サイに会える動物園【シロ・クロ・インド】種類別一覧とニュース|2022年
サイ「犀」といえば?
大きな体と角をもつ草食動物。
では、あなたがよく見るサイは「何」サイでしょうか?
いま世界には大きく5種類のサイがすんでいます。そのうち3種類のサイ「シロサイ」「クロサイ」「インドサイ」に日本で会うことができます。
zoo zoo diaryはサイの種類別の飼育動物園リストを作成しました。ワンクリックで会いたいサイがいる動物園を探すことができます。
また、赤ちゃん誕生や移動などサイにまつわる最新情報をまとめてお届けします。
サイとは?
奇蹄目(ウマ目)サイ科。ひづめの数が3つの草食動物です。
現存するサイは大きく5種類。インドサイ属は2種(インドサイ、ジャワサイ)それ以外は独立した属に1種のみ確認されています。
すべてのサイがワシントン条約により規制されています。
- 奇蹄目 Perissodactyla
- サイ科 Rhinocerotidae
- シロサイ Ceratotherium simum
- クロサイ Diceros bicornis
- スマトラサイ Dicerorhinus sumatrensis
- インドサイ
- インドサイ Rhinoceros unicornis
- ジャワサイ Rhinoceros sondaicus
- サイ科 Rhinocerotidae
日本で会えないサイはスマトラサイとジャワサイ。IUCNレッドリスト深刻な危機(CR)と評価されています。スマトラサイの生息数は80頭未満、ジャワサイは70頭未満と絶滅寸前です。
さらに日本で会えるクロサイとインドサイも絶滅危惧種です。
さいわい北海道と沖縄をのぞく20か所以上の国内の動物園がサイを飼育・展示しています。
本記事はサイの種類別動物園リストです。
サイをもっとくわしく知りたい方は「サイの疑問【生態と特徴】にお答え」をご覧ください。
シロサイに会える動物園【12か所】
シロサイは2亜種「キタシロサイ」「ミナミシロサイ」に分類されています。
角は2本。オスは体長4メートル、体重3トン超。サイのなかまで最も大きいといわれています。
動物園で会えるシロサイはすべてアフリカ南部に生息するミナミシロサイ。
野生ではもっとも数が多いサイ(推定1万8千頭)ですが、大量の密猟被害がつづいています。将来、絶滅のおそれがある動物(IUCNレッドリスト準絶滅危惧)です。
ミナミシロサイの80%以上が生息する南アフリカ共和国。国をあげて保護・繁殖活動をおこなっています。
南アフリカ共和国の施設で生まれたミナミシロサイは世界中の動物園で暮らしています。日本にいるシロサイの多くも南アフリカ出身です。
2022年12月現在、12の施設で40頭ほどのシロサイが飼育されています。
東北~中部
- 那須サファリパーク
- 群馬サファリパーク
- 東武動物公園
- 富士サファリパーク
- 日本平動物園
- 伊豆アニマルキングダム
- 豊橋総合動植物公園
関西・九州
- アドベンチャーワールド
- 姫路セントラルパーク
- 福岡市動物園
- アフリカンサファリ
- 平川動物公園
広大な敷地を有するサファリパークでは複数頭のサイを展示しているので迫力満点です!また、混合展示では異種間のコミュニケーションをかいま見ることができます。
シロサイのサイコが亡くなりました|日本平動物園 2022年
静岡市・日本平動物園で33年間ものあいだ飼育されていたシロサイのメス「サイコ」2022年8月、がんのため死亡しました。
サイコは1981年和歌山県・アドベンチャーワールド生まれ。41歳と長生きでした。
2022年12月現在、日本平動物園は1982年生まれのオス「タロウ」1頭を飼育しています。
シロサイのサイカが亡くなりました|盛岡市動物公園 2021年
南アフリカの保護施設でそだった盛岡市動物公園のシロサイ「サイカ」2021年6月に亡くなりました。
来日後は山口県・秋吉台サファリランドで飼育され、盛岡市へは1992年にやってきました。
サイカは加齢のためいろいろなところが衰えていました。2018年ごろからは立つことがむずかしい状況に何度かおちいっていました。
しかし、懸命な処置そしてサイカの生きる力。スタッフとサイカの協力により推定46歳という国内最高齢まで生きることができました。
おおくの人に勇気や希望をあたえてくれたサイカに感謝です。
サイカの死亡により盛岡市動物公園のシロサイ飼育は終了しました。
かわって2022年10月、仙台市・八木山動物公園よりメスのクロサイ「ラン」が来園しています。
東武動物公園|シロサイ来園 2021年
埼玉県・東武動物公園は1981年から飼育してたシロサイ「ヨシコ」を2020年3月に亡くし、サイ展示が終了していました。
悲しみにくれるなかうれしいニュースが!
2021年6月、台湾の動物園よりメス1頭が来園しました。名前は「エマ」2015年生うまれ。小さく可愛らしいシロサイです。
さらに同年10月には富士サファリパークより2010年生まれのオス「モラン」がやってきました。
エマはCOVID-19の影響で、モランは輸送箱の破壊により、来園がおくれていました。2頭ともストレスを抱えながらも埼玉県にやってきてくれました。
2頭がうまく東武動物公園になじめるよう、あたたかく見守りましょう。
富士サファリで赤ちゃん誕生!2019年
なかなかシロサイ誕生のニュースが届かないなか、2019年12月、待ちに待ったシロサイの赤ちゃんが富士サファリパークで誕生しました。
40年以上のシロサイ飼育歴のある富士サファリパーク。今回は2010年、2013年につづく3回目の繁殖成功です。
4頭以上のシロサイを飼育・展示し、ひきつづき繁殖活動に力をいれています。またうれしいお知らせがあるといいですね。
福岡市にシロサイ2頭来園 2019年
2019年12月、福岡市動物園に南アフリカ共和国から2017年生まれのサイ(オス1頭メス1頭)がやってきました。
2016年に日本最高齢のオス「ロック」が亡くなって以来、待望のシロサイ飼育です。
オスは「ミライ」メスは「ミナミ」2頭はとても仲が良いようす。いつかシロサイの赤ちゃんを見れる日が来るかもしれませんね。
アドベン|サイがふえました 2018年
2018年9月、和歌山県・アドベンチャーワールドに3頭のシロサイがくわわりました。南アフリカ共和国からやってきた2015年生まれの個体(オス1頭メス2頭)です。
若年のため、もともといる4頭に比べるとわずかに小柄。しかし立派なシロサイです。あそびで角突きをするなどまだ幼さがのこっています。
将来の繁殖をめざした導入とのこと。
同園はこれまでに10回のサイ出産を経験しています。いつかサファリを走りまわる子サイが見れるかもしれません。
2022年12月現在、アドベンチャーワールドは計7頭のシロサイを飼育しています。たくさんサイを見たい方にはおすすめの動物園です。
のんほいパーク|若メス来園 2018年
2018年9月、愛知県・豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)に南アフリカ共和国から1頭のメスが来園「ソフィア」2016年生まれです。
のんほいパークは1992年からオスの「トム」メスの「タンディ」を飼育しています。ともに推定1990年生まれです。
まだ小さくあどけないソフィア。無事、日本そしてトムとタンディになれてくれました。現在は3頭いっしょに展示できるほどに落ち着いています。
さらに2020年以降、トムとソフィアの交尾が数回確認されています。
当時ソフィアは性成熟しているものの、サイの平均初産年齢6歳には達していませんでした。2022年6月までに妊娠の報告はありません。
しかしながらトムに意欲があること、ソフィアがトムを受けいれることがわかりました。今後の2頭の関係から目がはなせません!
くわしくは「のんほいパークのウェブログ」をご覧ください。
クロサイに会える動物園【11か所】
クロサイは4亜種「ニシクロサイ」「ヒガシクロサイ」「ナンセイクロサイ」「ナントウクロサイ」に分類されています。
そのうちヒガシクロサイが日本の動物園で飼育されています。
絶滅危惧種であるクロサイ。類まれな保全活動により生息数が安定~増加傾向にあります。
しかしならが、ヒガシクロサイとナントウクロサイは現在もなお絶滅寸前(IUCNレッドリスト深刻な危機)です。
2022年12月現在、11の動物園で20頭以上のクロサイが飼育されています。
東北~中部
- 盛岡市動物公園
- 八木山動物公園
- かみね動物園
- 上野動物園
- 金沢動物園
- よこはま動物園ズーラシア
- 東山動植物園
関西~九州
- 天王寺動物園
- 安佐動物公園
- とべ動物園
- 熊本市動植物園
ヘイルストーンは亡くなりました|安佐動物公園 2022年
1991年アメリカの動物園で生まれ、1999年に広島市・安佐動物公園にやってきたオス「ヘイルストーン」
日本に来てから7頭もの子をのこしてくれました。ヘイルストーンの子どもたちは日本だけでなく中国でも愛されています。
そんなビックダディのヘイルストーン。
2020年ごろからあしの動きが悪くなっていました。最終的には立ちあがることも食事をとることもできなくなり、安楽殺となりました。
まだ30歳だったヘイルストーン。
しかし、治療ができたのか否かは実際に現場にいる方々にしかわからないことです。安佐動物公園スタッフにとって苦渋の決断だったと思います。
ヘイルストーンが安らかに眠り、のこされた子孫が健やかに過ごせることを願っています。
かみね動物園 クロサイ3頭に!2022年
茨城県・かみね動物園は2022年12月にクロサイのペアを導入し、繁殖に挑むこととなりました。
かみね動物園は2000年、2009年とクロサイ繁殖に成功しています。
今回来園したメスは2009年に同園で生まれた「サニー」2012年に鹿児島市・平川動物公園へ移動したため、約10年ぶりの帰省です。
オスは2019年とべ動物園で生まれた「フー」まだ幼さのある小さなクロサイです。
サイのオスは10歳ごろに繁殖をはじめるといわれています。サニーとフーの同居はしばらく先になりそうです。
2022年12月現在、かみね動物園はサニーとフーにくわえサニーの父「メトロ」計3頭のクロサイを飼育しています。
盛岡市で初のクロサイ展示 2022年
1992年よりシロサイのペア飼育をはじめた岩手県・盛岡市動物公園。2002年にオス、2021年にメスが亡くなり、サイの飼育・展示が終了しました。
長年サイがいた動物園からサイがいなくなりさみしい思いをしていたところ、2022年10月なんと仙台市からメスのクロサイ「ラン」がやってきました。
ランは2019年に宮城県・八木山動物公園ではじめて生まれたクロサイです。
現在、盛岡市動物園はリニューアルのため閉園中。2023年春のオープンが待ち遠しいですね!
とべ動物園|待望のオス誕生 2019年
2019年9月、愛媛県・とべ動物園で1頭のオスが生まれました。子は「フー」と名付けられ、よく食べ大きく成長中です。
2019年は貴重なクロサイ繁殖に2園が成功し、よろこばしい1年となりました。
日本のクロサイはメスが多かっただけに、フーは未来の鍵をにぎる存在になるかもしれません。
2022年12月、ついにフーの旅立ち。
行き先は茨城県・かみね動物園です。2009年生まれのメス「サニー」との繁殖に挑みます。
オスのサイは性成熟がおそく、繁殖をしはじめるのは10歳ごろといわれています。少し先のことになりそうですが、あらたな命が誕生する日がきますように。
仙台でクロサイ繁殖に初成功!2019年
2019年2月、仙台市・八木山動物公園ではメス1頭が誕生。初めてのクロサイ繁殖に成功しました。
名前は「ラン」元気に走りまわる姿がとても可愛らしく、いつまでも見ていれる光景です。
母親の愛情をうけてすくすく成長したラン。2022年10月、盛岡市動物公園へ移動しました。
ランの移動はクロサイ繁殖をうながす取り組みの一環とのこと。
父「アース」は17歳、母「ユキ」はまだ10歳と若いので第2子誕生に期待しましょう!
安佐動物公園はクロサイ界のトップ?!
2018年9月、広島市安佐動物公園の「ハナ」がクロサイ世界最高齢・推定52歳でその生涯を終えました。
パートナーだった「クロ」は2011年に亡くなりましたが、推定44歳と長生きでした。
しかし、この安佐動物公園は長寿だけがトップではありません。日本のクロサイ界の「祖」といえる存在です。
ハナとクロの間には10頭の子が誕生しました。
また、安佐動物公園では1999年ホノルル動物園からやってきた「ヘイルストーン」とハナの娘「サキ」にも子が誕生しています。
日本クロサイ界の半数がハナの子孫になるほど、繁殖に貢献しています。
安佐動物公園では現在までに19頭のクロサイが誕生!
八木山動物公園で母となったユキも、とべ動物園で父母となったストームとクーも安佐動物公園生まれです。
これはハナとクロの遺伝子もさることながら、サイの生態や生息地について学び実践した方々のおかげでもあります。
これからもクロサイ繁殖のリーダーとして動物園界を牽引していただきたいです。
インドサイに会える動物園【4か所】
インドサイはインドとネパールの2か国にしか生息していません。
絶滅寸前でしたが、両国のきびしい規制の結果、その数をふやしています。2018年には生息数3500頭ほどと推定されました。
しかし、現在もなお絶滅のおそれが高い動物(IUCNレッドリスト危急)です。
2023年5月現在、日本では4か所の動物園で7頭のインドサイに会うことができます。
多摩動物公園
- ゴポン(1999年生)
- ビクラム(2001年生)
金沢動物園
- ナラヤニ(2001年生)
東山動植物園
- ニルギリ(1991年生)
- セラ(2003年生)
- ブンタ(2009年生)
秋吉台サファリ
- チャンプ(2014年生)
横浜市・金沢動物園、名古屋市・東山動植物園ではクロサイとインドサイの2種を展示しています。
【関連記事】7頭だけ!日本にいるインドサイ【動物の相関図】2023年5月
ターが亡くなりました|多摩動物公園 2023年
2023年4月、多摩動物公園で飼育されていたインドサイのオス「ター」が亡くなりました。26歳でした。
2月ごろからあしの痛みがあり、自力で起きあがることが難しくなっていたようす。
大きな動物が横になると、下になった側に負担がかかったり、血液の流れが悪くなったりします。そのため、ある程度の時間が経つと自ら起きあがるのが通常です。
ターのように、起立不能による大型動物の死は野生でも動物園でもしばしば報告されます。
ターの死亡により多摩動物公園のインドサイはオス「ビクラム」メス「ゴポン」の2頭です。
キンタロウが亡くなりました 2022年
2022年6月、横浜市・金沢動物園のオスのキンタロウが亡くなりました。38歳でした。
金沢動物園はクロサイとインドサイの繁殖に成功した実績があります。
最近では2017年クロサイのオス(誕生後まもなく死亡)、2014年インドサイのオス「チャンプ」が誕生しています。
インドサイの繁殖は国内で6例しかなく、そのうち3例が金沢動物園です。
キンタロウのパートナーだった1999年生まれの「ゴポン」さらなる繁殖をめざして、2020年12月から多摩動物公園で飼育されています。
一方で2021年3月、多摩動物公園からブリーディングローンにより推定2001年生まれのメス「ナラヤニ」がやってきました。しかしながら繁殖へはいたらず。
キンタロウは国内最高齢インドサイでした。繁殖経験のあるオスだったこともあり、とてもかなしいです。
多摩動物公園|ゴポンに期待!
東京都・多摩動物公園はオスの「ビクラム」そしてキンタロウと繁殖に成功したメスの「ゴポン」が暮らしています。
2021年にはゴポンの発情やビクラムがゴポンにマウントする様子が伝えられています。あたらしい命が誕生することを祈っています。
秋吉台サファリ|最若のインドサイ
日本でもっとも若いインドサイ「チャンプ」2014年に横浜市・金沢動物園で生まれました。ざんねんながらチャンプ以降、国内のインドサイ誕生はありません。
チャンプは2016年山口県・秋吉台サファリランドに移動。
道路沿いでごはんを食べているときは目の前でチャンプを見ることができます。また、豪快な水浴びや岩石との角突きも見れるかもしれません。
動物園とはちがった雰囲気を味わってみてください。
2022年12月現在、秋吉台サファリランドのインドサイは1頭のみ。
いつかパートナーと出会い、父キンタロウのように子孫をのこせる日がきますように。
[広告]不要なものは買わないことが一番。必需品は売上の一部が寄付されるような商品を選ぶことで、自然や動物またはヒトをまもる活動につなげることができます。
サイは長年ヒトによる生息地破壊や密猟にくるしめられています。
近年はたくさんの国や地域で保護・密猟抑止がおこなわれ、成果がではじめています。
しかしながらミナミシロサイはいまだに密猟被害がおおく減少傾向。クロサイやインドサイは5千頭ほどしかおらず、絶滅の危機に瀕しています。
さいわい日本の動物園は3種類のサイ「シロサイ」「クロサイ」「インドサイ」を飼育・展示しています。
ミナミシロサイは南アフリカ共和国との取引がおこなわれ、ある程度個体数は保たれています。
一方でクロサイの導入は16年ぶりだった2015年が最後。インドサイにいたっては20年以上導入されていません。
さらにインドサイは2014年以降繁殖例なし。2022年キンタロウの死亡後、国内飼育数は8頭となりました。日本の動物園から姿を消す日がすぐそこまで来ています。
いまサイたちに会えることに感謝し、サイたちが健やかに過ごせるよう応援しましょう!
以上、サイに会える動物園でした。
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