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アカカワイノシシに会える動物園・生態と特徴まとめ|2022年

09/20/2022Animal Facts,Zoo Lists

イノシシは十二支のひとつであることから日本では親しみのある動物です。

日本に生息するイノシシのほか、イボイノシシやバビルサなどたくさんの種類があります。

今回zoo zoo diaryで注目するのは「アカカワイノシシ」

見たことも聞いたこともない方がおおいかもしれません。日本では3つの動物園でしか飼育されていない動物です

アカカワイノシシの生態と特徴からアカカワイノシシが飼育されている動物園まで、アカカワイノシシ情報をまとめてお届けします。

サンディエゴ動物園サファリパーク アカカワイノシシ3

アカカワイノシシとは?

鯨偶蹄目イノシシ科カワイノシシ属。

2つのひづめをもつウシやカバなどとおなじ「目」ですが、日本で見かけるイノシシ(イノシシ属)とは異なる「属」に分類されています。

  • Potamochoerus porcus
  • IUCNレッドリスト 低懸念(LC)
  • CITES 記載なし
  • 生息 アフリカ西~中央部の森林
  • 体長 70cm
  • 尾長 40cm
  • 体高 60cm
  • 体重 60~100kg

生息地はアフリカ大陸西部~中央部のギニアやガボン、コンゴ等。ちょうどアフリカ大陸のくびれ(ギニア湾に沿った部分)あたりです。

アカカワイノシシは乾燥した森にも適応できますが、通常、熱帯雨林や拠水林といった湿った森を好みます。必要とあれば「川」を泳ぐイノシシです。

カラフルで長い耳をもつイノシシ【形態】

名前のとおり全体的に「赤」味がかった茶色の毛でおおわれ、背には白い筋があります。鼻は黒いですが、目や耳のまわりは白っぽく、イノシシとしてはとてもカラフルな種です。

一方で、東~南部に生息するアカカワイノシシは色が濃く、黒っぽい個体も確認されています。

なんといっても目をひくのは長い耳とそのふさ毛。また、オスは鼻のちかくに細長い「いぼ」をもちます。

耳毛はからだを大きく見せる、いぼは争いのとき牙の攻撃をやわらげる効果があるといわれています。

サンディエゴ動物園サファリパーク アカカワイノシシ イボ

イノシシ共通の牙(長い犬歯)はオスもメスも生えています。

ふさ毛のある尾はながく40cmほど、体とあわせて1メートルを超えます。おおきなオスは体重100kg以上になりますが、ニホンイノシシに見慣れているとスマートな印象をうけます。

特技は食べものを探すこと【生態】

野生では、単独でも群れでも生活するようすが確認されています。群れの場合は1頭のオスが優位となります。

決まったテリトリー内で行動し、木に傷やにおいをつけて縄張りをアピールします。

イノシシは食べることが大好き。鼻を地面につけ、においと感触で食べものをさがしあてます。果物や草から昆虫や卵までいろいろなものを食べます。

サンディエゴ動物園サファリパーク アカカワイノシシ エサ

アカカワイノシシの繁殖と寿命

雨季に繁殖期をむかえ、妊娠したメスは草などで出産・育児用の巣をつくります。およそ120日の妊娠期間をへて、複数頭の子を生みます。

おとなオスの100分の1ほど、約700グラムのちいさな赤ちゃん。イノシシの赤ちゃんとおなじウリボー柄です。

子育てはオスとメスで協力しておこないます。

アカカワイノシシは3歳ごろに性成熟。飼育下での寿命は15年ほどです。

野生アカカワイノシシは減っています

現在、アカカワイノシシは絶滅の可能性がすくない動物(IUCNレッドリスト低懸念)と評価されています。

しかし、これは絶滅の心配がないということではありません。

アカカワイノシシはむかしからの分布域にひろく生息していますが、その数は徐々に減りつづけています

アフリカ大陸における人口増加にともない、食肉目的の狩猟がふえているからです。一部地域では激減し、めずらしい動物になっています。

保護区や国立公園でまもられているアカカワイノシシ。

一方で、狩猟に関する法律はさだめられていません。現地の人々と自治体の協力が必要となっています。

サンディエゴ動物園サファリパーク アカカワイノシシ2

アカカワイノシシに会える動物園【3か所】

2022年9月現在、3つの施設で6頭のアカカワイノシシが飼育されています。

  • 那須どうぶつ王国
    • ハナ(2006年生)
    • セイ(2017年生)
  • ズーラシア
    • タイヨウ(2008年生)
    • キリ(2010年生)
    • カスミ(2010年生)
  • とべ動物園
    • メイ(2017年生)

パディとレッズ|アカカワイノシシの祖

2004年にアメリカからよこはま動物園ズーラシアにやってきたメスの「パディ」とオスの「レッズ」異なる動物園で2002年に生まれました。

2頭の相性はよく繁殖に功。2006年から2010年までに12頭の赤ちゃんが成育しました。

その後、パディとレッズの子どもたちは数か所の動物園に移動しました。

しかし、あたらしいアカカワイノシシの来日がないまま。

動物園はやむなく近親交配を選択。2017年愛媛県・とべ動物園で2頭のオス「セイ」「メイ」が誕生しました。

以降、日本でアカカワイノシシ誕生はありません。

近親交配により誕生した子は病気や奇形をもって生まれる可能性が高いといわれます。

よって、アカカワイノシシの繁殖は今後おこなわれないかもしれません

アカカワイノシシの生態と特徴【まとめ】

  • カワイノシシ属
  • 生息 アフリカ大陸西部~中央部の森
       絶滅のおそれはないが減少傾向
  • 全体は赤褐色 背に白い筋
  • 耳と尾に長い房毛が生える
  • 日本のイノシシより小柄でスマート
  • 食べるのが大好き(雑食)
  • 寿命 飼育下15年

野生では絶滅のおそれがないものの減少がつづいているアカカワイノシシ。狩猟規制がないことが大きな問題となっています。

日本の動物園にいるアカカワイノシシはたった6頭。アカカワイノシシに会えなくなる日はかなり迫っています。

興味ある方はぜひ会いに行ってみてください!

以上、アカカワイノシシのお話でした。

【参考】

国際自然保護連合

日本動物園水族館協会

スミソニアン国立動物園