗」「血の汗」をかいていると表現されます。
カバの特殊な分泌物(赤い汗)は肌を守る効果があり、紫外線による日焼けや乾燥をふせいでいます。
さらに、清潔とはいえない水で暮らすカバの傷が化膿しにくいことから、抗菌効果があるのではといわれています。
いまだに完全解明されていないカバの複雑な皮ふ。今後の研究が楽しみです。
カバの生態
群れ|たくさんの仲間と暮らします
社会性が高いカバは複数のオス、複数のメスとその子どもたちから成る10~100頭の群れで生活します。
一夫多妻ではないものの、群れのオスには順位があります。優位なオスはすべてのメスと交尾する権利をもっています。
また、複数のメスと幼獣でグループをつくることも確認され「カバの学校」と呼ばれています。
カバのテリトリーは水場とその付近であり、陸地では個々が自由気ままに草を食べます。
まきふんと大声|コミュニケーション
カバは排便の際にしっぽを大きく振り、排泄物をまく習性があります。
この「まきふん」はオスがおこなう行為で、メスにはあまり見られません。テリトリーのアピールや、道しるべの役割があると考えられています。
また、カバは声を出してコミュニケーションをとります。
低いうなり声から甲高い声まで声色はさまざま。動物園ではしずかな印象があるかもしれませんが、カバはおしゃべりな動物です。
アフリカでは最もうるさい動物のひとつに挙げられています。
カバのまきふんやコミュニケーションは飼育下でも観察できる行動です。カバの生活をかいまみれる瞬間ですね。
カバの威嚇|くちが大きいほど強い
丸くて可愛らしい外見とは裏腹に、カバは哺乳動物のなかで攻撃性のある危険な存在として知られています。
下顎から生える門歯と犬歯は伸びつづけ、とくにオスでは長さ40~50cmほどになります。
カバの長い歯はオス同士のテリトリー争いのときにつかわれます。
まず、鼻先を合わせ口をあけ口の大きさ比べをします。よりおおきく口をひらけたり牙が長かったり、体格さがあればすぐに争いはおわります。
一方、口の大きさで勝負がつかなかった場合、カバは死闘をくりひろげます。この際、子どもがまきこまれ亡くなる例がしばしば観察されています。
カバを加害者にしないで!
通常、カバは他の動物に対しては口をあける、吠える、追いかけるなど間接的に威嚇をします。
現地において、カバはヒトに危害を与える動物と認識されています。
縄張り意識のつよいオスカバや子をもつ母カバにとって、近くに来た相手を威嚇・攻撃するのは当然の行為。
もちろんツアー客も現地人もカバの行動を理解しているはずです。
ところが、釣りや撮影に夢中になり「気づかぬ間にカバの怒りにふれる」という事件が多発しています。
アフリカでは推定500人が毎年カバによって殺されています。
観光資源かつ保全対象であるカバ。大切なカバが加害者とならないようアフリカ諸国は注意喚起をつよめています。
もしアフリカ旅行でカバ生息地をおとずれるときは、カバを加害者にしないよう十分に気をつけてください。
おもに草|カバの食事
皮ふが弱く体温調節が苦手なカバ。太陽がしずむ夜に活発になる夜行性の動物です。
日が暮れると上陸開始。ぞくぞくとカバが水からあがってきます。
季節や地域によって差はありますが、通常カバたちは上陸しても近くの草原にとどまります。川や沼から遠く離れた場所へは行きません。
カバが1日に摂取する草の量は40kgほど。多く思えますが、体重の2~3%程度とカバにとっては少量。
少ない草で生きながらえるために、カバは日中のエネルギー消費量を抑えていると考えられています。
数時間後、食事を終えたカバたちが群れにもどると、まだ食事をしていないカバたちが出発します。
時間差で食の旅に出かけることにより、自分たちのテリトリーには常に仲間がいる状態をたもてるしくみ。カバの社交性の高さがうかがえます。
カバの歯の本数
大きな口をあけるカバの姿を見たことがある方もいるでしょう。
カバの歯、一見少なそうですよね。
実は、ヒト(28~32本)より多く40本もの歯が生えています。
牙となる犬歯は上下2対(4本)。前歯にあたる切歯は上下4対(8本)。奥歯にあたる臼歯が28本。
カバの犬歯と切歯は一生伸びつづけます。おとなカバは下顎から生える犬歯と切歯が50cmほどの長さになります。
しかし、立派な犬歯と切歯は食べるときには一切使いません。食事に必要なのは唇と奥歯。
筋肉質の幅ひろい唇が草をちぎりとり、奥へと移動させます。そして、平たい奥歯ですりつぶしてから飲みこみます。
奥歯が草を細かく砕き、飲みこみやすく消化しやすくしてくれます。
ところが、奥歯は使うたびに徐々にすり減り、使いものにならなくなる日が来ます。その時がカバの寿命といえるでしょう。
さて、動物園のカバの歯はそれほど長くはないと思いませんか?
実のところ、飼育下では安全対策のため長すぎる歯や形のわるい歯は調整されます。そのため、野生カバほど立派な牙を見ることはできません。
さらにカバの歯は歯茎に埋まっているため、実際の長さより短く見えます。
3つの胃|カバの消化
カバは鯨偶蹄目。かつてはウシやシカを含む草食動物と同じ偶蹄目といわれていました。
ウシやシカは硬く栄養価の少ない植物を食べます。そこからエネルギーを得るために4層の胃という複雑な消化システムをそなえています。
ところが、たとえ4つの胃といえど細かく砕かれた植物でないと消化しきれません。
そのため、胃内に入った植物は液体になるまで胃と口を行き来します。これを、反芻(はんすう)といいます。
草食動物であり偶蹄目といわれていたカバ。しかし、カバは反芻しません。
また、4層ではなく3層の胃をもっています。
腸のなかに入る前に胃の細菌が植物の細胞壁を分解してくれます。さらに、酵素や胃酸が固形物を溶かしてくれます。
カバは時間をかけてゆっくり消化することにより、すくない植物から栄養を得ています。
カバの繁殖と寿命
メスは8歳前後、オスは10歳前後で性成熟するカバ。
通常、乾季に繁殖期をむかえます。1頭の優位なオスが群れのすべてのメスと交尾する権利をもちます。
群れを率いるオスは川や湖の岸辺を占拠し、他のオスが水場に入らないように見まわりしています。
ときに下位のオスや群れに属さないオスが第1位オスに挑戦し、壮絶な戦いになることもあります。
一方、100頭ほどの大きな群れをもつ優位オスにとって、すべてを監視することは容易ではありません。
ときには群れの内外のオスに交尾をゆるすことも観察されています。つまり、優位オスと死闘をせずに子孫をのこせる場合があります。
そのため、下位のオスや単独のオスはおとなしく繁殖機会をうかがっていることが多いのではと考えられています。
育児は母カバのみ|妊娠と出産
母カバは出産前から1~2週間群れをはなれ、出産と育児に専念します。
妊娠期間はおよそ8か月。カバの出産は水中もしくは陸上でおこなわれます。
カバは体長100cm、体重30kgほどの赤ちゃんを1頭生みます。
大きいようですが母カバの約2%の重さ。50kgのヒトが1kgの赤ちゃんを生む計算なので、相対的にとても小さい赤ちゃんです。
生後数週間たつと、子をもつ母カバたちのグループ(カバの学校)にくわわります。
約18か月の授乳期間をおえると、母カバの発情がふたたびやってきます。
多くの動物は母親の発情とともに親離れしますが、カバは例外。子は性成熟をむかえる8歳ごろまで母親のもとにいます。
そのため、多くは母ときょうだいがいっしょに過ごしています。
30年以上生きます|カバの寿命
カバの寿命は30年以上。なかには50歳以上と推測される野生カバも確認されています。
2017年、フィリピンの動物園で死亡したカバは推定65歳でした。
カバの死因
体の大きなおとなカバを捕食する動物はいません。
しかし、小さな子カバはワニやライオンなど大型肉食動物の標的となります。
カバの天敵はカバ?!
ところが、子カバにとって最大の危険は「母親以外のカバ」。
おとなカバ同士で起こる紛争に巻きこまれ、幼獣が死亡する事例はあとを絶ちません。あるいは、きょうだいが遊びのつもりで幼獣を弱らせてしまうこともあります。
とはいえ、大きく生まれるカバの幼獣死亡率は他の動物と比べて低いです。
ヒト|カバの最大の敵
水とその周辺に草原があることはカバが生き抜くために必要な条件です。
ところが、生活において水を求めて行動するのはヒトも同じ。アフリカの人口増加はヒトと野生動物との摩擦を生んでしまいました。
人間生活のための開拓により、カバを含むさまざまな動物たちの住みかが奪われています。
結果、ヒトと動物の距離がちちまり、地元民だけでなく漁師や鉱山労働者、観光客とカバとの接触増加が問題となっています。
さらに、密猟もカバ減少のおおきな原因です(後述)。
干ばつ|気候変動の影響
また「干ばつ」という危険がカバを襲います。
例年の乾季では干あがることのない水辺が失われると、カバを含むさまざまな動物が苦しみます。
まず、あらたな水場を求めて移動をしいられます。もし長い時間太陽光にさらされたら、カバは脱水で命を落とすかもしれません。
やっと水辺にたどりついたとしても、小さな沼や水たまりに入るため争いが勃発。さらなる悲劇が起こるかもしれません。
水中にいなければカバは生きられないため、大干ばつのときにはたくさんのカバが死亡しています。
近年は地球温暖化の影響か、おおきな干ばつがしばしば起こっています。
炭そ|カバの大量死をまねく
炭そはカバの死因のひとつ。
炭そ菌は土中にひそみ、動物のなかに入ると悪さをします。カバは炭そ菌がついた草を食べたり水を飲んだり、自然の生活のなかで炭そを発症します。
ときに炭そは地域的に大流行し、100頭ものカバが亡くなることがあります。
- 2004年 ウガンダ 190頭以上
- 2011年 ザンビア 80頭以上
- 2017年 ナミビア 100頭以上
また、炭そ菌に感染したカバの肉を食べたヒトも亡くなっています。
水がすくない乾季には小さな水場にたくさんのカバが密集しているため、あっという間に感染がひろがると考えらえています。
干ばつは脱水だけでなく感染症による大量死をひきおこす、カバの天敵といえます。
カバは絶滅危惧種です
カバ生息地の国々では、保護区の制定や密猟対策などがおこなわれています。
徐々に個体数が増加・安定している地域がふえ、全体としては安定傾向にあります。
一方で未だハンティングや生息地破壊がつづき、カバが減少している地域が半数を占めます。
現在IUCNはカバを絶滅のおそれが高い種「危急(VU)」に分類しています。
地球温暖化であれ生息地破壊であれ、動物を絶滅に向かわせているのはヒトです。
だからこそわたしたちヒトが保全活動をつづけ、カバを絶滅の危機から救わなければなりません。
密猟が絶えないカバ
社会情勢が不安定な地域では不法で無秩序なハンティングが横行しています。
モザンビークの内戦やコンゴ民主共和国(DRC)の紛争が起こるたびに、狩猟が頻発。
その結果、カバの生息数がモザンビークでは約70%、DRCでは約95%減少したと報告されました。
一方、情勢が安定している国でも食肉目的の狩猟が行われています。
地域の人々にとっては、むかしから食べていた動物が絶滅危惧種になっただけ。伝統的な生活をつづけており、罪の意識はありません。
カバがいかに大切か理解してもらうよう住民への教育が大切になります。
また、大型動物、立派な歯をもつということからトロフィーハンティングされるカバもいます。
危機!カバ歯の需要がふえている
近年はカバの歯の密猟が増加しています。
1989年、象牙取引が規制されて以降、おなじ素材としてカバの犬歯の人気が高まったためです。
カバの歯は歯茎に埋まっているため、実際には見えている部分の数倍の長さがあります。象牙同様、印鑑や装飾品の材料として高値で売買されています。
1997年には1700本以上のカバの歯がウガンダから香港に輸出される過程で押収されました。
さきに述べたように、カバの牙はテリトリー争いなどでつかわれます。牙のないオスは弱く、遅かれ早かれ亡くなってしまうでしょう。
密猟は需要があるかぎりなくなりません。決してカバの歯や肉を欲しがらないでください。
[広告]不要なものは買わないことが一番。必需品は売上の一部が寄付されるような商品を選ぶことで、自然や動物またはヒトをまもる活動につなげることができます。
カバの生態と特徴【まとめ】
- 生息 サハラ砂漠以南の湿地帯 12万頭
地域による保全の差が大きい - 体格 体長3m 体高1.5m 体重1.5t
性差は小さい - 水中生活に適しているが泳げない
- 皮ふ 無毛 弱い 分厚い
- 赤い汗 皮ふを保護する分泌物
- 生活 群れ(複数の雌雄と子) 夜行性
- オス まきふん(縄張り・道のしるし)
長い歯(争いにつかう)
- オス まきふん(縄張り・道のしるし)
- 食事 草 1日40kg(少量)
- 歯 40本 胃 3層(反芻しない)
- 繁殖 1頭(体重30kg)出産 離乳1.5歳
- 性成熟 8歳以降
- 寿命 30年以上
- 天敵 ヒト、ワニ、ライオン等
カバには意外と知られていない生態やユニークな特徴・進化がたくさんあります。
ほとんどの時間を水中で過ごすのに泳げなかったり、皮ふが厚いのに弱かったり、とってもおもしろい動物です。
動物園で見る水中に沈んでいるだけが「カバ」ではありません。本当のカバの一面を知っていただけたら幸いです。
カバの飼育施設は「カバに会える動物園リストとニュースまとめ」をご覧ください。
以上、カバの豆知識でした。
【参考】
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