ゴリラは全部で4種類!ニシローランドゴリラとマウンテンゴリラの違い
ゴリラといえば、わたしたちと同じヒト科に属する大きなサル(霊長類)です。
イケメンゴリラのシャバーニや2017年、2018年とつづいた赤ちゃん誕生などが話題を集めています。
では、皆さんが思いえがくゴリラは「何」ゴリラかご存知でしょうか?
実は、ゴリラは大きく2種類こまかくは4種類に分けられています。
しかし、わたしたちが実際に日本で目にするゴリラは1種類「ニシローランドゴリラ」のみ。マウンテンゴリラではありません。
今回のzoo zoo diaryはゴリラの種類に注目!ゴリラの種類とそのちがい、特徴などを紹介します。
動物園で会えるニシローランドゴリラと知名度の高いマウンテンゴリラを比較してみましょう!
ゴリラとは?
霊長目ヒト科ゴリラ属。そのすべてが、アフリカ中部に生息しています。
ゴリラは雌雄の見た目が異なる「性的二形」の動物。
オスがあきらかに大型。身長180cm、体重200kgほどに育つオスもいます。
一方、メスは身長150cmほど。体重100kgを超えることはありません。
メスを見ても大きいと感じますが、おとなオスは圧倒的な存在感があります。
体毛は全体的に黒。一部、茶や灰色が混じるものもいます。
ゴリラの種類|2種4亜種
ひとくちにゴリラといっても、アフリカには4種類のゴリラが住んでいます。
ウガンダやルワンダなど東側で見られる「ヒガシゴリラ」と、カメルーンやナイジェリアなど西側で見られる「ニシゴリラ」の2種に分類されます。
ヒガシゴリラとニシゴリラはさらに2亜種にわけられます。
- 霊長目 Primates
- ヒト科 Hominidae
- ゴリラ属 Gorilla
- ヒガシゴリラ Gorilla beringei
- マウンテンゴリラ G. b. beringei
- グラウアーゴリラ G. b. graueri
- ニシゴリラ Gorilla gorilla
- クロスリバーゴリラ G. g. diehli
- ニシローランドゴリラ G. g. gorilla
- ヒガシゴリラ Gorilla beringei
- ゴリラ属 Gorilla
- ヒト科 Hominidae
ヒガシゴリラ、ニシゴリラともに絶滅寸前の状態(IUCNレッドリスト深刻な危機)にあります。
ただし、2018年にヒガシゴリラの亜種であるマウンテンゴリラは深刻な危機(CR)から危機(EN)へと変更。保全活動の成果により生息数が1.5倍ほどにふえたためです。
国際間の取引はワシントン条約【CITES】により規制されています。すべてのゴリラは附属書Ⅰに掲載され、学術目的以外の輸出入は禁止されています。
本記事はゴリラの種類の解説です。ゴリラの「生態と特徴」を知りたい方はこちらをご覧ください↓
ヒガシゴリラ
ヒガシゴリラはアフリカ大陸東部に生息する「マウンテンゴリラ」と「グラウアーゴリラ」を指します。
マウンテンゴリラ|毛深くて黒い
ウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国の境界に位置するヴィルンガ山地およびウガンダのブウィンディ国立公園にのみ生息します。
標高が高いところを好み、もっとも毛深く黒々したゴリラです。
近年、野生マウンテンゴリラが1000人を超えたと報告されました。多くの絶滅危惧種が減少しつづける昨今、唯一個体数がふえているゴリラです。
2018年11月、IUCNはマウンテンゴリラ生息数増加をうけ、深刻な危機(CR)から危機(EN)へと再評価しました。
これは保全活動によりマウンテンゴリラは絶滅から一歩とおのいたということ。非常に喜ばしいことです。
しかし、依然として絶滅のおそれがきわめて高い状態です。
グラウアーゴリラ|最も大きなゴリラ
グラウアーゴリラはコンゴ民主共和国(DRC)東部にのみ生息しています。かつてはヒガシローランドゴリラと呼ばれていました。
ゴリラの最大種であり、200kgを超すものも確認されています。
20年の間にグラウアーゴリラは80%も減少し、生息数は4000人以下といわれていました。
しかし、さらなる調査により2021年に6000人以上いる可能性が報告されています。
グラウアーゴリラは食用の密猟だけでなく、鉱物採掘のために生息地がこわされています。
電子機器や電気自動車につかわれるコルタンは約50%、顔料やリチウムイオン電池につかわれるコバルトは約80%がDRCから供給されています。
わたしたちが便利な生活を得るために、ゴリラたちは家である森を失っています。
ニシゴリラ
ニシゴリラはアフリカ大陸西部に生息する「ニシローランドゴリラ」と「クロスリバーゴリラ」を指します。
クロスリバーゴリラ|推定300人!!
カメルーン・ナイジェリア国境に位置するクロスリバー上流にのみ生息するクロスリバーゴリラ。
推定300人とまさに絶滅間近の状態です。
森林破壊によりクロスリバーゴリラ生息域は分断。遺伝子の脆弱化が危惧されています。
せまい範囲でパートナーを探すと相手が血縁者である可能性が高くなります。近親交配の結果、遺伝子のかたよりが生じ、死産や短命な個体がふえるおそれがあります。
クロスリバーゴリラにおいては、ヒトに対して枝や石を投げるなど攻撃的な面が確認されています。ヒトとの間に苦い歴史があるのでしょう。
通常はヒトを避けて行動していることから、最もめずらしいゴリラであり研究も困難となっています。
ニシローランドゴリラ|動物園のゴリラ
アンゴラ、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ共和国、赤道ギニア、ガボンの森林や低湿地帯に生息します。
最も個体数の多いゴリラで20万人前後と推定されています。
そのうち60%がコンゴ共和国、27%がガボン、11%がカメルーンに在住。その他の国ではめったに発見されません。
学名はGorilla Gorilla Gorilla。個体数とともにゴリラの代表的な存在です。
ニシローランドゴリラはゴリラの最小種。メスは体長130cm、体重80kgほどです。オスはメスの2倍ほど大きくなります。
一般的に動物園で飼育されているゴリラはニシローランドゴリラです。日本で見れるゴリラもすべてニシローランドゴリラ。
そのため、わたしたちにとっては、最も親しみのあるゴリラかもしれません。
飼育下ではエサの質や量、運動不足などが影響し、300kg近いニシローランドゴリラも確認されています。
エコツーリズムとは?
ところで、みなさんエコツーリズムって聞いたことありますか?
ゴリラの生息地であるコンゴ民主共和国やルワンダでは観光客を受けいれ、ゴリラの現状や環境について学ぶエコツーリズムが頻繁におこなわれています。
環境省によるとエコツーリズムの概念は
自然環境や歴史文化を対象とし、それらを体験し、学ぶとともに、対象となる地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光のありかた
https://www.env.go.jp/nature/ecotourism/try-ecotourism/index.html
と定義されています。日本政府も推進している事業です。
環境破壊や密猟の実態を伝える
エコツーリズムは環境破壊や密猟のおそろしさ、そしてヒトの行動が野生生物をどのような立場に追いやっているかを伝えます。
自然や生態系をまもることがいかに大切かを教え、観光客に保全の重要性を理解してもらうツアーです。
観光客はアフリカで学んだことを世界中に発信。すると、さまざまな国の人々がさまざまな国の言葉でアフリカを知ることができます。
エコツーリズムは一時的・局地的な効果だけではなく、全世界の環境・動物保全意識を高めうる事業です。
地元民の学習や収入の場となる
さらに、エコツーリズムは地域住民に良い効果をあたえています。
一部の地元民は一時的な食料や金銭を得るために、ゴリラを狩猟していたかもしれません。
しかし、エコツーリズム事業へ参加することでガイドやレンジャーとして安定した収入をえられます。つまり、ゴリラの密猟をする必要がなくなるのです。
そのうえ、身近な動物と自然が、いかに大切な存在なのかを学ぶことができます。
このように、エコツーリズムは世界中の人々および生息地の人々の動物・環境保全への関心をたかめてくれます。
また、事業主や観光客との会話は外国語学習や見識をひろめることにつながり、若者が世界へはばたくきっかけになることでしょう。
マウンテンゴリラとニシローランドゴリラ
ゴリラの中で知名度の高いマウンテンゴリラとニシローランドゴリラ。
皆さんその違いはご存知でしょうか?案外見わけられない方も多いかもしれません。
そこで、ここからはマウンテンゴリラとニシローランドゴリラに焦点をあて、違いや見わけ方を紹介します。
マウンテンゴリラ
- 生息地 標高が高いところ
- 見た目 鼻や顎が長い 腕が短い 毛深い 黒い
ニシローランドゴリラ
- 生息地 標高のひくいところや湿地
- 見た目 腕が長い 頭毛が茶色 全体に明るい黒
生息地が違います|ヒガシとニシ
ゴリラはジャングルに生息していますが、それぞれ好む場所が異なります。
名前のとおりマウンテンゴリラは標高の高い山中で生活をしています。
アフリカ大陸中央部東よりのウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国の限られた地域にしかいません。
一方、ローランドゴリラは低地の森林や湿地を好みます。
コンゴ共和国やガボンなどのアフリカ大陸中央部西よりの地域に分布しています。
【YouTube】WWF UKでゴリラの豆知識をチェック!
見た目も違います|顔の形と体毛
マウンテンゴリラはニシローランドゴリラに比べて鼻や顎が長く、腕が短いのがポイント。
毛の色はマウンテンゴリラの方が黒々しています。高地にいるため皮ふが厚く体毛もふさふさ。より大きく迫力を感じます。
一方、ニシローランドゴリラの頭部は茶色が目立ちます。体全体は、灰色が混じった明るめの黒い毛に覆われています。
マウンテンゴリラは動物園にいないため、わたし自身どれほどニシローランドゴリラと違うのかわかりません。
ただ、映像で見るかぎり顔も体つきも違うように見えます。いつかマウンテンゴリラに会いに行ったら、ご報告します!
ゴリラの種類【まとめ】
霊長目ヒト科に属するゴリラ。
2022年6月現在、2種「ヒガシゴリラ」「ニシゴリラ」4亜種「マウンテンゴリラ」「グラウアーゴリラ」「クロスリバーゴリラ」「ニシローランドゴリラ」に分類されています。
図の色は以下「下線」の色と対応しています。
クロスリバーゴリラ
- 生息地 カメルーン、ナイジェリアの一部
- 生息数 300人
- 最も数が少ない
ニシローランドゴリラ
- 生息地 カメルーン、コンゴ共和国、ガボン等
- 生息数 20万人
- ゴリラの最小種 最も数が多い 動物園のゴリラ
グラウアーゴリラ
- 生息地 コンゴ民主共和国東部
- 生息数 6000人以上
- ゴリラの最大種
マウンテンゴリラ
- 生息地 ウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国の一部
- 生息数 1000人
- 唯一生息数が増加傾向
ずべてのゴリラは絶滅のおそれがあり、保全活動がおこなわれています。
とくにマウンテンゴリラは継続的な活動により生息数が増加。IUCNレッドリスト危機(EN)にくりさげられました。
一方で絶滅危惧種であることに変わりはありません。
また、グラウアーゴリラ、クロスリバーゴリラ、ニシローランドゴリラは以前として絶滅寸前(IUCNレッドリスト深刻な危機)の状態です。
紛争の多いアフリカ大陸では、ゴリラをはじめ多くの動物が紛争にまきこまれています。
戦火にあい住みかである自然が失われたり、肉をもとめる人々に狩猟されたり、鉱業のため山を切り崩したり。人間活動によりゴリラの生息数は減少しつづけています。
今後の生息地保護や密猟防止がゴリラを絶滅からすくう鍵となっています。
日本にもゴリラのために活動する人々がたくさんいます。ぜひご覧になってください。
- NGO団体 POPOF(ポレポレ基金)
- NPO法人 UAPACAA国際保全パートナーズ
- NPO法人 ゴリラのはなうた 等々
[広告]不要なものは買わないことが一番。必需品は売上の一部が寄付されるような商品を選ぶことで、自然や動物またはヒトをまもる活動につなげることができます。
わたしたちが動物園で会うゴリラがすべてではない、ということを知っていただけたでしょうか?
ざんねんながらすべてのゴリラは絶滅危惧種。密猟や生息地破壊に苦しめられています。
日本でゴリラに会えることはとてもラッキー。ゴリラにストレスをあたえたり病気をうつしたりしないよう、しずかに観察しましょう!
飼育施設は「ゴリラに会える動物園リスト【6か所】全部で20人!」でご確認ください。
以上、ゴリラの種類でした。
【参考】
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