ヤブイヌに会える動物園リスト【7か所】とニュースまとめ
ずんぐりむっくりの愛され動物「ヤブイヌ」に会える動物園にまつわる最新ニュースをお届けします。

ヤブイヌとは?
食肉目イヌ科ヤブイヌ属。イヌやネコの原始的な祖先にちかい動物といわれています。
南アメリカ大陸にひろく生息し、とくに水辺にちかい森林や草原をこのみます。
体高は25cmほどと小型犬サイズですが、体長は60cm、体重6kg以上と胴長でずっしりとした体格です。10~15cmのみじかい尾が生えています。
- Speothos venaticus
- IUCNレッドリスト 準絶滅危惧(NT)
- CITES(ワシントン条約) 附属書Ⅰ
- 生息地 南アメリカ大陸
- 体長 65cm
- 尾長 10cm
- 体高 25cm
- 体重 6kg

ヤブイヌの寿命は飼育下で10年ほど。野生下の寿命ははっきりとわかっていません。
埼玉県こども動物自然公園にて2020年に亡くなったオス「ユウタ」は15歳と、とても長生きでした。
やヤブイヌの生態と特徴をくわしく知りたいかたは「南米の野生イヌ!ヤブイヌの生態と特徴」をご覧ください。
将来ヤブイヌは絶滅するかもしれません
ヤブイヌは将来、絶滅のおそれがある動物(IUCNレッドリスト準絶滅危惧)です。
はっきりとした生息数は分からないものの、生息地破壊や感染症等によりその数は減っていると考えられています。
ヤブイヌの国際取引はきびしく規制されています
ヤブイヌはワシントン条約によって学術目的以外の輸出入は禁止されています。
日本の動物園にいるヤブイヌは繁殖を目的として海外の動物園から導入された個体とその子孫です。
ヤブイヌを飼育している動物園【7か所】
2025年4月現在、7つの動物園で13頭のヤブイヌが飼育されています。
- 埼玉県こども動物自然公園
- よこはま動物園ズーラシア
- 東山動植物園
- 京都市動物園
- 神戸どうぶつ王国
- 高知県立のいち動物公園
- 平川動物公園
名古屋市のヤブイヌ展示復活!
かつてヤブイヌ繁殖に成功した名古屋市・東山動植物園。
2019年に「キナコ」2022年2月に「アンコ」が亡くなり、ヤブイヌのいない動物園となっていました。
しかし2024年、神戸どうぶつ王国からオスの「ヒロマル」がやってきました!
2022年生まれと若々しいヒロマル。環境に慣れて、元気に過ごしてほしいですね。
国内最高齢ヤブイヌ「デンマル」
つい最近まで横浜市・ズーラシアのヤブイヌ飼育数は国内最多の6頭でした。
さらに、国内最高齢ヤブイヌとして2009年生まれのオス「フキ」を飼育していました。
しかし、2023年にはいり高齢となったズーラシアのヤブイヌ3頭(フキ、マロ、やす)が相次いで死亡。そして、2024年には「ハンナ」が亡くなりました。
ヤブイヌの寿命は飼育下で10年ほど。亡くなった4頭は12~13歳でした。天寿を全うしたのだと思います。
2025年4月現在、ヤブイヌの最高齢は2011年9月生まれの「デンマル」京都市動物園で飼育されています。
超高齢となった今も、展示場を走りまわり来園者を楽しませてくれています。
神戸で2年連続赤ちゃん誕生!2022年
2019年からヤブイヌ飼育をはじめた兵庫県・神戸どうぶつ王国。
2020年には京都市動物園よりメス「カリカ」が来園し「ノリマル」とのペアリングに挑んでいます。
2頭の相性はよく見事繁殖に成功!
2021年には「カノン」「フクマル」2022年には「コラン」「ヒロマル」が生まれました。
初産の子どもたちは衰弱の危険があったため人工哺育となりました。カリカ自身が人工哺育で育ったため、子の扱いがわかなかったのかもしれません。
しかし、2回目に生まれた子どもたちはカリカとノリマルの愛情をうけて、すくすく成長しています。
おとなになったカノンとフクマルはそれぞれズーラシア、埼玉県こども動物自然公園へと旅立っています。
さらに、2024年2月には父ノリマルが生まれ故郷京都へ、5月にはヒロマルが東山動植物園へ移動しました。
2025年4月現在、神戸どうぶつ王国は母「カリカ」子「コラン」計2頭のヤブイヌを飼育しています。
日本の動物園にいるヤブイヌの歴史
2004年ガイアナ共和国より横浜市・ズーラシアにやってきた「コタロウ」と「コウメ」生涯に25頭の子が生まれました。
コタロウとコウメの子「コモモ」「ケンタ」そして「ベニ」「ナン」がそれぞれ京都市動物園、名古屋市・東山動植物園へ移動。繁殖に成功しました。
飼育数がすくないため近親交配という苦渋の決断でしたが、この2組のペアは日本のヤブイヌをふやしてくれました。
遺伝子が似たもの同士の繁殖という危険をおかしつつ、ヤブイヌを飼育しつづけてきた日本の動物園。
京都市動物園で新たな血統が誕生!
2016年、ついに新たな血統が生まれました。
母親は2015年にイギリスからやってきた「パパヤ」父親は2014年にデンマークからやってきた「デンマル」です。
2頭のあいだには6頭の子が成育しました。
- 2016年2月
- パパマル
- 2016年9月
- カツマル
- ノリマル
- マドカ
- ミコト
- 2019年11月
- カリカ
ざんねんながら2019年、パパヤは3回目の出産で死亡。この時点で京都市動物園でのヤブイヌ繁殖がとまっています。
神戸どうぶつ王国で繁殖に成功!
さらに、2021年には京都市の血統を継ぐ子が生まれました。
母親は2019年生まれの「カリカ」父親は2016年生まれの「ノリマル」どちらもパパヤとデンマルの子(きょうだい同士)です。
- 2021年8月
- カノン
- フクマル
- 2022年1月
- コラン
- ヒロマル
近親交配で生まれた子は病気や障害をかかえる傾向があります。そのため、一般に自然界でも飼育下でも避けられています。
ところが、現存する日本のヤブイヌたちのおおくは血縁関係にあります。動物園は飼育をつづけるために、きょうだいを繁殖させることを選びました。
もともと10年ほどしか生きないヤブイヌ。
もしも近親交配で生まれたヤブイヌが早逝してしまったら…日本のヤブイヌがいなくなる日はそう遠くないかもしれません。

繁殖をめざす動物園とヤブイヌたち
日本の動物園にいるヤブイヌのうち、ケンタ・コモモの子孫が1頭。デンマル・パパヤの子孫が10頭。血統のかたよりがヤブイヌ繁殖をおいつめています。
そんな日本の動物園にいるヤブイヌの未来は2ペアのゆくえにかかっています!
のいち動物公園|スマイラーとカツマル
高知県・のいち動物公園は2021年よりヤブイヌのオス「カツマル」の飼育をはじめました。そして2022年にはズーラシアよりメス「スマイラー」が来園。
スマイラーは2015年イギリス生まれ、2019年に横浜市・ズーラシアにやってきました。
カツマルの兄「パパマル」とのペアリングがうまくいかなかったのか、ブリーディングローンにより高知へ移動となりました。
スマイラーは日本のヤブイヌと血縁のない、とても貴重なメスです。動物園としては何としても子どもを生んでほしいヤブイヌです。
カツマルとスマイラーの相性はわるくないようす。あたらしい命が誕生する日が待ち遠しいですね。
平川動物公園|マドカとサキョウ
鹿児島市・平川動物公園は2015年からヤブイヌ飼育をはじめました。
まずオスのきょうだい「ウキョウ」「サキョウ」が来園。2019年にメス「マドカ」がやってきました。
とっても仲の良いきょうだいでしたが、ウキョウはマドカ来園翌月に亡くなってしまいました。
それからサキョウとマドカのペアリングがはじまりました。
しかしながら結果は失敗。
マドカが噛みついてしまい、以降2頭の距離は離れたまま2年のときが過ぎました。長きにわたる訓練のおかげで、いまでは2頭は同居し交尾も確認されています。
ただ、サキョウは2014年生まれと10歳を超え、超高齢となりました。仲良しになったものの、2頭の繁殖の可能性は非常に低いでしょう。

南米の野生イヌ「ヤブイヌ」かつては3園ほどでしたが2025年4月現在、7つの動物園で会うことができます。
ヤブイヌはワシントン条約により国際取引が規制されているため、今後あらたな個体が導入されるかはわかりません。
寿命が10年ほどと短いヤブイヌ。いまの状態では動物園からすがたを消す日が必ずやってきます。
ぜひ可愛らしく活発なヤブイヌに会いに行ってみてください。
以上、ヤブイヌのお話でした。
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