オランウータンとテナガザルの混合展示は福岡市動物園だけ

オランウータンとテナガザル|福岡市動物園2

福岡県の福岡市動物園を紹介しています。福岡市動物園1では営業案内とアジアゾウのはな子(2017年没)についてお話しました。

今回は、2013年にエンリッチメント大賞を受賞したオランウータンとテナガザルの展示場を紹介します。

まずは、評価されているエンリッチメントについてお話します。

エンリッチメントとは?

動物の幸せを目的とした対策のこと。

動物園では、ヒトの娯楽のために動物たちがせまい展示場に入れられたり、野生とは反対の変化のない生活を強いられたりしています。

たとえ捕食や飢餓の恐れがなくても、それでは動物にとって幸せとは言えないでしょう。

そこで、挙がってきたのがエンリッチメント。

自然界での生活を意識して展示法や飼育法を変えたり、動物の幸せのために環境を整えたり、さまざまなエンリッチメントが世界中の動物園で行われるようになっています。

福岡市動物園の例

異なる動物を同じ空間で展示する混合展示。

お互いの存在が刺激となり、変化のある生活を送ることができます。その結果、精神的に良い影響を与えると言われています。

また、2つの展示場を1つに統合し、広大な展示スペースを確保。広い敷地と大きなタワーや多数のロープにより、オランウータンとテナガザルは身体能力を発揮することができます。

さらに、それぞれの室内展示場を設け、プライベートにも配慮している点が評価されています。

オランウータンとテナガザルの展示場

福岡市動物園 園内マップ

熱帯雨林で樹上生活をしているオランウータンとテナガザルに合わせて、背の高いジャングルジムのような塔が立ち並んでいます。

福岡市動物園は日本で唯一、オランウータンとテナガザルの混合展示を行っています。

オランウータンのゆっくりな動き、とテナガザルのすばやい動きが対照的。ずっと見ていられるようなこの展示場は、福岡市動物園の目玉です。

オランウータンとテナガザルの展示場は2階建て。下からも上からも動物たちを観覧できるようになっています。

展示場1階

1階には大きなガラスビューが2か所あります。展示場を全体的に見れるところと、屋根やベンチがあるところ。

オランウータンやテナガザルが地上に降りているときは、1階がおすすめ。

半屋内になった観覧スペースの動物側には、ヒーターやエサが出てくる筒が設置されています。寒い日や食事の時間にはガラスの前に来てくれます。

お顔のしわや毛が見える距離。

福岡市動物園 シロテテナガザル キナコ
ガラスにもたれるキナコ

たいてい動き回ってるので、なかなか写真を撮るのが難しいですが。

オランウータンが食事をしてると、ちょーだい。とやって来るテナガザル。異なる動物がコミュニケーションを取って、一緒に生活している様子がうかがえます。

展示場2階

福岡市動物園 オランウータンとテナガザル

2階には展示場を一望できる広いデッキ。

加えて、オランウータンとテナガザル、それぞれの室内展示場が設けられています。

遮るもののないデッキからは、開放的な放飼場で動きまわる動物たちの姿を見ることができます。

シロテテナガザル

霊長目テナガザル科。東南アジアの熱帯雨林に生息しています。

お顔のふちと手足の先が白色、体毛は個体によって茶色や黒色のものがいます。体に対して腕が長く、樹上生活に適した体形です。

福岡市動物園のシロテテナガザル

現在、福岡市動物園では3頭のシロテテナガザルを飼育しています。

茶色のキナコと黒色のアイ、そしてアイの旦那さんタム。

福岡市動物園 タム テナガザル
タムはバックヤード(非公開)

タムは、44歳と高齢のため目がよく見えません。

塔から落ちると危険なので、展示場に出ることはなくバックヤードで暮らしています。

キナコはアイとタムの子、タキのお嫁さんとして、2013年羽村市動物公園からやって来ました。

しかし、2015年タキが不幸にも7歳という若さで亡くなってしまいました。

福岡市動物園 タキ テナガザル
2015年に死亡したタキ

そのため、現在展示場で見れるのはアイとキナコの2頭だけです。

歩くテナガザルに注目!

木の上で生活する野生のテナガザルは、ほとんど地上に降りることはないそうです。

ところが、動物園のテナガザルは危険がないことを知っているので歩いたり座ったりしてることもあります。

福岡市動物園 アイ テナガザル
草むらを歩くアイ

テナガザルは2足歩行しますが、腕が長いのでバランスが悪くなんだかぶかっこう。それが可愛らしく、癖になります。

食事中や地上では歩いていることも多いので、チェックしてみてください。

塔の上で見せるブラキエーションは圧巻!

外の運動場にいるとき、テナガザルは得意なブラキエーションを見せてくれます。

ブラキエーションとは、長い腕を使って枝にぶらがったり、枝から枝へと移動したりすることです。

高い塔に設置された何本ものロープは、ジャングルを模してつくられたそうです。

テナガザルのアクロバティックな動きにたびたび歓声があがります。テナガザルたちものびのびとしていて、楽しそうに見えます。

2階の開放的なデッキからはその様子をゆっくり観察できます。

テナガザルの歌

テナガザルは独特な声を出してコミュニケーションを取るため「歌うサル」として知られています。

福岡市動物園のアイはよく歌い、きれいな声を聞かせてくれます。歌っている最中のアイはとくに素敵です。

福岡市動物園 シロテテナガザル アイ
ブラキエーション後、歌を歌うアイ

そんなアイに返事をするように、タムの声が建物の中から聞こえてくるときもあります。家族の絆を感じる瞬間です。

みなさんもテナガザルの歌に耳を澄ましてみてください。

テナガザルの食事

飼育員さんは、屋内展示場のガラスに沿ってエサの準備をします。

食事の気配を感じ戻って来たキナコ。目の前でむしゃむしゃ食べ始めました。遅れたアイの慌てように笑みがこぼれます。

福岡市動物園 テナガザル キナコ
屋内展示場の食事風景

1階のガラスビュー前でもエサやりを実施してます。広い展示スペースだからこそ、食事場所にも変化が生まれます。

室内のシロテテナガザルもお見逃しなく!

天気の悪い日や寒い日には、部屋の中にいることが多いシロテテナガザル。

暖かい地域に生息するため、寒さは苦手。寒い日には、すみっこでまぁるくなっている姿がとても可愛いです。

福岡市動物園 テナガザル
寒い日のテナガザル

広い屋外展示場は動きまわる姿を見れますが、距離があります。

一方、室内はガラス一枚隔ててすぐそこに動物がいます。足や手をガラスにくっつけていることがあり、テナガザルの指や皺までじっくり観察できるのが魅力。

室内展示場から外へ出るときに、2足歩行の綱渡りを見れることがあります。バランスが悪いながらも、テナガザルの運動神経の良さを感じる一コマです。

オランウータン

東南アジアの島に生息するオランウータン。

オランウータンの種類は大きく2種類、スマトラ島のスマトラオランウータンとボルネオ島のボルネオオランウータンです。動物園では、それらの雑種も存在します。

福岡市動物園のオランウータンはボルネオオランウータン。

オランウータンもテナガザル同様、樹上生活をしているため腕の方が足より長い。雌雄の体格差があり、オスの方が大きく、メスの方が小さい動物です。

福岡市動物園のオランウータン

現在、福岡市動物園にはボルネオオランウータンのミミ、推定48歳のオスがいます。

福岡市動物園 オランウータン ミミ
ミミ

2015年7月、繁殖を目的としてドーネが来園。

ドーネは推定22歳。よく塔に登ったり、ロープを渡ったりしていました。ミミと比較すると小柄で若いドーネは、とっても身軽。

福岡市動物園 オランウータン ドーネ
空中散歩するドーネ

めでたく妊娠したドーネは里帰り出産のため、2017年11月に石川県能美市のいしかわ動物園へ移動しました。

2018年2月、ざんねんながらドーネは死産だったと発表されました。初めての子だったため、複雑な思いをしていることでしょう。

この経験を乗り越え、新たに子を授かる日が来ることを祈っています。

また福岡市動物園でドーネに会える日が来ると良いです。

フランジに注目!

ミミは顔周りに大きなひだがあるのに、お気づきでしょうか?

これはフランジと呼ばれ、メスにはありません。フランジは強いオスの象徴とされています。

ドーネを入れて4頭のメスと繁殖経験のあるミミ、立派なオスです。

福岡市動物園 オランウータン ミミ

オランウータンの食事

テナガザルに比べて、オランウータンはのんびり静か。

1階の大きなガラスの前では、飼育員さんが筒から入れたエサを吟味して食べいる様子が見れます。

福岡市動物園 オランウータン
筒の出入り口を凝視する故ユキ

オランウータンは暖かい地域の動物なので、冬場は冷たいお野菜は嫌がるらしく、温めてあげるそうです。

飼育員さんはたいへんでしょうけど、なんだか甘えているようで可愛らしいオランウータン。

室内展示場

2階には、大きなガラス張りの室内展示場があります。運動場にいないときは、室内にいますのでお見逃しなく。

たまに天井や室内と外の出入口付近など見えにくいところに隠れてます。そんなときは時間を置いてから行くと、ミミに会えるかもしれません。

福岡市動物園 オランウータン ミミ
野菜を食べるミミ

オランウータンとテナガザルのツーショット

ふだんのお食事とは別に、日中、飼育員さんが2階のデッキから動物たちにエサを投げ入れているときがあります。

福岡市動物園 オランウータンとテナガザル
ユキとタキ

オランウータンもテナガザルも塔の真ん中に集まってくるので、貴重なシャッターチャンス。

ハロウィーンなど特別な食事をあげるイベントも不定期で行われているようなので、要チェックです。

2015年9月に亡くなったオランウータンのユキは、シロテテナガザルと仲良く暮らしていました。食事を分け与えたり、いっしょにロープにぶらさがったりと、とても貴重な異種間のコミュニケーションが見られました。

ミミは単独のことが多かったので、現在はテナガザルとのツーショットは難しいかもしれません。

エンリッチメント大賞に輝いたオランウータンとテナガザルの展示場は、動物園人の試行錯誤が辿り着いた素晴らしい施設です。時間がなくても絶対にはずしたくないスポットです。

福岡市動物園だけの光景を、ぜひご覧ください。

福岡市動物園3へつづく

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