カンガルー種類多すぎ?!オオカンガルーとアカカンガルーの特徴と見わけ方
動物園のふれあい動物としてポピュラーなカンガルー。
どの動物園も同じカンガルーを飼育していると思っていませんか?
実は、カンガルーには多くの種類が存在します。
今回は、日本で飼育されているカンガルーの種類やその違いを紹介します。

カンガルーの種類
カンガルーは細かく分類され、たくさんの種類が存在します。
その数なんと50種類以上!全部記載するのは控えようと思います。
11属に分類されたカンガルー科。わたしたちに親しみのあるカンガルーの多くは、カンガルー属に属します。
- 双歯前目(カンガルー目) Diprotodontia
- カンガルー科 Macropodidae
- キノボリカンガルー属 Dendrolagus
- ドルコプシス属 Dorcopsis
- ヒメドルコプシス属 Dorcopsulus
- ウサギワラビー属 Lagorchestes
- シマウサギワラビー属 Lagostrophus
- カンガルー属 Macropus
- ツメオワラビー属 Onychogalea
- イワワラビー属 Petrogale
- クオッカワラビー属 Setonix
- ヤブワラビー属 Thylogale
- オグロワラビー属 Wallabia
- カンガルー科 Macropodidae
カンガルーの大きさ|ワラビーとワラルー
カンガルーの種類というと、ワラビーやワラルーを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
しかし、実はワラビーもワラルーも種類の名前ではありません。小型のカンガルーを意味する通称です。
さらにワラビーやワラルーの明確な定義はありません。だいたいの大きさで呼びわけられているだけに過ぎません。
体長 ワラビー < ワラルー < カンガルー
ワラビーは60cm前後、ワラルーは80cm前後、カンガルーは1メートル越えといった具合。かなりあいまいです。
最大のカンガルー|アカカンガルーとオオカンガルー
最大の有袋類はオオカンガルーとアカカンガルー。オスはメスより大きく筋肉質です。
- 体長 オス130cm メス100cm
- 尾長 オス100cm メス80cm
- 体重 オス50kg メス30kg
オスは体長1.4メートル、体重70kgほどに成長します。尾長およそ1メートル。立ち上がると2メートルを超えるカンガルーも記録されています。

カンガルーだけど小さい!キノボリカンガルー
ちなみにキノボリカンガルーは「カンガルー」という名を持ちますが、ワラビーほどの大きさです。
- 体長 60cm
- 尾長 70cm
- 体重 8kg
日本ではよこはま動物園ズーラシアで飼育されています。
最小のカンガルー|クオッカ
世界最小のカンガルー科の動物はクオッカ。
- 体長 40cm
- 尾長 30cm
- 体重 3~4kg
オオカンガルーの体重の10分の1ほどと、とても小さなカンガルーです。
笑顔を浮かべた癒しの表情は、国内外問わず大人気。
日本では埼玉県こども自然動物公園で飼育されています。
日本で会えるカンガルー
2022年4月現在、日本では11種類のカンガルーに会うことができます。
- アカカンガルー
- アカクビワラビー
- オオカンガルー
- オグロワラビー
- クアッカワラビー
- クロカンガルー
- ケナガワラルー
- シマオイワワラビー
- セスジキノボリカンガルー
- ダマワラビー
- パルマワラビー
詳細は「カンガルーに会える【種類別】施設一覧」をご覧ください。
カンガルー科ではありませんが、同じカンガルー亜目に属するネズミカンガルー。5つの動物園で飼育されています。
- フサオネズミカンガルー
- 埼玉こども動物公園
- 上野動物園
- 多摩動物公園
- 天王寺動物園
- ひびき動物ワールド
北九州市・ひびき動物ワールドは、展示動物がカンガルーのみというユニークな動物園です。
フサオネズミカンガルー、オオカンガルー、シマオイワワラビー、ケナガワラルーを飼育しています。

カンガルーの代表!
日本の動物園で飼育されているカンガルーのうち、よく見かけるカンガルーは大型のアカカンガルーとオオカンガルー。
ということで、出現率の高いアカカンガルーとオオカンガルーを詳しく見ていきましょう!
アカカンガルーとオオカンガルーは、カンガルー目カンガルー科カンガルー属に分類されます。
大きさが雌雄ともに同程度なため、2種の区別がつかない方もいるでしょう。
しかし、よく知りよく見るとアカカンガルーとオオカンガルーが似ていないことに気付きます。
アカカンガルーとオオカンガルーの違いは?
生息地|乾燥と雨
種類の多いカンガルーは、オーストラリアのさまざまな地域に生息しています。
アカカンガルーはオーストラリア本土全域の乾燥地帯に分布しています。とくに疎林や平原を好みます。
オオカンガルーはタスマニア島を含むオーストラリア東部に生息しています。一定の雨量があり、草や低木が生い茂ったやぶを好みます。
意外と知られていませんが、カンガルーは夜行性の動物。いずれも日中の猛暑を避けるため、日の入後や明け方に活動しています。
食べもの|木の葉と若草
カンガルーは草食動物です。アカカンガルーとオオカンガルーは、おもに草を好んで食べます。
しかし、アカカンガルーが暮らすオーストラリアの乾燥地帯は、雨量が少なく、動物はもちろん植物も生育しにくい環境です。
そのため、アカカンガルーは柔らかい草だけでなく、硬い木の葉も食べます。
また、水分を得ることが困難なため、食料から得られる水分だけで生活することができます。とてもタフなカンガルーです。
一方のオオカンガルーは植物が育つ環境に身を置き、栄養価の高い新芽や若い草を選んで食べます。彼らは、乾いた草を消化できないからです。

カンガルーの色|赤と灰
オオカンガルーとアカカンガルーの判別では、オスカンガルーがポイントになります。
通常、カンガルーは、オスの方がメスより大きく成長します。全身筋肉質で、お顔にも男らしさが表れています。
オオカンガルーは、雌雄ともに灰褐色(濃い灰色がかった茶色)の体毛を持ちます。
ところが、アカカンガルーも、オオカンガルーと同じ色に見えるかもしれません。なぜなら、アカカンガルーのメスやこどもは、オオカンガルーと同じ灰褐色をしているからです。
一方で、アカカンガルーには明らかに赤い個体がいます。それは、成熟したオスです。

なぜアカカンガルーは赤?
生息地の土の色は、動物の色に大きく影響します。雪や岩肌の多い山岳で暮らすユキヒョウのように、体色の進化が見られます。
オーストラリア特有の乾燥した赤い大地に生息するアカカンガルーは、赤土のようなオレンジや赤みがかかった茶色をしています。
しかし、この赤褐色はオスだけにあらわれます。さらに、おとなオスの場合、首元から出る体液が首や胸を赤く染めています。
つまり、アカカンガルーの「赤」は、成熟したオスを指します。
メスのアカカンガルーはオオカンガルー同様、灰褐色。体色に雌雄差のある動物ですが、赤色のメスや灰色のオスも確認されています。
灰褐色のメスやこどもがいるアカカンガルーの群れでは、大きな赤色のオスは目をひく存在です。

しっぽの色|1色とグラデーション
全体の色だけでなく、さらに細かい部分に注目してみましょう!
実は、アカカンガルーとオオカンガルーでは、しっぽの色が異なります。
アカカンガルーの尾は全体的に同色。一方、オオカンガルーの尾は先端に向かうにつれて、色が濃くなっています。
メスだけの展示場では、判別が難しいですが。尾も重要なサインです。

カンガルーの鼻|形と模様
長いしっぽに違いがあったアカカンガルーとオオカンガルー。さらに掘り下げるべく、鼻に焦点を当ててみましょう!
よくよく見ると、オオカンガルーの場合、鼻先まで毛がびっしり生えています。そのため、黒い部分が少なく、V字に見えます。
アカカンガルーは、比較的毛が少なく、黒い部分が多い印象です。

また、アカカンガルーでは、鼻や口元から目にかけて白い筋が入っています。さらに、鼻横には黒い点々。これは、アカカンガルーの大きな特徴です。
並べて比べてみると、まったく異なることがわかりますね。

鹿児島市・平川動物公園ではアカカンガルーとオオカンガルーが同じエリアに展示されています。2種を同時に見比べられるおすすめスポットです。
詳しくは「平川動物公園の動物紹介」をご覧ください。

あなたが見た動物園のカンガルーは、何カンガルーでしたか?
意外と知られていないカンガルーの種類。
カンガルーとだけ表現されることが多いアカカンガルーとオオカンガルーですが、比べてみるとまったく異なるカンガルーだということがわかっていただけたと思います。
近くで見れる施設が多いカンガルー。毛の色や、顔、尾など細部に注目して観察してみてください。また新たな発見があるかもしれません。

以上、カンガルーの種類と見わけ方でした。
【参考】
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません