ホッキョクグマに会える動物園・水族館とニュースまとめ2024
地上最大の肉食動物ですが、可愛らしいホッキョクグマは動物園や水族館で目玉となる動物です。
かつては70頭ほどいた日本のホッキョクグマ。
現在は半減しているものの、19の施設で29頭のホッキョクグマが飼育されています。
そこで今回のzoo zoo diaryはホッキョクグマに会える動物園・水族館をご紹介。さらに赤ちゃん誕生や移動などホッキョクグマに関する動物園情報をまとめてお届けします。
ホッキョクグマとは?
食肉目クマ科クマ属。
地上最大の肉食動物といわれ、おおきなオスは体長2.5メートル、体重600kgほどに成長します。
ホッキョクグマは寒さに耐えるための進化を遂げ、カナダやロシアなどの北極圏でライバルとは無縁の暮らしを送っています。
おもな獲物はアザラシ。一方で氷のない夏季には陸地に移動し、草などを食べる様子が確認されています。
氷の上で狩りをしたり、氷に乗って移動したり、海氷とともに生きているホッキョクグマ。地球温暖化により氷がとけ、ホッキョクグマにとって住みづらい環境へと変わってきています。
生息数は推定2~3万頭。絶滅のおそれが高い動物(IUCNレッドリスト危急)です。なお、ワシントン条約により輸出入が規制されています。
ホッキョクグマに会える施設【19か所】
2024年4月現在、日本の19の施設で29頭のホッキョクグマが飼育されています。
北海道
- 円山動物園
- 旭山動物園
- おびひろ動物園
- 釧路市動物園
東北~中部
- 八木山動物公園
- 男鹿水族館GAO
- 上野動物園
- ズーラシア
- 八景島シーパラダイス
- 日本平動物園
- 浜松市動物園
- のんほいパーク
- 東山動植物園
関西~九州
- 天王寺動物園
- 王子動物園
- とくしま動物園
- とべ動物園
- 熊本市動植物園
- 平川動物公園
北海道で7頭のホッキョクグマに会えます!
北海道は日本動物園水族館協会(JAZA)に加盟しているすべての動物園にホッキョクグマがいます。さむい時期に行って、ホッキョクグマらしい行動を観察したいですね。
円山動物園
- ララ(1994年生)
- リラ(2014年生)
旭山動物園
- ルル(1994年生)
- ホクト(2000年)
- ピリカ(2005年生)
おびひろ動物園
- アイラ(2010年生)
釧路市動物園
- キロル(2008年生)
【関連記事】日本にいるホッキョクグマ全29頭【動物の相関図】2024年4月
ホッキョクグマの移動・死亡まとめ
ホッキョクグマは共同繁殖計画に基づき、国内の移動が多い動物です。また、高齢化に伴いホッキョクグマが亡くなったというニュースも続いています。
ここ1年のホッキョクグマの移動や誕生、死亡などの情報をお知らせします。
- 2023年3月
- フブキ(2020年生)移動:男鹿水族館 → 東山動植物園
- ライト(2013年生)移動:アドベンチャーワールド → 平川動物公園
- 2023年9月
- デナリ(1993年生)死亡:円山動物園
- 2023年12月
- ゆめ(2021年生)移動:旭山動物園 → 王子動物園
- 2024年1月
- ミユキ(1990年生)死亡:王子動物園
- 2024年2月
- ホクト(2000年生)移動:円山動物園 → 旭山動物園
- 2024年3月
- ユキ(1999年生)移動:男鹿水族館 → 浜松市動物園
- モモ(2014年生)移動:浜松市動物園 → 男鹿水族館
- 2024年4月
- キャンディ(1992年生)死亡:のんほいパーク
のんほいパーク「キャンディ」逝く
2024年4月、豊橋市総合動植物公園のんほいパークのホッキョクグマのメス「キャンディ」が亡くなりました。31歳でした。
1992年ドイツの動物園で生まれたキャンディ。2歳になる前に日本へやってきました。
のんほいパークでは、同時期に来日したメス「クッキー」とオス「チャッピー」(2018年没)の3頭で暮らしていました。
ホッキョクグマ繁殖計画のもと、キャンディは2011年ブリーディングローンにより札幌市・円山動物園へ移動。デナリの子を3回出産するも、ざんねんな結果となりました。
高齢となったキャンディ。ブリーディングローンの契約を終了し、2019年に古巣のんほいパークへ帰ってきました。
幼馴染のクッキーとともに、日本では稀な繁殖目的ではないホッキョクグマの2頭同時展示を行っていました。最期の5年間はクッキーと暮らせて楽しかっただろうと思いたいです。
浜松のモモが男鹿水族館のユキと交換
2024年3月、静岡県・浜松市動物園のメス「モモ」が秋田県・男鹿水族館へ、そして男鹿水族館のメス「ユキ」が浜松市へ移動しました。
男鹿水族館には2頭のメスと繁殖に成功したオスホッキョクグマ「豪太」がいます。釧路市動物園の故「ミルク」東山動植物園の「フブキ」の父親です。
高齢となり今後の繁殖がむずかしいユキ(1999年生)の代わりに、繁殖適齢期であるモモ(2014年生)が豪太の新しいパートナーとなります。
ホクトは再び旭山へ リラと繁殖ならず
2000年ロシアの動物園で生まれたオス「ホクト」2002年から兵庫県・姫路市立動物園で暮らしていました。
2020年に繁殖オスとして北海道・旭山動物園へ移動。翌年に「ピリカ」と結ばれ、念願の赤ちゃん「ゆめ」が誕生しました。
ホクトはさらなる繁殖が期待され、2022年に札幌市・円山動物園へ移動。2014年生まれのメス「リラ」とペアリングするも、妊娠・出産はありませんでした。
すると、2024年2月、日本の動物園は早々にホクトを旭山動物園へ戻しました。再度、ピリカと繁殖させるためです。
今年24歳になるホクト、決して若くはありません。頻繁な移動で疲れてしまわないか心配ですが。ピリカと仲良く過ごせますように。
最高齢ミユキと最年少ゆめ|王子動物園
2023年12月、神戸市・王子動物園に北海道・旭山動物園から「ゆめ」がやってきました。2021年12月生まれの幼いメスのホッキョクグマです。
ミユキが亡くなりました 2024年1月
王子動物園は1992年からメス「ミユキ」を飼育。高齢とは思えない、若々しさと美しさをもつホッキョクグマとして愛されていました。
ざんねんながら、ゆめ来園の翌月2024年1月に息を引き取りました。国内最高齢の33歳でした。
現在は、元気よく走りまわる国内最年少のホッキョクグマゆめに会うことができます。
デナリ28年間ありがとう!円山動物園
1995年と1996年にオス「デナリ」とメス「ララ」が来園した札幌市・円山動物園。その後、2頭のペアリングが功を奏し、計8頭のホッキョクグマが成育しました。
遠いアメリカで生まれ、日本の動物園のホッキョクグマ繁殖に大いに貢献してくれたデナリ。ざんねんながら、2023年9月に亡くなりました。29歳でした。
デナリがいなければ日本各地でホッキョクグマに会うことはできなかったのではないかと思うほど、感謝の念でいっぱいです。
名古屋にホッキョクグマ「フブキ」来園
ホッキョクグマ飼育の長い歴史をもつ東山動植物園。
2020年5月、国内最高齢オス(推定30歳)だった「サスカッチ」の死亡により、名古屋でホッキョクグマに会うことができなくなりました。
それから約3年。ホッキョクグマ来園の嬉しいニュースがとびこんできました!
2023年3月にやってきたのは「フブキ」2020年秋田県・男鹿水族館で生まれたオス。まだまだ幼い元気な子ホッキョクグマです。
広さや高低差があるものの、老朽化していた印象のある東山動植物園のホッキョクグマ展示場。フブキの来園とともに過ごしやすい環境が整えられることを願います。
鹿児島名物?!白くま「ライト」公開
2020年10月、鹿児島市・平川動物公園でホッキョクグマのメス「カナ」が老衰のため亡くなりました。30歳と長生きでした。
鹿児島名物「白くま」にかけて鹿児島を連想する動物として人気を博していたホッキョクグマ。カナが亡くなり飼育が終了しました。
寂しかったホッキョクグマ展示場。2023年3月、ついにホッキョクグマが来園しました!
その名は「ライト」2013年和歌山県・アドベンチャーワールドで生まれたオスです。
アドベンチャーワールドのホッキョクグマ展示場は狭い・日光が当たらない殺風景なイメージはいなめません。しかし、空調の効いた室内でプールに入れる施設はそうありません。
平川動物公園の展示場はいわゆるコンクリート造りの屋外。ライトが夏の日射・暑さに耐えることができるのか心配でしたが、暑い夏を乗り越え、元気に過ごしているようです。
シャンブイが亡くなりました|ズーラシア2022年
2022年12月、横浜市・ズーラシアのホッキョクグマ「ジャンブイ」が亡くなりました。野生のため生年不明ですが、30歳以上でした。
ズーラシアの開園した1999年にはるばるロシアからやってきたジャンブイ。子孫をのこすことはできませんでしたが、おおくのヒトにホッキョクグマの素晴らしさを教えてくれました。
姫路市立動物園にホッキョクグマはいません
兵庫県・姫路市立動物園は2002年からメスの「ユキ」とオスの「ホクト」を飼育していました。
ユキは2度ホクトの子を出産しましたが、いずれも間もなく死亡しました。数少ないホッキョクグマの繁殖をめざし、2頭は別々のパートナーを探すこととなりました。
2019年3月ユキが秋田県・男鹿水族館へ、そして2020年6月ホクトが旭山動物園へ旅立ち、姫路市立動物園のホッキョクグマ飼育は終了しました。
ホッキョクグマの赤ちゃん情報
絶滅のおそれがありワシントン条約により取引が規制されているホッキョクグマ。
今いるホッキョクグマたちに命をつないでもらうべく、全国の動物園・水族館は共同繁殖に力をいれています。近年、その成果が確実にあらわれています。
旭山動物園で赤ちゃん誕生!2021年
2021年12月、旭川市・旭山動物園でホッキョクグマの赤ちゃんが誕生。生まれて間もなく亡くなることの多いホッキョクグマですが、3頭生まれたうち1頭が元気に育っています。
じつに40年ぶりの繁殖成功です。
父親は2000年ロシアの動物園生まれの「ホクト」母親は2005年円山動物園生まれの「ピリカ」です。2020年6月にホクトが旭山動物園にやってきた翌年に出産となりました。
ゆめは神戸へ旅立ちました 2023年12月
ホクトとピリカの子はメス「ゆめ」と名付けられ、2022年4月から一般公開されました。
2023年12月、2歳をむかえるゆめの旅立ちのときがやってきました。移動先は神戸市・王子動物園。古さはあるものの比較的広い放飼場なので、のびのび成長できると良いですね。
2024年4月現在、旭川市・旭山動物園で飼育しているホッキョクグマはオス「ホクト」メス「ルル」「ピリカ」の3頭です。
2頭目の赤ちゃん!男鹿水族館2020年
秋田県・男鹿水族館は2012年、2020年と2回のホッキョクグマ繁殖に成功しています。
いずれも父親は2003年ロシアの動物園で生まれたオス「豪太(ゴウタ)」2005年に来日した、男鹿水族館初のホッキョクグマです。
豪太とクルミの子「ミルク」
記念すべき1回目の繁殖成功は2012年。母親は1996年釧路市動物園生まれの「クルミ」子は「ミルク」と名付けられました。
ざんねんながら、クルミは2018年に、ミルクは2023年に亡くなりました。
豪太とユキの赤ちゃん「フブキ」
クルミの死亡により、まだ14歳と若い豪太は繁殖相手がいない状況になりました。
そこで、2019年姫路市立動物園から1999年セルビアの動物園生まれの「ユキ」がやってきました。
めでたく2020年12月、ユキは1頭のオスの赤ちゃん「フブキ」を出産!ユキの愛情をいっぱい受けながら元気に成長しました。
【YouTube】男鹿水族館GAO 公式チャンネルはフブキの誕生からホッキョクグマの飼育のようすまで、さまざまな動画をあげています。ぜひチェックしてみてください!
2023年3月、ひとり立ちを迎えたフブキは名古屋市・東山動植物園へ移動しました。
豪太のつぎのお相手は浜松市動物園の「モモ」
2023年交尾行動はあったものの妊娠へはいたらなかったユキ。まだ若い豪太の血を残すべくメスの交換が決定しました。
今回秋田にやってきたのは静岡県・浜松市動物園の「モモ」2014年に天王寺動物園で生まれたホッキョクグマです。性成熟を迎えたばかりの若いメスです。
20歳をこえたユキは移動に耐え繁殖に成功し、本当に頑張ったと思います。浜松市動物園で健やかに過ごせることを祈ります。
天王寺動物園 2020年も赤ちゃん誕生!
大阪市・天王寺動物園は2014年、2020年とホッキョクグマ繁殖に成功しました。
父親はいずれも2004年ロシアの動物園生まれの「ゴーゴ」です。
ゴーゴとバフィンの子「モモ」
2011年に浜松市動物園からメス「バフィン」が来園し、2014年にメス「モモ」が誕生。バフィンは23歳という高齢出産でしたが、モモは母親の愛情をうけて元気に成長しました。
2016年、バフィンはモモを連れて浜松市動物園へ帰園。皆の期待を背負ってモモを生み育ててくれた、バフィンに感謝です。
2024年4月現在、モモは秋田県・男鹿水族館で飼育されています。
イッちゃん初産「ホウちゃん」誕生!2020年
ゴーゴ初の繁殖相手となったバフィンは高齢のためさらなる繁殖は断念。次のパートナーとなるべく来園したのは「イッちゃん」2013年ロシアの動物園生まれです。
期待を背負ったイッちゃんは、見事2020年11月赤ちゃんを出産!子はメス「ホウちゃん」と名付けられ、元気に成長しています。
2021年2月父親のゴーゴは神川県・よこはま動物園ズーラシアへ、さらに2022年12月イッちゃんもズーラシアヘ移動しました。
2024年4月現在、天王寺動物園で飼育されているホッキョクグマはメス「ホウちゃん」1頭のみです。
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絶滅のおそれが高いホッキョクグマ。
幸運なことに日本では29頭のホッキョクグマに会うことができます。さらに2020年には2頭、2021年には1頭の赤ちゃんが誕生しています。
自然界ではホッキョクグマのすむ場所や獲物がすくなくなっています。原因は地球温暖化により海氷がとけつづけていること。
これからも野生ホッキョクグマが生きていけるよう節電やゴミ削減など自分にできることをつづけましょう!
以上、ホッキョクグマに会える動物園・水族館でした。
【参考】
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