珍獣の宝庫【サンディエゴ動物園ロストフォレスト】おすすめ動物
ボノボもオカピもコビトカバも!世界が認めるすごい動物園
アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ動物園。
世界一動物の種類が多い動物園として、年間来園者数350万人以上をほこる人気観光地となっています。
といっても日本から15時間ほどかかるロサンゼルスの南に位置する都市サンディエゴ。日本人で行ったことがある方はそう多くないでしょう。
しかし、動物好きなあなたは「サンディエゴ動物園に一生に一度は行きたい」と思っているはずです!
動物園のために旅行するようなわたし。そんなわたしと同じような考えの方へ。
zoo zoo diaryはサンディエゴ動物園に行きたい人をサポートできるよう、アクセスや営業案内と展示動物や園内の様子をシリーズでお届けします!
今回はサンディエゴ動物園最大級のエリア・ロストフォレスト【LOST FOREST】で会える動物たちを紹介します。
サンディエゴのアクセス、サンディエゴ動物園の概要(営業案内~エリア紹介)は別記事に掲載しています↓
自然の森を再現!LOST FOREST
ロストフォレスト「失われた森」人間活動により失われつづけている美しい森を再現しています。
多彩な植物や土、岩等が通路にも展示場にも配置されています。ヒトと自然そして動物をつなぐ展示法「ランドスケープイマージョン」がとりいれられています。
動物を見せることがメインではなく、動物と自然とのかかわりを伝える展示場です。
また、観客が分散されるよう1つの展示場にいくつかの観覧スペースを設けています。さまざまな角度から見れるうえに、動物のストレスを軽減する効果をもたらします。
ロストフォレストに一歩ふみこむと、森林にまよいこんだ気分です。バスが通れないエリアなので、ひたすら歩きます。
たくさんの動物がいるサンディエゴ動物園。すべての動物を紹介するのは到底不可能。そこで、ここからは実際にわたしが会えたロストフォレストの動物たちを紹介します。
サルの仲間(霊長目)
まず最初に現れたのはモンキートレイル【Monkey Trail】。
極めてまれな絶滅危惧のサル、グエノンやマンガベイに会うことができます。
しかし、来園時は雨のうえに寒いという、あいにくの天気。
遠くで雨宿りしていたり、そもそも姿が見当たらなかったり。満足いくサル観察はできませんでした。
ざんねんですが、これこそ動物優先の展示。
雨天時、野生動物の多くは雨がやむのをじっと待ちます。当然目立つ場所にはいませんよね。
サンディエゴ動物園は動物を見せるための施設ではないため、見れないことが動物の生態だとおしえてくれます。
ニシローランドゴリラ|ひろびろとしたガラスビュー
アフリカ中西部のジャングルに生息するニシローランドゴリラ。ゴリラの代表種です。
- Gorilla gorilla ssp. gorilla
- IUCNレッドリスト 深刻な危機(CR)
- CITES 附属書Ⅰ
- 生息 コンゴ共和国、ガボン等の熱帯雨林 20万人
- 身長 オス170cm メス130cm
- 体重 オス140~200kg メス80kg
群れで飼育されているゴリラはロストフォレスト中央のひろい範囲を占めています。
10:30ごろ行くと、すでに食後のようでゴリラの親子がお休み中でした。そして、寝ていると見せかけて家族を見守るシルバーバック。
ガラスの前に床暖房があるのでしょうか?ゴリラたちは皆ガラスの前で休んでおり、大きな体を間近で感じることができました。
サンディエゴ動物園は8頭のゴリラを2つの群れにわけて飼育しています。展示場には1つの群れずつ交代で出勤しています。
とても広い敷地に丘や滝がもうけられ、時間帯によっては活発な姿を見ることができます。
【YouTube】サンディエゴ動物園公式ゴリラ展示場のようす
ビッグママ!ゴリラのビラ
サンディエゴ動物園から車で1時間ほどの場所にある「サンディエゴ動物園サファリパーク」はゴリラ飼育の先駆者的存在。帝王切開や人工哺育、代理母など数々の難関をのりこえています。
1957年10月にコンゴで生まれたとされるメスのビラ【Vila】はサンディエゴ動物園でヒトに育てられました。
その後サファリパークへ移動。自ら子孫をのこし、さらにヒトの手で育てられた子ゴリラたちの代理母としても活躍しました。
われわれにゴリラのことをたくさん教えてくれたビラ。
2018年1月、サンディエゴ動物園サファリパークでなかまに見守られるなか息をひきとりました。当時60歳!世界で2番目に高齢のゴリラでした。
世界最高水準の動物医療・福祉の頭脳があつまるサンディエゴ動物園。最期まで群れのなかで過ごせたビラは幸せだったのではないでしょうか。
おおくのヒト・ゴリラに愛されたビラの偉業は永く語りつがれることでしょう。
一般的なゴリラの寿命は40歳前後。
気になる世界最高齢ゴリラはアメリカにはいません。ドイツ・ベルリン動物園のメスのファトウ【Fatou】が推定1957年生まれと世界最高齢です。
仙台市・八木山動物公園のドンは2019年5月推定50歳で亡くなりました。いまは、名古屋市・東山動植物園のメスのネネ(推定1972年生)が日本最高齢です。
ボノボ【日本では会えない】ヒトのなかま
わたしがサンディエゴ動物園で絶対に見たかった動物のひとつがこちら↓
チンパンジーではありません。霊長目ヒト科チンパンジー属「ボノボ」です。
日本では京都大学野生動物研究センター・熊本サンクチュアリで飼育されています。ただし、教育研究目的の飼育のため展示されていません。
ゆえにボノボを知っている日本人は少ないでしょう。
- Pan paniscus
- IUCNレッドリスト 危機(EN)
- CITES 附属書Ⅰ
- 生息 コンゴ民主共和国の森林 2万人
- 身長 オス78cm メス73cm
- 体重 オス40kg メス32kg
外見はチンパンジーとよく似ています。一方で比較的ちいさいため「ピグミーチンパンジー」とも呼ばれています。
サル好きのわたしにとってボノボはずっと見たかった未知の動物。初めて見るボノボに感激しました。
ゴリラの近くの階段をくだるとボノボの展示場はすぐ。緑に岩、滝があるひろい展示場です。
写真ではわかりにくいかもしれませんが、華奢でシャイな印象を受けました。元気いっぱいで筋肉質なチンパンジーとは似て非なる動物だと感じました。
しばらく観察していると、ボノボたちは展示場奥へ移動。
後ろから見ても細め。バランスがヒトととても似ていますね。
ほんのみじかい間でしたがボノボの正面も後ろ姿も見れてラッキーでした。
現在、サンディエゴ動物園は5人のボノボを飼育しています。
ボノボは日本で会うことができません。サンディエゴ動物園に行ったら、ぜったいに見てほしい動物です!
【YouTube】サンディエゴ動物園公式ボノボ展示場のようす
スマトラオランウータン|2022年赤ちゃん誕生
霊長目ヒト科オランウータン属。
サンディエゴ動物園ではインドネシア・スマトラ島に生息するスマトラオランウータンを展示しています。
赤茶色の長い毛を揺らしながら、大きくゆったりと動く知的な動物です。
- Pongo abelii
- IUCNレッドリスト 深刻な危機(CR)
- CITES 附属書Ⅰ
- 生息 インドネシア・スマトラ島の湿潤林 1.3万人
- 身長 オス130cm メス110cm
- 体重 オス80g メス40kg
巨大なガラスビュー。周囲は木々でおおわれ、どこまでが展示場かわからないようなつくりです。
当時4人のオランウータンが放飼されていました。
野生では単独行動のオランウータン。一方、飼育下では群れで飼育されることは珍しくありません。
目をひくのは立派なフランジのサトゥ【Satu】1995年生まれ。
どしっと構えてわたしたちを遠くから観察しているようでした。
動かないにもかかわらず、麻袋をハンモックに敷いたうえに、頭にもちょっとかぶせるという高度なテクニックを見せてくれました。
たった一度会っただけですが、とても魅力的で忘れられません。
フランジのサトゥは亡くなりました
多くのヒトに愛されていたサトゥ。悲しいことに2021年12月癌のため亡くなりました。26歳でした。
悲しみにくれるなか、サトゥは最期に贈りものを届けてくれました。それは2022年1月サトゥの血をひくオス、カヤ【Kaja】の誕生です。
現在はメス3人とカヤ、計4人が飼育されています。
- インダ【Indah】 1987年生
- カレン【Karen】 1992年生
- アイシャ【Aisha】2014年生
- カヤ【Kaja】 2022年生
2022年7月、カヤとインダは展示場デビューを果たしました。すでにりりしい顔つきのカヤ、今後が楽しみですね。
【YouTube】サンディエゴ動物園公式赤ちゃんオランウータンのようす
フクロテガナザル|オランウータンとなかよし
霊長目テナガザル科フクロテナガザル属。
全身真っ黒の毛で覆われています。大きなものは体重10kgを超えるテナガザルの最大種です。
- Symphalangus syndactylus
- IUCNレッドリスト 危機(EN)
- 生息 東南アジアの熱帯雨林
- 体長 80cm
- 体重 10kg
のど袋をぱんぱんに膨らますと、ものすごく大きな声が出ます。このことから「フクロ」と名付けられました。
鳴くときは顔と同じくらいのど袋が大きくなり衝撃的。ぜひ、のどに注目して観察してみてください。
フクロテナガザルとスマトラオランウータン「混合展示」
人だかりができている場所へ行ってみるとテナガザルとオランウータンの姿がありました。
東南アジアに生息する2種をおなじエリアで展示する「混合展示」をとりいれています。
限られた空間で生活する動物たちの退屈な日々に刺激が生まれます。
オランウータンはテナガザルの背中をもじもじ。テナガザルは砂をもじもじ。お互いリラックスしている様子です。
大きくて赤いオランウータンに比べて小さくて黒いフクロテナガザル。
明らかに見た目が異なる2種ですが、お互いに寄りそっている様子にとても癒されます。
テナガザルとオランウータンの観覧スペースには、ふわふわのチップが敷きつめられています。ずっと立っていても疲れにくいので時間をかけて観察できます。
日本では、ボルネオオランウータンとシロテテナガザルの混合展示が福岡市動物園で取り組まれています↓
蹄が2つの動物(鯨偶蹄目)
ロストフォレストはサルの仲間だけでなく、草葉を食べる草食動物もたくさん展示されています。
住みわけができる動物は積極的に混合展示をおこなっています。
オカピ|2021年赤ちゃん誕生
鯨偶蹄目キリン科オカピ属。
体格や四肢の模様からシマウマの仲間と思われがちですが、ウマ(奇蹄目)ではありません。
立派な耳で周囲の危険を瞬時に察知するため、長い間ヒトにとらえられずにいた動物です。
- Okapia johnstoni
- IUCNレッドリスト 危機(EN)
- CITES 記載なし
- 生息 コンゴ民主共和国の密林 3万頭
- 体長 200cm
- 体高 150cm
- 体重 オス220kg メス300kg
日本では檻や柵越しにしか見たことがなかったオカピ。こんなにじっくり見れるのかと大感激です。しかも6頭も飼育しています。
サンディエゴ動物園およびサファリパークはオカピ繁殖におおいに貢献しています。2021年にはあわせて70頭目となるオカピの赤ちゃんが誕生しました。
【YouTube】サンディエゴ動物園公式赤ちゃんオカピのようす
艶のある毛皮にうっとり。ちょっと面長な感じはキリンですね。
オカピはキリン同様、毛におおわれた角を持ちます。一方でキリンは雌雄ともに角がありますが、オカピはオスのみ。
また、キリンはメスよりオスが明らかに大きくなりますが、オカピはメスの方が大きく育ちます。
キリンも不思議ですが、オカピもかなり不思議な動物です。
しばらく見てると、ちょこちょこ動くものが。え?オカピの子ども?!
と思ったらウシ科のダイカーという動物。
オカピとダイカーはとても仲良し。ひとつの木にあつまるシーンも見られました。
ブラックダイカー【日本では会えない】ウシのなかま
鯨偶蹄目ウシ科。オカピに比べると半分以下のちいさな草食動物です。
現在ブラックダイカーは日本で飼育されていません。
- Cephalophus niger
- IUCNレッドリスト 低懸念(LC)
- CITES 記載なし
- 生息 西アフリカの森林
- 体長 90cm
- 体高 50cm
- 体重 18kg
雌雄ともに短い角がまっすぐ生えています。
オスは10cm以上に伸びますが、メスは3cmほどでほとんど見えません。
写真の個体も小さな角が生えています。しかし、頭の毛が長いため、ほぼ隠れていますね。
また、背中が丸く、尾先はふさっ。なんとも特徴的なアンテロープです。
カバ|水の中のようす
オカピの展示場から見える水面にうっすら浮かぶ影↓
鯨偶蹄目カバ科のカバ。体重1トンを超える大きな草食動物です。
- Hippopotamus amphibius
- IUCNレッドリスト 危急(VU)
- CITES 附属書Ⅱ
- 生息 サハラ砂漠以南の湿地帯 12万頭
- 体長 300~400cm
- 体高 150cm
- 体重 オス2000kg メス1500kg
沈んでいて見えない、と思ったあなた。安心してください!トレイルに沿って進むと水槽の真正面に到着します。
観客に顔を向けて足をそろえるオスのオティス【Otis】。
鼻だけ出して呼吸したり、全身沈してみたり、眠っているようでした。
カバの前にはちょうど飼育員さんがいて、カバの質問に答えていました。
サンディエゴ動物園のカバは日中ほぼ水の中。約5分に1回の息継ぎと周囲の確認の際に鼻や目をだすだけ。全身外に出ることは稀とのことでした。
カバの水槽には小さな魚がたくさんいます。魚がカバの角質や虫を食べ、カバは皮膚の清潔をたもてるという共生関係にあります。
そして、わたしたち見る側はカバだけがいる水槽より魚も泳いでいる水槽の方が自然な雰囲気を楽しめます。
カバがこんなにも写真が撮りやすいところにいてくれて、しかも飼育員さんの話が聞けて、すごくラッキーでした。
現在は2頭のメスのカバが飼育されています。
2020年2月、アマーシュリ【Amahle】が誕生しました。母フナーニ【Funani】にとって9番目となる子。元気に成長しています。
わたしが出会ったオティスが父親です。オティスは笑顔のカバとして大の人気者でした。2021年推定45歳でその生涯をおえました。
【YouTube】サンディエゴ動物園公式赤ちゃんカバのようす
コビトカバ|2020年赤ちゃん誕生
ジャイアントパンダ、オカピに加えて世界三大珍獣といわれるコビトカバ。
大きなカバと同じカバ科の動物ですが、カバの半分以下の大きさ。草原より森林を好みます。
- Choeropsis liberiensis
- IUCNレッドリスト 危機(EN)
- 生息 西アフリカの森林 2500頭
- 体長 160cm
- 体高 80cm
- 体重 200~250kg
カバの展示場とおなじように、水面下も見れるようになっており、魚も泳いでいます。
雨が降るような日だったので日光は強くありませんでしたが、コビトカバも水中でうっとりしていました。
コビトカバはカバに比べて凹凸の少ないのっぺりした顔つき。そして皮ふは光沢があります。
おなじような見た目と行動をしていますが、やはり雰囲気が異なる2種です。
数々の希少動物の繁殖に成功しているサンディエゴ動物園。しかし、ここ30年のあいだに無事に生育したコビトカバの赤ちゃんはいませんでした。
2020年ようやく元気な赤ちゃんが誕生しました。
父親はエルゴン【Elgon】。母親のメイベル【Mabel】は初産にもかかわらず、息子アコビ【Akobi】を立派に育てています。
現在はエルゴンとメイベルの同居が再開され、つぎの繁殖をめざしています。
【YouTube】サンディエゴ動物園公式赤ちゃんコビトカバのようす
バビルサ【日本では会えない】イノシシのなかま
鯨偶蹄目イノシシ科。何でも食べる雑食性の動物です。
サンディエゴではインドネシア・スラウェシ島に生息するスラウェシバビルサを飼育しています。
- Babyrousa celebensis
- IUCNレッドリスト 危急(VU)
- CITES 附属書Ⅰ
- 生息 インドネシアの熱帯雨林 9000頭
- 体長 90cm
- 体高 60cm
- 体重 80kg
バビルサはときおりテレビ番組等でとりあげられる有名な珍獣。日本では飼育されていません。
インドネシアの森林には天敵がすくなく、生きながらえてきたバビルサ。
ざんねんながら、わたしたちヒトによる生息地破壊や狩猟によってその数は激減しました。保護活動が進められていますが、現在も減少傾向です。
サンディエゴ動物園では2016年にはじめてバビルサの赤ちゃんが誕生しました。写真は左からオス、子、メス。オスは立派な牙が生えています。
自らを襲う?!バビルサの牙
バビルサの特徴は顔の方向にまがった長い牙。
実は、これは犬歯。オスの犬歯は皮ふをつらぬくというインパクト大の不思議動物!
メスにも下の牙がありますが、オスほど長くありません。
オスのバビルサの牙は折れない限り、どんどん自分の方へ伸びてきます。ついには額の皮ふをやぶり、頭蓋骨にたっする危険があります。
いったいなぜバビルサの犬歯が独特の形なのか理由はわかっていません。
攻撃や防御のためという仮説はバビルサの歯が脆いことから否定されつつあります。メスを惹きつけるためのディスプレイかもしれませんね。
サンディエゴ動物園の半分近くの敷地を占めるロストフォレスト【LOST FOREST】日本で見ることのできない動物が何種類も展示されています。
今回紹介しきれなかった鳥類や爬虫類を含めると、すごい数の動物が展示されています。また、肉食動物トラもいます。
敷地をいかした立体的な歩道や展示場があちらこちらに設けられています。まるで森のなかを探検しているような気分をあじわえるでしょう。
サンディエゴ動物園はとにかく歩くので、ぜひ歩きやすい靴でご来園を。
以上、サンディエゴ動物園ロストフォレストエリアの紹介でした。
【参考】
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