マンドリルに会える動物園【2022年赤ちゃん誕生】20か所以上
あざやかなお顔とお尻のもちぬし「マンドリル」
インパクト大の見た目にもかかわらずマントヒヒと言われることもあり、意外とマイナーな動物です。
絶滅の危機にひんしているマンドリルですが、日本では約70頭のマンドリルが全国20か所以上の動物園で飼育されています。
見れば見るほど素敵なマンドリルに会いに行きましょう!
この記事でわかること
✔ マンドリルの生態と特徴
✔ マンドリルに会える動物園
マンドリルとは?
霊長目オナガザル科マンドリル属。
ガボン、赤道ギニア、カメルーン、コンゴ共和国にのみ生息します。
通常、1頭の優位なオス(アルファオス)が複数頭のメスとその子どもたちを引きつれています。
ときにはいくつもの群れがあつまり、何百頭もの大きな群れをなす社会性のたかい動物です。
食料が豊富な熱帯雨林をこのみ、エサを探しながら歩きまわる生活を送っています。
ジャングルにすむサルらしく木登りが上手。しかし、マンドリルはほとんどの時間を地上で過ごします。
- Mandrillus sphinx
- IUCNレッドリスト 危急(VU)
- ワシントン条約 附属書Ⅰ
- 生息 アフリカ西部の森林
- 食性 雑食(果物、虫、葉など)
- 体長 オス80cm メス60cm
- 体重 オス25kg メス12kg
オスはメスの2倍!最も大きく最も鮮やかなサル
オスは体長80cm、体重30kgほどと迫力大!旧世界サル(アジア、アフリカ大陸のオナガザル科)で最大の動物です。
一方のメスは体重10kg弱とオスの半分以下という小さな可愛らしいサルです。
最大の特徴はカラフルなお顔。褐色の地味な体に対して、鼻筋の赤とその周りの青、そして黄色いヒゲと美しく彩られています。
オスだけが派手な顔をしていると思われがちですが、実はメスもおなじ配色。暗い森の中でも目立ち、仲間を認識しやすいのだとか。
ところが生まれたての赤ちゃんは淡いピンク色。その後なぜか徐々に黒くなるという不思議なお肌。2~3年すると色味がでてきます。
ちなみに、お尻が紫色になるのはオスだけ。また、オスの成獣はより鮮やかに発色し、メスを魅了すると考えられています。
マンドリルは絶滅の危機に瀕しています
マンドリルが暮らす地域は人口増加により森林が道路や農地等に変わり、マンドリルの住みかが減ってきています。
大きな群れで暮らすマンドリルは十分な食料がなければ生きていけません。森林の減少はエサ不足につながり、マンドリルたちを苦しめています。
さらに、食肉(ブッシュミート)目的の狩猟が横行。とくに赤道ギニアとカメルーンでの密猟が多く、一部地域ではマンドリルが絶滅しています。
マンドリルは絶滅のおそれが高い動物(IUCNレッドリスト危急)としてワシントン条約による規制をうけています。
マンドリルに会える動物園
野生では減少しつづけているマンドリル。
幸運なことに日本では現在70頭ほどのマンドリルが飼育されています。
北海道~中部
- 円山動物園
- おびひろ動物園
- 那須モンキーパーク
- かみね動物園
- 東武動物公園
- 千葉市動物公園
- 市川市動植物園
- 日本平動物園
- 浜松市動物園
- のんほいパーク
- 東山動植物園
- 日本モンキーセンター
関西~沖縄
- 京都市動物園
- 天王寺動物園
- とべ動物園
- のいち動物公園
- 安佐動物公園
- 福山市立動物園
- 徳山動物園
- 到津の森公園
- 大牟田市動物園
- フェニックス自然動物園
- 平川動物公園
- 沖縄こどもの国
かみね動物園にマンドリルはいません|2023年11月
2023年1月、日立市・かみね動物園のオスマンドリル「ケンシロウ」が亡くなりました。
ケンシロウは2006年埼玉県・東武動物公園生まれ。2010年よりかみね動物園で暮らし、繁殖に成功しました。
2017年に生まれたリエルとケンシロウの子「シンゴ」は広島市・安佐動物公園で飼育されています。
2022年夏から下半身麻痺となり治療をつづけていましたが、状態が悪化し死に至りました。
ケンシロウの死亡により、かみね動物園のマンドリルはメス「リエル」1頭へ。
そして2023年1月、リエルが愛知県・日本モンキーセンターへ移動し、かみね動物園のマンドリル展示は終了しました。
宮崎初!マンドリルの赤ちゃん誕生
2023年5月、宮崎市・フェニックス自然動物園にマンドリルのメス2頭がやってきました。
1頭は愛知県・日本モンキーセンターの「ディディ」2011年生まれ。もう1頭は北九州市・到津の森公園の「エルサ」2017年生まれです。
2頭とも群れのなかで生まれ育ったマンドリルらしいマンドリルです。コミュニケーション能力も高いようで、2頭は難なく仲良くなったようです。
そして、翌6月には大阪市・天王寺動物園よりオス「マンマル」が来園。マンマルは2007年京都市動物園で生まれ、2010年より大阪市で飼育されていました。
大阪ではひとり暮らしだったマンマル。メスたちと馴染めるか心配でしたが、11月からは3頭同時展示が開始されました。
群れの雰囲気が良く繁殖が期待されるなか、2024年7月エルサが1頭のオス「ヒナタ」を出産!エルサは初産ですが、しっかり子育てしております。
翌月からは、マンマルを含む群れ4頭で展示されています。今後の群れの成長に注目です。
のいち動物公園2020年2023年と繁殖成功!
2020年7月、高知県・のいち動物公園で20年ぶりとなるマンドリルの赤ちゃん「マリー」が誕生しました。
母親は2013年京都市動物園生まれの「マンゴー」父親は2005年浜松市動物園生まれの「リュウ」です。
リュウは浜松市動物園で4歳という若さでジェナの父親となり、2014年ごろ高知県へ移動してきました。マンゴーは初産でしたが、愛情深く子育てしてくれました。
マリーは群れのなかでのびのび元気に成長。そして2022年9月千葉市動物公園へ旅立ちました。
その後、父母2頭暮らしとなり、2023年8月新たな命が誕生!子はメス「リンゴ」と名付けられ、すくすく育っています。
魅力!無柵放養式の開放的なマンドリル展示場
日本の動物園のマンドリル展示場は「檻」が主流。
ところが、のいち動物公園は柵のない広々とした無柵放養式展示を採用しています。
距離はあるものの、遮るものなくマンドリルを観察できるめずらしい動物園。天気の良い日に見に行きたいですね。
豊橋のんほいパーク2022年マンドリル誕生
2022年9月、愛知県・のんほいパーク(豊橋総合動植物公園)でオスのマンドリル「トウゴ」が誕生しました。
母親は2000年日本モンキーセンター生まれの「オヨメ」父親は2013年大牟田市動物園生まれの「ノエル」年の差ペアです。
実はオヨメは昨年ノエルとの第1子を出産。しかし、ノエルとの同居がうまくゆかず子は死亡してしまいました。
ノエルにとってはじめての子どもだったため接し方がわからなかったのかもしれません。
その数日前には4歳のオスが群れのなかで怪我をして亡くなっており、のんほいパークのマンドリルたちは落ち着きを失っていたのかもしれません。
動物の言葉はわからないため、いったい何が問題だったのか明確ではありませんが。動物園人にとってとても辛い1年だったと思います。
さいわいトウゴは怪我することなくオヨメの愛情をたっぷりうけて成長中です!
浜松からメスのマッチャがやってきました!オヨメ親子と同居中
2022年7月には静岡県・浜松市動物園よりメスの「マッチャ」(2019年生)が来園。ノエルとのペアリングが期待されています。
野生マンドリルはオス1頭に対してメスが何頭もいることが正常。
長年メス1頭だけだったオヨメは本当によくできたお嫁さんです。そしてマッチャにも優しいという素晴らしいお方!
マッチャはまだ幼いので子を生むには数年かかるでしょう。現在はオヨメ親子といっしょに展示されています。
合計7頭のマンドリルが飼育されています
マッチャの来園とトウゴの誕生により、2022年10月現在のんほいパークのマンドリル飼育頭数は7となりました。
- オヨメ(2000年生)
- ダイゴロウ(2009年生)
- ノエル(2013年生)
- ヨシツネ(2017年生)
- ツヨシ(2018年生)
- マッチャ(2019年生)
- トウゴ(2022年生)
3つの放飼場があり、オヨメ親子・マッチャの3頭とオスはわけて展示されています。
浜松市動物園ティア4頭目の出産!
2021年9月、静岡県・浜松市動物園でオスの赤ちゃん「ユッカ」が誕生しました。
母親は2008年日本モンキーセンター生まれの「ティア」父親は2010年浜松市動物園生まれの「ジェナ」です。
ユッカはこのペアにとって4頭めの赤ちゃん。ティナは出産・育児を難なくこなし、ユッカは元気に育っています。
若いメス「ルル」来園!ティアは大牟田市動物園へ
2022年11月、繁殖計画のもとティアは大牟田市動物園へ移動。そして大牟田市動物園からはルル(2017年生)が来園しました。
今回の移動はおなじ子孫ばかり増えてしまわないように考慮した結果と思われます。ルルとジェナの新たなペア誕生に期待が寄せられています。
マンドリル飼育頭数「5」みな若い個体です
ユッカの誕生により、浜松市動物園のマンドリルは5頭となりました。
- ジェナ(2010年生)
- ナッパ(2016年生)
- ルル(2017年生)
- ハッカ(2018年生)
- ユッカ(2021年生)
今回ティアが移動したことにより、しばらく頭数がふえることはなさそうです。
浜松市動物園のマンドリルはアルファオス(父親)であるジェナが12歳で最年長と若ものばかり。
長男ナッパがおとなへ近づき、これから父親やあたらしいメスとどう関わっていくのか注目です。
徳山動物園のマンドリルは子だくさん
山口県周南市・徳山動物園では2016年、2019年につづき2020年にも繁殖に成功しています。
母親は2010年京都市動物園生まれの「ロマン」父親は2006年平川動物公園生まれの「アタル」です。
子は「ヒカル」と名付けられ、きょうだいとともに元気に育っています。
4頭のマンドリル一家に会えます
実は5頭の子をもうけているロマンとアタル。ざんねんながらうち2頭は幼いころに亡くなってしまいました。
おとなメスへと成長しつつある「リオ」(2016年生まれ)は2023年10月北九州市・到津の森公園へ旅立ち。
現在のマンドリル飼育頭数は4。
- アタル(2006年生)
- ロマン(2010年生)
- レイ(2019年生)
- ヒカル(2020年生)
レイとヒカルはまだまだ小さく可愛らしいマンドリルです。
マンドリル最多!日本モンキーセンター
2022年10月現在、愛知県犬山市・日本モンキーセンター(JMC)は国内最多14頭のマンドリルを飼育しています。
マンドリルの群れは1頭のオス(アルファオス)を中心にメスとその子どもたちから成ります。
霊長類学を研究している日本モンキーセンターでは野生マンドリルのような群れづくりがおこなわれています。
現在、2005年生まれの「キンシャサ」がアルファオスとしてメスと子ども7頭をまとめています。
その他のオスたちはキンシャサと闘争してしまうため、バックヤード暮らし(非公開)です。
【公開】キンシャサの群れ
- サヤコ(2003年生)
- キンシャサ(2005年生)
- ディディ(2011年生)※
- デイ(2012年生)
- デラ(2013年生)
- サユミ(2015年生)
- ディスコ(2015年生)
- イラーリ(2019年生)
【非公開】
- ガボン(1998年生)
- ニースケ(2010年生)
- サム(2011年生)
- ヤッシ(2011年生)
- サンフジ(2013年生)※
- ニコン(2013年生)
※2023年5月~6月他園へ移動しました
JMC公式ブログ「飼育の部屋」ではバックヤードの動物たちの様子も配信しています。とても面白い内容なのでぜひご覧ください。
日本にはJMC生まれのマンドリルとその子孫がたくさん!
飼育頭数がおおい分、繁殖歴も華やか。ビッグママこと故「デコ」は16回出産しました。
デコの家系図を見てわかるとおり、デコの子孫がいたるところで飼育されています。
ちなみにデコの妹「ニコ」はJMCのアルファオス「キンシャサ」の母です。
デコの子どもや孫も繁殖に成功しています。近年では2019年デコの子「デイ」が、2020年デコの孫「ロマン」「マンゴー」が出産しています。
ディディとサンフジが移動しました|2023年6月
国内のマンドリル繁殖計画のため、日本モンキーセンターのマンドリルたちが旅立っています。
ディディが宮崎市・フェニックス自然動物園へ、サンフジが北海道・おびひろ動物園へ移動しました。
おびひろ動物園にはメス「サラサ」がいます。繁殖の予定はないようですが、雌雄のマンドリルを見れるようになりました。
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野生マンドリルは減少がつづき、いずれ絶滅する可能性が高い動物です。
唯一無二の美しい色彩をもつマンドリル。ぜひ会いに行ってみてください。
以上、マンドリルに会える動物園情報でした。
【参考】
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