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盛岡市動物公園にいたキリン「リリー」の子孫【動物の相関図】

08/08/2022

岩手県の盛岡市動物公園は1989年に開園。およそ37万平方メートル(サッカーコート50面分以上)の敷地に65種の動物たちが暮らしています。

盛岡市は動物園再起のために大規模なリニューアル事業にとりくんでおり、2021年9月より休園となっています。2023年春にオープン予定です。

1991年よりキリン飼育をはじめ、繁殖に成功している盛岡市動物公園。

今回は盛岡市ではじめて飼育され、繁殖に成功したキリン「リリー」に注目します!

リリー|1988年5月ー2011年9月

リリーは1988年に多摩動物公園で生まれました。現在までに10頭以上の子孫をのこしています。

盛岡市動物公園のアフリカ園オープンにあわせて1991年に来園した盛岡初のキリンです。

ざんねんながらリリーといっしょにやって来たオスキリン(ラガー)は1996年に死亡。

そのため、あらたなオスとして1998年に多摩動物公園よりリックがやって来ました。

リリーとリックの相性はよく、2000年12月、ついにキリン繁殖に成功しました。その後は順調に子が生まれ育ち、県外へと旅立っています。

2006年11月、リックは多摩動物公園へかえされましたが、その翌年リリーは第4子(リボン)を出産しました。

オス不在のまま数年が過ぎ、2009年に埼玉県・こども動物自然公園よりリンタが来園。

リリーは高齢となりリンタとの繁殖はなく、2011年に23歳で亡くなりました。当時4番目に高齢なキリンでした。

リリーの家系図

2022年7月現在 ()内は年齢順

  • リリーの子  4頭(リッキー、リリカ、リンリン、リボン)
  • リリーの孫  6頭(ひまわり、イブオ、ホープ、スカイ、メープル、ケイタ)
  • リリーのひ孫 3頭(コハク、ナツキ、?)
盛岡市動物公園 キリン リリーの家系図

リリーの第1子リッキーは伊豆アニマルキングダムではシン(シンチャン)と呼ばれていました。

おびひろ動物園で生まれたオスのキリンの名前はまだ決まっていません。

リリーの孫であるイブオは2016年山口県・徳山動物園より来園したメスキリン(イロハ)とペアリングが期待されています。

東武動物公園にはナツコのほか、アメリカ生まれのメス(ティナ)が飼育されています。

リック(ハルヤ)|1995年8月ー2007年2月

1995年多摩動物公園で生まれたリックにはふたつの名前があります。

生まれ故郷ではハルヤと名付けられました。1998年に盛岡市動物公園に移動し、リックと呼ばれるようになりました。

盛岡で順調に暮らしていたリックでしたが、2006年11月、繁殖オスとして多摩動物公園にもどされました。多摩で相次いでオスが亡くなったからです。

ところが、リックは移動の3か月後に急死。11歳とまだまだ若く健康だったため、とても悲しいニュースでした。

しかし、多摩に移動してまもなくリックはユキと交尾に成功し、メスのキリン(ユズ)をのこしてくれました。

ユズはその後ブリーディングローンによりリックがいた盛岡市へ移動し、繁殖に成功しています。

ユズは日本のキリン界をささえた「ユウ」の孫。2020年上野動物園で生まれた「ヒカリ」のおばあちゃんです。

メープルとユルリ|おびひろ動物園

2022年6月、リリーの血をひくメープルと、多摩動物公園エースのジルの血をひくユルリの子が誕生しました。おびひろ動物園ではメープル誕生後はじめての出来事です。

ただ、父親(メープル)が子を受けいれることができていません。ころあいをみて同居させたところ、メープルは子を攻撃してしまいました。

敷地の関係から全キリンを外に出すためには同居が必須。母子だけを外に出すのはメープルの精神によくないと予想され、現在はメープルだけが放飼場に出ています。

キリンの生態として、オスはわが子の認識や育児参加はありません。メープルは子孫をのこすためメスに近づきたいだけです。

いまのところ子キリンに健康上の問題はないようなので一安心。ながい目で見守りましょう。

リンリンとケイタ|大森山動物園

リリーとリックの第3子リンリンは2008年から秋田市・大森山動物園で飼育されています。

4~5歳という性成熟をむかえたにもかかわらず、ながく発情がありませんでした。血液検査をしたところミネラル不足が判明し、経口補給をはじめました。

すると、2018年ごろから発情が確認され、2020年7月念願の赤ちゃんが誕生しました!リンリンは15歳という高齢ではじめて出産したのです。

子は元気だったものの、リンリンが育児できなかったため人工哺育となりました。その後訓練をへて、現在はいっしょに展示されています。

大森山動物園はハズバンダリートレーニングの先駆け的存在。キリンに対して麻酔をせずに採血し、継続的な血液検査をおこなっています。

リンリンの場合、ミネラル不足がわかっただけでなく適切な量を補給しつづけることができました。

ハズバンダリートレーニングは動物福祉の向上につながり、さらには繁殖成功へもつながっているのです。

本記事は過去のニュースや動物園SNS等を参考にまとめています。誤りや追加があればご指摘お願いいたします。

【参考】

盛岡市動物公園

おびひろ動物園

大森山動物園

多摩動物公園