ブロンクス動物園ジャングルワールド!日本では会えない動物だらけ
アジアのジャングルにいる動物|Bronx Zoo4
野生生物保全協会(WCS)が運営するニューヨーク州ブロンクス動物園。先進的な展示を見ることができます。
今回紹介するのは、ジャングル・ワールド。日本では飼育されていない動物が登場します。

Asia Gateの近くにあるJungle World〈熱帯雨林の世界〉は巨大な屋内展示施設。
温度と湿度が管理され、アジアに生息する動物たちが飼育されています。
通常チケットをご購入の方は、ジャングル・ワールドの入口で$6支払います。特典チケットをお持ちの方は、バーコード提示で入場できます。
建物内の空調は動物に合わせられているため、扉を開けると蒸し暑く感じます。
スクラブ・フォレスト
薄暗い通路を抜けるとScrub Forest〈低木林〉に突入。
歩道の両脇にスペースがあります。まず目に入った左側には動物が見当たらず。振り返ると、愛らしい動物がお出迎えしてくれました。
キノボリカンガルー

双前歯目(カンガルー目)カンガルー科キノボリカンガルー属。
木の上で生活をすることから、キノボリカンガルーと名付けられました。英名はツリー・カンガルー。太平洋に浮かぶニューギニア島に生息しています。
キノボリカンガルーの特徴
木登りのために前肢の筋肉が発達しています。さらに、ひときわ目立つ立派な手がキノボリカンガルーの特徴。
器用に動かせる指には、長い爪が生えています。腕と指の筋力、そして滑り止めの爪を利用して、やすやすと木に登ることができます。

ブロンクス動物園はMatschie’s tree-kangaroo(アカキノボリカンガルー)を展示。キノボリカンガルーの中で、最も筋肉質で木登りが得意な種と言われています。
アカキノボリカンガルーの形態
体長70センチ、体重10キロ前後。尾は体と同じくらい長く、足場の悪い木の上でもバランスを保つことができます。
腹側はクリーム色、背側は赤茶色の毛に覆われています。顔は白く、背中には黒い筋が入ります。

わたしが訪ねた時はちょうど朝ごはん。木の実や葉を好むキノボリカンガルー。ブロンクス動物園では、大量のレタスが与えられていました。
あまりお腹は空いていない様子。ゆっくりと何口か食べただけで、奥へと移動して行きました。

キノボリカンガルーに会える動物園
よこはま動物園ズーラシアは、日本で唯一キノボリカンガルーを飼育しています。
ズーラシアにはモアラとタニ、2頭のセスジキノボリカンガルーがいます。背中に白い筋が2本、尾には輪模様が入っています。
木登りが得意なキノボリカンガルー、ぜひお見知りおきを。
いくつもの樹木が張り巡らされた展示場。テレビ番組で見た、あの動物がどこかにいるはず、と思い目を凝らします。
それは、2016年に導入されたオオコウモリです。
ロドリゲスオオコウモリ
翼手目オオコウモリ科オオコウモリ属。
マダガスカル島よりさらに東に約800キロ。インド洋に浮かぶロドリゲス島にのみ生息するオオコウモリです。
急速な森林破壊やサイクロンの影響から、一時は100匹以下まで減少。前向きな法規制や保全活動の結果、現在の生息数は約2万匹と考えられています。
2017年には、IUCNレッドリストにおいてCRからENへと再評価されました。
ビニールのような翼に覆われたオオコウモリ。しばし眺めていると、手(翼)が動き出しました。



どうやら「コウモリ流」寝返りだったようです。
日中はなかなか可愛いお顔が見れない夜行性のオオコウモリ。今回はタイミング良く幸運でした。
マングローブ・フォレスト
次の部屋へ入ると、マングローブの大木が真っ先に目に飛び込んできます。根が伸びる水槽をよく見ると魚や両生類?が放飼されていました。
両サイドにはマングローブに関する情報がずらり。ふむふむと読みながら歩くと、実際にMangrove Forest〈マングローブ林〉を再現した展示場が現れます。
マングローブには霧が立ち込め、奥にはどこまで続きそうな密林が広がっています。そこには、日本では会うことができないサルがいます。
ジャワルトン
オナガザル科コロンブス亜科ラングール属。
ジャワルトンはインドネシア・ジャワ島に生息しています。生息域は幅広く、マングローブなどの低地から3000メートル級の山林に至ります。
ジャワラングール、エボニーラングール、エボニーリーフモンキーなどいくつもの呼び名があります。それぞれの名前はジャワルトンの特徴を表しています。
長い尾(ラングール)を持つ、漆黒(ルトン/エボニー)のリーフイーター(葉を主食とするサル)です。
ところが、ブロンクス動物園のジャワルトン。

漆黒ではなく、白も混ざる赤茶色の体毛。彼らはジャワ島・東部のみで確認されている数少ないジャワルトンです。
ブロンクスでは一般的な黒の個体と赤茶色の個体がいっしょに展示されています。ジャワルトンに会えるだけでも貴重ですが。たぐい稀な出会いを体験できるでしょう。
日本では会えないジャワルトン。ぜひお見逃しなく。

レイン・フォレスト
滝が流れ巨木がたたずみ、来園者側まで繁る植物たち。視界を遮るガラスはなく、360度の景色が広がります。まさにRain Forest〈熱帯雨林〉に足を踏み入れたようです。
眼下に広がる池や沼。バクがゆったりと休んでいました。

上を見上げると複雑に重なる樹木の葉や枝。一動物園の一屋内展示場とは思えないスケールに圧倒されていると、ゆらゆら動くものを発見。
枝渡り(ブラキエーション)をするテナガザルです。
ホオジロテナガザル
霊長目テナガザル科クロテナガザル属。ベトナムやラオスなど東南アジアに生息しています。
日本では鹿児島県の平川動物公園でお目にかかったことがあります。
※日本動物園水族館協会の動物検索結果には現れませんが、平川動物公園の動物図鑑には掲載されています。
オスは黒色。頬に白い房毛が生えており、ホオジロの由来となっています。メスは金色。頭頂部に黒い毛が生えています。
全く異なる外見の雌雄ですが、どちらもユニークで魅力たっぷり。

平川動物公園のモンジロウもメスだったので、どうにかオスが見たかったですが。高さに加えて奥行きもあるブロンクス動物園の放飼場。とうとう見つけることはできませんでした。ざんねん。
ふと振り返ると、人だかり。開放的なテナガザルたちの展示場と対照的な、ガラスで覆われたスペース。
ヒョウ

息を弾ませのぞくと、ヒョウの姿が目に入りました。
片隅からこちらを狙っているようにも感じます。
放飼場内には、時折雨が降っている様子。ガラスや葉は濡れていました。屋内ならではの生息地再現方法です。
しばらくすると歩き出し、マーキングの時間。しばしば声をあげていました。

深緑に黄色の毛皮が映えます。ジャングルにいるヒョウの美しさを目の当たりにしました。

上にも下にも前にも後にも動物がいるレインフォレスト。展示物も多く、じっくり見るには軽く1時間は必要でしょう。
レインフォレストの次は洞窟のようなつくり。階段を降りると、横たわるワニを目の前で観察できます。こちらも臨場感ある展示法です。

動物、植物ともに種類が多く、満足度の高いジャングル・ワールド。今回紹介した動物以外に、爬虫類や鳥など約100種もの動物が飼育されています。
たっぷりと時間をかけてじっくり観察したい施設です。

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