日本で会える5種類のカワウソの特徴と生態がわかる記事
動物園や水族館でよく見かける動物「カワウソ」愛くるしい表情や動きに歓声があがるほどの人気ものです。
では、あなたが好きなカワウソは「何」カワウソでしょうか?
実はカワウソの種類は10以上!意外と知られていないカワウソの種類に注目しながら、カワウソの生態と特徴を紹介します。
カワウソの種類【7属13種】
食肉目イタチ科のカワウソ。諸説ありますが、カワウソは全部で13種にわけられます。
- 食肉目 Carnivora
- イタチ科 Mustelidae
- ツメナシカワウソ属 Anonyx
- コツメカワウソ A. cinereus
- ツメナシカワウソ A. capensis
- コンゴツメナシカワウソ A. congicus
- カワウソ属 Lutra
- ユーラシアカワウソ L. lutra
- スマトラカワウソ L. sumatrana
- ノドブチカワウソ属 Hydrictis
- ノドブチカワウソ H. maculicollis
- カナダカワウソ属 Lontra
- カナダカワウソ L. canadensis
- ミナミウミカワウソ L. felina
- オナガカワウソ L. longicaudis
- チリカワウソ L. provocax
- ビードロカワウソ属 Lutrogale
- ビードロカワウソ L. perspicillata
- オオカワウソ属 Pteronura
- オオカワウソ P. brasiliensis
- ラッコ属 Enhydra
- ラッコ E. lutris
- ツメナシカワウソ属 Anonyx
- イタチ科 Mustelidae
ツメナシカワウソを1種とする説あり
ノドブチカワウソをカワウソ属とする説あり
ニホンカワウソをユーラシアカワウソからわける説あり
【参考】IUCN/SSC Otter Specialist Group
日本では現在5種類のカワウソに会うことができます。
ツメナシカワウソ属のツメナシカワウソとコツメカワウソ、カワウソ属のユーラシアカワウソ、カナダカワウソ属のカナダカワウソ、そしてラッコ属のラッコです。
日本でカワウソを飼育している水族館・動物園は「カワウソに会える動物園リスト」に掲載しています。
現存する13種のカワウソにはそれぞれ特徴があります。まずは、カワウソに共通する生態や特徴を見ていきましょう。
カワウソの生態と特徴(基本編)
水族館で飼育されていることから、カワウソが水好きなのはご存知でしょう。
一方で、陸で過ごすことも多く、動物園でも飼育されています。
野生のカワウソはというと、水域から遠くはなれた場所には住みつきません。南極やオーストラリアなどの一部を除き、世界中の水辺に生息しています。
カワウソの生活は群れ?ひとり?
カワウソというと群れで暮らしているイメージはありませんか?
ところが、実際には単独生活を好むものと、群れ生活を好むものが存在します。
動物園や水族館でよく見かけるコツメカワウソは群れる種。そのため、何頭かで過ごしている印象が強いかもしれません。
一方で、ユーラシアカワウソやツメナシカワウソなどは単独行動する種。1頭で展示されていもかわいそうではありません。
カワウソは縄張り意識がつよく、それぞれの個体もしくはグループは決まったテリトリーの中で活動します。
声とにおい|コミュニケーション
カワウソは声を出してコミュニケーションをとることで知られています。
ピーピー、チューチュー、グーグーなど10種類以上もの声を使いわけて、あいさつや注意喚起を行います。
また、嗅覚も重要なツール。しっぽの付け根にある肛門腺から強烈な匂いの分泌物を出し、縄張りをアピールしたり繁殖期を示したりします。
さらに、においは排泄物にも含まれるためトイレは決まった場所で行います。群れで生活するカワウソは全員が同じところで排泄し、縄張りを築きあげていきます。
カワウソの臭気は特に強いとされ、動物園や水族館でも感じることができます。ストレスや興奮によっても分泌されるため、驚かさないようご注意ください。
超大食い!カワウソの食事
カワウソは肉食。魚類や貝類、甲殻類などを食べます。エサを探す際には、振動をキャッチできるヒゲを利用します。
どちらかといえば小動物ととらえられるカワウソ。
しかし、他の動物より代謝が速いため、一日に何度も食事をしなければなりません。ときには体重の30%ほどの重さの食料を食べます。
たとえば体重10kgのカワウソで3kg、体重50kgのヒトであれば15kgの肉や魚介類を食べる計算です。
ちなみに、一般的なヒトは1日2kg前後の食事量で生活しています。小さなコツメカワウソの食事量でヒトの1日のエネルギーをまかなえるとは驚きです。
可愛い外見とは対照的に、大きな歯で貝の殻や魚の骨を噛み砕きながらワイルドに食べる姿が印象的です。
【YouTube】福岡チャンネルで食欲旺盛なコツメカワウソをチェック!
獺祭とは?カワウソ祭
カワウソは捕らえた獲物をすぐに食べないことがあります。なんと、行儀よく岸にならべ、ある程度たまってから頂くのです。
その様子を見た中国人がお供えをしているようだと思い「カワウソ祭り」つまり「獺祭(だっさい)」と呼びはじめたといわれています。
1回の狩りでは大食いのカワウソのエネルギーは補えません。そのため、カワウソは何回か狩りを繰り返し、獲得したエサを一気に食べる方が効率的だと考えました。
カワウソがエサをならべる行為「獺祭」は動物園や水族館でも見ることができます。
野生に比べ活動量が低く、直接エサをもらう場合もあり、獺祭の必要性はないかもしれませんが。運が良ければ獺祭中のカワウソに会えるかもしれませんね。
小さい・か弱いカワウソの赤ちゃん
カワウソは2~3歳で成熟を迎えます。種による差がありますが、およそ60日の妊娠期間を経て1度に数頭の子を出産します。
カワウソの赤ちゃんは体重200グラム以下、体長30cm以下。体毛は明るいグレー。目は閉じたまま生まれます。キューキュー、と消えそうな声で鳴く姿は、誰もが守りたくなる存在です。
生後1か月ごろに目が開き、3か月ごろには泳げるようになります。
徐々に固形物を食べはじめ、体毛もおとなと同じように濃く変化します。そして、1歳前後で母親の手を離れます。
しかし、小さくか弱いカワウソの赤ちゃんが、成熟をむかえるのは至難の業。30%以上の赤ちゃんカワウソは1歳になる前に死亡すると報告されています。
カワウソの寿命は?
カワウソは狩りをして食べ物を得る「捕食動物」なので、天敵は少ないといわれています。
しかし、すばやく動きまわることのできない幼獣はワニやヘビなどに標的とされます。
野生カワウソの寿命はおよそ10年。飼育下では15年ほど。なかには20年以上生きた個体も確認されています。
日本の長生きカワウソたち
2016年に亡くなった広島市・安佐動物公園のユーラシアカワウソ「ユウ」は推定26歳でした。10歳以上で高齢とされるカワウソ界のレジェンドです。
2022年9月現在生きているカワウソでは「シュリ」と「シュラ」が最高齢。2003年にシンガポールの水族館で生まれた姉妹です。
2頭とも東京暮らし。シュリは池袋サンシャイン水族館、シュラはしながわ水族館で飼育されています。
カワウソは濡れない|二重構造の毛
カワウソの毛は、全体的に茶や灰色。通常、背側は濃く、首や腹側は薄い色をしています。
動物は水に濡れても、なぜタオルで拭かなくて良いのだろうと思ったことはありませんか?
とくにカワウソのように全身毛で覆われている動物は、濡れたままで寒くないのかと不思議に思いますよね。
実は、わたしたちが普段目にしているカワウソの毛は「外毛」。つまり、濡れているのは外側の毛だけなのです。
体の一番外側にある長い毛は、水をはじく性質があります。その内側には、柔らかく短い毛がぎっしり生えています。
外毛が内毛を守り、さらに内毛が皮膚を守るため、カワウソの肌は水中でも濡れることはありません。
体を揺らすだけで、外毛についた水滴はスルスルと落下。あとは自然と乾いていきます。
また、毛づくろいをすると、毛と毛の間には空気が入り込みます。この空気は、浮力を与えるとともに、体温の低下を防いでくれます。
そのため、カワウソにとって毛づくろいは生活や体をまもるための重要な仕事です。
泳ぐカワウソを観察していると、カワウソの体から空気がぽこぽこ出てくるのがわかります。水中ではキラキラ光り、とても綺麗です。
美しいカワウソの水泳に動物の進化や行動の驚異があらわれています。水族館や動物園に行った際は、ぜひじっくり観察してみてください。
【YouTube】那須どうぶつ王国でユーラシアカワウソの泳ぎをチェック!
泳ぎが得意|水中に適した進化
陸に巣をつくる種もいるカワウソですが、泳いで移動したり潜水して狩りをしたり、水中生活がおおい動物です。
そのため、カワウソの手足には水かきがある種がほとんど。さらに、短い四肢と細長い胴、先細りの平たい尾は、水中で行動するのに適しています。
カワウソの鼻、目、耳は横から見ると水平線上に並んでいます。
そのため、水面から頭を少し出すだけで、上空や陸地の様子を監視することができます。水中でも地上でも行動するカバやカピバラも同じ特徴です。
また、海獣であるアシカ同様、カワウソは鼻と耳を閉じることができます。体内に水がはいらない仕組みです。
このように防水の毛、水かき、目鼻などカワウソは陸上動物でありながら、水と暮らすための進化を遂げています。
日本で会えるカワウソの生態と特徴(種別編)
日本にいるカワウソを詳しく教えて!種類によるちがいを知りたい!かんたんな動物情報だけでは物足りない!という方々へ。
ここからは、国内の動物園や水族館で飼育されているカワウソを種類別に紹介します。
コツメカワウソ|最小・東南アジア
カワウソというと「コツメカワウソ」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?日本では最もポピュラーなカワウソです。
小さな手に小さな爪が生えているコツメカワウソですが、分類上はツメナシ。
- ツメナシカワウソ属
- IUCNレッドリスト 危急(VU)
- CITES 附属書Ⅰ
- 生息 東南アジアの水辺
- 体長 60cm
- 体重 4kg
カワウソの中で最も小さく、体重4kg、体長60cmほどです。
おもに東南アジアの流域や沼地などに生息しています。田んぼなど人工的な水場にも住みつきます。
仲良し大家族で暮らします
野生では15頭ほどの群れで生活をしています。
国内でも複数頭飼育している施設がおおく、コツメカワウソが一斉に動きまわる姿を見ることができます。
体の小さいコツメカワウソの赤ちゃんは非常にか弱く、体重およそ50グラム。父親を含む、群れのみんなで子育てを手伝う理想的な家族です。
【YouTube】Jacksonville Zooのコツメカワウソ家族をチェック!
賢く食べる!コツメカワウソの食事と狩り
カニや貝類を好みますが、魚や昆虫も食します。飼育下では小魚を与えていることが多いです。
大きく丈夫な歯は、殻や骨を噛み砕くのに適しています。
触覚が優れているため、前足で砂や沼を掘り起こしてエサを見つけます。
飼育下では芸をおぼえるほど賢いコツメカワウソ。
野生では貝を食べる際に手で殻を割ったり、太陽光で温めて開かせたり。頭をつかって食事をしています。
コツメカワウソのペット問題
近年ではペットとして人気があるコツメカワウソ。
しかし、ワシントン条約で規制されているため、輸出国の許可書がなければ輸入することはできません。
そのため、ペットとして販売されているのは日本国内の施設で繁殖した個体です。
動物福祉にはんしているのでは…
コツメカワウソは群れで行動するため、1頭で飼育することは不自然。また、肉食のうえ、独特の体臭があります。さらに、水辺に生息する動物なので、当然プールが必要になります。
ところが、家庭で飼われる場合は1頭がおおく、ドックフード等をあたえられ、ちいさな子ども用プールであそばせる程度。
コツメカワウソにとって「さみしい・まずい・せまい」環境で暮らすことは幸せでしょうか?
需要の高まりが密猟・密輸につながっています!
さらに最悪なことにカワウソのペット人気は密猟や密輸をまねいています。
ワシントン条約できびしく規制されているコツメカワウソの輸出入。海外から連れてくることは動物園ですら難しい状況です。
ところが、日本でのコツメカワウソのペット需要が高まり高額で取引できることから、違法行為がふえています。
東南アジアで密猟されたコツメカワウソが日本に密輸され動物商の手にわたると、購入者が不正を見ぬくことは困難です。
繁殖施設で生まれた個体だと思っているコツメカワウソが実は野生の、密猟されたカワウソかもしれません。
本来、野生動物はヒトの手で育てられるものではありません。動物園人でも苦労するのに、ましてや素人である一般人はなおさらです。
野生コツメカワウソが絶滅しないよう、ふしあわせなコツメカワウソが増えないよう、ペットやふれあい動物としての飼育について議論が交わされています。
イヌやネコももちろん。ペットを飼うときはよく考えてから行動しましょう!
ツメナシカワウソ|大きい・爪なし
文字通り爪を持たないツメナシカワウソは、アフリカ大陸に広く分布。森に近い水辺を好みます。
ツメナシカワウソは1日の大半を水中で過ごします。そのため、水域から離れた場所で確認されることはめったにありません。
マングローブなどの河口域に加え、磯にも生息しています。海岸では、生きていくために必要な淡水が得られる場所を選んでいます。
- ツメナシカワウソ属
- IUCNレッドリスト 準絶滅危惧(NT)
- CITES 附属書Ⅱ
※カメルーンツメナシカワウソは附属書Ⅰ - 生息 アフリカ大陸の水辺
- 体長 120cm
- 体重 15kg
ひとりが好き|ツメナシカワウソの生態
コツメカワウソとは異なり、単独もしくは少数の群れで生活します。
群れの中でも、それぞれのスペースを確保。各個体が強烈なにおいを出して、縄張りをアピールします。
単独行動を好むツメナシカワウソは繁殖期のみ雌雄が会合します。繁殖は年中可能ですが、野性では雨期の時期におこなう傾向にあります。
子育ては母親のみ。成熟を迎えるころ、オスの子どもは巣立っていきます。
昼のんびり夜うごく|食事と狩り
日中は丸太で遊んだり、ひなたぼっこしたり、動物園のカワウソと同じように過ごしています。
一方で、夜になると活発になり狩りに出かけます。口や顎に生えたヒゲを利用してエサを探し、器用な手を使って捕獲します。
とくに貝類や甲殻類を好みます。
日中の和やかな雰囲気とは打って変わり、狩りと食事はすばやくおこなわれます。
とにかく大きい!ツメナシカワウソの特徴
一見コツメカワウソに似ていますが、ツメナシカワウソは体重約20kg。しっぽを含めると体長1メートルを優に超えます。
オオカワウソ、ラッコにつぐ第3の大きさを誇るカワウソです。コツメカワウソを見慣れている日本人にとっては超巨大に見えます。
ツメナシカワウソは頭部が大きく、骨や殻を砕くための立派な歯を有しています。
前あしには爪がありませんが、後ろあしの人差し指~薬指の3本には小さな爪が生えています。ただし、水中生活者にもかかわらず水かきはもっていません。
爪も水かきも退化したツメナシカワウソ。より器用で自由に手を使うことができます。
ユーラシアカワウソ|口もとふっくら
ヨーロッパから中国まで、ユーラシア大陸に広く分布するユーラシアカワウソ。他のカワウソ同様に水辺に生息しています。
- カワウソ属
- IUCNレッドリスト 準絶滅危惧(NT)
- CITES 附属書Ⅰ
- 生息 ユーラシア大陸の水辺
- 体長 100cm
- 体重 10kg
趣味は寝ること|ユーラシアカワウソの生態
ユーラシアカワウソは単独で行動するカワウソ。また、夜間の方が活動的です。
しかし、実際にはその人生の半分を寝て過ごしていると考えられています。
おもに魚類を好み、ときには鳥や小動物も食します。
繁殖は山あり谷あり?!
単独で暮らすユーラシアカワウソのオスは繁殖期を迎えたメスのにおいを頼りに旅へと出かけます。
しかし、メスに出会えてもすぐ交尾とはいきません。お互い追いかけたり泳いだり、ごろごろしたりすること1~2時間。十分に遊びまわったあと、やっと交尾することができます。
子育ては母親がおこないます。一方、父親は1週間ほど母子といっしょに過ごしたあと、新たな拠点を求めて移動します。
比較的成長がおそく、目を開けるのに1か月以上、乳離れに3か月以上要するユーラシアカワウソ。1年以上母親とともに生活します。生後15か月ごろにひとり立ちします。
口もとに注目!ユーラシアカワウソの特徴
ツメナシカワウソよりは小さいですが、コツメカワウソよりは大きいです。体長およそ1メートル、体重10kg前後。
また、四肢がみじかく、大きな水かきと鋭い爪をもっています。
カワウソというと「ω」型の口もとが可愛らしい動物。なかでもユーラシアカワウソはとくに口もとがふっくらしています。
視覚、嗅覚、聴覚ともに優れており、泳ぎも狩りも上手なユーラシアカワウソ。
活動量が多いせいか、意外にも30秒ほどしか息を止めることができません。そのため、水中から顔だけ出すことが多いようです。
動物園や水族館でも、頻繁に息継ぎする様子を確認できます。
ユーラシアカワウソは26頭だけ?!
2022年8月現在、日本で飼育されているユーラシアカワウソは26頭(zoo zoo diary調べ)しかも親類だらけという状態に陥っています。
繁殖相手がおらず、今後日本のユーラシアカワウソが増える可能性は多くありません。
カナダカワウソ|活発・鼻大きい
北アメリカ大陸に分布するカナダカワウソ。
通常、河川流域に生息しますが、湖や磯でも確認されています。
- カナダカワウソ属
- IUCNレッドリスト 低懸念(LC)
- CITES 附属書Ⅱ
- 生息 北米大陸の水辺
- 体長 100cm
- 体重 10kg
体長1メートル以上、体重10kg前後とユーラシアカワウソと同じくらいのサイズです。見比べると鼻の黒い部分が大きいのが印象的です。
元気No.1!カナダカワウソの生態
カナダカワウソは、昼も夜も活発。水中でも陸地でも身軽に動きまわることができます。
なわばりの範囲が非常にひろく、一日の大部分をマーキングに費やします。
基本的に単独行動をとりますが、しばしば大きな群れとなり仲良く遊ぶ姿も確認されています。
エサの90%は魚。まれに甲殻類や小動物を捕食します。
狩りは単独または雌雄でおこないます。ときには、エサを求めて10km以上旅をする活動的なカワウソです。
出産の準備をするカワウソ
一般的に冬~春にかけて繁殖を行います。この2~3か月の間は、雌雄がいっしょに生活します。
しかし、事がすむと離れ離れ。ペアの絆はうすいと考えられています。
着床遅延があるため、子が生まれるのは翌年の春ごろ。
妊娠したメスは土手や木のくぼみに巣穴をつくります。つまり、カナダカワウソは妊娠を遅らせることにより、出産の態勢を整えます。
実質的な妊娠期間は他のカワウソ同様およそ60日です。
カナダカワウソの子は約2か月間、母親とともに巣穴で生活します。成長がはやく、1歳を待たずしてひとり立ちします。
寿命は12年ほどと長め。世界最高齢カナダカワウソは27歳でした。
カナダカワウソと乱獲
動物の毛皮が狙われ絶滅危機にいたる例は、歴史上かつ現在も数多く報告されています。カナダカワウソもそのひとつ。
かつては北アメリカ大陸全土にいたカナダカワウソ。乱獲によりその数は激減し、現在、アメリカ合衆国中部では確認されなくなりました。
生息数減をうけ、アメリカの20の州で再導入がおこなわれた結果、個体数は回復傾向に。
ところが、施策の成果をいいことに現在は20のうち14の州でカワウソの狩猟が認められています。なかには、制限なく狩猟することが許されている地域もあります。
毎年、何千頭というカナダカワウソが毛皮のために捕獲されています。カワウソの毛皮はアメリカとカナダだけでなく、中国やイタリア、そして日本でも需要があります。
また、運悪くビーバーの罠にかかって捕らえられるカワウソも多数報告されています。
現在IUCNはカナダカワウソを絶滅のおそれがない種(低懸念)と評価しています。一方、ワシントン条約では国際間取引が規制されています。
安定しているといいながら、生息数ははっきりとしていないカナダカワウソ。
乱獲にくわえ水質汚染や土地開発などの影響により、カナダカワウソの将来を危ぶむ声もおおくあがっています。
ラッコ|最大・海のカワウソ
日本で会えるラスト1種類のカワウソはラッコです。
みなさんラッコってカワウソの仲間だと知っていましたか?
ラッコは食肉目イタチ科カワウソ亜科に属しています。
毛が長く陸地にあがることの少ないラッコは、他のカワウソとはちがった趣です。
- ラッコ属
- IUCNレッドリスト 危機(EN)
- CITES 附属書Ⅱ
※カリフォルニアラッコは附属書Ⅰ - 生息 北太平洋の海岸
- 体長 150cm
- 体重 30kg
ロシアからアラスカ、カナダなどの北太平洋に分布しています。岩場の多い海岸沿いを好みます。
ラッコはしっぽまであわせると体長1.5メートルほど、体重30kg以上。オオカワウソとともにイタチ科最大種といわれています。
全体的に濃い茶色ですが、顔は白~灰色。
くわしくは「ラッコは何科?どこにいる?おもしろ可愛い!ラッコの生態と特徴」をご覧ください。
カワウソの将来
生息地破壊や獲物減などにより、世界的にカワウソの生息数は減少傾向にあります。
加えて、ペットや毛皮のために密猟や密輸がくりかえされています。
カワウソは周年繁殖し、通常であれば絶滅のおそれはないような動物。
しかし、農薬などの汚染物質によりオスの繁殖能力が低下しているという報告もあります。
多くの動物と同じように人間活動によってカワウソの未来は脅かされています。ニホンカワウソのように絶滅するカワウソも今後出てくるでしょう。
森林破壊や水質汚染が少しでも減るよう環境にやさしい生活を心がけましょう。
カワウソに会える動物園・水族館はこちらでご確認できます↓
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日本で会える5種類のカワウソ。好みのカワウソは見つかりましたか?
同じ科の動物を照らしあわせると共通点はもちろん、いくつもの違いも見えてきます。それを見て学べるのが、動物園や水族館。
指や毛など細かいところに注目しながら、カワウソを観察してみましょう!
以上、カワウソの豆知識でした。
【参考】
http://www.otter.org/Public/Default.aspx
http://www.iucnredlist.org/
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