オオコウモリに会える動物園【クビワ・オガサワラ・インド】種類別リスト
2022年12月現在、日本の10カ所以上の動物園でオオコウモリが飼育されています。
日本固有種である「ダイトウオオコウモリ」「オリイオオコウモリ」「エラブオオコウモリ」「オガサワラオオコウモリ」そしてオオコウモリの最大種「インドオオコウモリ」です。
zoo zoo diaryはオオコウモリに会える動物園の種類別一覧を作成しました。会いたいオオコウモリがいる施設をワンクリックで探すことができます。
オオコウモリとは?
翼手目オオコウモリ科。60種以上に分類されています。
オオコウモリは日本をふくむ東南アジアやオーストラリア等あたたかい地域の森林に生息しています。
おおきなものは体長30cm、体重1kg以上。両翼をひろげた長さは1メートルを優に超えます。視力がよく目が大きいことが特徴です。
また、果物などの甘い植物を好むなど小型コウモリと異なる点がいくつもあります。
くわしくは「果物大好きオオコウモリ【生態と特徴】コウモリと同じところ違うところ」をご覧ください。
オオコウモリ科にはオオコウモリ属のほか、ルーセットオオコウモリ属をふくむたくさんの属があります。本記事ではオオコウモリ属をとりあげています。
日本で飼育されているオオコウモリ
現在日本では3種のオオコウモリ属の動物が飼育されています。そのうちクビワオオコウモリは3亜種にわけられます。
- 翼手目 Chiroptera
- オオコウモリ科 Pteropodidae
- オオコウモリ属 Pteropus
- クビワオオコウモリ Pteropus dasymallus
- エラブオオコウモリ P.d. dasymallus
- ダイトウオオコウモリ P.d. daitoensis
- オリイオオコウモリ P.d. inopinatus
- オガサワラオオコウモリ Pteropus pselaphon
- インドオオコウモリ Pteropus giganteus
- クビワオオコウモリ Pteropus dasymallus
- オオコウモリ属 Pteropus
- オオコウモリ科 Pteropodidae
インドオオコウモリは個体数がおおく絶滅のおそれはありません。
日本のオオコウモリは絶滅のおそれがあります
一方、クビワオオコウモリとオガサワラオオコウモリは生息域がせまく個体数もすくないため、絶滅のおそれがあります。
個体数減少のおもな理由は「生息地破壊」です。
また、オオコウモリは農作物を食べつくしてしまい、ヒトから疎まれる存在になっています。
しかしこれは森が壊され食べものがなくなったから。自然破壊はいずれはヒトの生活をおびやかす結果につながるのです。
クビワオオコウモリ
おもに日本に生息するクビワオオコウモリ。さらに5亜種に分類されています。
- クビワオオコウモリ Pteropus dasymallus
- エラブオオコウモリ P.d. dasymallus
- ダイトウオオコウモリ P.d. daitoensis
- オリイオオコウモリ P.d. inopinatus
- ヤエヤマオオコウモリ P.d. yayeyamae
- タイワンオオコウモリ P.d. formosus
- IUCNレッドリスト 危急(VU)
- CITES 附属書Ⅱ
- 生息 南西諸島、台湾など
- 体長 20cm
- 翼長 80cm
- 体重 0.5kg
英名【Ryukyu Flying Fox】琉球のオオコウモリ。絶滅のおそれが高い動物(IUCNレッドリスト危急)です。
日本の動物園は南・北大東島に生息するダイトウオオコウモリ、沖縄本島に生息するオリイオオコウモリ、口永良部島に生息するエラブオオコウモリを飼育しています。
クビワオオコウモリの特徴
全体は黒~褐色。首周りに白~金色の毛が生えています。これが首輪のように見えることから名付けられました。
オリイオオコウモリに会える動物園
オリイオオコウモリは沖縄本島および周辺に生息しています。
森林減少にともない都会に出没するようになり、公園や民家の果樹で発見されています。
日本の環境省において絶滅に関する評価はありません。
現在、7カ所の動物園で飼育されています。
- 上野動物園
- 井の頭自然文化園
- 大島公園
- 富山市ファミリーパーク
- 伊豆シャボテン動物公園
- 沖縄こどもの国
- ネオパークオキナワ
群れるオオコウモリが見たい!沖縄こどもの国
沖縄こどもの国では80頭ほどのオオリイオオコウモリの群れを飼育しています。
野生では大きな個体群で暮らしているため、コウモリがひしめき合っている状態がふつう。
より自然なオリイオオコウモリの様子を観察できるかもしれません。
オオコウモリ展示はじめました|伊豆シャボテン動物公園
静岡県にある伊豆シャボテン動物公園では、2017年よりオリイオオコウモリの飼育を始めました。
2019年からは繁殖に成功しています。
ダイトウオオコウモリに会える動物園
南・北大東島に生息するダイトウオオコウモリ。現在の生息数は南北合わせて300頭ほど。
ダイトウオオコウモリはサトウキビ農地開発により、生息地を追われています。さらに、交通事故やネコに捕食される例も確認されています。
国は1973年にダイトウオオコウモリを天然記念物としています。2004年には国内希少野生動植物種に指定されました。
ダイトウオオコウモリは絶滅寸前の状態(環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類)にあり、植林や生息地保全がおこなわれています。
沖縄こどもの国だけ!ダイトウオオコウモリ展示中
現在、ダイトウオオコウモリを飼育・展示しているのは全国で1か所。生息地・大東島がある沖縄県「沖縄こどもの国」だけです。
ダイトウオオコウモリは首周りだけでなく、頭や胸にも明るい毛が生え、非常に美しいことで有名です。
沖縄こどもの国では2亜種のクビワオオコウモリに会えます。ぜひ見比べてみてください。
エラブオオコウモリに会える動物園
エラブオオコウモリは、鹿児島県南西の口永良部島周辺にのみ生息しています。現在の生息数は200頭未満。
1975年国の天然記念物に指定。ダイトウオオコウモリとおなじく絶滅寸前(絶滅危惧ⅠA類)と評価されています。
日本動物園水族館協会(JAZA)HPには記載ありませんが、鹿児島市・平川動物公園ではエラブオオコウモリを飼育しています。
平川動物公園だけ!エラブオオコウモリは非公開です
平川動物公園は日本で唯一、エラブオオコウモリの飼育が認められています。生息地である島々が鹿児島県であることから、保護・研究を目的としています。
1993年には保護個体同士の繁殖に成功。現在はその息子にあたる「ブン」と「モン」が飼育されています。
しかし、1994年、1995年生まれと20歳を超え高齢となった2頭。かつていた展示場ではすがたを見られなくなりました。
エラブオオコウモリはクビワオオコウモリのなかで最もおおきく、色が濃いといわれています。
保護個体が導入されないかぎり、平川動物公園でふたたびエラブオオコウモリを見ることはないでしょう。
オガサワラオオコウモリ
東京の南に位置する小笠原諸島にのみ生息するオガサワラオオコウモリ。
英名【Bonin Flying Fox】小笠原諸島は発見当時無人だったことから「ぶにん」と呼ばれ、それが変換されたといわれています。
沖縄や鹿児島に生息するクビワオオコウモリとは別種とされています。
- IUCNレッドリスト 危機(EN)
- CITES 附属書Ⅱ
- 生息 小笠原諸島 300頭
- 体長 20cm
- 翼長 80cm
- 体重 0.4kg
生息数は300頭ほど。オガサワラオオコウモリは環境省では絶滅危惧ⅠB類、IUCNレッドリストでは危機と評価され、絶滅のおそれがきわめて高い動物です。
オガサワラオオコウモリも人間活動により生息地を奪われたり、害獣対策のために負傷・死亡したりしています。
2009年国内希少野生動植物種に指定され、保護・増殖事業が行われています。
オガサワラオオコウモリの特徴
クビワオオコウモリに特徴的な首の明るい毛は生えていません。また、耳が小さいことが特徴です。
オガサワラオオコウモリに会える動物園
JAZAによると、日本で唯一、東京都・上野動物園はオガサワラオオコウモリを飼育しています。エラブオオコウモリ同様、保護目的です。
今後新しい個体の導入予定はなく、いずれ飼育・展示がおわるでしょう。
生息地である小笠原村・父島にあるNPO法人小笠原自然文化研究所が、オガサワラオオコウモリの保護をおこなっています。
インドオオコウモリ
インドやバングラデシュなど南アジアに広く生息しているインドオオコウモリ。
一部地域では生息数の減少がみられるものの、全体数はおおいため絶滅は危惧されていません。
- IUCNレッドリスト 低懸念(LC)
- CITES 附属書Ⅱ
- 生息 南アジアなど
- 体長 30cm
- 翼長 130cm
- 体重 1kg
インドオオコウモリは翼手を広げた大きさが1メートルを優に超え、最大種ともいわれるオオコウモリです。
インドオオコウモリに会える動物園
現在、5か所の動物園がインドオオコウモリを飼育しています。
- 草津熱帯圏
- 京都市動物園
- 池田動物園*
- 高知県立のいち動物公園*
- 長崎バイオパーク
*展示されていない可能性があります
JAZAに掲載されていますが、岡山市・池田動物園HP動物一覧(2021年9月時点)にはインドオオコウモリは記載されていません。
JAZA非加盟ですが、群馬県・草津町には「草津熱帯圏」という展示施設があります。温泉を利用し亜熱帯の環境を再現しています。
カピバラや小型サルなどの哺乳類と数多くの爬虫類を飼育しています。亜熱帯で暮らすインドオオコウモリも展示されています。
インドオオコウモリ展示終了|のいち動物公園
高知県・のいち動物公園は2003年生まれのインドオオコウモリ「オーモリサン」を飼育しています。
年を重ねるうちに枝にぶらさがることができなくなり、5年以上前からバックヤードでケージ暮らしをしています。
2022年4月現在、のいち動物公園ではインドオオコウモリを見ることはできません。
一方で、のいち動物公園には300頭以上のエジプトルーセットオオコウモリがいます。
オオコウモリ属よりすこし小さなオオコウモリ科の動物です。大迫力の群れは一見の価値ありです。
オオコウモリの赤ちゃんが見れるかも?!京都市動物園
京都市動物園では順調に繁殖に成功しており、2020年にもオス1頭が誕生しています。
10頭以上のインドオオコウモリを飼育しており、群れるオオコウモリを見たい方におすすめの動物園です。
オオコウモリに大接近!長崎バイオパーク
長崎県西海市にある長崎バイオパークでは、檻やガラスに遮られることなくオオコウモリを見れます。
亜熱帯を再現したドームの一角で、2~3頭のオオコウモリが止まり木にぶらさがっています。
人工物なので殺風景ではありますが、ふれられるほどの距離でインドオオコウモリを観察できます。
フルーツが大好きな大きな瞳のオオコウモリ。思わず「可愛い」といってしまうような動物です。
日本で飼育されているオオコウモリのうち、インドオオコウモリ以外は絶滅のおそれが高いといわれています。
ありがたいことに日本では10カ所以上の動物園でオオコウモリに会うことができます。
動物園では翼や爪など、こまかいところをじっくり見ることができます。
オオコウモリは目と鼻がとてもよいため、驚かさないよう注意しながら観察してみてください。
以上、オオコウモリに会える動物園リストでした。
【参考】
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