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ホッキョクグマに会える動物園・水族館【2021年赤ちゃん誕生】一覧とニュース

06/27/2022

地上最大の肉食動物ですが、可愛らしいホッキョクグマは動物園や水族館で目玉となる動物です。

かつては70頭ほどいた日本のホッキョクグマ。

現在は半減しているものの、18の施設で30頭以上のホッキョクグマが飼育されています。

そこで今回のzoo zoo diaryはホッキョクグマに会える動物園・水族館をご紹介。さらに赤ちゃん誕生や移動などホッキョクグマに関する動物園情報をまとめてお届けします。

ホッキョクグマとは?

食肉目クマ科クマ属。

地上最大の肉食動物といわれ、おおきなオスは体長2.5メートル、体重600kgほどに成長します。

ホッキョクグマは寒さに耐えるための進化を遂げ、カナダやロシアなどの北極圏でライバルとは無縁の暮らしを送っています。

おもな獲物はアザラシ。一方で氷のない夏季には陸地に移動し、草などを食べる様子が確認されています。

氷の上で狩りをしたり、氷に乗って移動したり、海氷とともに生きているホッキョクグマ。

地球温暖化により氷がとけ、ホッキョクグマにとって住みづらい環境へと変わってきています。

生息数は推定2~3万頭。絶滅のおそれが高い動物IUCNレッドリスト危急)です。なお、ワシントン条約により輸出入が規制されています。

天王寺動物園 ホッキョクグマ ゴーゴ 歩

ホッキョクグマに会える施設【19か所】

2023年4月現在、日本の19の施設で30頭以上のホッキョクグマが飼育されています。

北海道

  • 円山動物園
  • 旭山動物園
  • おびひろ動物園
  • 釧路市動物園

東北~中部

  • 八木山動物公園
  • 男鹿水族館GAO
  • 上野動物園
  • ズーラシア
  • 八景島シーパラダイス
  • 日本平動物園
  • 浜松市動物園
  • のんほいパーク
  • 東山動植物園

関西~九州

  • 天王寺動物園
  • 王子動物園
  • とくしま動物園
  • とべ動物園
  • 熊本市動植物園
  • 平川動物公園

海外からの導入がむずかしい希少なホッキョクグマ。

日本国内の飼育数を維持するために全国の動物園・水族館は共同繁殖に力をいれています

【関連記事】日本にいるホッキョクグマ全32頭【動物の相関図】2023年9月

ジャンブイが亡くなりました|よこはま動物園ズーラシア 2022年

2022年12月、横浜市・ズーラシアのホッキョクグマ「ジャンブイ」が亡くなりました。野生のため生年不明ですが、30歳以上でした。

ズーラシアの開園した1999年にはるばるロシアからやってきたジャンブイ。子孫をのこすことはできませんでしたが、おおくのヒトにホッキョクグマの素晴らしさを教えてくれました。

ジャンブイの死亡により、ズーラシアで飼育しているホッキョクグマはオス「ゴーゴ」1頭のみとなりました。

なお、2022年12月27日に大阪市・天王寺動物園よりメスの「イッちゃん」が来園します。

ホッキョクグマはいません

長くホッキョクグマを飼育していた施設でも、ホッキョクグマの死亡や移動により展示が終了することがあります。

2020年 3か所の動物園でホッキョクグマ飼育がおわりました

  • 東山動植物園  … サスカッチの死亡
  • 姫路市立動物園 … ユキとホクトの移動
  • 平川動物公園  … カナの死亡

2020年5月、名古屋市・東山動植物園の「サスカッチ」が亡くなりました。サスカッチは1990年にカナダで保護され、推定30歳と国内最高齢オスでした。

東山動植物園 ホッキョクグマ サスカッチ
故サスカッチ|東山動植物園にホッキョクグマはいません

兵庫県・姫路市立動物園では2019年3月、メスの「ユキ」が秋田県・男鹿水族館に移動。そして2020年6月、オスの「ホクト」が旭山動物園に移動しました。

2020年10月、鹿児島市・平川動物公園の「カナ」が老衰のため亡くなりました。30歳と長生きでした。

名古屋にホッキョクグマがやってくる!2023年3月

ながいホッキョクグマ飼育歴史をほこる東山動植物園。

ついにホッキョクグマ来園のうれしいニュースがとびこんできました!

やってくるのは「フブキ」2021年秋田県・男鹿水族館で生まれたオス。まだまだ幼い元気な子ホッキョクグマです。

広さや高低差があるものの、老朽化していた印象のある東山動植物園のホッキョクグマ展示場。フブキの来園にむけて過ごしやすい環境が整えられることを願います。

鹿児島にホッキョクグマがやってくる!2023年3月

鹿児島名物「白くま」とともに鹿児島で人気を博したホッキョクグマたち。

カナが亡くなり展示が終わっていた平川動物公園にまたホッキョクグマがやってくることになりました!

やってくるのは「ライト」2013年和歌山県・アドベンチャーワールドで生まれたオス。

アドベンチャーワールドのホッキョクグマ展示場は狭い・日光が当たらないと殺風景なイメージはいなめません。

しかし、空調の効いた室内でプールに入れる施設はそうそうありません。

一方の平川動物公園の展示場はいわゆるコンクリート造りの屋外。ライトが夏の日射・暑さに耐えることができるのか、慎重に見極めていただきたいです。

施設で唯一のホッキョクグマたち

18のうち6つの動物園・水族館のホッキョクグマは1頭のみ。

  • おびひろ動物園     … アイラ(2010年生)
  • 八景島シーパラダイス  … ユキマル(推定1992年生)
  • アドベンチャーワールド … ?オス(2013年生)
  • 神戸市・王子動物園   … ミユキ(1990年生)
  • とくしま動物園     … ポロロ(2012年生)
  • 熊本市動植物園     … マルル(2012年生)

これは単に「かわいそう」ではありません。基本は単独行動というホッキョクグマの生態にならっています。

むかしに比べると、医療や技術の向上により飼育下の動物たちは寿命がのびています。

とはいえ、東山動植物園や平川動物公園のように高齢となったホッキョクグマを単独飼育している施設では、いつ展示がおわってもおかしくありません。

なかでも神奈川県・八景島シーパラダイスの「ユキマル」兵庫県・王子動物園のミユキは30歳を超えるご長寿です。

王子動物園のミユキ|国内最高齢の美

2022年12月現在、国内最高齢ホッキョクグマは神戸市・王子動物園の「ミユキ」1990年生まれです。

2015年に当時24歳の「アイス」が亡くなって以来、ひとり暮らしのミユキ。

30歳を超えていると思えない、とても若々しく美しいホッキョクグマです。

王子動物園 ホッキョクグマ ミユキ

北海道にいる9頭のホッキョクグマ

北海道は日本動物園水族館協会(JAZA)に加盟しているすべての動物園にホッキョクグマがいます。

さむい地域だからこそ、ホッキョクグマ本来の行動を観察することができるでしょう。

円山動物園

  • ララ(1994年生)
  • ホクト(2000年生)
  • リラ(2014年生)

旭山動物園

  • サツキ(1991年生)
  • ルル(1994年生)
  • ピリカ(2005年生)

おびひろ動物園

  • アイラ(2010年生)

釧路市動物園

  • キロル(2008年生)
  • ミルク(2012年生)

円山動物園のデナリとララ

札幌市・円山動物園では2018年3月新たなホッキョクグマ館が誕生しました。

水中トンネルを含む国内最大級のホッキョクグマ展示場!繁殖を意識し、エンリッチメントに富んだ施設です。

円山動物園は1985年にはじめてホッキョクグマ繁殖に成功しました。

1995年と1996年にはオス「デナリ」とメス「ララ」が来園。その後、2頭のペアリングが功を奏し繁殖例がふえました。

ララは死産を繰り返しながらも、8頭の子を育てあげました。

  • 2003年 ツヨシ(メス)
  • 2005年 ピリカ(メス)
  • 2008年 イコロ(オス) キロル(オス)
  • 2010年 アイラ(メス)
  • 2012年 ポロロ(メス) マルル(メス)
  • 2014年 リラ(メス)

2003年生まれ「ツヨシ」メスです

2005年に釧路市へ。その後、性別がオスではなくメスと判別されました。

2016年からよこはま動物園ズーラシアで飼育されていましたが、2022年7月に亡くなりました。

2005年生まれ「ピリカ」育児中です

2011年に旭川市へ。2021年に出産し育児中です(後述)。

2008年生まれ「イコロ」「キロル」繁殖活動中です

2010年に2頭いっしょに帯広市へ。

2015年、イコロは上野動物園へ移動。イタリア生まれのメス「デア」と繁殖をめざしています。

一方、キロルは2011年に静岡県・浜松市動物園に行きました。このときは教育およびイコロとの闘争回避を目的とした一時的なものでした。

2016年からは釧路市で飼育されています。男鹿水族館生まれのメス「ミルク」とペアリング中でしたが、同居中の事故によりミルクが亡くなってしまいました。

2023年3月3日現在、キロルは展示を中止しています。

2012年生まれ「ポロロ」「マルル」ひとり暮らしです

2014年からポロロはとくしま動物園、マルルは熊本市動植物園で飼育されています。どちらもペアリングは行われていません。

2014年生まれ「リラ」ついに繁殖へ

2022年12月現在、末っ子の「リラ」だけ円山動物園にのこっています。

同年10月には旭山動物園からオスの「ホクト」がやってきました。リラははじめての繁殖活動をおこなう予定です。

デナリが亡くなりました|2023年9月

日本のホッキョクグマ界のビッグダディとなったデナリ。

ざんねんながら、2023年9月に亡くなりました。29歳でした。

札幌市・円山動物園は母「ララ」子「リラ」とおとなオス「ホクト」計3頭のホッキョクグマを飼育しています。

ホッキョクグマの赤ちゃん情報

絶滅のおそれがありワシントン条約により取引が規制されているホッキョクグマ。

動物園・水族館はなんとか今いるホッキョクグマたちに命をつないでもらうべく、共同繁殖に力をいれています。

近年、その成果が確実にあらわれています。

旭山動物園で赤ちゃん誕生!2021年

2021年12月、旭川市・旭山動物園でホッキョクグマの赤ちゃんが生まれました。

生まれて間もなく亡くなることの多いホッキョクグマですが、3頭生まれたうち1頭が元気に育っています。

じつに40年ぶりの繁殖成功です。

あらたなペアをつくるべく移動してきた「ホクト」

2000年ロシアの動物園で生まれたオス「ホクト」2002年に兵庫県・姫路市動物園にやってきました。

その後、セルビア出身の「ユキ」とペアリング。ユキは2度ホクトの子を出産するも、ざんねんながら子は育ちませんでした。

そして2013年以降、2頭の交尾は確認されていません。

まだ、繁殖能力があると考えられるユキとホクト。どちらも経験がある貴重なホッキョクグマです。

それぞれの子孫をのこすべく、ユキは2019年3月に秋田県・男鹿水族館へ。ホクトは2020年6月に旭川市・旭山動物園へ移動しました。

あたらしいオスをむかえた「ピリカ」

旭山動物園には、もともとオスの「イワン」と3頭のメスがいました。

20歳以上となった「サツキ」「ルル」そしてララの次女2005年生まれの「ピリカ」です。

交尾には至るもののイワンと3頭のメスとの繁殖は失敗におわっています。

高齢となり今後の妊娠がむずかしいと思われるサツキとルルに比べ、ピリカは若く繁殖の可能性が十分にあります。

そこで、イワンをとくしま動物園におくり(2021年12月死亡)、繁殖オスとしてホクトを迎えいれました。

ホクトとピリカの赤ちゃんが生まれました

当初、ホクトとピリカの同居は手に汗握るものでした。

旭山動物園公式YouTube「ペアリング日記」では強気なピリカに対するホクトの寛容さを感じることができます。

やさしいホクトの対応にピリカはようやく心をゆるし、2021年12月待望の出産!

双子がおおいホッキョクグマですが、ピリカは3頭の赤ちゃん生みました。2頭はまもなく亡くなりましたが、のこる1頭はピリカのもと元気に育っています。

ホクトとピリカの子「ゆめ」は2022年4月から一般公開されています。

ホクトは札幌市へ 2022年10月

長年交尾をしていなかったホクトが子孫をのこせたことに感動です。

ゆめの誕生により、繁殖能力の高いオスとしてホクトに注目があつまりました。

2022年10月、あらたなペアをつくるべく札幌市・円山動物園に移動しました。2014年生まれの「リラ」との繁殖が期待されています。

男鹿水族館 2度目の誕生!2020年

秋田県・男鹿水族館は2012年、2020年と2回のホッキョクグマ繁殖に成功しています。

ロシアからやってきた豪太

2003年ロシアの動物園で生まれたオス「豪太(ゴウタ)」2005年に来日した、男鹿水族館初のホッキョクグマです。

当時2歳の豪太、体重およそ140kgと小さなホッキョクグマでした。みるみるうちに成長し、現在では国内最大級のオスといわれています。

しかし、大きくなりすぎて10年間も体重測定していないという豪太。驚きの事実です。

2022年11月、男鹿水族館はクラウドファンディングにより立派な体重計を購入。健康管理のために体重測定はかかせません。

いまは体重計に乗る訓練中。ついに豪太の体重がわかる日がきそうです。

ミルク誕生!クルミありがとう 2012年

2011年には繁殖のため釧路市動物園から「クルミ」が来園しました。

クルミは1996年釧路市動物園生まれ。2009年には円山動物園からやってきたデナリとペアリングするも、子は生まれませんでした。

来園後まもなくクルミは豪太を受けいれ、2012年メスの「ミルク」を出産!

クルミはミルクを立派に育てあげ、2018年1月に亡くなりました。

フブキ誕生!ユキはじめての子育て 2020年

クルミの死亡当時、豪太はまだ14歳。

繁殖成功例のある豪太の力に期待すべく、2019年姫路市動物園から「ユキ」がやってきました。

ユキは1999年セルビアの動物園で生まれ、2002年に来日しました。

パートナーだったホクトの子を妊娠・出産しましたが、ざんねんながら子はすべて産後まもなく亡くなっています。

姫路市動物園では6年間ほど交尾をおこなっていなかったユキ。

ところが、驚くことに男鹿水族館での飼育開始当月から豪太と同居に成功!そして5月までに7回の交尾が観察されました。

環境の変化が吉と出たのか、豪太との相性が良かったのか、非常に喜ばしいニュースです。

2019年はユキの妊娠には至りませんでしたが、翌2020年にも同居・繁殖行動がおこなわれています。

そしてついに2020年12月ユキは1頭の赤ちゃんを出産しました!

つらい思いをしてきたユキですが、今回は無事に生まれ育っています。

子はオス「フブキ」ユキの愛情をいっぱい受けながら元気に過ごしています。

2022年12月現在、男鹿水族館は父「豪太」母「ユキ」子「フブキ」計3頭のホッキョクグマを飼育中です。

フブキは2歳をむかえ親離れの日が近づいています。親子展示をしているあいだに会いに行きたいですね。

【YouTube】男鹿水族館GAO 公式チャンネルはフブキの誕生からホッキョクグマの飼育のようすまで、さまざまな動画をあげています。ぜひチェックしてみてください!

フブキは名古屋に行きます!2023年3月

2023年3月、ついにフブキのひとり立ちの日がやってきます。

移動先は名古屋市・東山動植物園。現在はホッキョクグマのいない動物園ですが、1950年代から2020年まで40年以上のホッキョクグマ飼育歴史のある施設です。

今回の移動は「ホッキョクグマ計画推進会議」により決定されたもの。

繁殖に成功した貴重なホッキョクグマとして、豪太とユキにつぎの期待が寄せられているようです。

天王寺動物園 2020年も赤ちゃん誕生!

大阪市・天王寺動物園は2014年、2020年とホッキョクグマ繁殖に成功しました。

ロシアからやってきたゴーゴ

むずかしいホッキョクグマ繁殖を近年2度もなしとげた天王寺動物園。

いずれも父親は「ゴーゴ」2004年にロシアの動物園で生まれました。

2006年、天王寺動物園にやってきたときは2歳にもなっていませんでした。

2011年、はじめて交尾をするといわれる年頃になったゴーゴのもとにメスの「バフィン」が来園しました。

天王寺動物園 ホッキョクグマ ゴーゴ 食

モモ誕生!バフィンの高齢出産 2014年

バフィンはスウェーデンの動物園で生まれ、1993年に静岡県・浜松市動物園にやってきました。

性成熟を迎えたばかりのゴーゴと当時20歳のバフィン。

年の離れた2頭がはたしてうまくゆくのか、不安視する声も多いなか2013年3月に初の交尾を確認しました。

そのときは妊娠しませんでしたが、翌2014年3月、再び繁殖行動が観察されました。

そして同年11月、天王寺動物園で待望のホッキョクグマの赤ちゃんが誕生!

バフィンは23歳という高齢出産となりました。生まれた子はメス「モモ」バフィンの愛情を受けて元気に成長しました。

2016年、バフィンはモモを連れて浜松市動物園にかえっていきました。皆の期待を背負ってモモを生み育ててくれた、バフィンに感謝です。

ゴーゴはアドベンチャーワールドにもいました

一方、父親のゴーゴは2015年3月ブリーディングローンにより和歌山県・アドベンチャーワールドに移動。

3年連続で交尾が観察されたものの、メスの妊娠にはつながりませんでした。

そして2018年、ゴーゴは天王寺にもどってきました。

イッちゃん初産!ホウちゃん誕生 2020年

ゴーゴ初の繁殖相手となったバフィンは高齢のためさらなる繁殖は断念。

そこで、次のパートナーとなるべく「イッちゃん」がやってきました。

イッちゃんは2013年にロシアの動物園で誕生。ゴーゴがアドベンチャーワールドに行った直後に来日しました。

2020年2月から4月まで、ゴーゴとイッちゃんは初の同居生活を送りました。

ゴーゴは見事、交尾に成功!そして2020年11月めでたく赤ちゃんが誕生しました。

子はメス「ホウちゃん」と名付けられました。イッちゃんは初産でしたが、無事にホウちゃんを育ています。

ずいぶんとおおきくなりましたが、まだまだ可愛らしいホウちゃん。ぜひ会いに行きたいですね。

ちなみに、ゴーゴとイッちゃんは豚まんで有名な「551HORAI」さまが天王寺動物園へ寄贈した個体です。

おかげさまで愛すべきモモとホウちゃんが生まれました。

大阪だけでなく日本、いや、世界中を幸せにしてくれています。感謝です。

ホウちゃんひとり暮らしがはじまります

2021年2月、父親のゴーゴは神川県・よこはま動物園ズーラシアへ移動。さらに2022年12月イッちゃんもズーラシアヘ行くことが決まりました。

2歳をむかえたホウちゃんはひとり立ち。そして、父と母はきょうだいをつくるために再会です。

ホウちゃんの親離れが順調にいきますように。

※イッちゃんの最終展示日は2022年12月25日です。

繁殖にとりくむ動物園とホッキョクグマたち

飼育数がすくなくなっているホッキョクグマ。繁殖させるために国内の動物園・水族館は力をあわせています。

円山動物園|リラとホクト

札幌市・円山動物園で2014年に生まれた「リラ」デナリとララの8番目の子としてすくすく成長しました。

2018年にはカナダの施設基準をみたす広大なホッキョクグマ展示場がオープン。よりホッキョクグマが過ごしやすい環境を整えています。

リラは2019年からララのもとを離れ、単独展示されています。いよいよおとなメスとして活動するときがきました。

そして2022年10月、ついに繁殖相手として「ホクト」が来園しました。

2000年ロシアの動物園生まれのホクトは2021年旭山動物園で生まれた「ゆめ」の父親です。

繁殖実績がおおく施設環境がととのっている円山動物園。母親の愛情を知るリラ。繁殖に成功したホクト。良い条件がそろっています。

ちかい将来うれしいニュースが飛び込んできそうです。

2022年12月よりホクトとリラの同居訓練をおこなっています。ホッキョクグマ館における展示が不定期および中止になりますのでご注意を。

釧路市動物園 ※ミルクが亡くなりました

北海道・釧路市動物園は2頭のホッキョクグマを飼育しています。

2012年秋田県・男鹿水族館で生まれたメス「ミルク」母親の生まれ故郷である釧路へは2014年にやってきました。

2008年札幌市・円山動物園で生まれたオス「キロル」静岡県・浜松市動物園でのひとり暮らしをへて、2016年に釧路市へやってきました。

キロルとミルクは同居するものの、なかなか近づくことはなく不安視されていました。

しかし、2022年から急に仲良くなり、繁殖が期待できるとのこと。今後のお知らせに注目です。

【追記】メスのミルクが亡くなりました|2023年3月

繁殖に向けた同居中の事故が原因でミルクが亡くなりました。

まだ10歳と若いメス、しかもクルミの血をひく唯一の個体だっただけに、とてもざんねんなニュースです。

野生のホッキョクグマは共食いや子殺しが確認されています。もちろん繁殖期のオス同士の闘争やメスとの接触で相手を傷つけることがあります。

飼育下だからこそ防げたのでは、と思う反面、意思疎通のできない動物の行動をヒトが予測することは不可能。動物園での事故はどうしても避けられません。

とはいえショック。野生動物を飼育することの難しさを痛感する出来事です。

八木山動物公園|カイとポーラ

仙台市・八木山動物公園は2頭のホッキョクグマを飼育しています。

セルビア生まれのメス「ポーラ」とロシア生まれのオス「カイ」どちらも2004年生まれ。それぞれ2005年、2006年に来園しました。

カイとポーラの交尾は何度も確認されています。さらに、ポーラは2度の出産を経験しました。

ポーラのはじめての出産|2019年12月

ざんねんながら子は死産でした。ポーラはわが子を認識し世話するようすが確認されました。

ポーラが妊娠・出産できるメスだということがわかりました。たくさんのヒトが悲しみと希望をいだいた出来事でした。

翌2020年もカイとの交尾を確認。11月より産室にこもっていましたが、出産にはいたりませんでした。

2021年はとくに動きなく。

八木山動物公園 ホッキョクグマ ポーラ

ポーラ 2回目の出産|2022年11月

2022年は妊娠の可能性があり、10月よりポーラは展示中止していました。

そして同年11月、2頭の子が生まれました。今回は生きています!赤ちゃんの声も授乳音も確認されました。

しかし、3日後に子は亡くなっていました。

飼育員の方々は生きている赤ちゃんを見ただけに、初産のときよりももっと辛かっただろうと思います。

ポーラの体も心配されますが、とくに問題なく過ごしているとのことでなにより。

ホッキョクグマは死産率や幼獣死亡率がたかいことが知られています。ポーラの身に起きたことは異例ではありません。

大事なことは、カイにもポーラにも繁殖能力があるということ。姫路市のホクトとユキのように環境やパートナーの変化が必要なのかもしれません。

上野動物園|イコロとデア

東京都・上野動物園は2頭のホッキョクグマを飼育しています。

2008年にイタリアで生まれたメス「デア」と札幌市・円山動物園で生まれたオス「イコロ」それぞれ2012年、2015年に来園しました。

ホッキョクグマが繁殖活動をしはじめる7歳をむかえ、2016年から同居をおこなっています。

同居はできるもののつかず離れずのようす。こちらも環境やパートナーについて考える必要がありそうです。

上野動物園 ホッキョクグマ イコロとデア

ズーラシア|ゴーゴとイッちゃん

2021年2月、大阪市・天王寺動物園の「ゴーゴ」が繁殖のため神奈川県・よこはま動物園ズーラシアへ移動しました。

ゴーゴは2014年生まれの「モモ」2020年生まれの「ホウちゃん」の父親です。

メスのツヨシは繁殖できず…

ズーラシアでは2003年に札幌市・円山動物園で生まれたメス「ツヨシ」とのペアリングを期待しています。

ツヨシは2016年にズーラシアに来園。1999年にロシアから来日した「ジャンブイ」と仲が良く、交尾が確認されたこともあります。

しかし、現在まで妊娠にいたらず。

野生由来のジャンブイは推定1992年生まれ。高齢のため、このさき繁殖は期待できません。ツヨシとの相性は良いものの、子孫を残せなかったことはとてもざんねんです。

そこで、ツヨシの繁殖相手として選ばれたのが2頭のメスを射止めたゴーゴ。

ところが、2022年7月、悪性腫瘍によりツヨシが亡くなりました。18歳でした。

イッちゃんが横浜にやってきます

ツヨシの死亡により、ズーラシアのホッキョクグマはオス2頭となりました。今後どうするのだろうと思っていた矢先、まさかのニュースが!

なんと大阪でペアだったメス「イッちゃん」が2022年12月にズーラシアに来園することが決まったのです。

天王寺動物園に寄贈されたホッキョクグマ2頭がそろって他園にいくとは思いませんでした。ホウちゃんのように未来のホッキョクグマをつなぐための決断に感謝です。

ズーラシアのホッキョクグマ展示場は広く深いプールや砂場があります。飼育環境がよければきっとまた繁殖に成功するはず。

元気な子ホッキョクグマに会える日はそう遠くないかもしれませんね。

日本平動物園|ロッシーとバニラ

静岡市・日本平動物園は2022年12月現在、2頭のホッキョクグマを飼育しています。

オスの「ロッシー」2007年ロシアの動物園生まれ。翌2008年、まだ赤ちゃんのうちに日本平動物園にやってきました。

メスの「バニラ」2009年タイの動物園生まれ。2011年にロッシーのお嫁さんとして来日。

子は生まれるも育たず 2015年

2015年、ロッシーとバニラのあいだにはじめての子が生まれました。

しかしながら、バニラが赤ちゃんを噛み殺してしまいました。

死産もしくは弱い子が生まれることの多いホッキョクグマの出産では、こういった事例はそうめずらしいことではありません。

その後もロッシーとバニラの繁殖に向けた同居を実施中です。

バニラはしばしば展示が中止されます。妊娠の兆候がある場合におこなわれていると推測されます。その際はお静かに願います。

ロッシーはロシアの動物園から貸与されているだけに、ペア解消はむずかしいのかもしれません。なんとか繁殖を成功させたいものです。

日本平動物園 バニラとロッシー同居 ホッキョクグマ

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絶滅のおそれが高いホッキョクグマ。

幸運なことに日本では30頭以上のホッキョクグマに会うことができます。さらに2020年には2頭、2021年には1頭の赤ちゃんが誕生しています。

自然界ではホッキョクグマのすむ場所や獲物がすくなくなっています。原因は地球温暖化により海氷がとけつづけていること。

これからも野生ホッキョクグマが生きていけるよう節電やゴミ削減など自分にできることをつづけましょう

八木山動物公園 ホッキョクグマ カイ

以上、ホッキョクグマに会える動物園・水族館でした。

【参考】

国際自然保護連合

日本動物園水族館協会