ジャガーとヒョウの違い|柄も特技もすんでいる場所も違うよ
大型ネコ科動物のヒョウとジャガー。
どちらもライオンやトラより小さく黄色に黒い模様があるため、似た印象をもっている方が多いのでは?
そんな間違われやすい動物「ヒョウとジャガー」違いや共通点を発見してみましょう!
ヒョウとは?
食肉目ネコ科ヒョウ属。
ヒョウの分布域はとても広く、生息地による体格差があります。
- Panthera pardus
- 体長 100~150cm
- 尾長 90cm
- 体高 60~70cm
- 体重 30~90kg
体長は1メートルを超えますが、メスはちいさく体重35kg程度。一方、大型のオスは90kg以上とメスの倍ほど大きい場合があります。
9つの生息地と種類がある
ネコ科の中で最も広範囲に分布しているヒョウ。
南はアフリカ、北はロシアまで地域に順応した9亜種が確認されています。 名前イコール生息地です。
- 食肉目 Carnivora
- ネコ科 Felidae
- ヒョウ属 Panthera
- ヒョウ Panthera pardus
- アフリカヒョウ P. p. pardus
- ペルシャヒョウ P. p. saxicolor
- インドシナヒョウ P. p. delacouri
- ジャワヒョウ P. p. melas
- スリランカヒョウ P. p. kotiya
- インドヒョウ P. p. fusca
- アラビアヒョウ P. p. nimr
- キタシナヒョウ P. p. japonensis
- アムールヒョウ P. p. orientalis
- ヒョウ Panthera pardus
- ヒョウ属 Panthera
- ネコ科 Felidae
すべてのヒョウが絶滅危惧種
ヒトがふえるにつれヒョウの数は減りつづけています。生息地破壊や密猟、獲物の減少などが原因です。
かつてのすみかを追われたヒョウは局地的に絶滅。ひろい分布域をもつとはいえ、ぽつぽつとヒョウのいない地域が増えています。
種であるヒョウのIUCNレッドリスト評価は危急(VU)。すべてのヒョウが絶滅危惧種です。
種とは別に、アムールヒョウ、ペルシャヒョウなど深刻な危機(CR)や危機(EN)に位置付けられている亜種もいます。
ヒョウ
- アムールヒョウ(100頭)
- アラビアヒョウ(200頭)
- ジャワヒョウ (500頭)
- スリランカヒョウ(1000頭)
- ペルシャヒョウ (1000頭)
()推定生息数
アムールヒョウ|日本で会える絶滅寸前のヒョウ
アムールヒョウは生息数100頭。絶滅寸前の非常にめずらしいヒョウです。
幸運なことに日本の動物園で計17頭のアムールヒョウが飼育・展示されています。
詳しくは「アムールヒョウ特集!日本のアムールヒョウがいる動物園一覧とその歴史」をご覧ください。
木登りが上手|ヒョウの特技その1
ヒョウはライオンやトラに比べて小さくスマート。その分、俊敏に動きまわることができます。
なかでも木登りが得意。木の上で休んだり、獲物を待ち伏せたりします。
また、ヒョウは体格の割に力があり、仕留めた動物を高い木の枝までひきあげることができます。他の動物がのぼってこれないため、安心して食事ができます。
適応能力の高さ|ヒョウの特技その2
生息地の項目でふれたようにヒョウは広い範囲に分布しています。
気温マイナス30度の極地から40度の熱帯、砂漠から市街地まで、さまざまな地域に順応しています。
もちろん住む場所が異なると外見や獲物が異なってきます。毛の長さや体の大きさを変化させ生きのこる術は立派な特技といえるでしょう。
一方で、森林伐採や開拓により生息地を追われたヒョウが市街地にやってきて、家畜やヒトを襲う事件が増加しています。
動物による被害なのか、ヒトによる被害なのか、考えさせられる問題です。
ジャガーとは?
食肉目ネコ科ヒョウ属。
亜種は確定されていません。
オスのジャガーはメスよりも大型。ライオンやトラに次ぐ大きさを誇ります。
- Panthera onca
- 体長 150~200cm
- 尾長 80cm
- 体高 70cm
- 体重 60~100kg
とくにブラジル・パンタナルに生息しているジャガーは大きい個体が多く、平均体重100kg!150kgのジャガーも記録されています。
南アメリカ最大・最強のネコ
大型ネコ科動物というと「ライオンやチーターのようにサバンナに住んでいる」と思われる方がいるかもしれません。
ところが、ジャガーはメキシコ以南、おもに南米の森林に生息しています。 南北アメリカで最大のネコ科動物です。
1000種以上の動物が生息するアマゾンやパンタナル。ジャガーは動物の楽園で最大最強の地位に君臨しています。
ジャガーの生息数は減っています
悲しいことにジャガー生息数は20年間で20%以上減少しました。現在は推定6~7万頭。
全体の90%ほどのジャガーが生息しているアマゾンでは絶滅のおそれはすくないとされます。
一方、その他の地域では生息地の断片化により個体数・生息範囲ともに減少しています。ヒトとの衝突や密猟もつづいています。
ジャガーは将来的に絶滅の可能性がある(IUCNレッドリスト準絶滅危惧)と評価されています。
泳ぎが上手|ジャガーの特技その1
熱帯雨林に生息するジャガーはネコ科なのに水を怖がりません。むしろ水の近くを好みます。
泳いで狩りをする様子も確認されているジャガー。サカナやカメなどを捕食することがあります。
また、ヒョウと同じように木登りも上手です。
最強のネコパンチ|ジャガーの特技その2
ライオンをはじめとする捕食動物は、獲物の首に噛みつき息の根を止めます。 ハンターとして急所を狙うのは当然です。
しかし、アマゾン最強の捕食者であるジャガーの武器は強靭な顎と牙だけではありません。
前あしの一撃つまり「ネコパンチ」がターゲットに致命傷を与える攻撃なのです。
ジャガーの名前の由来は「一突きで殺すもの」という現地人の言葉です。ジャガーのネコパンチが強烈なインパクトだったのでしょう。
また、ジャガーは体に対して頭部が大きく、噛む力が非常に強いことが知られています。その顎はワニを噛み砕くほどの力を秘めています。
【YouTube】National Geographicでワニを狩るジャガーをチェック!
ジャガーとヒョウの見わけ方
ジャガーとヒョウには、大きな違いが2点あります。それは、体格と柄です。
体の大きさ
2種には明らかな体格差があります。
ジャガーはライオンに匹敵する大きさ、かつ顔も大きいので迫力満点。胴体や足も太く、全体的に筋肉質な印象です。
一方、ヒョウは比較的小さく細いイメージ。動きもしなやかで女性らしい雰囲気さえ感じます。
ヒョウ柄とジャガー柄
トラ柄やヒョウ柄はさまざまなアイテムにもとりいれられ、わたしたちになじみのある柄となっています。
ヒョウはいわゆるヒョウ柄で、黄色の体毛に黒い花のような模様(ロゼッタ)があります。
一方、ジャガーは花の中に黒点があります。
比べて見るとまったく違う模様です↓
ちなみに、チーターは細身で小顔。模様はシンプルな黒い斑点です。
チーターは「キングチーターとは?チーターの種類から生態と特徴まで徹底解説」でくわしく紹介しています。
ネコ科動物の柄【まとめ】
- ヒョウ柄 斑点と花模様
- ジャガー柄 斑点と黒い点のある花模様
- チーター柄 斑点のみ
[広告]不要なものは買わないことが一番。必需品は売上の一部が寄付されるような商品を選ぶことで、自然や動物またはヒトをまもる活動につなげることができます。
ヒョウとジャガーの違い【まとめ】
- 生息地
- ヒョウ(アフリカ~ロシアと広い)
- ジャガー(中~南アメリカ)
- 特技
- ヒョウ(木登り)
- ジャガー(水泳)
- 大きさ
- ヒョウ < ジャガー
- 柄のちがい
- ヒョウ(花模様)
- ジャガー(花模様の中に黒点がある)
比較してみると、すむ場所も特技も異なるジャガーとヒョウ。もちろん外見にも大きな違いがありましたね。
学習してから動物観察すると、また違ったおもしろみがあります。
ぜひ、動物園でジャガーとヒョウを見比べてみてください。飼育施設はこちらです↓
以上、ジャガーとヒョウのちがいでした。
【参考】
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