すごいぞダチョウ!知れば知るほど面白いダチョウの生態と特徴
動物園でよく見かける動物ダチョウ。みなさんは注目して見たことがありますか?
ダチョウはただの大きな鳥ではありません!
世界一大きな鳥には知られざる特徴がいくつもあります。
zoo zoo diaryは「ダチョウは羽を使うの?卵の大きさは?あしのゆびは何本?」などダチョウの疑問をどんどん解決します!
見れば見るほど、知れば知るほど好きになる不思議な動物「ダチョウ」の予習をして動物園へ会いに行きましょう!
この記事でわかること
✔ ダチョウの種類と形態
✔ ダチョウの生態と特徴
✔ ダチョウに会える動物園
ダチョウとは?
鳥綱ダチョウ目ダチョウ科。
ダチョウのなかまは飛べない鳥「平胸類」と呼ばれています。飛ぶための筋肉をつける部分(竜骨突起)がないため「平たい胸」と書きます。
また、走る鳥「走鳥類」とも呼ばれています。
ダチョウ以外にヒクイドリやキーウィなどが属しています。
平胸類(走鳥類)
- ダチョウ科
- ヒクイドリ科
- キーウィ科
- レア科
現存する科のみ記載 諸説あり
ダチョウはアフリカ大陸のサバンナや草むらに広く分布しています。乱獲等により生息数は減少しています。
ダチョウは2種類
現在、野生には2種のダチョウが存在すると考えられています。
- ダチョウ目 Struthioniformes
- ダチョウ科 Struthionidae
- ダチョウ属 Struthio
- コモンダチョウ Struthio camelus
- ソマリアダチョウ Struthio molybdophanes
- ダチョウ属 Struthio
- ダチョウ科 Struthionidae
かつてソマリアダチョウはコモンダチョウの一亜種だと考えられていました。2014年に独立種であると公表され、2種になっています。
飼育下ではアフリカンブラックという家畜用に改良されたダチョウが一般的です。
コモンダチョウ「赤」
一般に「ダチョウ」と呼ばれています。
コモンダチョウはサハラ砂漠以南~東アフリカ、そして南アフリカに広く分布しています。
- IUCNレッドリスト 低懸念(LC)
- 生息 サハラ砂漠以南~東アフリカ、南アフリカ
- 特徴 首や肢が赤い
個体数は減少傾向であるものの、絶滅のおそれはない(IUCNレッドリスト低懸念)と考えられています。
コモンダチョウは首やあしが赤く、繁殖期には色みが強くなります。
日本動物園水族館協会(JAZA)によると、日本ではコモンダチョウとアフリカンブラックが飼育されています。
ソマリアダチョウ「青」
ソマリアダチョウはエチオピア、ケニア、ソマリア、ジブチの限られた地域にのみ生息しています。
- IUCNレッドリスト 危急(VU)
- 生息 エチオピア、ケニア、ソマリア、ジブチ
- 特徴 首や肢、目が青灰色
分布域が狭いことや減少傾向と予測されることから、絶滅のおそれが高い動物(IUCNレッドリスト危急)です。
ソマリアダチョウはアオクビダチョウ【Blue-necked Ostrich】の別名があり、コモンダチョウに比べて青い首やあしが特徴的。
また、長い首の中ほどから羽毛が生えています。
ダチョウの形態|世界一おおきな鳥
ダチョウは200~300万年前から今日のすがたを維持しています。
体長2メートル、体重100kgを超える最大の鳥類。オスの方が大きく育ちます。
- 体長 オス230cm メス200cm *立位の高さ
- 体重 オス120kg メス100kg
長い首に小さな頭、あしは細く、胴体は羽毛に覆われています。
簡単!ダチョウの雌雄のちがい
実はとっても簡単なダチョウのオスとメスの区別。キーポイントは羽毛の色です。
オスは黒色、メスは茶や灰色。
また、大型でくちばしが赤く、より目立つ存在がオスです。
ダチョウの生態
ダチョウは外敵に素早く気づけるよう、群れで生活しています。
ときには100羽もの大きな群れを成しますが、通常は10羽ほどの小さな群れです。
群れの中には上下関係があり1羽のオスが支配しています。また、メスの中にも優劣があります。
繁殖期には単独オスの出入りが見られます。
産卵に順番がある?!ダチョウの繁殖
ダチョウの繁殖期は夏ごろ。
オスはくちばしやあしの赤みが強くなります。さらに、行動が攻撃的になります。
通常は1羽のオスが支配するダチョウの群れ。ときに繁殖のためオスがせまってくることがあります。その際、オス同士はメスをめぐり争います。
晴れてメスと結ばれたオスは産卵用の巣を掘ります。
ダチョウはオスだけでなくメスの間にも順位があり、第1位のメスが巣の中央に卵を産みます。その後、下位のメスが産卵します。
中央の卵は天敵であるワシの攻撃を避けることができ、子孫を残せる確率が高くなります。最終的に15個ほど卵が並べられます。
1つの巣に母親ちがいの卵が混在している状態。しかし、巣を守るのはオスと優位メスの2羽のみ。
日中はメス、夜間はオスと、交代で卵をあたためます。卵はおよそ40日で孵化します。
成長がはやい!ダチョウの赤ちゃん
生まれたてのダチョウの赤ちゃんは体重1kg、体長15cmほど。
まだらな毛でとても小さいため、はじめて見る方はダチョウの赤ちゃんだとわからないかもしれません。
ちょこまか動きまわって、おうちで飼えそうだなと思ってしまうほど可愛いダチョウの赤ちゃん。
ところがダチョウは成長がとってもはやく、たった1年で100倍(約100kg)の大きさになります。
性成熟は3歳前後です。
長生き!ダチョウの寿命
野生ダチョウの寿命は40年以上。野生では50年、飼育下では60年以上個体が確認されています。
長生きなダチョウは繁殖可能な期間も長く、メスは30年以上毎年数十個もの卵を産みつづけます。
一方で、飼育下では環境のせいか平均寿命は野生よりみじかい傾向にあります。異物を食べたり事故にあったりという悲しいニュースをしばしば見かけます。
動物園や牧場では物を落としたり取られたりしないよう注意しましょう。
ダチョウの特徴
最も大きな飛べない鳥。
これだけでも立派な特徴ですが、ダチョウにはたくさんユニークな点があります。ひとつひとつ見ていきましょう!
- 飛べない羽
- 植物好き
- 大きな目
- 大きな卵
- 強いあし
羽|飛べない羽は何につかうの?
一般に鳥の羽を形成する毛(羽枝)はきれいに並んでいます。羽枝に生えた小羽枝がフックとなり、羽枝を固定しているからです。
固定された羽枝は面をつくり、揚力を与えてくれます。つまり、鳥の羽は空気抵抗をうまく利用して飛行を可能にしています。
鳥の羽1枚を観察すると、つるんとして形が整っていることがわかります。
ダチョウの羽は「ふわふわ」
ところが、ダチョウの羽は見るからに柔らかくふわふわしていますよね。
実はダチョウの羽枝は無造作に生えています。飛ばないダチョウに空気抵抗は必要ないからです。
さらに多くの鳥と異なる点は、ダチョウの羽毛はすぐに水を吸い込んでしまうこと。
空気のたまり場となる鉤状の小羽枝がないうえに分泌液(脂)が出ないため、防水性はありません。
雨の日のダチョウの羽はふわふわを失い、しっとりしているのがわかります。
飾りじゃない!ダチョウの羽の役割
さて飛ぶことができないダチョウの羽は、ただ生えているだけで何の役目もないのでしょうか?
いえ、もちろん必要だからあります。
バランスをとるため
ダチョウは走るときに羽を使います。方向転換の際にバランスをとる役割を担っています。
羽を動かすことで縦横無尽に駆けまわることができ、肉食動物やハンター等の脅威から逃れています。
求愛【ディスプレイ】のため
しかし、羽を最も必要とするのは繁殖期。
ダチョウは羽を広げたり高くあげたりして、威嚇や求愛などを表現します。反対に羽をさげるときは服従の合図です。
羽を大きく動かし首をひねるオスダチョウの求愛行動は、メスダチョウだけでなく多くのヒトを魅了しています。
【YouTube】Nat Geo WILDでダチョウの求愛をチェック!
食べもの|鳥なのに草食動物?!
ダチョウは「鳥なのに飛べない」だけでなく、「鳥なのに草を食べる」いわゆる草食動物です。
そのため、キリンやシマウマと混合展示している動物園をよく見かけます。
ダチョウは環境適応能力があり、草などがない場合は昆虫、ネズミやトカゲなど小さな動物を食べることが報告されています。
とはいえ、主食は植物の根や葉、種など。
飼育下では野菜や草、配合飼料などが与えられますが、基本的に何でも食します。
エサを選ばないダチョウは飼育しやすく、近年は牧場など家畜(アフリカンブラック)としての需要がふえています。
飲み込んだ石で植物を消化
歯のない鳥類であるダチョウは硬い植物をすりつぶすために石を飲み込みます。ダチョウが飲み込む石(胃石)は、なんと1kg以上!
胃の筋肉を動かすことにより、胃石が食物を細かくします。消化しやすい状態となった食物は腸へとすすみます。
ダチョウは14メートルもの長い腸を有します。消化時間は30時間超え。植物から栄養や水分を十分に吸収するためです。
複雑な胃腸構造のおかげで、ダチョウは他の動物が消化できないようなものを消化できます。また、水を飲まなくても植物から水分を得られます。
だからこそ、ダチョウは長い歴史を生きぬくことができたのですね。
目|大きさと視力の良さ
小さい顔に対してくりくりとした大きな目。ダチョウは陸上動物のなかで最も目が大きい動物です。
ダチョウの目は直径5cmほど、ヒトの約5倍の大きさです。実はダチョウは脳より目が重いといわれています。
また、ダチョウの目は大きいだけでなく視力も抜群!
正確に測定することは不可能でしょうが、世界一視力が良い動物に挙げられます。数km先までゆうに見渡すことができます。
また、聴覚も優れているダチョウ。広いサバンナで即座に危険を察知し回避しています。
卵|大きいけど小さい?!
ダチョウの卵の形はわたしたちが普段目にする鶏の卵と同じ。
一方、大きさは20倍以上!殻の厚さ2mm、重さ1.5kg、直径15cmほどあります。
大きさとしては最大であるダチョウの卵。
ところが、体に対する卵の比は最も小さいといわれています。
ちなみに、味は鶏卵の方が濃く美味しいそうです。
しかし、ダチョウの卵は他とはひと味違います。それは、医療分野での躍進です。
ダチョウの抗体研究
ダチョウの卵から抗体をつくる研究が近年おこなわれています。
抗体には体の中の異物を取りのぞく働きがあります。
ダチョウからつくられた抗体はインフルエンザウイルスや花粉といった病原体をやっつけてくれるのです。
しかも、従来の方法より安価で大量に生産できるという優れもの。
さらに、がんの発見・治療へ応用する研究もおこなわれ、大きなダチョウの大きな卵には無限の可能性が秘められています。
ダチョウは食用、羽、皮革と非常に利用価値がたかい動物。さらに、移動や娯楽のために乗用としてつかわれることもあります。
帽子の羽飾りやオーストリッチ革の製品はよく見かけます。
また、ダチョウの肉を提供するお店は国内にいくつもあります。
前述の抗体研究も相まって、ダチョウはわたしたちの生活に大きな恵みをあたえています。
需要があるだけに乱獲のため野生ダチョウの数は減少しています。
現在コモンダチョウは絶滅危惧されていませんが、個体数維持のため上手に付き合っていく必要があります。
あしと指|パワフル+俊足
まだまだ続くダチョウの特徴!忘れてはいけないのがあしの速さ!
ダチョウは細いイメージがありますが、体重は何kgあると思いますか?
おとなのダチョウの体重は約100kg。大きなオスは130kgもあります。
にもかかわらず、ダチョウは時速60kmで走れる強靭なあしの持ち主です。歩幅は3~4メートルといわれています。
ダチョウのキックを受けると、人間はおろかライオンさえも吹き飛ばされます。
また、肉食動物と異なり体力があるため1時間ほど全速力で走ることができます。
そのため、長い歴史のサバイバーとなっています。
ダチョウのゆびは2本だけ!
あしの強さがわかったところで、ダチョウ好きなら「ゆび」の数まで知っておきましょう。
なんとダチョウのゆびはたった2本しかありません!
合計4本の指で100kgの体を支えています。かつ、あのスピードを生みだすとは驚くばかりです。
一般的な鳥のゆびは、木につかまったり獲物を捕らえたりするため4本ずつあります。
アフリカのサバンナで草食動物のように生活するダチョウに4本のゆびは必要なかったのでしょう。
ウマのようにゆびの数を減らし速く走ることを選択したのでしょう。
ちなみに2番目に大きな鳥類オーストラリア原産のエミューのゆびは3本です。
動物園で見かけた際は、ぜひ見比べてみてください。
ダチョウに会える動物園
アフリカの動物ですが、多くの方が1度は見たことがあるのではないでしょうか?
ダチョウは全国30カ所以上の動物園で飼育されています。
北海道~関東
- 円山動物園
- 旭山動物園
- 釧路市動物園
- 岩手サファリパーク
- 盛岡市動物園
- 八木山動物園
- 群馬サファリ
- 東武動物公園
- 多摩動物公園
- 那須サファリ
- 羽村市動物公園
- 千葉市動物公園
- 野毛山動物園
中部~関西
- 伊豆アニマルキングダム
- 日本平動物園
- 浜松市動物園
- 豊橋総合動植物公園
- 東山動植物園
- 豊田市鞍ヶ池公園
- アドベンチャーワールド
- 王子動物園
- 姫路セントラルパーク
- 姫路動物園
- 池田動物園
中国~九州
- 安佐動物公園
- 福山動物園
- 徳山動物園
- 秋吉台サファリ
- とべ動物園
- 久留米市鳥類センター
- 長崎バイオパーク
- 熊本市動植物園
- フェニックス自然動物園
- 平川動物公園
- 沖縄こどもの国
- ネオパークオキナワ
ダチョウの赤ちゃんが誕生しました
2022年6月北海道旭川市・旭山動物園でダチョウの赤ちゃんが孵化しました。
成長がとっても早いので、小さなダチョウを見たい方はお早めに!
ダチョウの展示は終了しました
2022年2月福岡市動物園はオス(22歳)の死亡により、同年5月大阪市・天王寺動物園はメス2頭の移動により、ダチョウ展示を終了しました。
牧場の人気者に!
日本動物園水族館協会に加盟していない動物園でも、ダチョウは飼育されています。
近年はダチョウ飼育の人気により、エサやりなどふれあえる牧場等がふえています。
熊本県阿蘇市カドリー・ドミニオンではダチョウにふれあうことができます。
ふわふわのダチョウの羽毛は癒されること間違いなしです。
ダチョウの生態と特徴【まとめ】
- ダチョウ科2種
- コモンダチョウ 赤みがある
- ソマリアダチョウ 青みがある
- 最大の体、目、卵をもつ鳥
- 体長2m 体重100kg以上
- 目 直径5cm(世界一視力が良い)
- 卵 直径15cm 重さ1.5kg(抗体研究に利用)
- 羽毛 メスは灰~茶色 オスは黒色
- 役割 走行時バランスをとる
繁殖期の求愛ダンス(オス)
- 役割 走行時バランスをとる
- 食事 草食(雑食)胃石と長い腸で消化
- あし 時速60km以上 ゆび2本
- 繁殖 優位メスが巣の中央に産卵
オスと優位メスで巣を守る
メスは30年以上毎年産卵する
子は1年で100倍に成長
性成熟3歳 - 寿命 野生40年以上 飼育下60年以上も
誰もが知る世界一大きな飛べない鳥、ダチョウ。
草食動物のようにアフリカの草原を走りまわり、何百万年という長い歴史を生きている動物です。
飛ぶ鳥とは異なる羽やゆびのつくり。優れた目と耳など。世界一大きな飛べない鳥には、たくさんの特徴があります。
全体を見ることも大切ですが、ぜひじっくり細部まで観察してみてください。
以上、ダチョウの豆知識でした。
【参考】
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