カンガルーの赤ちゃんはどこから生まれる?カンガルー誕生と成長
カンガルーの繁殖【繁殖期・妊娠・出産・成長】と寿命がわかる記事
動物園でよく見かける「カンガルー」おなかの袋で子育てをする動物です。
では、カンガルーの赤ちゃんはどこから生まれてくるかご存知でしょうか?
実はあまり知られていないカンガルーの繁殖「カンガルーの赤ちゃん誕生から寿命まで」カンガルーの一生にせまります!
カンガルーの繁殖期
基本的にカンガルーは1年中繁殖できる動物です。
一方で天候や環境に左右されやすいカンガルー。干ばつなどによる食糧難がある場合、メスカンガルーは妊娠しにくいからだに変わります。
これは、たとえ子が生まれても生きのびる可能性が低いから。とても賢いサバイバル術です。
オスカンガルーの争いは激しい!
ゆったりとした印象のカンガルーですが、繁殖期のオスは気性が荒くなります。
オスカンガルーはメスの尿のにおいをかいで繁殖可能かどうかを見極めます。
交尾をするためにメスに近づくオスカンガルーたち。ライバルを発見したら、つま先立ちをして胸を張り、自分の大きさをアピールします。
小さなオスはこの時点で負けを認めます。一方、同等のオス同士は接近戦となります。
するどい爪でひっかいたり、太い後ろあしで蹴ったり。カンガルーは無言で激しいバトルをくりひろげます。
逃げる行為は最もわかりやすい敗北の形。その他、げっぷのような声を出したり、横腹をかいたりして、逆らわないという意思表示をします。
強いオスは子孫をのこしやすい
オスカンガルーは戦いを繰りかえし「誰が一番つよいオス(アルファオス)か」を認識します。
晴れて一番つよいオスとなったカンガルーはやすやすとメスに近寄り、一番に交尾をすることができます。
一般にメスカンガルーは最初に交尾をしたオスの子を妊娠します。そのため前もってオスはランク付けをおこなうといわれています。
とはいえ、アルファオスがオスがすべてのメスを見張るのは困難。すきを見てアルファオス以外のオスが一番に交尾できることもあります。
結果、アルファオスだけでなく、その他のオスの子もたくさん生まれます。遺伝子のかたよりが大きくならないような繁殖システムです。
カンガルーの妊娠と出産
出産前のカンガルーはおなかの袋(育児嚢)を舐めて清潔にします。出産と子育ての準備です。
通常1か月の妊娠期間を経て、1頭の子を出産します。
赤ちゃんは「袋のなか」で生まれません
出産前に育児嚢をととのえるカンガルーですが、実はおなかの袋のなかで赤ちゃんが生まれるわけではありません。
おなかの袋は「育児」をする場所。では「出産」をする場所はどこでしょう?
それは、育児嚢の下にある穴(総排出腔/総排泄腔)です。
総排出腔はその名の通り「すべて」を出します。
排泄物はもちろん、生殖口も兼ねているため赤ちゃんも出てきます。
ヒトからすると驚愕の事実ですが。カモノハシなど原始的な哺乳動物にみられる器官です。
カンガルー誕生は予測不可能?!
メスカンガルーは出産後まもなく交尾ができます。
しかし、子どもが出袋もしくは死亡するまで、あるいは育児に適した環境がととのうまで、妊娠しないよう着床遅延が起こります。
※出袋:有袋類の子が育児嚢から出ること
※着床遅延:受精卵が胚となり一定期間経過後、条件が整ったときに着床すること
そのため、カンガルーの出産予知は困難。おなかから顔を出してはじめて気づくこともあるほどです。
ただ不思議なことにクロカンガルーは着床遅延がめったにおこらないといわれています。
カンガルーは一般的に1度に1頭しか誕生しませんが、妊娠間隔が短いこともあり生息数は保たれています。
一方でキノボリカンガルーやクオッカなど生息地が非常にせまい種は絶滅の危機にひんしています。
カンガルーの成長
体長50cm以下の小さなカンガルー。多くの方が「赤ちゃんカンガルー」といっているのを耳にします。
しかし実際のところ、彼らは生まれて間もない赤ちゃんではありません。
超未熟児の赤ちゃんカンガルー
生まれたてのカンガルーの赤ちゃんはたった1~2cm。妊娠期間が1か月という短さのため、超未熟児の状態で誕生します。
にもかかわらず、小さな赤ちゃんは生まれてすぐ自力で育児嚢まで登らなければなりません。
総排出腔からの道筋を母カンガルーが舐め、赤ちゃんカンガルーはそのにおいを頼りに移動すると考えられています。
まだ目も見えない毛も生えていない豆粒のようなピンク色の動物が、前あしを一生懸命つかう姿。なんと生まれる数日前からおなじ動きをしているようすが確認されています。
カンガルーの生命力のつよさを感じる瞬間です。
【YouTube】のんほいパークチャンネルでクロカンガルーの出産映像をチェック!
母カンガルーの乳首と赤ちゃんが合体?!
育児嚢までたどりついた子は袋のなかにある乳首を探します。
しかし、前あしを優先的に発達させた赤ちゃんカンガルーに乳首を吸う力はありません。
いったいどうするのかというと、子の口に含まれた「母親の乳首」がふくらみはじめるのです。
ついには赤ちゃんカンガルーと母親の乳首は一体化!
その後、乳首からゆっくりとミルクが分泌されます。子は自然と母乳を飲めるという画期的な進化です。
顎や筋肉がそだったころ、赤ちゃんカンガルーはやっと自らの意思でミルクを飲めるようになります。
子カンガルー 生後数か月でお外デビュー
数cmのか弱い赤ちゃんカンガルー。
2~3か月間はずっと育児嚢のなかで母乳のみで育ちます。もちろん排泄も袋のなかで行うので、母親が念入りに掃除してくれます。
動物園では袋から顔を出した日もしくは飛び出てきた(出袋)日を「カンガルーの誕生日」とすることが一般的。したがって本当の誕生日はその数か月前となります。
出袋したあとも、およそ8か月は育児嚢に出たり入ったりする生活を送ります。母カンガルーの袋は柔軟性に富み、5kg以上の子カンガルーも入ることができる優れものです。
1歳を過ぎると子カンガルーは育児嚢にはいらなくなります。一方で1歳半ごろまでは顔をいれて母乳を飲むすがたが確認できます。
一般にカンガルーは2歳ごろ性成熟をむかえます。
カンガルーの寿命
カンガルーは種類が多いため寿命にも差があります。
野生では10年以下ともいわれています。
一方、飼育下ではおよそ15年。なかには20年以上生きるカンガルーも多々います。
日本のご長寿カンガルー
福岡県・大牟田市動物園にいたメスのオオカンガルー「グランマ」2015年に22歳でその生涯を終えました。
神奈川県・よこはま動物園ズーラシアにいたメスのセスジキノボリカンガルー「ワリ」2018年3月、世界最高齢の推定28歳で亡くなりました。
2022年6月時点、横浜市・金沢動物園のオオカンガルー「キノコ」2004年生まれが現役の高齢カンガルーです。
安易にペットにしないで!
最近では、ペットとして飼育されることも増えてきたカンガルー。環境次第ではイヌやネコより長く一緒にいれるかもしれません。
そのためか、カンガルー人気は高まり輸入がふえています。
適応能力の高いカンガルーはせまい敷地でも生きていけます。しかし、それはカンガルーにとって幸せでしょうか?
大草原を飛びまわるカンガルー。動物は本能を正しく理解したうえで飼育しましょう。
カンガルーの誕生と成長【まとめ】
- 妊娠期間およそ1か月
- 総排出腔から出産
- 子は1~2cm 超未熟児
- 育児嚢で成長 子は母乳首と一体化
- 生後2~3か月 育児嚢からでる = 誕生日
- 性成熟2歳 寿命10~15歳
動物園でよく見かけるのに、意外と知らないカンガルーの妊娠や出産。
超未熟児のカンガルーは懸命におなかの袋まで移動し、成長しています。
おなかの袋(育児嚢)だけでなく、その下の総排出腔にも注目して見ましょう!
運が良ければ赤ちゃんカンガルー誕生の瞬間を見れるかもしれません。
以上、カンガルーの豆知識でした。
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